2017年9月2日土曜日

'Against The Clock' の休日

ヒマなときについつい見てしまう 'Against The Clock' 。ひとり10分前後の制作時間を決めてその場で音作り、もしくは何らかの機材を用いたパフォーマンスをお披露目するというもの。ここ最近は、あまりにアマチュア過ぎたりクスリでラリって何を言っているのかよく分かんないヤツが登場したことで、その動画の大半に '最低、ゴミ' の評価を付けられることが多かった気がします(苦笑)。そんな中でもお気に入りの動画を少しご紹介。



もう、これは典型的DAWによる 'ベッドルーム・テクノ' 世代の作り方ですね。Fractureなる方がレコード屋でネタを探すところからもう、気分がウキウキしてくる!やっぱりサンプリング・ミュージックってここから始まるんだよなあ、などと思いながら、細かなブレイクを抜き出してストレッチして、あっという間にダブ・ステップ風のトラック完成。



これは 'Against The Clock' ではなく、Electron公式の動画なんだけど格好良いのでご紹介。とにかく '難易度の高い' 機器のトップに位置するのがこのElektron Octatrack DPS-1。8トラックを備えたループ・メイン、ストレッチ可能のループ・サンプラーながら、そのサンプルの多彩な加工、複数の機能をそれぞれのパラメータで共用する為に、とにかく把握しずらい構造から非常に挫折率の高いマシーンでございます。モジュラーシンセなどの連中がリアルタイムでシーケンスに反映させやすい為に愛用しているようですけど、この動画ではそのループ・サンプラーの機能を用いてレコードのネタ、スクラッチをMIDIコントローラーでどんどんオーバーダブしてはさらにグラニュラー・シンセシスで弄るなど、使いこなせたら素晴らしいパフォーマンスを展開できるでしょうね。







このようなテクノに特化した 'グルーヴギア' 中心のミニマル・ダブのパフォーマンスも非常に多い。とにかく膨大な 'ガジェット' に囲まれているというか、それは、昨日書いた '夏の終わりにミニマル・ダブ' を見て頂いてもよく分かると思います。やはり 'ループ' という反復の中でいかに展開を作れるかがカギでしょうね。







リアルタイム・パフォーマンスではモジュラーシンセ派も参戦しているんだけど、この冴えない 'シンセオタク' な感じの人の動画は素晴らしい。というか、とにかく音作りが早く、刻々と動くシーケンスとグルーヴを掌握しているのは凄いですね。何かケーブルまみれで壁のようなモジュラーシンセを誇っている人で、実は大したことをやっていないという動画も多いので・・。一番下は 'Electronic Beats .TV' で、ここ近年増殖している 'モジュラーシンセ' ユーザーのご紹介。







おお、何だかこの人なりの 'アフロ・ポップ' というか、ループ・メインのブレイクビーツや '4つ打ち' ばかりに耳が慣らされた身には新鮮ですねえ。Pioneer DJの 'グルーヴギア' であるToraiz SP-16を制作で使う人を初めて見た(笑)。NGHT DRPSは完全なるダブステップでロービット系のシンセ・フレイズからウォブルなベースラインが決まった時点で、メチャクチャ早くトラックが組みあがったなあ。そして、'葉っぱ' 吸っててもちゃんと作るヤツは作るということで(笑)、この 'Noah Breakfast' なる集団?の '一筆書き' 的なダビーなトラックは格好良いですね。







フライング・ロータスら 'LAビート' のシーンから登場したトラックメイカー、MNDSGN(マインドデザイン)と南ロンドン出身のトラックメイカー、Hector Plimmer。最後のJon PhonicsはAkai Professional MPC 1000をベースに細かい 'オカズ' と共にちゃんとビートだけで楽曲が成立しているところが素晴らしい。シンプルに、しかしJディラやフライング・ロータス、アフロビートなどに通ずる脱臼したビートを決して大げさな '上モノ' に頼らず追求する姿勢は、日本のリョウ・アライさんもそうだけど、こういう人たちこそ 'ビート職人' と呼びたい。







その一方で、こういった原点回帰というべき男らしいパフォーマンスもグッド。1987年に発売され、現在では完全にロースペックな機器となってしまったE-Mu SP-1200。オールドスクール・ヒップホップのマーリー・マールにより、本機でしか生成できないブレイクビーツの質感を取り出す象徴的存在と言っても過言ではないですね。モノラルで10秒のサンプリング・タイムしかない中で、33回転のレコードを45回転で取り込み、それを各々8つのパッドに振り分けて、ピッチスライダーでテンポを変更するとアナログ盤自体の質感と12ビットというロービットなスペックが '化学反応' を起こし、ジャリッとした 'ローファイ' における新たな価値観を産み落としました。そしていま、'ワーク・ステーション' の最も新しいカタチとして狭い 'ベッドルーム' に帰ってきたAkai Professional MPC X。



こちらもついつい見てしまうヒップ・ホップのトラックメイク中心な 'Rhythm Roulette'。目隠しで3枚のレコードを掘り当て、そこからネタを取り出してトラックを制作していきます。Ski Beatzは1990年代後半にJay-Zの 'Dead Presidents' やCamp Loのアルバム 'Uptown Saturday Night' などを手がけた敏腕プロデューサー。ここでの制作のメインは今やスタンダードな機器といえるNative Instruments Machine Studio。これはAbleton Liveと並んで今や 'ベッドルーム・テクノ' 世代のスタンダードと言っていいでしょう。

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