2019年3月5日火曜日

東京 'イエローマジックショウ'

"T・E・C・H・N・O・P・O・L・I・S........TOKIO!" わたしが小学生の頃に流行したもののひとつにYMOことイエロー・マジック・オーケストラがあります。いやあ、ピコピコピュ〜ンというシンセサイズされたサウンドが1980年の東京のBGMとして本当にハヤったなあ。





わたしもこれを聴いて育った1990年代以降の 'ベッドルーム・テクノ' 世代が体験したこととほぼ同義で、当時流行したインベーダ・ゲームの 'ピコピコ' サウンドの延長で耳に付き、子供心にヴォコーダーの未来的なトーンとハリウッド映画 'スターウォーズ' やアニメ '機動戦士ガンダム' のSF感覚、そして何でか、TVドラマ '西遊記' でのゴダイゴが主題歌を担当した '中華ライク' なエキゾ感覚もゴッチャになってる(笑)。わたしよりもうちょっと上の世代ならディスコからフュージョン、ニューウェイヴの感覚でハマっていたことも加味されるでしょうね。











YMOというといわゆる 'テクノポップ' のピコピコした未来的なトーンに耳が行きますけど、実は元々のコンセプトのひとつに無国籍なエキゾ感覚の '復権' があったと思うのです。これは米国から見るアジアやアフロの '間違った' 感覚のさらにアジア人による自虐的な毒というか、北京交響楽団から人民服(実際は戦前の国民スキー服らしい)やジャン・リュック・ゴダール監督作品の '中国女' など、ある種スノッブな '中華趣味' に至るまで誤解されたパロディのような感覚。その発起人にして '主犯' である細野晴臣さんは小学生たちがYMOを '駄菓子' のように貪り、自分たちを追っかけの対象として狂っていくのを見て戦慄したそーですヨ(苦笑)。それは、このYMOの遥か昔に流行した 'エキゾティック・サウンズ' の大家マーティン・デニーの 'Firecraker' をカバーしたことにも象徴されますね。'四畳半の楽園' を構築すべくある種のヴァーチャルな関係を結ぶことで物見遊山する 'エキゾ' とは、そのまま現在の 'ネット・サーフィン' することと同義であり、すでに本物とニセモノの境界など分からない人工的な '体験' に取り憑かれてアクセスすることだと思うのです。







さて、そんな 'エキゾ趣味' を 'テクノポップ' で蘇らせる一方で、当時、新たに台頭してきたヒップ・ホップの '解釈' の原点という意味ではもう一度、時計の針を1980年の東京に巻き戻さなければなりません。アフリカ・バンバータの 'Planet Rock' ?ハービー・ハンコックの 'Rockit' ?マントロニクスの 'Bassline' ?サイボトロンの 'Clear' ?いやいや、YMOの '頭脳' ともいうべき '教授' ことRiuichi Sakamotoにご登場頂きましょう。ここでいうヒップ・ホップとは(テクノ含めた)同時代的なアティチュードのことであり、それは、最もとんがっていた頃の '教授' がブチかましたエレクトロ・ミュージックの 'Anthem' と言うべきこれらを聴けば分かるはず!特に 'Riot in Lagos' のデニス・ボーヴェルによるUK的 'メタリック' なダブ・ミックスが素晴らしい。この1980年はYMO人気のピークと共にメンバー3人が '公的抑圧' (パブリック・プレッシャー)に苛まれていた頃であり、メンバー間の仲も最悪、いつ空中分解してもおかしくない時期でした。そんなフラストレーションが '教授' の趣味全開として開陳させたのが、ソロ・アルバム 'B-2 Unit' と六本木のディスコのテーマ曲として制作した7インチ・シングル 'War Head c/w Lexington Queen' におけるダブの 'ヴァージョン' 的扱い方だったりします。











いわゆる 'テクノポップ' の寵児として、史上稀に見るバブル期へと向かう 'Tokio' の原風景を描き出したYMO。しかし、その三者三様のバックグラウンドの違いがもたらす '引き出し' の広さこそ、現在に至るまで多くの '信者' を生み出す要因ではないかと思うのです。このYMOの感覚を現代に蘇らせたものとしては、高橋幸宏さんを中心に 'ベッドルーム・テクノ' 世代が引き継いだMetafiveを挙げなければなりませんね。あの活気と浮かれていた熱狂から40年近く経ってやってくる 'Tokyo 2020'・・東京の風景も人間も大きく変化しました。







個人的にYMOの元々のコンセプトである 'エキゾ感覚' という意味では、細野晴臣さん作の '南国趣味' 全開な 'Simoon' のような曲が生き残る気がしているのです。このモロにラテン一色なセニョール・ココナッツのカバーも素晴らしいけど、Youtubeで出会ったこのCMOことChiba MOというYMOカバーバンドの 'Simoon' が最高!多分 'YMO愛' が高じてやられている趣味人バンドなんだと思うのだけど渋い選曲はもちろん、アレンジ含めクオリティが高いというか、これはMetafive共々ちゃんと今の時代の音で鳴っておりますヨ。しかしこのYMOという稀有なユニット、そんな電脳都市 'Tokio' が史上最大のバブルへと向かう直前の1983年に '散開'・・。ホント、彼らの過ぎ去って行った '季節' が日本のポップ・ミュージック・シーンに与えた影響は大きかったのだ。

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