2018年5月1日火曜日

差異と反復 - ループを極める(再掲)

管楽器でエフェクターを駆使しての演奏、しかし流れていく時間は儚く待ってはくれません。そう、エリック・ドルフィーのあの有名な即興演奏に対する言葉がわたしたちを待ち構えているのです。

"When You Hear Music, After It's Over, It's Gone In The Air, You Can Never Capture It Again."

しかし、この21世紀においては便利な 'フット・レコーダー' ともいうべきループ・サンプラーという文明の利器があります。それは2小節単位のフレイズをループして、上下2オクターヴ程度のピッチとテンポ可変、オーバーダブや逆再生ができるまさにデジタル世代ならではのアイテムでしょう。また、より高度なものはMIDIによりシーケンサーと同期させることも可能で、'ベッドルーム・テクノ' 世代にはおなじみデスクトップ型のワークステーション、E-Mu SP-1200やAkai ProfessionalのMPCシリーズになればほとんどシンセサイザーと同等のエディットが可能です。実際のライヴ演奏などでは、生のバンドのグルーヴに機械のループを同期させるとなると大変な労力を伴いますが、俗に 'YouTuber' なる動画を主なパフォーマンスの場とする 'ひとり演奏会' のお供としては、なくてはならない便利な機器だと言えますね。ここでちょっとサンプラーの特徴を上げておけば、主な機能は大体以下の5つになるだろうと思います。







①タイム・ストレッチ
②ループ/リヴァース
③キー・マッピング/ピッチ
④フィルタリング/エンヴェロープ
⑤ワンショット

①は、いわゆる 'ベッドルーム・テクノ' 黎明期においてサンプラーを触ったことのある方ならその苦労が分かるのではないでしょうか?昔は取り込んだサンプルのピッチとテンポを同時に調整するのが難しかった・・。ピッチを上げればテンポも早くなり、テンポを下げればピッチが下がる。そんな時代に登場したドラムンベースって実はこういう苦労を乗り越えた上で体現したジャンルであり、Steinberg ReCycleという編集ソフトで細かくスライスして思いっきりテンポを上げながらピッチシフトしてやると・・あの緻密な高速ブレイクビーツが出来上がってしまうという・・。それも今では、自在にオーディオをタイム・ストレッチしていろんなサンプルをPC内でくっ付けられるのだから良い時代になったもんです。

②はサンプラーの基本、2小節なり4小節のサンプルをループ(反復)させたり、いわゆる逆再生させたりってヤツ。まあ、これも初期のサンプラーはとにかくメモリーがバカ高かったことから、少ないサンプルとループをベースにしたブレイクビーツ的手法として結実したんですけどね。

③は、そもそもサンプラーは取り込んだサンプルを楽器のように演奏できる、ってのが初期の '売り' だったのもあり(メロトロンのデジタル版ということ)、同時期に登場したMIDIでキーボードへ 'マルチ・サンプリング' して音程を付けて割り振ってくれます。

④は、実はサンプラーが現在でも生き残る理由のひとつであり、逆に言えばサンプラーを誤解させる要因のひとつとも言えるシンセサイズの機能のこと。そう、サンプラーの 'エディット' はほぼシンセサイザーのVCF、VCA、LFOと同義であり、外部から取り込むサンプルをVCO(オシレータ)の代わりにすることでいろんな音作りに対応します。いわゆるPCMシンセサイザーというのもコレ。

⑤はいわゆる 'ポン出し' というヤツで、今なら舞台音楽のSEなどでシーンに合わせてジャン!と鳴らすのが一般的でしょうか。ヒップ・ホップの連中に人気のあるBoss SP-303などが有名ですけど、ここで紹介するループ・サンプラーというのも基本的にはこの範疇に入ります。







MXR Model 113 Digital Delay
Electro-Harmonix Instant Replay - Digital Recorder
Electro-Harmonix Super Replay - 4-Second Digital Sampler

