→Piezo Barrel Wind Instrument Pickups
→Piezo Barrel Instructions
→Piezo Barrel on eBay
→vimeo.com/160406148
このPiezo Barrel、わたしもeBayを通じていくつか入手してみたのですが、やはり管楽器の 'アンプリファイ'・・そうすんなりと 'コトが済む' はずはなく、散財と 'トライ&エラー' の季節を迎えておりまする。いやまあ、わたしも長くラッパを 'アンプリファイ' しているだけに、こういう問題点をあれこれ面白がれる歳にはなりましたヨ(苦笑)。すんなりと行きたいのだけど、些細な問題に揉まれることでいろいろと身に付く知識もあるってもんです(オススメはしません)。この辺の話は去年の 'あらゆるレベルをひとつにする' を始め、もうここでは何度もしているので繰り返しになってしまうのですが(汗)、本品の普及、向上のために改めてしつこく解説します(笑)。ちなみにこのPiezo Barrel、トランペットではBachタイプのマウスピースによる既製品がラインナップされておりますが、予備としてゴムパッキン付きのソケットが複数封入されているんですね。つまりドリル片手に 'DIY' でお好みのマウスピースへ加工、接合を推奨しているのですが、サックス/クラリネット用に比べると比較的簡易ながら少々心許ない取り付け・・。マウスピースのシャンク部分を薄く平らに削り取り、そこへ乗せたソケット部をハンダで接合するのだけど、単にハンダで固定しているだけなので強くネジ締めするとポロッとハンダごと外れちゃうからご注意(一度外れて、自分でハンダで付け直しました)。これはサックス、クラリネット用マウスピースに比べてシャンク部の肉厚が薄い為、このソケット自体を埋め込むスペースが確保できないんですよね。Monetteタイプのものならガッチリ取り付けられるのだろうけど、ここが本品唯一の欠点。まあ、丸いシャンク部に平らなソケット部をそのまま乗せること自体、無理のあることなんですが・・。
さて、このPiezo Barrel製ピエゾ・ピックアップはアクティヴの仕様でして、本体に小さなドライバーで調整するゲインのツマミを内蔵しております(と言っても基本フルですが)。当然、製作者のFransisさんもこう自身のHPで述べられておられるワケです。
Q: Do I Need a Pre-Amp ?
A: Piezo Barrel Pick-ups do not require a Pre-Amp.The output is similar to an Acoustic Guitar pick-up (Which is also a Piezo pick-up).
大意として、コイツはプリアンプいんの?いや、アクティヴだからそのまんまコンパクト・エフェクターに突っ込んじゃってOK!ってことらしいのですが、う〜ん、どうもわたしの環境だとそのまま突っ込んじゃうとゲインが上がりノイジーになってしまう・・。つまり、ちゃんとインピーダンス・マッチングが取れていないと思うのです。
→Joemeek Three Q Review
→Classic Pro ZXP212T
→Classic Pro APP211L
さあ、問題発生ということでいろいろ試してみるのだけど、一番最初に効果を発揮したのは手持ちのマイク・プリアンプ兼 'チャンネル・ストリップ' Joemeek Three Q。本機のLine入力から突っ込めばそのままプリで増幅、3バンドEQで補正、お好みでオプティカル式のコンプレッサーもあるよ、という感じで、-10dBで出力してあっさり解決しちゃったワケなんですが、いやいや。このThree Qがマイク入力との '2ミックス' でLineと同時入力、ミックスできれば確かにこれで終了、なんだけど、残念ながら本機は同時入力不可・・うう。ということでまた別の方策を考えてみれば、低コストかつ最もお手軽な方法としてインピーダンス・トランスフォーマーをかまして、別途ミキサーでミックスするというやり方を見つけます。通販の頼れる味方、サウンドハウス・プロデュースのClassic ProからZXP212TとXLRからフォンへの変換コネクター、APP211Lを購入、翌日には自宅へ配送と良い時代になったもんだ(合わせて1,836円也)。これは50kΩのフォンと600ΩのXLRをインピーダンス変換してくれるケーブルでして、まあ、インピーダンスの専門的な説明はできませんけど(汗)、確かにこれでキチンと信号の不具合を解消してくれました。ただし、あくまでインピーダンス変換なので音色的には可もなく不可もナシ(そこに拘らなければコレが最も安価、かつお手軽な解決策)。
