2018年9月3日月曜日

9月のワウ選び

エフェクターってひとつひとつは小さいですが、これがいくつか溜まってくるとスペースを占拠して生活を圧迫する(苦笑)。'Pedals And Effects' の動画にある '秘密基地' みたいに棚へズラッと並べてみたい欲望もあるのだけど、あんな膨大な数を所有していないし埃まみれになるのもイヤなもの。そんな '圧迫' の最たるものがワウペダルでして、これが床に置きっ放しのまま不意に躓くと突き指するくらい痛かったりするんですよね・・。しかし、管楽器の 'アンプリファイ' でディレイと並び最も満足度が高いのもこのワウペダル。ええ、ワウワウ、ギュイ〜ンとブレスと共に踏んだりベンドする 'プレイヤビリティ' へのダイレクトな反応が楽しいじゃないですか。すでに何度か取り上げておりますが、またまた、懲りずに行ってみましょうか。


わたしの現在の足元に収まっている '手のひら' ワウの先駆、シンガポールのガレージ工房が手がけたPlutoneium Chi Wah Wah。光学式センサーによる板バネを用いたワウペダルで通常のワウとは真逆の踵側をつま先で 'フミフミ' して操作します。専用のバッファーを内蔵して0.5秒のタイムラグでエフェクトのOn/Off、そして何より便利なのがワウの効果をLevel、Contour、Gainの3つのツマミで調整できるところ。特別、本機にしか出てこない優れたトーンを持っているとは思いませんが、基本的なワウのすべてをこのサイズで実現してしまったものとして重宝しております。ワウの周波数レンジは広いものの、ペダルの踏み切る直前でクワッと効き始めるちょっとクセのあるタイプ。また、2010年の初回生産分のみエフェクトOn/Offのタイムラグが1.1秒かかる仕様だったので、中古で購入される方はご注意下さいませ(2010年10月以降は0.5秒仕様)。本機はペダルボードの固定必須で使うことが安定する条件となり、普通に床へおいて使うと段々と前へズレていきます。個人的にはその踵側を踏む姿勢から、立って踏むより座って踏んだ方が操作しやすいですね。ちなみに上記のリンク先にあるPlutoneiumのHP、ええ、アジア色全開の怪しいサイトではございません(笑)。





G-Lab
G-Lab Wowee-Wah WW-1
G-Lab Wowee-Wah WH-1 Warren Haynes Signature Model

Chi Wah Wahが超小型ならこちらはスイッチのOn/Offを '足乗せ' な感圧式センサーにしたポーランドG-Lab製ワウペダル、Wowee-Wah WW-1。実際、このような機械式スイッチの '踏み外し' によるOn/Offの不具合はよくあるのですが、それを単にペダル面に足を乗せるだけでセンサーが感知してOn/Offしてくれるという有り難い逸品。もちろん、通常の機械式スイッチとの切り替え可能でさらにトーン調整用としてQ-Factor、Bass、Deep、Volumeの各スイッチも備えて多様な音作りに対応します。また本機にはウォーレン・ヘインズのシグネチュア・モデルWH-1も用意され、WW-1に比べてQ-Factorスイッチのみの特化したワウとなっております。









Jim Dunlop Crybaby
Crybaby Mini CBM95 VS. Crybaby GCB95

こちらはわたしが一番最初に購入したワウペダル。時代はちょうど1990年代半ばの 'ヴィンテージ・エフェクター' 再評価と復刻が始まっていた頃でして、それまで管楽器店しか知らなかったわたしにとりエレクトリック・ギターのお店は完全に未知の世界。全くの門外漢から見ればズラッと並んだ楽器の違いなど分かるハズもないのだけど、それは管楽器店にズラッと並ぶ金色や銀色のラッパを見てどれも同じじゃん、という感想と一緒ですね(笑)。このワウペダルというヤツも皆一様に黒いペダル状の物体が並んでおり、どれを選んだら良いのか分からなかったのですが、一応頭の中にあったのはマイルス・デイビスが使用したVoxのもの。しかしここで、そもそもギター用の機器を管楽器で使うにあたって大丈夫なのか?かかる帯域によってハズレもあるのでは?という '警報' が鳴り出します。もちろん試奏なんて出来ない環境でいくら悩んだって答えは出ないのだけど、そんな黒い物体の中で一台だけ 'スペシャル' なヤツを発見!見た目はCrybabyながら、中身はRoger Mayerという会社の 'ワウキット' をお店で組み込んで販売しているとのこと。価格もそこに並んである中でかなり高いものだったことから悩みましたが、購入の決め手は横に付いている3段階切り替えスイッチ(動画のものは7段階切り替え式)。今でこそこういうワウペダルは珍しくないですが、当時はこのRoger Mayer以外で見たことのない仕様でして、これならギター以外の楽器でもいけるんじゃないか、と・・。音色的には 'ドンシャリ' ながらラッパでもかなりエグい効き方で満足したことが昨日のことのように懐かしい。まあ、残念ながらこのRoger Mayerのものは今では入手できないものの、いわゆるノーマルのCrybabyでも十分に管楽器で威力を発揮してくれます。色々なモデルを展開しており、On/Offスイッチを省いて板バネで踏めばそのままOn、離せばOffになるGCB95Qなどは便利なのですが、その中でも '手のひら' サイズのCBM95 Crybaby Mini Wahはサイズ感と機能で申し分ないのでは?





