2017年3月5日日曜日

春はピックアップの悩み

突然ですがBarcus-berryをやめた。








オーストラリアのSteve Fransisさん製作によるPiezo Barrelのピエゾ・ピックアップ付きマウスピース。eBayでもそこそこ数が出るようになりましたね。最近、ラッパでやっている人の動画もUPされておりましたが、何でかそのおっさんはコメント不可、リンクもさせないようにしているのでYoutubeの方でご覧下さいませ(-  -)。代わりにPiezo Barrelといえばこの人、というくらい立派に製品販促に一役買っているLinsey Pollakさん。

Piezo Barrel HP
Piezo Barrel on eBay

個人的にはBarcu-berryのものが扱いやすくてずっと用いてきたのですが、ここにきてまたもやあの問題・・エフェクターのかかりが悪くなってきたんだよなあ。う〜んどうしよう、などと悩みながらつらつらネットを徘徊していたらこんな一文が目の前に飛び込んできました。


                "ピエゾの大敵は湿気"

え!?これまで湿気といえばコンデンサー・マイクの '天敵' として、わたしもマイクポーチにマイクと一緒に乾燥剤を放り込んで管理したりしていたのですが、え!?ピエゾも?いやあ、これは知らなかった・・。そういえば復活したザ・ブレッカー・ブラザーズ1993年の来日公演時、ランディ・ブレッカー使用のBach 3Cに接合されていたBarcu-berry 1374ピックアップが、何でか黒いテープ?のようなものでマウスピースに巻かれてた・・。今から思うとピックアップ接合しちゃうと湿気で劣化するから、ただ穴へ差し込みテープで外れないように押さえていたのかも。









Piezo Barrel - Instructions
Nalbantov Electronics
TAP Electronics
TAP Electronics Pick-up
King Ampliphonic Pick-up
King Ampliphonic Pick-up 2
Shure CA20B

古くはVoxの 'Ampliphonic' 用マウスピース・ピックアップ、Gibsonの 'Maestro Woodwinds' 用マウスピース・ピックアップ、Connの 'Multivider' 用マウスピース・ピックアップ、'Innovex' 用のShure製マウスピース・ピックアップCA20Bなどが着脱式で、単純に 'アンプリファイ' と 'アコースティック' でマウスピースを兼用できるのが理由だと思っておりました。現行品のPiezo BarrelやTAP Electronics、Nalbantov Electronicsのものもそうです。Piezo Barrelの製作法は途中まで穴を開けてソケットを嵌め込み、そこから2.5mmの細い穴を開けて収音するなど、メーカーそれぞれのノウハウがあるようですね。しかし、こぞってピックアップ着脱式ということは、まるでマウスピースに穴を開けてピックアップ接合しちゃったら '湿気の温床' でダメにするよ、とメーカーから言われているような気になります。たぶんBarcus-berryのマウスピース・ピックアップが衰退した理由のひとつに、この '湿気' というのは理由のひとつだったのかもしれません。もしくは、完全に消耗品としてダメになったら新しいものと交換してくれ、というのがメーカーの態度だったのかも。わざわざ楽器店に持って行ってエポキシ系接着剤で付けたり外したりという点では、決してコスト・パフォーマンスのよい製品ではないですね。現在使用中の2個目も取り付けてから1年ちょっと・・特にダイナミックレンジが狭くなり、音に図太さがなくなると共にオクターバーのエラーが出始めてくるのが合図でした(早過ぎでしょ)。コレって接着剤でマウスピースに接合せず、ただ穴へ差し込み使うことで何とか製品寿命を延命させる以外に方法はないかもしれません。ああ、もうちょっと耐久性のある製品かと思っていたんだけどなあ・・これで2つダメにしました(涙)。

vimeo.com/160406148

このままだとスペア全てがイカレかねないので、そろそろ現行品であるPiezo Barrelを中心としたセットアップへ作り変えないとダメかもしれない。近場に工房があるのなら自分のマウスピースへ加工してもらうんだけど・・はるかオーストラリアですからねえ。それはともかく、パッシヴのBarcus-berryに対してアクティヴ(プリアンプ内蔵)のPiezo Barrelは、特にコンボアンプで鳴らそうとしているわたしにとって音作りが難しい・・。上のリンク先動画のRyan Zoidisさんはうまくセッティングして鳴らしていますケドね。わたしも購入してすでに所有はしているものの、まだメインでは使っておりませんでした。ということでPiezo Barrelマウスピース・ピックアップ、プリアンプ内蔵のアクティヴとして公式HPにはQ&A形式でこう記載されております。

Q: Do I Need a Pre-Amp ?

A: Piezo Barrel Pick-ups do not require a Pre-Amp.The output is similar to an Acoustic Guitar pick-up (Which is also a Piezo pick-up).

