2020年1月2日木曜日

新年の 'CVペダル始め'

ええ、昨日はすべての環境を 'モジュラー' に完結した風に書きましたけど、もちろん、わたしの愛する 'ペダルフェチ' ぶりも一向に変わってはおりません(笑)。といってもそこら辺の心境もこの 'モジュラー' に触発されてきており、以下、ご覧のように去年からCV入出力を備えたペダルを中心に手を出しておりまする。CVとは 'Controlled Voltage' の略で電圧制御により同期、コントロールするモジュラーシンセではお馴染みの機能です。





Redshift Effects Mirage ①
Redshift Effects Mirage ②
Electro-Harmonix Attack Decay - Tape Reverse Simulator

例えば、去年に登場したこの2種の製品でも 'CV' により 'モジュラーシンセ' とのやり取りを推奨しているんですよね。まずは一風変わったディレイのRedshift Effects Mirage。DSPによる最大3秒のリバース、オクターヴアップリピート、パターンをユーザー自身でカスタマイズ出来るマルチタップ・ディレイを中心に4種のモジュレーション(トレモロ、ローパス、ハイパス、リゾナント)を備え、さらにスイッチ一発でフィードバック発振をコントロールするなど多彩な効果を発揮します。またDecay、Dep/Pat、Rate/Varの3つのツマミはそれぞれエクスプレッション・ペダル及びCVによる電圧制御!に対応しており、これはここ最近のペダルと 'モジュラーシンセ' の混合した関係を睨んだ機能だと言えるでしょう。そして最近のデジタル機器で当たり前となったUSBによるファームアップデートへも対応しており、本機で作成したパターンや細かな設定をPCとやり取りすることが可能です。そんなディレイにもう一味、さらに拡張した音作りに威力を発揮するのが現在ではあまり話題に登らなくなったエンヴェロープ・モディファイア。この手の 'ニッチな' アイテムならお任せの 'エレハモ' から往年の迷機、Attack Decayが現代的にパワーアップして再登場。シンセサイザーでお馴染みのADSR(Attack、Decay、Sustain、Release)と呼ばれるエンヴェロープを操作するもので、この新作ではそれをワンショットのモノラル、ポリフォニックの2つのモードに3つまでセーブ/リコールのプリセット可能です。また効果をより鮮明にすべくファズも内蔵し、いわゆる本機の効果で最も有効性のある 'ヴォリューム・エコー' に最適な 'センド・リターン' を搭載することで、ここにディレイやモジュレーションを繋いで積極的な音作りに活用出来ます。本機のツマミはエクスプレッション・ペダルのほか、これまた最近の風潮に則ったCVにも対応することで 'モジュラーシンセ' からもコントロールすることが可能。


この間、特別新しいペダルを物色していたワケではないのだけど、ついついカタログのスペックで気になってしまうのはいわゆるシンセサイザーやシーケンサー、ドラムマシンなどとの同期を担える変わったペダルばかり・・。そう、去年あたりから気になっていたのはそういう傾向で '拡張' する音作りに特化したものが多いのです。ただし、決して複雑なプロセッシングに対応したものではなく単純なCV(電圧制御)でVCA、VCF、LFOやエンヴェロープ・ジェネレート(EG)をトリガーする程度・・そこが面白い。








BoardbrainのTransmutronは、パラレルで個別、同時にミックス出来るほか 'Fission'、'Fusion'、Fallout' の3種モードにより、2つのLoopの機能を変更することが可能なコンパクト・エフェクターとエクスプレッションCV、'ユーロラック' モジュラーシンセのCVによる統合したスイッチング・システム。

●Fission
このモードでは、入力された信号の周波数帯を分割し、それぞれを2つのLoopにスプリットして再びミックスして出力出来ます。Umbrella Company Fusion BlenderやVocuのMagic Blend Roomなどと同種の機能ですね。またエクスプレッション・ペダル及びモジュラーCVでのコントロールにも対応。

●Fusion
このモードでは、2つのLoopのバランスを調整してブレンドすることが出来ます。これらミックスのバランスは筐体真ん中にあるSplitpointツマミ、またはエクスプレッション・ペダル及びモジュラーCVでのコントロールにも対応。これはDwarfcraft Devices Paraloopと同種の機能に当たりますね。