このような 'ループ' による制作手法としては、古くはミニマル・ミュージックの大家であるテリー・ライリーの 'テープ・ミュージック' の音作りがあり、ここではジャズ・トランペット奏者、チェット・ベイカーの演奏するテープを元にいろいろな音響操作を試みて聴き手の固定観念を揺さぶります。その後、このような編集技法はスタジオからライヴの現場へと持ち込まれて1970年代後半、ジャコ・パストリアスが2台のラック型MXR M113 Digital Delayに内蔵されたホールド機能を用いて、ひとりベースのフレイズを繰り返す '余興' のようなステージを記憶している方も多いのではないでしょうか?この傾向は1981年にElectro-Harmonixから16 Second Digital Delayと2 Second Digital Delayを発売したことで、当時のYMOやアート・オブ・ノイズに代表されるサンプリング・エディットから 'メガミックス' ブームと相まってループ・サンプラーの原点となります。さらに 'エレハモ' は、その姉妹機としてワンショットのトリガー機能を持つドラムパッドを繋いで鳴らすInstant ReplayとSuper Replayも用意するなど積極的に展開しましたが、その無理な開発費が祟って会社は倒産へと追い込まれることに・・(その技術の一部はAkai Professionalへと売却)。すでにヒップ・ホップ、ハウスの黎明期ではありましたが、まだまだ 'ループ' という概念から新たな音楽を創造するには時期尚早だったのでしょうね。







Boomerang Ⅲ Phrase Sampler

しかし、このリアルタイム性の 'エディット' がDJやクラブ・ミュージック全盛となった1990年代後半、レオ・ミュージックという会社が輸入販売していたBoomerang Pharase Samplerをきっかけにここ日本で俄かに話題となります。つまり、'ベッドルーム・テクノ' の占有物であったサンプラーがギタリストら 'ソリスト' の小道具としてエフェクターの市場へと舞い戻ってきたのです。そして2000年発売の 'アナログ・モデリング' なデジタル・ディレイLine 6 DL-4 Delay Modelerで人気爆発、その14秒のサンプリング・タイムを持つループ・サンプリング機能は、そのまま 'ループ・サンプラー' というカテゴリーを築き上げました。また、それに触発されたのか、元祖 'エレハモ'  も2004年に16 Second Digital Delayを限定復刻してこのブームにおけるオリジネイターの気概を見せ付けるなど、現在のループ・サンプラー市場の '過熱ぶり' へ火を付けます。







Pigtronix SPL Infinity Looper
Pigtronix Infinity Remote

当初は単一トラックにオーバーダブするシンプルな機能であったループ・サンプラーは、現在、このPigtronix Infinityに代表される2トラックのループ・サンプラーでより小型化、高機能のスペックを誇る仕様へとアップグレード。ステレオ入出力で24ビット48kHzのループ・サンプリング、メモリー・カード保存、USBを通じてPCでサンプルの管理も可能と至れり尽くせりな仕様ですね。2つのトラックを備え、MIDIの他に 'Multi' SyncでLoop 2の長さをLoop 1の2倍、3倍、4倍、6倍に設定して最初のループの長さを気にすることなくリフ、ハーモニーの生成を可能とするなど、単なる 'ループ再生機' 以上のパフォーマンスを展開することが可能。また、わざわざしゃがんで操作せずともフットスイッチでサンプリングの 'Undo'、'Redo'、逆再生の 'Reverse' を可能とするRemoteも用意されております。







Boss RC-2 Loop Station
Boss RC-300 Loop Station
Boss RC-505 Loop Station

ヨーロッパらしい耽美的な雰囲気を盛り上げるような、Boss RC-2 Loop StationとディレイのTC Electronic Nova Delayによるリリシズム溢れる 'ループわざ' ですね。ECMでのニルス・ペッター・モルヴェルっぽいというか。後半はほとんどドローンによるアンビエントの構築に向かうのは、この手のYoutubeで披露するループ・サンプラー派に共通するスタイルです。ちなみに、これら機器はその機能と比例して比較的高価なものが多いのですが、Roland / Boss製品はかなりリーズナブルながらスペック的にも満足できるものが多いので最初の一歩としてもオススメ。さすが安定の 'Maid in Japan'!







