2016年11月2日水曜日

ブレイクビーツの教科書

ファンク以降、ヒップ・ホップにおけるブレイクビーツ以降、ドラムンベースからダブステップにおける細分化したビートとベースの過剰性以降などなど、ここ近年のドラムスとベースを中心としたグルーヴの中毒性というのは無視できないものだと思いますそこで、ここでは ‘ブレイクビーツ的価値観に貫かれたものを個人的趣向でご紹介します。現在では、コンピュータやサンプラーでトラックを作ってみたいという場合、まずはドスッと重心の低いザラついたドラムスがないと話になりません。既成のレコードやドラムマシン、机や金物でも叩いて鳴らしたものをサンプリングするなどして、簡単な2小節のフレイズを組み立てていくところから始まるこのビートの過剰性。ここではファンクの拡大解釈として、グルーヴの形成に実は大きく貢献する '質感' に特徴のあるものを中心にセレクトしました。アレのどこがファンクなの?コレはさすがに違うだろ、といろいろな意見はあるかもしれませんが、わたしの中ではすべて一本の幹として繋がっております。



1990年代後半にJay-Zの 'Dead Presidents' やCamp Loのアルバム 'Uptown Saturday Night' などを手がけたヒップ・ホップ・プロデューサー、Ski Beatzが Youtube名物の 'Rhythm Roulette' に参加して 'サンプル' から強烈なビーツを生み出します。'打ち込み' で使うのは今やスタンダードな機器といえるNative InstrumentsのMachine Studio。



⚫︎Funky Drummer (edit) / James Brown

まずはやはりお出で頂きましょう、'Master of Funk' ことジェイムズ・ブラウン。1969年の地味なシングル 'Funky Drummer' から1分弱に満たないドラムブレイクの部分を延々ループして、さあヒップ・ホップのガキども、コイツでいかしたトラックを作ってみやがれ!と御大は挑発します。代表的なのはパブリック・エネミーの 'Fight The Power' ですね。





⚫︎The Twang Thang / Billy Butler
⚫︎Blow for The Crossing / Billy Butler

1990年代に盛り上がった '発掘ブーム' ともいうべきレア・グルーヴ/アシッド・ジャズのムーヴメントは、いわゆるB級ジャズ・ファンクやラテン、ブラジリアン・ミュージックに映画のサントラからグルーヴィな 'ブレイク' を抜き出すことに皆、熱中しました。1994年登場のAkai Proffeionalによる卓上サンプラーMPC 3000は、それこそ四畳半の一室がそのまま小さな 'スタジオ' として世界の市場と直結するきっかけを作ります。エキゾティカの大家として名を馳せた作曲家レス・バクスターが手がけた映画 'Hells Bells' のOSTから 'Hot Wind'、グランドマスター・フラッシュも '2枚使い' したジ・インクレディブル・ボンゴ・バンドの 'Apache' などがブレイク好きには有名ですが、個人的に好きだったのは、ジャズの名門レーベルPrestigeに2枚残したB級ジャズ・ギタリストのビリー・バトラー。時代的に8ビートのブーガルーを乱発していた頃だけに、ここでの 'キラーチューン' ともいうべきスモーキーなドラムスは最高ですね。



⚫︎Blackboard Jungle Dub / Lee Perry & The Upsetters

ジャマイカで生まれたレゲエとその副産物であるダブ。特に、ここ20年近く音楽の主導権を握ってきたビート・シーンの中でこのダブの提示する '換骨奪胎' したリズム構造の解体プロセスは、あらゆる血脈として流れております。ここでは 'ダブの巨匠' である2人の共同作業として、リー・ペリーとキング・タビーが創造する質感’ を堪能して頂きたいですね。このざらざらしたドラムスとベースのコンビネーションによるぶっとさ、いろいろと参考になります。



⚫︎Tomorrow / Akeeb ‘Blackman’ Kareem & his Super Black Borgs

ファンクの影響力は大西洋を渡り、遠くアフリカの地でも広く感染することとなります。以前はフェラ・クティのアフロビートくらいしか耳にすることはありませんでしたが、近年のレア・グルーヴ発掘により、相当マニアックなアフロ・バンドの音を耳にすることができます。このブラックマンことアキーブ・カリームが繰り出すだまし絵のようなアフロ・ポリリズムは、単なるファンクを超えたビートの可能性という点でこれからの音楽を予兆させるものと言っていいでしょう。