●Fallout
このモードでは、2つのLoopの前にワイドノッチ・フィルターを適用して、Splitpointツマミやエクスプレション・ペダル及びモジュラーCVでのコントロールにも対応。ペダル・コントロールすることでワウのような操作を付加することが出来ます。また本機には、これとは別にHicut、Locutのフィルターを搭載して音作りに適用することが出来ます。

ちなみに本機搭載のフィルターは12dB、24dB、48dB/Octのスロープ角度を選択出来、それぞれFission、Falloutモードのワイドノッチ・フィルターにも適用されます。もちろん、Ch.2のLoopでフェイズアウトが起こった際の位相反転にも対応出来るのは素晴らしい。そして2つのLoopからなる 'Send/Return' にはフォンと 'ユーロラック' モジュラーでお馴染み3.5mmミニプラグが同時対応し、さらにこの3.5mmのLoopには内部DIPスイッチにより楽器レベルとラインレベルで 'インピーダンス' を切り替えて使用することが出来ます。










Moody Sounds / Carlin Pedals
Moody Sounds Carlin Ring Modulator Clone ①

そのTransmutronの 'ループ' にブチ込むのはCarlin Pedalsのリング・モジュレーターというマニアックな一台。リング・モジュレーターとは、2つの入力の和と差をマルチプライヤー(乗算器)という回路で掛け合わせることで非整数倍音を生成し、これらを掛け合わせるためのオシレータが内蔵されておりますが、本機はリング変調の原点に則ってA、Bふたつの入出力を掛け合わせて音作りをする珍しい仕様。オリジナルはスウェーデンのエンジニア、Nils Olof  Carlinの手によりたったの3台のみ製作されたという超レアもので、それを本人監修のもとMoody Soundsが復刻したその独特なトーンはひと言で表現するならば '塩辛い'!いや、ヘンな表現で申し訳ないですけど(笑)、通常のリング変調にみるシンセっぽい感じとは違い、チリチリとした歪みと共にビーンッ!と唸る感じに柔らかさは微塵もありません。かなり独特というか、ステレオ音源を通しても良いし、B出力をB入力にパッチングしてA入力と掛け合わせても良いし、いろいろな発想を刺激してくれますヨ。








Dacs Audio Freque Ⅱ ①
Dacs Audio Freque Ⅱ ②
Oberheim Electronics Ring Modulator (Prototype)
Maestro Ring Modulator RM-1A
Maestro Ring Modulator RM-1B

しかし、このようなCV(電圧制御)でコントロールする 'モジュラーシンセ' の発想をコンパクト・エフェクターの思想にフィードバックしたその原点としては、やはりトム・オーバーハイムの設計したMaestro Ring Modulatorに突き当たるのではないでしょうか。フリケンシー・コントロールのエクスプレッション・ペダルのほか、マルチプライヤー(乗算器)で掛け合わせる為の内蔵キャリア・オシレータを個別に入出力(Ext. Carrier、OSC. Out)出来るその 'シンセライク' な構成は、上述したNils Olof  Carlin設計によるCarlin Ring Modulatorを除いては基本的に 'ペダル版' で取り出して変調、コントロール信号による音作りに活用することは出来ませんでした。すでに 'ディスコン' となったMoogerfooger MF-102やVermona Engineering RM-1が市場から消えてしまった今、こんなマニアックな4Uラック・サイズの2チャンネル仕様リング・モジュレーターもありまする。TRSフォンでやり取り出来るMod 1/2 in、Mus 1/2 in、RM Out 1(FS Up)/2 (FS Down)を始めにアンバランス・フォンによるCV 1/2 in、OSC 1/2 Outで外部とのCVコントロールが可能です。



Rainger Fx Igor Mk.2 Pressure-Sensitive Controller

また、TransmutronやWMD Protostarのフリケンシー・コントロールとしては英国Rainger Fxのユニークな感圧式センサー、Igor Mk.2を使ってみましょうか。いわゆるエクスプレッション・ペダルとは違うタッチにより変調を操作するこういったアイテムは 'モジュラー' 同様に '宅録' という環境にこそ相応しい(笑)。