Boss VE-20 Vocal Processor

ループ・サンプラー派によるひとりVE-20三連発!直接マイクを入力して、DIでライン出力、ハーモニーからディレイ、リヴァーブ、ループ・サンプラーと一台で賄える本機は、これから管楽器の 'アンプリファイ' をやってみたい、と思った人に是非堪能して頂きたいですね!モノラルで最大38秒の録音が可能ですので、管楽器ならアドリヴの 'トランスクリプション' をする上でもメモ的に便利なのではないでしょうか。







Digitech JamMan Delay Looper / Phrase Sampler
Electro-Harmonix Superego

あらかじめ仕込んだ 'ハーモニー' と絡めて 'ループ・サンプラー' によるひとり多重奏では、やはりアンプ2台を用いた方がオーバーダブする上でも分離良く聴けて効果的ですねえ。その次の方はSD Systems LCM89コンデンサー・マイクを用い、Electro-Harmonix Superegoでループさせながら、深いアンビエンスの中でDigitech Whammy WP-Ⅱをうまく使って構築しております。その他エフェクターは、Line 6 Echo Park DelayとDonner Jet Convolution Flanger、BiyangのTri ReverbとオーヴァードライブのOD-8、Joyo TremoloにアンプはTrace ElliottのGP7とのこと。そしてトロンボーンによるSuperegoを用いた 'エレハモ' のデモ動画。これはループはループでも短いフレイズをHold(Freeze)状態にしてシームレスで重ねていくもの。ピッチ・シフターなどと一緒に用いればドローン系のアンビエント・ミュージックを生成することができます。しかしElectro-HarmonixやPigtronix、MXRなどがギタリストのみならず管楽器奏者にも機材を提供して新しいユーザー層を開拓しているのは嬉しい限り。









そんなSuperegoに見る 'シームレス' なループによるドローンの音作りは、そのまま管楽器奏者自身も楽器片手に足下のペダル類と格闘しながら新たなハーモニー、即興演奏とエレクトロニクスの関係性について大きく見直すこととなります。まあ、ある種の自己満足ではあるのだけど、コードの縦のライン、スケールの横のラインから逃れた '響き' に耳をそばだてるキッカケとなるでしょう。





Elektron Octatrack Mk.Ⅱ

さて、リアルタイム・サンプリングといえば、究極のコイツに挑んでみるというのもアリでしょう。とにかく '難易度の高い' 機器のトップに位置するElektron Octatrack。8トラックを備えたループ・メイン、ストレッチ可能のループ・サンプラーながら、そのサンプルの多彩な加工、複数の機能をそれぞれのパラメータで共用する為に、とにかく把握しずらい構造から非常に挫折率の高いマシーンでございます。モジュラーシンセなどの連中がリアルタイムでシーケンスに反映させやすい為に愛用しているようですけど、この動画ではそのループ・サンプラーの機能を用いてレコードのネタ、スクラッチをMIDIコントローラーでどんどんオーバーダブしてはさらにグラニュラー・シンセシスで弄るなど、使いこなせたら素晴らしいパフォーマンスを展開できるでしょうね。





こういうループのパフォーマンスは、特に '4つ打ち' の正確無比なビート感と親和性が高いと思います。テクノ系のドラムマシンやサンプラー、シンセサイザーなどとMIDIで同期させてミキサーでリアルタイムに '抜き差し' するダブ的手法は今や一般的なものとなりました。しかし、2つ目の動画がマイルス・デイビスの 'Black Satin' とは渋い!これ、オケはそのまんまCDから抜いてループさせてるのかな?



ちなみに、ここではコンパクトなハードウェアによる 'ループ・サンプラー' を中心にご紹介しておりますが、最近の主流はDAWソフトの定番として今や多くのユーザーを抱えるAblton Liveのリアルタイム・ルーピング機能をそのままライヴに持ち込み、単純なオーバーダブからグラニュラーシンセシスの変調に到るまで便利にやってくれます。ノルウェーのニルス・ペッター・モルヴェルとか、まさにその環境を駆使した第一人者と言って良いでしょうね。