このピックアップにプリアンプは必要?との問いに、いや、アコギのピックアップ同様、本品はプリアンプを必要としないヨ、というSteveさんの答えなんだけど、う〜ん、そのままコンパクト・エフェクターに繋ぐとゲインが上がると同時に音が潰れて、すぐハウってしまいます。これってちゃんとインピーダンス・マッチングを取らないとダメなのでは?ということで、手っ取り早く3つの案を立ててみました。

Classic Pro ZXP212T
Classic Pro APP211L
Joemeek Three Q
Neotenic Sound Board Master

①Clasic Pro ZXP212T+AXP211L

サウンドハウス・プロデュースのインピーダンス・トランスフォーマーで、ピックアップ側のロー・インピーダンスと楽器レベルのハイ・インピーダンスを変換します。おお、きちんとレベルの取れた状態で信号が受け渡されました。ただし、あくまで '変換' なので音色的には可もなく不可もなし。

②Joemeek Three Q

マイク・プリアンプ、コンプレッサー、EQからなる 'チャンネル・ストリップ' の本機、ライン入力から-10dBvのアンバランスで出力してみます。おお、こちらも見事にレベルの取れた状態で信号を受け渡します。3バンドのEQも備えているので、グッとコシの入った音質に補正できるのもグッド!ただし、ライン入力とマイク入力を同時に使うことはできないのが残念(本機だけでピエゾとマイクのミックスができない)。

③Neotenic Sound Board Master

困ったときの 'Neotenic頼み' というワケではありませんが、過去にこういう製品も出していたのですね。入力側のピックアップと出力側とのインピーダンス・マッチングを、ピックアップ別に最適な 'Hum'、'Single'、'Active'、'Line' の4つの切り替えとLevelツマミで補正するブースターです。正直、この4つの切り替えの違いがわたしの環境では分かりにくかったのですが、とりあえず 'Active' 及び 'Line' に合わせて使用。本機はマッチングさせるのみならず、Neotenic Soundの '売り' である 'Buff' と呼ばれるバッファーを通すことで音にツヤと張りが出てきます。こう書くとバッファーを万能なエフェクターと勘違いする人が出てくると思いますが、複数のエフェクターを繋いだり、微弱な信号が外来ノイズなどに晒されることで変化、劣化していくのを '戻す' ものと言えばよいでしょうか。また、本機の後ろでRoot 20 Mini Mixerを介してマイク側とミックスしても問題なく使うことができました。

こういうのにセオリーはなく、とにかく出音が自分にとって満足できればそれが '正解' なのです。安価に抑えたいのなら①、マイクプリとEQで積極的に音色を作り込みたいのなら②、マイクとのミックス込みでピエゾ・ピックアップの音色を整えたいのなら③という感じでしょうか。個人的にはやはりプリとEQのおかげか②が一番良かったかなあ。③はEQ付いていたらもっと良かったけど、これだけでも十分魅力的な音色ですね。あ、そうそう、この 'トランペット' 用Piezo Barrelピックアップですけど、サックス/クラリネット用に比べてマウスピースのシャンク部分の肉厚が薄い為に、一度、ハンダで留めていたソケットがポロッと外れてしまいました・・。まあ、ハンダとエポキシ系接着剤で付け直しましたけど、もうちょいシャンク側の下地を削り込んでソケットがピタッと嵌るようにして頂きたいですねえ。もし購入した人でピックアップをソケットにネジ留めする際はあまり締め過ぎないように・・ポロッといきますヨ。

Neotenic Sound Pure Acoustic

さて、そんな 'ピエゾ使い' に待望のアコーステック専用プリアンプが登場しました!わたしも愛用の '秘密兵器' であるMagical Force製作のNeotenic SoundからPure Acoustic。おお、これはチェックしたいと思わせるような6つのツマミが整然と並んでおります。なになに、メーカーの説明によるとこんな仕様とのこと。

⚫︎Master: 出力される最終的な音量を調節します。
⚫︎Body: 楽器本体のサイズ感を豊かに増強させます。右に回すほど楽器の存在感がしっかり押し出されるようになります。
⚫︎Lo: Bodyツマミで決めた位置に対して、低域の膨らみ感を調節します。左に回すほどスッキリとしたタイトなサウンドになります。
⚫︎Hi: 弦を弾いたときの音の硬さを調節します。右に回すほど硬い音に、左に回すほど柔らかい音になります。
⚫︎Wood: 楽器の持つ木の鳴りの成分を電気的に強調させたり抑えたりします。左に回すと共振部分が抑えられた大人しい落ち着いた雰囲気に、右に回すと木が響いているような広がりが得られます。演奏する楽曲の楽器編成などに合わせて調節して下さい。
⚫︎Density: 弦を弾いたときのタッチに対するレスポンスの立ち上がり比率を決めます。左に回すと過度に立ち上がり、右に回すほどその感度が圧縮されます。タッチとレスポンスのバランス点を越えると音の雑味や暴れはさらに抑えることが出来ますが、音の表情は均一化されていきます。