WMD Protostar ①
WMD Protostar ②

さらにもうひとつ別個のフィルタリングやCVのコントロールを行う為に選んだのがWMDの変態フィルター、Protostar。現在このWMDを始め、それまでコンパクト・エフェクターを製作していた工房がこぞって 'ユーロラック・モジュラーシンセ' の分野に参入しているのですが、そのノウハウが本機Protostarにギュッと詰め込まれていると言えます。まずは本機内でEnv OutやLFO OutをLFO RateやLFO Amt、Freq、Feedbackにパッチしてみても 'プチ・モジュラー気分' を味わえるのでパッチングしてみましょう。さらに面白いのは本機に 'Send / Return' が備えられているので、ここに同じくCVを備えたエフェクターを繋げばさらに凝った音作りが可能な点。どうでしょう?単純ながら単体のエフェクターだけで音作りするのとは違う複雑な効果が聴こえて来ませんか?

●Attack
エンヴェロープが信号に反応する速さを調整。このツマミでAttackとReleaseの両方をコントロールします。
●Threshold
信号に対してエンヴェロープが反応する敏感さを調整。
●Env Amt
エンヴェロープがフィルターの周波数にどの程度影響するかをコントロールするアッテネーターです。正負両方の設定が可能。
●Resonance
フィードバックやQと同様の意味を持つコントロール。カットオフ周波数周辺のブーストを調整します。
●Freq
フィルターのカットオフ周波数を設定します。
●LFO Rate
前うLFOのスピードを調整します。
●LFO Amt
LFOがフィルターの周波数にどの程度影響するかをコントロール。
●Compression
信号の最終段にあるコンプレッションの強さを調整。余計な音色や共振を抑えるために使用します。
●Dry / Wet
エフェクト音に原音をミックスします。
●Mode
本体の動作モードをボタンで切り替えます。4つのモードは上からノッチダウン、ハイパス、バンドパス、ローパスです。
●Send / Return
外部エフェクトループ。フィルターの前段に設置したいエフェクトを接続します。
●CV / Exp
エクスプレッションペダルを電圧制御(CV)でコントロール。この端子はExp Outに直結します。TRSフォン使用。
●Sidechain
エンヴェロープ・フォロワーへのダイレクト入力です。外部ソースを使用してエンヴェロープ・フォロワーをコントロール。
●Exp Out
CV / Exp入力の信号を出力します。ここからエクスプレションペダルで操作したいソースへと接続。
●Env Out
常時+5Vを出力し、エンヴェロープがトリガーされると0Vになります。
●LFO Out
トライアングルウェーブのLFOを出力します。スピードはLFO Rateでコントロール。
●LFO Rate
LFOのスピードをコントロールするためのCV入力。
●LFO Amt
LFO Amtコントロールを操作するためのCV入力。
●Freq
カットオフ周波数を操作するためのCV入力。
●Feedback
レゾナンスを操作するためのCV入力。



Multivox / Bigjam Octave SE-4

そんなProtostarに備える 'Send Return' を活用して他のペダルを 'インサート' してみよう!ということで、手元のペダルを物色してピッタリだった古い国産オクターバー、Bigjam SE-4をチョイス。本機の筐体の色からMXR Blue Box辺りの影響を感じさせる典型的な '極悪' オクターバーでございます。1オクターヴ下、2オクターヴ下、5度下!などという3種モードが意味ないほど、全くトラッキング無視の '飛び道具' をProtostarでフィルタリングしてみましょう。


さて、WMD ProtostarからSpaceman Mission Controlへと繋ぎ、ここではKoma Elektronik RH301を中心に組み合わせてみます。この限定的な機能をモジュラーシンセに行かないところで '何が' 出来るのか。あくまで各種ペダルを繋ぎ変えてはそれぞれのCVをパッチングして個々に結線したり外したり・・ま、その拡張性はなくともシンセでやるかペダルでやるかの違いみたいなもんですヨ(笑)。個人的にはもっとエンヴェロープ・ジェネレータやサンプル&ホールド、LFOをCV出力できるペダルが増えて欲しいですね。