TC Helicon Ditto Mic Looper
Electro-Harmonix 22500 Dual Stereo Looper

Boss VE-20のように直接マイクから入力したい場合、もしくは以前ご紹介したAudio-Technica Slick Fly VP-01やRadial Engineering Voco Locoのような、プリアンプと同時にコンパクト・エフェクターを使用できる機器などと併用するにあたり、TC Helicon Ditto Mic Looperのようなマイク入出力を備えたループ・サンプラーを選ぶのも良いでしょう。管楽器の生音を遜色なくPAへ送る場合、プリアンプからコンパクト・エフェクターへ入出力すべく 'アンバランス接続' に変換してケーブルを長く這わせると外部のノイズを拾い劣化します。極力、マイクからの信号はXLR端子による 'バランス接続' でPAやアンプに出力するのが基本です。もちろん、単にマイク入力のみ備えたElectro-Harmonix 22500の後ろにコンパクト・エフェクターを繋ぎ、そこからDIを介してPAへと引き回すやり方もあります。しかしエレハモは、ループ・サンプラーの元祖である1983年発売の16 Second Digital Delayを2004年に復刻して以来、マルチ・トラック・レコーダーを応用したような2880 Super Multi-Track Looperと45000 Multi-Track Looping Recorder、コンパクト・サイズの22500 Dual Stereo Looper、360 Nano Looper、720 Stereo Looperといった製品を目地白押しでラインナップしていて、どれを選んだら良いのか迷うほどですねえ。





Electro-Harmonix 16 Second Digital Delay

こちらはわたしが愛用しているElectro-Harmonix 16 Second Digital Delay。16秒のサンプリング・タイムを持つループ・サンプラーとショート・ディレイ、モジュレーションの複合機です。小節数を設定してピッチとテンポ、逆再生でそれぞれ可変させることができ、外部シーケンサーやドラムマシンをスレーヴにして、MIDIクロックで同期させることもできます。ループ・サンプラーは各社それぞれに使い勝手があり、その設計思想のクセを体得できるか否かで評価は大きく異なります。例えば、現在でも足元に置くユーザーの多いLine 6 DL4 Delay Modelerなどは、いかに本機でその使い勝手を体得してしまったユーザーが多いのかを如実に示しているのではないでしょうか。しかし、16 Second Digital Dlayは発売時の価格もとんでもないものでしたが、現在の中古市場でも変わらずとんでもないですね(汗)。一時、他社からこぞって新機能かつコンパクトな 'ループ・サンプラー' が市場を賑わせていた頃、本機の市場価格が落ちたときに無理して購入したのは正しかった(笑)。





Electro-Harmonix 45000 Multi-Track Looping Recorder

このループ・サンプラーという 'カテゴリー' において、Roland / Bossと並んで積極的にこの分野へ参入しているのが 'エレハモ' ことElectro-Harmonix。いわゆる '初代' の16 Second Digital Delayからほとんどマルチトラック・レコーダー然とした '22500'、'45000' と確実に機能は進化し、ギタリストやキーボーディストからDAWの制作環境に到るまで幅広いユーザーを獲得してきました。





Electro-Harmonix 95000 Performance Loop Laboratory

そんな16 Second Digital Delayから '22500'、'45000' と進化をしてきた 'エレハモ' の 'ループ・サンプラー' もいよいよここまで到達 '95000'・・'元祖' の威厳とはこういうことを言うのでしょうか。ほとんどリアルタイム操作のMTRというか、それでもあえてペダルという形態に拘っているというのが 'エレハモ' らしい。コレ、間違いなく 'ひとりダブ野郎' になれますよね?というか、そういうYoutuberがドッと増えますよね?(笑)最長375分、最大100個のループをmicroSDカードと共に扱うことが可能で、ステレオ・トラック1つ、モノの6トラックと1つのミックスダウントラック搭載。もちろんクォンタイズのOn/Off、タップテンポによるBPM入力、2オクターヴの範囲でのピッチ調整、オーバーダブ、パンチイン、アウト録音・・ふぅ、とりあえず 'ループ・サンプラー' の決定版であることは間違いなさそうです。