さて、そんなマイルス・デイビスといえばVoxのワウペダルでして、あくまで噂話の域ではありますが、バンド・オブ・ジプシーズの大晦日公演のバックステージで再会したジミ・ヘンドリクスからデイビスの元に送られてきたのがご存知 'Clyde McCoy' ワウペダル。これを1970年から71年にかけて自身のステージで踏んでおりましたが、バンド・メンバーを一新した1972年以降、活動停止する75年にかけて足元にあったのがこの 'King Vox Wah' というもの。本機は、それまでイタリアEME社での生産をしていたVoxが米国カリフォルニア州のThomas Organ社の工場に移して生産した当時の新製品。この '面構え' を見るとわたしなどはそのまま 'エレクトリック・マイルス' のイメージへと変換してしまいます。





Maestro Boomerang BG-2
Farfisa Wha-Wha / Volume
Maestro Wha-Wha / Volume WW-2

ワウペダルって消耗品というイメージもあり、基本的に 'ヴィンテージ' のものは手を出さないのですが、比較的状態の良いMaestroのBoomerang BG-2というのは一時期気に入って所有しておりました。DeArmondやFoxxのペダルと共通する流線型な筐体が格好良いのはもちろん、そのVoxやCrybabyとは一味違うニュアンスのワウは管楽器にもマッチしました。特に本機は、アイザック・ヘイズの 'Theme from Shaft' で聴かせる印象的なワウ・カッティングを奏でたことで近年再評価されたのには驚き・・。そんなMaestroの '血統' としてこちら、オルガンの製作で老舗的存在のFarfisaから用意されたワウペダル。オルガンとギターの入力に際して前面のスイッチで切り替えられるようになっており、また、筐体自体の踏む角度が上下に調整できるというのも座って踏める為の配慮となっているのが面白い。効果自体は比較的大人しい効き具合でオーソドックスなのですが、実は本機、BG-2の前身に当たるMaestro Wha-Wha / Volume WW-2のOEM品なのです。鍵盤メーカーらしいFarfisaの仕様の違いは、全て金属筐体のMaestroに比べてこのFarfisaはプラスティック筐体となっております。わたしは1960年代のヴィンテージな管楽器用 'アンプリファイ' システムを所有しており、それらでワウワウさせるべく中古で見つけて愛用しておりまする。









Moog Moogerfooger MF-101 Lowpass Filter
Electro-Harmonix Riddle: Qballs for Guitar

わたしの 'アンプリファイ' な管楽器の原風景がまさにこれ、ワウワウをかけて咆哮する歪んだトーンなんですヨ。ベルを真下に向けて屈み込むようにペダルを踏むマイルス・デイビスの姿はかなり奇異に映り、ラッパのマウスピースから飛び出るケーブルはそのままペダルへと直結されている・・。ん!?コレはどゆこと!?そんな素朴な疑問から早30年ちょっと・・未だ熱狂しているって良いのか悪いのか(苦笑)。ちなみに、ここでは音量の感度調整によりかかるエンヴェロープ・フィルターの動画も上げておりますが、最近の製品はVoxやCrybabyに代表される 'ヴィンテージ・ワウ' のトーンを意識したものが多く、その操作性のほか、一聴しただけではワウペダルとの判別をしにくいものがあります。どうしてもペダル操作が煩わしい、苦手だという方はこのエンヴェロープ・フィルターを選んで見るというのも一考です。







Source Audio SA143 Bass Envelope Filter
Source Audio SA115 Hot Hand 3
Sonuus Wahoo