Spaceman Effects Mission Control

こちらSpaceman EffectsのMission Controlは、オートフェーダー、エフェクトループ、Dry/Wetブレンダー、パラレル・スプリッター、2チャンネルミキサー、エンヴェロープ・ジェネレーター(EG)のCVコントロールにも対応するスイッチング・ユニット。本機の中核を成すのはVCAで7種のモード切り替えとエフェクトループ、CV In/Outを併用することで多彩な効果を生成します。通常のIn→Out接続ではモメンタリーなActuateスイッチをトリガーにしてオートフェーダーになり、さらに本機のエフェクトループに他のペダルを繋ぐことで原音とエフェクト音(Dry/Wet)のミックス、全面に並ぶEGのコントロールAttackとReleaseは65msから33秒までの広い範囲で設定可能で、素早い立ち上がりから長い減衰までエンヴェロープをコントロールします。また付属のCV-TRS変換ケーブルでエクスプレッション・コントロールも可能。

●Offset
ゼロ以下の最小音量レベルを設定します。最小の音量からエフェクトが始まるモードでは、Offsetツマミでその音量を設定し、最大の音量からエフェクトが始まるモードでは、最終的な音量を設定します。

●Attack
'Actuate' スイッチが押されてから効果が現れるまでのスピードを設定します。各モードにより、効果が現れるまでのスピードと効果が消えるまでのスピードをそれぞれ切り替わります。

●Release
'Actuate' スイッチの効果が終わるまでのスピードを設定します。各モードにより、その効果が終わるまでのスピードと効果が戻るまでのスピードにそれぞれ切り替わります。

●Blend
エフェクトループ使用時にDry/Wetのレベルのバランスを設定します。またこのコントロールはエフェクトループ使用に関わらずブースター的設定も可能。Dry信号は本機背面にある 'Phase' スイッチを通っており、これはどのような場合でも原音は常に入力時から確保されております。

●Phase
本機背面にある小さなスイッチで、Dry信号の位相をコントロールします。'Blend' ツマミ使用時にエフェクトループに繋いだエフェクターと位相を揃えたい時に使用します。

●Mode
本機は'Gate(GT)'、'One Shot(OS)'、'LFO(LF)'、'Trigger(TRG)' の4種モードを備えており、その内の3種類に 'Up' と 'Down' の選択肢があります。

:Gate ↑
'Acuate' スイッチが押されると最大音量('Offset' ツマミで設定された音量)から 'Attack' ツマミで設定されたスピードで音がフェイドインして最大音量となり、'Actuate' スイッチが押されている間は音量を保持します。'Actuate' スイッチを離すと 'Release' ツマミで設定されたスピードで、最大音量まで音がフェイドアウトします。

:Gate ↓
'Actuate' スイッチが押されると最大音量から 'Attack' ツマミで設定されたスピードで音が最小音量('Offset' ツマミで設定された音量)までフェイドアウトし、'Actuate' スイッチが押されている間は音量を保持します。'Actuate' スイッチを離すと 'Release' ツマミで設定されたスピードで最大音量まで音がフェイドインします。

:Oneshot↑
'Actuate' スイッチが一回押されると最小音量('Offset' ツマミで設定された音量)から 'Attack' ツマミで設定されたスピードで音がフェイドインし、自動的に 'Release' ツマミで設定されたスピードでフェイドアウトします。

:Oneshot ↓
'Actuate' スイッチが一回押されると最大音量から 'Attack' ツマミで設定されたスピードで音がフェイドアウトし、自動的に 'Release' ツマミで設定されたスピードでフェイドインします。

:LFO ↑
'Actuate' スイッチが一回押されるとLFOが働き、最小音量よりフェイドアウトします。LFOの波形とスピードは 'Attack' (増)と 'Release' (減)ツマミでそれぞれコントロール出来ます。再び 'Actuate' スイッチを押すとLFOが止まり最小音量に戻ります。