もうちょっと音色的にどうにかなんないかな?と思案していたところ、まさに '痒いところに手の届く' 及び 'アンプに足りないツマミを足す' のキャッチコピーでお馴染みEffectronics Engineeringとそのブランド、Neotenic Soundの製品が目に付きます。すでにわたしは同工房の代表作Magical ForceとPurepadを愛用しており、また、他社の製品ではあまり見当たらないユニークかつ 'ニッチな' アイデア品を出すことでいろいろ期待していたんですね。最初に見つけたのはBoard Masterという赤い小箱のヤツ。いわゆるギターとアンプの間に挟む 'アッテネーター' の一種のようで、各ピックアップに対してHum、Single、Active、Lineの4種切り替えとLevelツマミを備えておりました。正直、管楽器でこの4種切り替えはほとんど意味ない感じで違いが分かりませんでしたけど、おお、確かに本機を挟んで適度にLevelツマミを回せばちゃんとインピーダンス変換されております。購入時すでに 'ディスコン' 品ではありましたが、わたしは運良く中古を2機確保して足元にセット。さて、ピエゾ1つでも十分に 'アンプリファイ' の効果は堪能できるのですが、やはりベル側のマイクとミックスすることにより、レンジの広い再生と '生っぽい' 空気感を演出することが可能となります。
ex①
→Joemeek Three Q
→Root 20 Mini Mixer
→Red Panda Mixer
まずはわたしのメインボードである小型ミキサーでミックスする環境でのチェック。マイク側はJoemeek Three Qで音作りしたものを入力し、Root 20のMini Mixerでそれぞれ混ぜてみたのですが、うん、特別位相が乱れることもなければ変に音痩せすることなくギュッと各帯域に渡って再生してくれます。Red Pandaのものは入力ゲイン1つでレベルを増幅、調整しますが、これもRoot 20のものに比べて特に不具合はないですね。ちなみにRoot 20のものは現在入手不可能なので、これとほぼ近い構成のRed Pandaのものをお勧めします。また、エフェクターからの出力はそのままフォンで出力、もしくは別途DIを用意して送ります。
ex②
→Pigtronix Keymaster - Studio Effects Mixer
→Red Panda Mixer
こちらはサブボードによるチェックで、'Studio Effects Mixer' の名を持つKeymasterでミックスしてみました。ピエゾ・ピックアップ側は本機Loop AのReturnから入力しますが、このままではゲイン不足でレベルが取れません(In、OutそれぞれBoostが付いているというのに・・)。そこでReturnの前にRed PandaのMixerでピエゾ側のゲインを稼ぎます。そしてLoop Bにエフェクターを接続して 'インサート' するのですが、各種ライン・セレクターの中でこの 'A+B' ミックスは他社ではあまり見かけない本機の特徴です。また、エフェクターを一括バイパスすべくLoop Bをオフにすればマイクからそのまま劣化なくDIで出力できます。
ex③
→TDC by Studio-You Mic Option
→Crews Maniac Sound DMA-3.2 Discrete 3ch. Mixer
こちらは 'インピーダンス・トランスフォーマー' のTDC Mic OptionとCrewsの3チャンネル・ミキサー、DMA-3.2を組み合わせてミックスしたもの。このCrewsのは現在、CMX-3 3ch. Foot Mixerとしてモデル・チェンジされてますが基本的な構成はほぼ同じです。エフェクターは本機のSend Returnに繋ぎミックスするので、①②と比べて結線による劣化が最小限に抑えられ、そのままDIで出力できます。
何でかクラリネット関係の 'アンプリファイ' って盛んなんですよね・・(謎)。そんなにステージ上の音量面で困っているのでしょうか?特に以下、ブルガリアからトルコ、ギリシャといったバルカン半島周辺に工房が集まるのは、オスマン・トルコ時代からの '軍楽隊' の伝統を引き継ぐ地域だからなのか、かなりの需要があるようです。ああ、エリック・ドルフィーももう少し長生きしていたら、間違いなく 'アンプリファイ' して木管楽器の可能性を引き出していたかと思うと残念至極。ずっとバンドに恵まれなかった孤高の人だったから、ローランド・カークとは別の意味で、エフェクターによる '一人多重奏法' でもうバンドはいらん!とかなっていたりして(笑)。
→Nalbantov Electronics
Piezo Barrelのライバルその1。ブルガリアの工房Nalvantov Electronicsです。ガレージ臭たっぷりのPiezo Barrelに比べて、製品としてよりハイクオリティなパッケージとなっており、専用のオクターバーからDIYキット、ワイヤレス・システムに至るまで幅広く対応しております。
→TAP Electronics
→TAP Electronics Pick-up