そして 'ループ・サンプラー' を効果的に用いる上で地味に重宝するのがヴォリューム・ペダル!本当は 'エレアコ' の音量調整をする為には必須的アイテムではあるのですが、ここではベタッと録音、オーバーダブする上でフレイズが飽和し、抜けが悪くなったり平坦なダイナミズムの改善はもちろん、フワッとしたアンビエントっぽいパッド風シーケンスの生成などに威力を発揮します。そんなヴォリューム・ペダルにおいて評価されているのが、'踏み心地' とバッファーの兼ね合いからくる音質の変化。単に音量の 'On/Off' だけならミュート・スイッチで十分なワケでして、あくまで操作性と立ち上がり 'カーブ' の最適な踏み心地を提供すべく、ペダルをギアポットから紐によって可動させ、安定して足を乗せられる踏み板とピッキングに対する追従性が問われます。バッファーに関してはそれぞれの '好み' に左右されますが、これもロー・インピーダンス仕様の製品であれば、上質なバッファーで一旦下げてしまった後の変化はそれほど気になるものではないようです。

正直わたしも、以前はそれほどヴォリューム・コントロールに対して気にかけておりませんでしたが、この 'ループ・サンプラー' 導入に対するダイナミズムの演出でヴォリューム・ペダルほど大げさじゃないもので何かないかと探しておりました。このヴォリューム・ペダルの使用に当たって考慮したいのは、最初にベストな音量の設定をした状態から可動させた後、瞬時に元の設定位置へ戻すのが大変なこと。




OK Custom Design VPLM
Bambasic Effectribe Volume Indicator

このようなニッチな不満に応えようと現れたのが、そんなヴォリュームの状態を視認できる '便利グッズ' と呼ぶべきレベル・インジケーター。音量の増減に合わせてググッとLEDが上がったり下がったり・・その視認性の高さ以外に見た目としても華やかで楽しく、チューアウトもしくはエクスプレッション・アウトの端子を持つヴォリューム・ペダルに対応しております。またOK Custom Designのものは、接続する製品によって極性を合わせる為に裏面のトリマーを調整してレベル・マッチングを図ることが出来ます(現行品は筐体上面にトリマー装備)。同様の製品としてはもうひとつ、名古屋でスイッチャーを中心に事細かなオーダーから対応して製作するガレージ工房、Bambasic EffectribeのVolume Indicatorがあります。

Neotenic Sound Purepad ①
Neotenic Sound Purepad ②

さて、残念ながら動画はありませんが、わたしの足元にはお馴染みNeotenic SoundのPurepadがスタンバイ。これは2つに設定された 'プリセット・ヴォリューム' をスイッチ1つで切り替えるもので、ひとつは通常の状態(赤いLEDのSolo)、もうひとつが若干ヴォリュームの下がった状態(緑のLEDのBacking)となっており、Padで音量を抑えながら全体のバランスを崩すことなく音量を上下できる優れもの。確かに音質の変化はありますが、音量を下げても引っ込みながらシャープなエッジは失われずまとまりやすい定位となります。そんなメーカーの '取説' は以下の通り。

"ピュアパッドは珍しいタイプのマシンなので使用には少し慣れとコツが必要かもしれませんので、音作りまでの手順をご紹介します。アコースティックの場合は図のように楽器、プリアンプ、ピュアパッド、アンプの順に接続します。エレキギターなどの場合は歪みペダルなど、メインになっているエフェクターの次に繋ぐとよいでしょう。楽器単体でお一人で演奏される場合は、初めにピュアパッドをソロ(赤ランプ)にしておいて、いつものようにプリアンプやアンプを調整していただければ大丈夫です。ピュアパッドのスイッチを踏んで、緑色のランプになったら伴奏用の少し下がった音になります。複数の人とアンサンブルをする場合には、初めにピュアパッドをバッキング(緑のランプ)の方にして、他の人とのバランスがちょうどいいようにプリアンプやアンプで調整します。そしてソロの時になったらピュアパッドのスイッチを踏めば、今までより少し張りのある元気な音になってくれます。また、ピュアパッドを繋ぐと今までより少し音が小さくなると思いますが、プリアンプよりもアンプの方で音量を上げていただく方が豊かな音色になりやすいです。もしそれでアンプがポワーンとした感じとなったり、音がハッキリクッキリし過ぎると感じたら、アンプの音量を下げて、その分プリアンプのレベルを下げてみてください。ツマミを回すときに、弾きながら少しずつ調整するとよいでしょう。"