:LFO ↓
'Actuate' スイッチが一回押されるとLFOが働き、最大音量よりフェイドアウトします。LFOの波形とスピードは 'Attack' (減)と 'Release' (増)ツマミでそれぞれコントロール出来ます。再び 'Actuate' スイッチを押すとLFOが止まり最大音量に戻ります。

:Trigger
'Actuate' スイッチが一回押されると最小音量より 'Attack' ツマミで設定されたスピードで音がフェイドインし、最大音量を保持します。再び 'Actuate' スイッチが押すと 'Release' ツマミで設定されたスピードでフェイドアウトします。

:Actuate
全てのモードでトリガーとして機能するモメンタリースイッチ。選択されたモードに応じてシングルタップか、モメンタリーホールドに切り替わります。






Dwarfcraft Devices ARF

ちなみにこのMission Control同様にAttack、Releaseのエンヴェロープ・コントロールを得意としたVCFの変異系としては、Dwarfcraft DevicesのARFがあります。Freq、Rez、Dpth、Attack、RlsというVCFとしては一般的な5つのパラメータに加えて歪ませるDrvツマミも装備。そしてエンヴェロープを操作するモメンタリー・スイッチでリアルタイム・コントロールしながら本機お待ちかねの拡張機能、Freq.、Env.Out、Trigger InのCVでモジュラーとの同期を楽しむことが出来まする。





Pigtronix Philosopher King (discontinued) on Reverb.com

また、いわゆる 'オート・ヴォリューム' の効果を生成する単体のエンヴェロープ・モディファイアの発展型として 'ディスコン' のこちら、Pigtronix Philosopher Kingも多機能に楽しい一台。設計は1970年代後半に本機のルーツ的機種、Electro-Harmonix Attack Decayを手がけたハワード・デイビスで、中身はコンプレッサーのアタックとサスティン、VCAとゲートにより動作する 'シンセサイズ' のADSR機能と同一のもの。サチュレーションによる '歪み' と 'オート・ヴォリューム' からテープの逆回転風 'テープ・リヴァース'、そしてLFO的パーカッシヴなトレモロの特殊効果をエンヴェロープ・ジェネレータによる 'CV' 出力で同期させる至れり尽くせりな作りは、ある意味 '好き者' にとってたまらない効果と言って良いでしょう。



Dreadbox Square Tides - Square Wave Micro Synth
Dreadbox Kappa - 8 Step Sequencer + LFO

さてさて、そんなMission Controlの 'インサート' にブチ込むのは 'エレハモ' の擬似ギターシンセであるMicro Synthesizerをベースにしたと思しき一台として、ギリシャの地でモジュラーシンセを得意とする工房、DreadboxのSquare Tidesをチョイス。ブチブチした 'サブ・ハーモニック' に歪むオクターヴとフィルタリングをOctave、Square、Creanの3つのツマミで音作りしていきます。しかしわたしのお目当はLow PassとResonanceをCVとエクスプレッション・ペダルでコントロールすること!とりあえず本機のCV入力にMission ControlからのCV出力を同期させみます。またDreadboxでは、CVによりLFOと8ステップのトリガー・シーケンスを行う為の専用クロック・ジェネレーター、Kappaも用意しておりまする。










Korg X-911 Guitar Synthesizer
Moog Moogerfooger
Dave Smith Instruments Mopho (discontinued)
Roland SPV-355 P/V Synthesizer

ちなみにこのような 'サブハーモニック' の音作りとしては、モジュラーシンセによる音声加工として外部入力からエンヴェロープ・フォロワーでピーク成分を検出することでゲート信号を取り出し、さらにピッチを検出する 'P/V(Pitch to Voltage)コンバータ' を併用することでオクターバーのように追従させることが出来ます。古くはKorgのGuitar Synthesizer X-911から最近のものでは残念ながら 'ディスコン' のMoogerfooger MF-107 Freqboxなどが 'ペダル化' したものとしてあり、これらは豊富なCVを備えているので色々とパッチングしてやりたくなります(ただしKorg製品は 'V/oct' ではなく 'Hz/V' のCV/Gateなのでご注意)。そういえばザ・ブレッカー・ブラザーズ時代のマイケル・ブレッカーもRolandのラック式 'P/Vコンバータ' 型シンセのSPV-355を使用しておりましたね。