Piezo Barrelのライバルその2。ギリシャのTAP Electronicsです。こちらもNalvantov同様に幅広いラインナップを揃えており、Piezo Barrelに比べ製品としてよりこなれた設計となっておりますね。ピックアップ本体にオクターバーを内蔵させるとか、なかなかメンドくさがりな管楽器ユーザーの心理をよく読んでいる(笑)。
→Rumberger Sound Products
→Rumberger Sound Products K1X ①
→Rumberger Sound Products K1X ②
Piezo Barrelのライバルその3。ドイツのRumberger Sound Productsのマウスピース・ピックアップはコンデンサー・ピックアップによる高音質なサウンドを追求。現在、K1XとWP-1の2種をラインナップしてワイヤレス・システムにも対応しております。現在、近藤等則さんがDPAのミニチュア・マイクロフォンを用いて 'アンプリファイ' している以外、マウスピース内にマイクを突っ込むというのはセッティングであれこれ悩みそうな気がしますが、機会があれば探求してみたいですねえ。マイクなので当然ですけど、プリアンプとは別にマイクを駆動させるための電源を必要とします。
→Barcus-berry
→Barcus-berry C5600①
→Barcus-berry C5200②
そして管楽器用ピックアップといえば老舗のBarcus-berry。一時は豊富に取り揃えていた各種 'アコースティック' 用ピックアップもカタログから減り、現在、同社の管楽器用ピックアップはフルートの頭管部に差し込む6100M、サックス/クラリネット用のC5200(ハーモニカ用C5600と同型)の2種のみ。こちらのC5200 (C5600)はピエゾではなく、9V電池で駆動するエレクトレット・コンデンサー・ピックアップ。このピックアップ本体をマジックテープでサックスのベル内に装着するという・・おお、何と荒っぽい仕様なのかと驚いてしまいます。電源として付属のバッファー・プリアンプ3000Aと一緒に用いるのですが、これがまた頻繁に抜き差しする接続部分にRCA端子を採用するという信じ難いもの。このRCA端子というヤツは基本オーディオの入出力でよく見かけるもので、一度繋いだらそう頻繁に抜き差しするほど強固には作られておりません。わたしが以前に愛用していたマウスピース・ピックアップのModel 6001もこの作りだったのですが、案の定、抜き差しのし過ぎでプリアンプ受け側の端子がハンダごとすっぽ抜け。自分で再度ハンダ付けをして直しましたヨ。
→Barcus-berry 1374 Piezo Transducer Pick-Up
→Barcus-berry 1375 Piezo Transducer Pick-up
ある意味Barcus-berryで一世を風靡したのは、マウスピース・ピックアップのModel 1374でしょうね。ちょうどフランク・ザッパ率いるザ・マザーズがジョージ・デュークなどジャズ系ミュージシャンらを擁して活動した1973年頃から普及し、動画中のジャン・リュック・ポンティが持つエレクトリック・ヴァイオリンを始め、ホーン2人のマウスピースにもしっかりBarcus-berryの製品がラインナップされております。また、当時のフュージョン・ブームで吹いていた管楽器奏者のマウスピースにはほとんどこの1374(1375-1)が穴を開けられて接合されており、その代表格なのがザ・ブレッカー・ブラザーズです。特にトランペットのランディ・ブレッカーは1994年頃まで本品を用いており、その当時の 'Jazz Life' 誌によるインタビュー記事でもこう述べております。
ランディ "ここには特別話すほどのものはないけどね(笑)。"
− マイク・スターンのエフェクターとほとんど同じですね。
ランディ "うん、そうだ(笑)。コーラスとディレイとオクターバーはみんなよく使ってるからね。ディストーションはトランペットにはちょっと・・(笑)。でも、Bossのギター用エフェクツはトランペットでもいけるよ。トランペットに付けたマイクでもよく通る。"
− プリアンプは使っていますか?
ランディ "ラックのイコライザーをプリアンプ的に使ってる。ラックのエフェクトに関してはそんなに説明もいらないと思うけど、MIDIディヴァイスが入ってて、ノイズゲートでトリガーをハードにしている。それからDigitechのハーモナイザーとミキサー(Roland M-120)がラックに入ってる。"
− ステレオで出力してますね?
ランディ "ぼくはどうなってるのか知らないんだ。エンジニアがセッティングしてくれたから。出力はステレオになってるみたいだけど、どうつながっているのかな?いつもワイヤレスのマイクを使うけど、東京のこの場所だと無線を拾ってしまうから使ってない(笑)。生音とエフェクト音を半々で混ぜて出しているはずだよ。"
− このセッティングはいつからですか?