わたしの環境では 'ループ・サンプラー' でのオーバーダブする際、フレイズが飽和することを避ける為の導入のほか、宅録の際にもアンプのヴォリュームはそのままに全体の音像を一歩下げる、もしくは歪み系やディレイ、ワウのピーク時のハウリング誘発直前でグッと下げる使い方でとても有効でした。ここでの接続順は 'ループ・サンプラー' の直前です。

もひとつ、話は変わって補足というか、先々月前の 'ミキサーを考える' でダイナミック・マイクとピエゾ・ピックアップの '2ミックス' を取り上げましたけど、そこでひとつ重要な機器を忘れておりました。ていうか、実は手頃な中古を見つけて購入しましたのでご紹介。






Radial Engineering Tonebone Pz-Pre ①
Radial Engineering Tonebone Pz-Pre ②
Crews Maniac Sound CMX-3 3ch. Foot Mixer ①
Crews Maniac Sound CMX-3 3ch. Foot Mixer ②

カナダのRadial Engineeringといえば管楽器ではVoco-Locoが定番ではありますが、この2つのピックアップ・マイクをミックス、エフェクツを統合してDI出力できるプリアンプ、Tonebone Pz-Preです。いやあ、さすがにこの手の機器を積極的に手がけているだけに至れり尽くせりの仕様ですね!難点といえば高価であまり市場に出回らないところくらいですが、本機の2つの入力部はドライバーで調整するゲインつまみを備え、あらゆるタイプのピックアップに対応。そしてブースターと3バンドのパラメトリックEQ、フィードバック防止のノッチフィルター、不要なレゾナンスやノイズをカットするローカットフィルター搭載、エフェクトループ、チューナーアウト、EQに対して 'プリEQ' (EQ前の信号)、'ポストEQ' (EQ、エフェクトループ後の信号)それぞれのXLR出力とフォンのアンバランス出力に対応したセッティングという・・コレ、ちょっとしたPAシステムと言っていいくらいの豊富さですね。他に、わたしが所有する 'フット・ミキサー' としてはCrews Maniac SoundのDMA-3.2 Discrete Mixerがあるのですが、コレの唯一の欠点なのがエフェクトループが 'センド・リターン' 形式で原音に対しエフェクト音をミックスするもの。なので、基本は空間系でしか機能しないのが残念で、それは後継機のCMX-3 3ch Foot Mixerでも同様の仕様なんですね。ちなみにそんな万能に見えるPz-Preではありますが、わたしの管楽器によるセッティング、特にPiezoBarrelのアクティヴなピエゾ・ピックアップでは、本機のDI出力はどちらも歪んでしまって使えません・・。その為、本機からはアンバランスのフォンで出力してパッシヴのDI、同じRadial EngineeringのJDIでインピーダンス変換してからAshlyのライン・ミキサー、LX-308Bに入力します。こういうところで本当に 'エレアコ' ってヤツはピックアップ、プリアンプ、ミキサーなどとの兼ね合いで '散財&メンドくさい' んですよねえ・・。こういうDI搭載のプリアンプでDI出力をアクティヴ、パッシヴと切り替えられる機能とかあったら良いのですが、とりあえず、2つのピックアップ・マイクの '2ミックス' とEQ、エフェクツ用インサートからDIの統合的サウンド・システムを所望されている方は是非とも手に入れて下さいませ。

Piezo Barrel on eBay
Piezo Barrel Wind Instrument Pickups

そして、これも 'ニッチな' 追加情報ではありますけど、現在eBayで販売されているPiezo Barrelピックアップのマウスピース本体が、従来の '無印' 中国製3C、5C、7Cから少々コストアップながら品質の良い 'Faxx' 製マウスピース3C、5C、7Cに変更されているとのこと。また、付属するソケット部のパーツがマウスピースの湾曲面に合わせて抉られていたりと、地味にマイナーチェンジしているのは頼もしい。本当はドリル片手に持ち、自分でお気に入りのマウスピースへ穴を開けて装着したいんですけどねえ・・ハードル高いですねえ(汗)。

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