Recovery Effects Cutting Room Floor V.2
Recovery Effects Sound Destruction Device V.3

Mission Controlの次はピッチ・モジュレーションの変異系と呼ぶべきRecovery Effects Viktroluxをチョイス。ディレイタイムに対してCVで 'Trigger' 入力がかかり、外部ドラムマシンのテンポと同期してリズミックな生成へと変調します。その構成する各種パラメータもかなりヘンテコなもので、いわゆるディレイとしてのTime、エフェクト音と原音のBlend、全体の音量であるVolumeを本機の特徴であるテープのグニャグニャしたFlutter、その波形を三角波からスクエア波まで可変するShape、Flutterをさらに '酔わせまくる' ツマミのWow、通常のディレイと '変態' 効果の切り替えを担うStability、ワンショットとマルチプルでディレイを切り替えるRepetitionと一筋縄ではいきません。ここでわたしが狙うのはディレイタイムに対して直接作用するCV入力!ちなみにこのViktroluxはすでに 'ディスコン' となり、現在この機能は 'グリッチ' 系ペダルのCutting Room Floor V.2に '移植' され健在でございます。そして強烈なディストーションとVCF発振で 'シンセサイズ' するSound Destruction Deviceともう、何だかワケわからんヤツまでズラッとラインナップ・・そりゃ 'ユーロラック・モジュラーシンセ' の世界に行きますよね。








Bob Williams: The Analogue Systems Story
Analogue Systems Filterbank FB3 Mk.Ⅱ ①
Analogue Systems Filterbank FB3 Mk.Ⅱ ②
EMS 8-Octave Filterbank

いわゆる 'モジュレーション' 系エフェクターと並び、現在ではDJを中心に一般的となったフィルター専用機。1970年代にはUrei 565T Filter SetやMoogのMKPE-3 Three Band Parametric EQといったマニアックなヤツくらいのイメージだったものが1990年代の 'ベッドルーム・テクノ' 全盛期に再燃、英国のAnalogue Systemsから登場したのがFilterbank FB3です。創業者であるボブ・ウィリアムズはこの製品第一号であるFB3開発にあたり、あのEMSでデイヴィッド・コッカレルと共に設計、開発を手がけていたスティーヴ・ゲイを迎えて大きな成功を収めました。1995年に1Uラックの黒いパネルで登場したFB3はすぐにLineのほか、マイク入力に対応した切り替えスイッチと銀パネルに換装したFB3 Mk.Ⅱとして 'ベッドルーム・テクノ' 世代の要望を掴みます。当時、まるで 'Moogのような質感' という '売り文句' も冗談ではないくらい太く粘っこいその '質感' は、本機の '売り' である3つのVCFとNotch、Bandpass、Lowpass、Highpassの 'マルチアウト'、LFOとCV入力で様々な音響合成、空間定位の演出を生成することが出来ます。そんな本機の設計の元となったのはスティーヴ・ゲイがEMS時代に手がけた8オクターヴのFilterbankですね。ちなみに本機、電源周りから混入するノイズに関しては結構シビアで 'タコ足' な電源タップから取るとかなりノイジーになるのが地味に面倒くさい・・。そして本機と共に使うことを推奨している同社の16ステップ × 3列のアナログ・シーケンサーTH-48、現在探しておりまする。ステップのモードはリセット、前進ラン/ランダム、外部トリガーの3種でA、B、Cの3列のうちA、B2列は音程のチューニングに際して便利なクオンタイザーの入出力に対応しており、Cの3列目ではCV出力スルーの設定でポルタメントの効果を生成することが可能。