ランディ "このバンドを始めた時からだ。ハーモナイザーは3、4年使ってる。すごく良いけど値段が高い(笑)。トラック(追従性のこと)も良いし、スケールをダイアトニックにフォローして2声とか3声で使える。そんなに実用的でないけど、モーダルな曲だったら大丈夫だ。ぼくの曲はコードがよく変わるから問題がある(笑)。まあ、オクターヴで使うことが多いね。ハーマン・ミュートの音にオクターヴ上を重ねるとナイス・サウンドだ。このバンドだとトランペットが埋もれてしまうこともあるのでそんな時はエッジを付けるのに役立つ。"
− E-mu Proteus(シンセサイザー)のどんな音を使ってますか?
ランディ "スペイシーなサウンドをいろいろ使ってる。時間があればOberheim Matrix 1000のサウンドを試してみたい。とにかく時間を取られるからね、この手の作業は(笑)。家にはAkaiのサンプラーとかいろいろあるけど、それをいじる時間が欲しいよ。"
− アンプはRolandのJazz Chorusですね。
ランディ "2台をステレオで使ってる。"
また、グーズネック式マイク1本となった後年、そんなマウスピース・ピックアップのセッティング期に対してあのやり方も悪くなかったヨ、とのこと。しかし、このBarcus-berryの製品も言葉は悪いですが '使い捨て' というか、接合して1年も吹きまくると急速な息による湿気であっという間にピエゾの反応が悪くなるという弱点が露呈します。上の動画だとチャカ・カーンとのライヴ動画はエフェクトがほとんど聴こえてませんね。まあ、PAとの兼ね合いもあるとは思うのですが、そんなモニター環境の悪さを考慮?してか、ランディがウォークマン用のヘッドフォンを用いてモニターするという奇異な光景が・・(笑)。
オーストラリア?の海軍バンドによるライヴ・セッションなんだけど、短いながらも途中で出てくるバリトン・サックスのワウペダルを用いたソロが格好イイ!お、ちゃんとバリトンのネックにはPiezo Barrelのピックアップが備えられておりますねえ。よく聴けばネロ〜ンとしたオクターヴからオーバードライブ、ワウからモジュレーションとフレイズのニュアンスを変えて吹き分けるなど、まさに 'アンプリファイ・トーン' ならではの威力を発揮!そして 'Pedals And Effects' さんの動画に初登場の 'アンプリファイ' したサックス奏者はAdrian Terrazas-Gonzalezなる人で、どれもベーシックな足元ながらツボを押さえたセレクトですね。Ernie Ballのワウペダルってのは結構珍しいけど、このヒモでペダルを稼働させる '踏み心地' が気持ち良かったりして(笑)。
オーストラリア?の海軍バンドによるライヴ・セッションなんだけど、短いながらも途中で出てくるバリトン・サックスのワウペダルを用いたソロが格好イイ!お、ちゃんとバリトンのネックにはPiezo Barrelのピックアップが備えられておりますねえ。よく聴けばネロ〜ンとしたオクターヴからオーバードライブ、ワウからモジュレーションとフレイズのニュアンスを変えて吹き分けるなど、まさに 'アンプリファイ・トーン' ならではの威力を発揮!そして 'Pedals And Effects' さんの動画に初登場の 'アンプリファイ' したサックス奏者はAdrian Terrazas-Gonzalezなる人で、どれもベーシックな足元ながらツボを押さえたセレクトですね。Ernie Ballのワウペダルってのは結構珍しいけど、このヒモでペダルを稼働させる '踏み心地' が気持ち良かったりして(笑)。
最近の管楽器用グーズネック式マイクとPAによる再生はかなり進化しており、わざわざこのような旧態依然のスタイルでやる必要はないのかもしれませんが、しかし、これでなければ鳴らない '質感'、サウンドというのはあるのです。お金もかかるし煩雑なセッティングにも悩まされますけど、管楽器で攻めた音作りに興味を抱いている '変わり者' の皆さま、Let's Try !
さて、2018年の年初といえば去年の '総括' ということで、The PedalZoneさんとDennis Kayzerさんによる 'Best Pedals of Top 10 2017' の発表です。こういうのを見ると日本と米国の人気の違いはもちろん、まだまだ知らないペダルがあるもんだなあ、と勉強になります。
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