管楽器の 'アンプリファイ' 広報に精を出すJohn Bescupさんは色々なワウを試されておりますけど、現在 '手元' に置いているSouce Audio SA143は新たに追加した多機能な一台。どうもそのサイバーな(オモチャっぽい?)デザインからここ日本ではイマイチ人気に乏しく、最近そのラインナップを一新してStrymonのようなアルミ筐体にヘアラインを施したものに変更されました。このSA143はデジタルならではの多彩な効果と扱いやすさ、安価な中古市場において結構人気が高く、外部エクスプレッションからSA115 Hot Hand 3と呼ばれるモーション・コントロールを行うことでテルミン的操作を楽しめます。また、ラッパ吹きながらベース用を選んだのは想像ですが効きの良さと音痩せのなさ、を重視した結果なのではないかな、と。このようなデジタルの多目的な機能を備えたものとしては英国の新興メーカー、Sonuus Wahooというのもありますが、まあ、あまりに多機能過ぎるので動画やリンク先のスペックをご参照下さいませ(苦笑)。シンプルにばっちりハマる単純なワウを買うか、このような多目的に音作りできるものを買って好みのセッティングを追求するか、いつも悩むところなんですよねえ・・。



Jacques Trinity - Filter Auto & Classic Wah

そんなエンヴェロープ・フィルターが 'ヴィンテージ・ワウ' を意識した変わり種として、フランスの工房Jacquesから登場した 'Filter Auto & Classic Wah' のTrinity。エンヴェロープ・フィルターの中には外部エクスプレッション・ペダルを繋げることでペダル操作できるものもあるのですが、本機はエンヴェロープ・フィルターと 'ヴィンテージ・ワウ'、モジュレーション的フィルタースウィープな多機能を備える '三位一体'。ユニークなのはそのエクスプレッション・ペダルとして唯一無二なポンプ式の 'フミフミするヤツ' が付いてくること!コレ、多分この工房独自のアイデアなんじゃないかと思いますが、感触としては少々硬めで 'グリグリ' っとポンプの奥の方にスイッチがある感じ。見た目でパフパフするイメージ持っていると裏切られますけど(笑)、そんなに強く踏まなくてもちゃんとワウとして機能しますので好奇心旺盛な方はどーぞ。ちなみに、そんな '飛び道具' 的仕様に反して音色はオーソドックスなワウですね。



Voodoo Lab Wahzoo

こちらはペダル・タイプの '三位一体'。Voodoo Labといえば高品質なパワーサプライの定番、Pedal Power 2 Plusでエフェクター界に燦然と輝く存在ともいうべきブランドなのですが、その他のエフェクターについては正直マイナーの域を出ないというか、まあ、あまり人気のあるイメージではないですね。そういう偏った評価を受けてか、長らく代理店を務めてきたAll Accessが取り扱い終了したことで現在同社の製品は日本の市場から姿を消してしまいました(未だPedal Powerユーザーなのに・・悲)。そんなVoodoo Labが手がけたこのユニークなワウ、Wahzooもイマイチ浸透しなかったのですが、代理店終了と共に '現状渡し' の在庫整理でわたしも格安で手に入れました!本機はワウペダル、エンヴェロープ・フィルター、4種切り替えからなるランダム・アルペジエイター(Xotic Robotalkでお馴染み)をひとつのペダルに搭載してしまったもので、これ一台だけで多彩な効果を生成することが出来ます。便利な 'マルチ' 仕様でランダム・アルペジエイターの 'ユーザー・プリセット' を4つまでプログラム出来るものの、効果自体はオーソドックス過ぎてちょっと個性に欠けるかな。ちなみにペダルの可変はタコ糸を用いたスムースな踏み心地となりまする。







Xotic Effects Robotalk-RI
Mu-Tron Micro-Tron Ⅲ -Classic Blue-
HAZ Laboratories Mu-Tron Ⅲ+