Bastl Instruments Dude
Nobels

そしてコレ!ドイツのエフェクター・メーカーNobelsの4チャンネル・ミキサーMix-42C。Nobelsといえばオーバードライブの '隠れた名機' として一部で評判のODR-1が有名ですが(最小化した 'ODR-1 Mini' が近々登場)、どうも全てにBossの 'バッタもん' 的デザインの為か、現在そのラインナップはすべて生産終了状態。このようなコンパクト・ミキサーだと今ではBastl Instruments Dudeなどがありますけど、このNobelsのようなパンのツマミを備えたものってわたしの知る限りないんじゃないでしょうか。本機は汎用性のあるDC9V〜15V駆動で4つの入力とステレオ出力、チャンネル・ヴォリュームのほかパンポットとマスターヴォリュームを装備しており、このサイズながら一般的なミキサーと遜色ない '作り' なのが凄い。こういうのは地味に需要高いと思うので是非ともNobelsにはグレードアップした '後継機' を発売して頂きたいですね。





Bastl Instruments Thyme - Robot Operated Digital Tape Machine ①
Bastl Instruments Thyme - Robot Operated Digital Tape Machine ②

そんなFilterbank FB3 Mk.Ⅱで '広げた' 音像と定位をさらにグシャッとステレオで変調させてやるのがこちら、'Robot Operated Digital Tape Machine' と題したThyme。'ガジェット' 全開な機器を製作する一方でCVやMIDIを統合しながらプログラマブルな本機を製作してしまう旧共産圏のチェコ共和国、恐るべし。本機筐体の真ん中辺りに並ぶDelayセクション3つのツマミCoarse、Fine、Spacingをテープの 'バリピッチ' の如く操作し、それをTape SpeedとFeedback、Filterで変調させながらフレイズが破壊されていきます。そしてもうひとつのRobotセクションではFM変調の如く金属質なトーンへと変調し、それを真下にズラッと並ぶ6つの波形とエンヴェロープ、外部CVから操作・・というかここでは説明しきれないほどの機能満載ですね。後述するKoma Elektronikのマスタークロック生成器RH301とは、CVのみならずMIDIでコントロールしてやるとより多彩なパラメータを同期させることが可能。すでに発売当初から "これは面白そうだ!" という予測と共に思い切って入手しており、その50ページ弱のマニュアル片手に未だ飽きることはありません。






そしてこれらのCV(電圧制御)を統合するのがこちら、Koma Elecktronik RH301。本機はドイツでモジュラーシンセを得意とする工房の 'CV/MIDI/DIN Sync' を統合したマスタークロック生成器で、シンセサイザーやドラムマシンはもちろん規格の違う機器同士を同期させることが可能。CVではローファイ・オシレーターとしても機能するLFOを備え、サイン波、三角波、スクエア波、サンプル&ホールドとノイズの5種からなる波形は0.25Hzから260Hzのレンジで出力します。そしてマスタークロックに同期したループ・モードの可能なエンヴェロープ・ジェネレータの装備。これはADSR(Attack、Decay、Sustain、Release)コントロールに加え、Rangeツマミでエンヴェロープのタイムレンジを設定出来ます。LFO、EG共に逆相で出力することで複数の機器に対して凝ったパッチングにも対応します。またKoma Elektronikお得意のモーション・コントローラーともいうべき本機の赤外線LEDとパッチしてテレミン的操作が楽しめます。



Electro-Harmonix 8 Step Program ①
Electro-Harmonix 8 Step Program ②

同じく 'エレハモ' からもこの分野は見逃せないようで(笑)、8つのスライダーからCV(電圧制御)、MIDIによりプログラマブルにシーケンスを走らせることの出来る8 Step Program。マスタークロックとなる本機は、Loop/1 Shot/Step Thruの3種からなるPlayモードに6種のタップテンポとRateコントロールで自在にリズミックなシーケンスを走らせて、さらにオプションのProgram Foot Controlerで最大100のプリセットを保存することが出来ます。

Hungry Robot Pedals

RH301や8 Step Programに見るCVの 'ワークステーション' のようなものを大仰なアナログシンセに頼らず、個別かつもっとお手軽に試せないものか?という声が届いたのかどーかは知りませんが(笑)、米国で個性的なペダル・エフェクターを製作する工房、Hungry Robot Pedalsからそんなユーザーの願望にピッタリな 'ペダルサイズ' のモジュール・ユニットが登場。これならモジュラーシンセのようにひとつずつ組み込む大仰なシステムに比べて敷居が低く、CV入出力の備えたコンパクト・エフェクターなどと一緒に個別で遊ぶことが出来まする。ただ問題はここ日本でお手軽に買えないことだな・・。