なるほど。特に 'Body' と 'Wood' というアコースティックの '鳴り' に特化した2つのツマミがキモのようです。このあたりをEQのLoとHiを補助的に配置して、あえて '鳴り' というイメージで2つのツマミに落とし込んでいったのは見事ですね。Magical Forceもそうなんだけど、設計者のいっぺいさんは視覚的に把握させながら耳で音を決めていくセンスが抜群だと思います。EQの何kHzをブーストして・・なんて言われてもよく分からないけど、こっちのツマミが '箱鳴り' で隣のツマミで 'エッジ' を出して、そこにローかハイが足りてないと思ったらEQしてという方が把握しやすいというか。また本機は、ダイナミックレンジ確保の為にDC18Vの専用電源でヘッドルームを広く取った設計もグッド。ツマミの構成から 'アコギ' 専用と捉えられがちですが、いわゆるアコースティック楽器全般に対応しているそうです。例えば、ダイナミック・マイクのSennheiser e608で用いるなら、XLR端子からインピーダンス・トランスフォーマーClassic Pro ZXP-212Tを介してPure Acousticへ入力、ベストな音色に補正することが可能です。ただし、Piezo Barrelピックアップはアクティヴだから入力のレベル合わせは慎重にやらないとダメですね。

'Early' Electronic Saxophone by Japan

上記のリンク先は何と日本の個人製作者による '電子サックス' というか、Akai Proffesionalのウィンド・シンセサイザーEVI/EWIの先駆的試作品。1969年は日本のAce ToneからSelmer Varitoneをそのまんまコピーしたような管楽器用アタッチメント 'Multi Vox' が発売されておりましたが、未だシンセも分からなかった時代に、早くもEWI的な発想でアプローチしていた人がいたのは驚きですねえ。








'デンマークのマイルス' ことパレ・ミッケルボルグが完全に '電化' していた頃の動画三連発。1977年と78年はテリエ・リピダルのグループに参加した時のものですが、かなりプログレッシヴというか、ギターシンセ風のトーンでディレイをかけたラッパが格好良い!この頃にECMと契約して、このサウンドでアルバム出していたらもっと評価されていただろうにと思うと惜しいですねえ。78年にはマウスピース・ピックアップをやめて、ケーシング部に取り付けられたシンセをトリガーする機器(CV/Gate?)をベルのピックアップ・マイクに繋いでいるのにも注目。



After The War / Trouble

さて、デンマークといえばもうひとりの 'マイルス派' というべき、サヒブ・シハブとの共演や自己のJazz Quintet 60'での演奏で名の知られたアラン・ボッチンスキーがいます。ミッケルボルグとはThe Danish Radio Jazz Groupで共演歴もある彼ですが、混迷の1970年にベーシストのニールス・ペデルセン始め同郷のジャズメン総勢で、Troubleという名義の一枚 'After The War' を吹き込みました。何とも不気味なジャケットは意味不明ですが、サウンドはそんなイメージを払拭する全編パワフルなジャズ・ロック。ボッチンスキーも 'アンプリファイ' したラッパで張り切りますが、本作は彼のディスコグラフィでもほとんど知られていないのではないでしょうか?







The Guerrilla Band / Hal Galper
Wild Bird / Hal Galper

イアン・カーとランディ・ブレッカーはこの時代を代表する 'マイルス・フォロワー' ではありますが、単なるコピーにはならない '電化ぶり' の完成度が高いなあ。そして、ジャズ・ロック初期の胎動を示すハル・ギャルパーのデビュー・アルバム&セカンド・アルバム!ここでの注目は活動初期のブレッカー兄弟でして、特にザ・ブレッカー・ブラザーズ以前の荒く試行錯誤していたプレイ時期の貴重なもの。特にランディ・ブレッカーがまだマイルス・デイビスの影響下による 'アンプリファイ' でワウペダルの咆哮を堪能できる二枚、必聴なり。



そしてコリエル繋がりで1978年、マイルス・デイビス隠遁中の幻のセッションもどうぞ。メンツにコリエルと共にプーさんこと菊地雅章もキーボードで参加し、コリエルの奥さんのジュリーがデイビスのラッパを密かに持ってきていたそうですが、結局はオルガンで要所ごとにサインを送るのみで、逆にコリエルのワウの効いたギターがデイビスのラッパを代弁しているようにも聴こえます。まだまだ 'エレクトリック・マイルス' 期の混沌とした世界観は引きずりつつ、ピート・コージーに比べるとかなり理知的なソロで洗練された印象がありますねえ。プーさんはここでの経験があの名盤 'ススト' に行き着いたのかと思うと興味深い!先月、ラリー・コリエルは冥界へ旅立たれたそうで 'トリビュート' の意も込めて - R.I.P.。

しかしこのPiezo Barrelピックアップ。わたしに経営の手腕、そしてマウスピースへの加工技術の腕があればコイツを日本代理店として広めたいなあ。春は花粉症の悩み・・だけではないようです、うう。

0 件のコメント:

コメントを投稿