1990年代後半、突如市場に現れたXotic Guitars Robo Talkはそれまでのエンヴェロープ・フィルターとは一味違う '隠し味' で瞬く間に席巻しました。その一風変わった効果を持つ本機の出所は、1970年代にトム・オーバーハイムによりデザインされたMaestro Filter Sample/Hold FSH-1。特にフランク・ザッパがSystech Harmonic Energizerと共に愛用したことで現在まで大きな付加価値が付いております。また、本機の評価は単なる '懐古趣味' に留まらず、同時代の新たな 'ジャンル' ともいうべきエレクトロニカの 'グリッチ' と本機の 'ランダム・アルペジエイター' の見事な呼応性にあります。初代及び2代目までは2つの個別供給であるDC18V仕様でしたが、現在のRobotalk-RIは一般的なDC9V仕様として使いやすくなったのは便利。特筆したいのは本機のエンヴェロープ・フォロワーの追従性が非常に優れており、Rangeの 'ワンノブ' ひとつで見事にワウとしての仕事をこなしてくれる 'シンプル・イズ・ベスト' !。そして、同じく '70'sオートワウ' の代表格、Mu-Tronがオリジナル設計者マイク・ビーゲルの手で復刻されました。これはMu-FxのブランドからTru-Tron 3Xの名でほぼオリジナル通りに蘇ったものなのですが、現在ではMu-Tronブランドの名も復活し、さらにコンパクトなMicro-Tron Ⅲとして使いやすくなっております。ちなみにオリジナル通りの復刻といえば先に登場したHAZ LaboratoriesのMu-Tron Ⅲ+が個人的に気にいって愛用しておりました。エンヴェロープ・フィルターってワウのQを鋭くする代わりに音痩せするものが多いのだけど、本機は大人しめながら原音の太さを保ったままちゃんとワウとしての仕事をこなしてくれる稀有な一台。元Musitronicsで働いていたハンク・ザイジャックが手がけたものでビーゲル氏は貶してたけど(苦笑)、いや、その大きな筐体に抵抗なければオススメしたいですねえ。動画は1970年代に新映電気がデッドコピーしたUni-Tron 5との比較試奏ですが、エグいながらも音痩せ全開な新映製に比べてこのMu-Tron Ⅲ+の安定感(ついつい派手目にかかるUni-Tron 5の方に耳を奪われちゃいますが)。





Performance Guitar TTL FZ-851 "Jumbo Foot" F.Zappa Filter Modulation
Performance Guitar F.Zappa Filter Modulation

そして・・フッフッフ。つ、ついにあの '化け物' フィルターのペダルをとある筋を通じて手に入れたゾ!ええ、日本ではとんでもない価格で販売されていたので店頭のガラスケースを眺めるだけでしたが(汗)、いやあ、このBoss FV-500とFV-50の筐体を利用し、どでかい鉄板風アルミ板(軽い)を強引に乗っけてLo-pass、Band-pass、Hi-passを切り替えながらフィルタースィープをコントロールするという荒削りな一品。実際、ペダル裏側には配線がホットボンドとマスキングテープで固定して配置されており、まるでレーシング用フォーミュラカーを見るような迫力がありまする。その肝心の中身は・・ええ、この動画通りのほとんどVCFをノックダウンした 'シンセペダル' と呼びたいエグいもの。これを管楽器などで使ってしまい怒られやしないか(誰に?)とヒヤヒヤしますが、VCFを丸ごと抜き出してきたような帯域幅の広いQの設定で、半踏み状態によるフィルタリングの '質感生成' からワウペダルのリアルタイム性まで威力を発揮します。あ、もちろん本機もBoss FV-500の筐体を利用したタコ糸によるスムースな踏み心地なり。







Acoustic Control Corporation 260 + 261
Gibson / Maestro Rhythm 'n Sound for Guitar G-1
Oberheim Electronics Voltage Controlled Filter VCF-200
Systech Harmonic Energizer
Fredric Effects Do The Weasel Stomp !

ちなみに、フランク・ザッパが追求してきた 'フィルター趣味' ってMaestro Rhythm 'n Sound for Guitar G-1→Oberheim Voltage Controlled Filter VCF-200→Systech Harmonic Energizerとかなり独特な嗜好となっているので、そろそろジミ・ヘンドリクスの機材ばかりではなくこの辺りの '分析' も積極的に掘り進めて頂きたいですねえ。その源流ともいうべき1968年のステージではVoxのワウペダルとヘッドアンプのAcoustic 260、そしてMaestroのG-1(G-2は翌69年の発売)の姿を拝むことが出来ますが、多分ザッパはG-1内蔵の3種からなる 'Color Tones' の 'ワウ半踏み' 風フィルタリング効果こそ重要なトーンだと感じていたのかも。そんなHarmonic Energizerのトーンを英国の工房Fredric EffectsがデッドコピーしたDo The Weasel Stomp!。