Snazzy Fx
Snazzy Fx Effect Pedals

現在、積極的に 'ユーロラック・モジュラーシンセ' への分野にも参入するDan Snazalle主宰の工房、Snazzy Fx。このDivine Hammerは何と形容すればよいのか、入力する音をフィルタリングとモジュレーションを加えるという意味ではウェイヴ・シェイパー的アプローチではありますが、本機内蔵のLFOを操作するSpeedツマミとは別にCVとFixedをコントロールするBias、Mod CV、Bias CV、EuroそれぞれのCVで外部との連携した音作りが可能。そしてこの工房を一躍有名にした 'ペダル3種'、Wow and Flutter、Mini Ark、Tracer CityがErica Synthsの協力により '復活' しました!エグい!



Erica Synths Syntrx

ちなみにそんなSnazzy Fxの 'ペダル3種' を手がけたラトビア共和国の工房、Erica Synthsからあのモジュラーシンセの名機、EMS Synthi AKSにインスパイアされた新作Syntrxを去年の暮れに発売しておりまする。EMS同様のスプリング・リヴァーブとジョイ・スティック、デジタル化されたマトリクス・パッチピンボード、そして256の音色メモリーを備えた音作りが可能。






Moody Sounds
Dreadbox Sonic Bits - Lo-Fi Bit Crusher Delay
Dreadbox Kappa - 8 Step Sequencer + LFO

ちなみにこちらはもうひとつのセッティング。エンヴェロープ・モディファイアとしての機能も持つSpaceman Effects Mission Controlは、やはりディレイとの組み合わせが最も相性良いと言えるでしょう。その中でもディレイ音にのみ 'センド・リターン' で取り出して '外部加工' 出来るスウェーデンの工房、Moody Sounds Strange Devil Echo。繰り返すフィードバックの 'Repeat' とディレイタイム及びピッチ調整の 'Interval' ツマミの2つでコントロールします。さらにディレイタイムなどを 'CV' で特化させたディレイといえば、グシャグシャな '8ビット・クラッシャー' で歪ませたDreadbox Sonic Bitsも試して頂きたい逸品。









Koma Elektronik
Koma Elektronik BD101 Analog Gate / Delay ①
Koma Elektronik BD101 Analog Gate / Delay ②
Koma Elektronik BD101 Analog Gate / Delay ③

そして、Dreadbox Sonic Bitsと同種の '8ビット・クラッシャー' エコーでGateセクションも加えて 'モジュラー化' したKoma ElektronikのBD101 Analog Gate / Delayという欲張ったヤツもありまする。ゲートにおけるADSRのエンヴェロープ・モディファイアな効果から、Koma Elektronikお得意の赤外線センサーでディレイタイム可変による 'フランジング' がまるで土管の中に頭を突っ込んでしまった時に体感できる 'コォ〜ッ' とした金属的変調感があり、これはなかなか他にないトーンを持っていて面白いですね。





Pigtronix Mothership (discontinued) on Reverb.com
Pigtronix Mothership (discontinued) ①
Pigtronix Mothership (discontinued) ②
Pigtronix Mothership (discontinued) ③
Dwarfcraft Devices Happiness

以上、繰り返しますがほとんどエンヴェロープ・ジェネレーター(EG)のADSRやLFOで最小限に出来ることに特化しており、正直モジュラーシンセのようなパッチケーブルと壁を築いて複雑なプロセッシングは出来ないのだけど・・そこがイイ。コンパクト・エフェクターが備える 'CV' も最低限な機能しか対応しないのですが、まさにそんなシンプルさがイイ意味で発想を鍛えてくれます。あのジャマイカという亜熱帯な環境で開花したダブ・マスターたちの仕事ぶりにも顕著ですけど、最近はPC中心のミニマルな環境から抜け出し、よりプリミティヴなかたちで限定的な環境からあれこれ音を出す楽しさ、重要になっていると思いますヨ。

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