2016年1月3日日曜日

シーケンスされる快感

お正月なんてあっという間・・新春バーゲンや福袋に並ぶ人たちというのは、その昔、お年玉握りしめてプラモデルを買いに模型ショップへ走って行った小学生と同じ気持ちなのでしょうか。何かこう、お正月に済ませておきたい 'イベント' というか。



Dreadbox

特別気になっていたわけではないのですが、ギリシャの新興メーカーDreadboxのエンヴェロープ・フィルターである4-Pole Lowpass Filter Lamdaと8ステップ・シーケンサー&LFOのKappaによる組み合わせ・・無性に欲しくなっています。あまり売れていないのかアウトレット価格ということも物欲を刺激しますね。お正月から散財させようとするYoutubeの力は恐ろしい。

Maestro Filter / Sample Hold FSH-1







いわゆるエンヴェロープ・フィルターからランダマイズなシーケンスの機能を付けたものとしては、1970年代にトム・オーバーハイムがデザインしたMaestro Filter / Sample Hold FSH-1あたりが元祖ではないでしょうか。ピコパコとしたシンセでいうところのSample & Holdという機能は、1990年代末にXotic GuitarsがRandom Arpeggiatorという名で丸々デッドコピーしたRobo Talkでその機能を甦らせて以降、鬼才ザッカリー・ヴェックスのZ.VexSeek Wahを発売してその後に続きます。ちなみに、なぜザッカリー・ヴェックスが鬼才と呼ばれるのかは、最初のSeek Wahから10年ほど経って上記動画の3機種、Super Seek Wah、Super Seek Trem、Super Ringtoneという16ステップで 'シーケンスされる' フィルター、トレモロ、リング・モジュレーターの化け物を作ってしまったから・・凄すぎますヨ、これは!。要するに入力した音がシーケンス機能によって管理されるワケで、これが復活した1990年代末というのは、従来のギタリストよりもコンピュータで音楽制作をするベッドルーム・テクノの世代が跋扈し、この手のエフェクターが登場する土壌があったのです。この機能を効果的に用いるには、演奏しながらシーケンスのパラメータを動かすよりもループ・サンプラーなどで繰り返すフレイズに対し、いろいろとシーケンスのスピードを操作するなりランダマイズを行うなどの客観性’ で挑んだ方が上手くいきます。これは、演奏という行為が従来の器楽演奏から機器の操作へとその領域を広げたきっかけとして、例えば、その後のギターとKorg Kaosspadなどの演奏法へと続く流れと言えるでしょうね。



Koma Elektronik

んで、このDreadbox Lamda。わざわざエンヴェロープ・フィルターに対してLFOのモジュレーションで揺らし、8ステップのシーケンサーでフレイズを管理するといったことを別体の専用機Kappaで行うという、この何とも大仰な操作性がたまらなくレトロで笑えます。同様の機能をより多機能、かつ一台の中で行うKoma Elektronik FT 201 Analog Filter / 10 Step Sequencerを買った方がもっとずっと音作りの幅は広がると思うのですが、やはりわたしは不器用なヤツに惹かれてしまうんですよね。このドイツ産Koma Elektronikに比べると音色含め、どこかドン臭い感じなのもギリシャ産Dreadboxという印象。正直なところDreadboxの方は、フィルター単体機としてもうちょい操作できる機能を付けて欲しいなあ。まあ、買おうかどうしようかと悩んでいる時間も楽しかったりするんですけどね。

このような ‘シーケンスするエフェクターというヤツはここ近年、性懲りも無く市場に現れているのだけど、未だそのユーザーがどこにいるのか分かりません。まず、この手の効果を有り難がるベッドルーム・テクノの連中は今や、ほぼコンピュータ内のプラグインかKaosspadのようなDJ用エフェクターでやっているのがほとんどです。肝心のギタリストで未だこういうヤツを用いてイノベイターとなった者を聞いたことがないので、どうにも需要と供給のバランスが悪いような気がしているのはわたしだけ!?まあ、確かに 'ニッチな' エフェクターだとは思うのだけど、ピコパコと規則的に鳴りながら点滅するLEDを眺めているだけで幸せな気持ちになってくるのが醍醐味なのでしょうね、きっと。こういうのを本格的にハマっている人たちは、今や欧米で大きな市場と化しつつある 'ユーロラック・モジュラー・シンセサイザー' という世界に多く生息しており、とてもじゃないけど手を出したら泥沼に陥りそうで怖いです。



ちなみに、このDreadboxもその 'ユーロラック・モジュラー・シンセ' の市場に参入して多くのモジュールを製作しており、さらに動画にあるコンパクト・タイプのシリーズも 'ヴァージョン・アップ' して、足元でモジュラーシンセのような音作りを可能としました。同様なライバルとしてはMoogerfoogerやKoma Elektronikの市場に挑んできた製品だと言えるでしょう。



ここまでは 'ワウ+シーケンス' という製品が主でしたが、こちらはピッチ・シフトをランダマイズなシーケンスでやってしまおうというDwarfcraft Devices Pitch Grinder。出てくる音はまさに 'ファミコン' 世代には懐かしい8ビットのローファイな質感で、ランダマイズに曲を生成してくれる・・ように聴こえてほとんどエレクトロニカ的なノイズ生成器ですね。

過去にXotic Guitars Robo Talkをラッパで用いていろいろ挑戦してみたんですけど、これが本当に難しい・・。もう、どう使いこなすかはセンスあるのみ、ですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