Z.Vex Effects Wah Probe Vexter

実はこちらも以前所有しておりました。Z.Vex Effectsといえば 'エレハモ' とは別の意味で奇才、ザッカリー・ヴェックスの豊かな発想力を具現化した '飛び道具' 製品でこの市場を引っ掻き回し、それは現在進行形で 'ペダル・ジャンキー' の欲望を鷲掴みしてきました。このWah ProbeというのもそんなZ.Vexを代表する一台であり、ペダル操作の部分を 'カッパーアンテナ' という銅板に足や手を近付けたり遠ざけたりしながらワウワウさせます。このシリーズはほかにTremolo ProbeやFuzz Probeなどが用意されておりますが、入力バッファーに同社ヒットのきっかけとなったブースターSuper Hard Onを内蔵、少々サチュレートした '歪み感' を伴ったワウトーンが特徴的。ワウの効き自体はオーソドックスなものでフツーに使えるものの、踵を支点につま先を空中で浮かせながら操作するということで、やはり足首が疲れるのは否めませんねえ(笑)。しかし、その帯域の広いトーンは管楽器にもバッチリ合いますので '他とは違うワウ!' を探している方は是非チャレンジして頂きたい。







WMD Protostar

上でご紹介したSource AudioやSonuusとは別に、世の中にはチマチマと凝った音作りで色々と '実験' してみたいと思う人たちがおります。そんな溜飲を下げる存在として徹夜でハマりそうな逸品がこちら、WMD Protostar。すでにこのWMDは 'ビットクラッシャー' なGeiger Counterや 'ユーロラック' モジュラーシンセの分野でも有名ですが、そんなところからフィードバックされた思しきこのコンパクトにして各種パラメータとパッチング・システムが異様な存在感を放ちます。どれどれ、ちょっとその豊富なパラメータを覗いて見ましょうか。

●Attack
エンヴェロープが信号に反応する速さを調整。このツマミでAttackとReleaseの両方をコントロールします。
●Threshold
信号に対してエンヴェロープが反応する敏感さを調整。
●Env Amt
エンヴェロープがフィルターの周波数にどの程度影響するかをコントロールするアッテネーターです。正負両方の設定が可能。
●Resonance
フィードバックやQと同様の意味を持つコントロール。カットオフ周波数周辺のブーストを調整します。
●Freq
フィルターのカットオフ周波数を設定します。
●LFO Rate
前うLFOのスピードを調整します。
●LFO Amt
LFOがフィルターの周波数にどの程度影響するかをコントロール。
●Compression
信号の最終段にあるコンプレッションの強さを調整。余計な音色や共振を抑えるために使用します。
●Dry / Wet
エフェクト音に原音をミックスします。
●Mode
本体の動作モードをボタンで切り替えます。4つのモードは上からノッチダウン、ハイパス、バンドパス、ローパスです。
●Send / Return
外部エフェクトループ。フィルターの前段に設置したいエフェクトを接続します。
●CV / Exp
エクスプレッションペダルを電圧制御(CV)でコントロール。この端子はExp Outに直結します。TRSフォン使用。
●Sidechain
エンヴェロープ・フォロワーへのダイレクト入力です。外部ソースを使用してエンヴェロープ・フォロワーをコントロール。
●Exp Out
CV / Exp入力の信号を出力します。ここからエクスプレションペダルで操作したいソースへと接続。
●Env Out
常時+5Vを出力し、エンヴェロープがトリガーされると0Vになります。
●LFO Out
トライアングルウェーブのLFOを出力します。スピードはLFO Rateでコントロール。
●LFO Rate
LFOのスピードをコントロールするためのCV入力。
●LFO Amt
LFO Amtコントロールを操作するためのCV入力。
●Freq
カットオフ周波数を操作するためのCV入力。
●Feedback
レゾナンスを操作するためのCV入力。



フゥ〜・・もう、単なるワウというよりフィルターの '化け物' っていうくらい豊富過ぎるパラメータ満載で、正直ここまで必要あるのか?という気もしますが、しかし、週末の '暇つぶし&探求' にはもってこいの一台でもあります。アプローチ的にはマイルス・デイビスのワウというよりニルス・ペッター・モルヴェル的フィルターの '質感' に威力を発揮しそう。また一方では、コンパクト・エフェクターから 'ユーロラック' モジュラーシンセへの危険な '招待状' 的きっかけになってしまうこと間違いなし(笑)。皆さま、散財にはご注意下さいませ。

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