⚫︎Ashley's Roachclip / The Soul Searchers

'ワシントン・ゴーゴー' の開祖としてその名が知られるチャック・ブラウンですが、1970年代のファンク全盛期にはこんなアフロ志向なジャズ・ファンクをやっておりました。しかし、1980年代後半に世界へ飛び出したSoul Ⅱ Soulの 'グラウンドビート' の元ネタとして、このB級レア・グルーヴは大きな注目を集めます。イントロのアフロっぽいホーンの導入部から一転、 'ブラックスプロイテーション' 映画風ファンクのスタイルを展開しながら、決して熱くならないベースとドラムスの '体温低い' 感じ、コレが結構今っぽいんですよね。



⚫︎Riot in Lagos / Ryuichi Sakamoto

生身のファンクは1970年代後半のニューウェイヴとデジタル・シーケンサーRoland MC-8の登場により、'マシーン' による新たな身体性を獲得します。1982年のアフリカ・バンバータによるRoland TR-808を用いた 'Planet Rock' と並び、現在の 'ベッドルーム・テクノ' 世代への 'Anthem' として君臨する坂本龍一さんの 'Riot in Lagos'。UKダブの巨匠、デニス・ボーヴェルのダブ・ミックスを中心にXTCのアンディ・パートリッジやグンジョーガクレヨンの組原正さんのギターの 'サンプル' などが、Sequential Prophet 5による緻密なプログラミングとリアルタイム・ミックスの見事な出会いとして 'ベッドルーム・テクノ' 興隆を予兆します。



⚫︎Ni Ten Ichi Ryu / Photek

1990年代後半に盛り上がったドラムンベースは、緻密にバラされたブレイクビーツをBPM170近くまでストレッチしたものと、スロウに地を這う無調のベースラインからなる '二層的' な構造でひとつのグルーヴを生み出したことが新しかった。その中でもストイックにブレイクビーツの緻密な展開にこだわった音作りをしていたのがフォーテックことルパート・パークスです。シングル 'Ni Ten Ichi Ryu' は、宮本武蔵の '二天一流' をテーマに黒澤明の映画などからのインスパイアを通じて、'Protools' 前夜における 'サンプル' とMIDIレコーディングの極北ともいうべきグルーヴの妙を堪能して頂きたい!





⚫︎Beat Bracelet / Riow Arai
⚫︎Device People / Riow Arai

そんな '和の緻密性' を体現した存在として、ここ日本から 'ビート・マエストロ' の異名を持つリョウ・アライさんの音作りはやはり驚異的でしたね。単純なループ・メインでしかなかったトリップ・ホップの時代から比べて、相当に緻密な 'サンプル・チョップ' による編集作業を、コンピュータからSCSI転送された 'サンプル' をAkai Proffesional S3000XL→E-Mu SP-1200→Ensoniq ASR-10Rというハードウェア・サンプラーを経て磨き上げていく職人技は凄いのひと言(各サンプラーのメモリー容量考えたら気が遠くなります・・)。ビートだけでここまで聴かせてしまうのは滅多にないですね。





⚫︎Los Angels / Flying Lotus

そして、ヒップ・ホップの異質ビート・メイカーでありながら夭折したJ.Dillaの衣鉢を受け継ぎ、独自のスタイルとして進化させたフライング・ロータスことスティーヴン・エリソン。このつんのめる感じというか、ダブステップなども通過しながらある種マイルス・デイビスの 'On The Corner' 的でもあり、生身のようで機械でしか表現できないグルーヴの大半を担うのは 'サンプル' とPropellerhead Reasonです。J.Dilla直系ともいうべき不規則な '脱臼感覚' が独特のノリを展開します。





⚫︎Pen Expers / Autechre
⚫︎Hetkonen / Vladislav Delay

エレクトロニカ以降、オウテカなどによりCycling 74 MAX/Mspを用いてコンピュータ上で痙攣したようなビートを作り出す世代が登場した2000年以降のビート・シーン。その中でオウテカ2001年の傑作 'Confield' が牽引するエレクトロニカの流れは押さえておかなければなりません。そして、ベイシック・チャンネルの 'ミニマル・ダブ' に触発されたのがフィンランドの鬼才、ヴラディスラヴ・ディレイ。この 'Hetkonen' のようなグルーヴもわたしにとってはブレイクビーツの変異系と感じ取れるんですよね。

それぞれが個別のスタイルとするこれら一連の '並び' は、しかし、わたしの 'ドラム・ブレイクス好き' な志向をくすぐる共通した '匂い' を感じてしまいます。やっぱりどれもゾクゾクするほど格好いいな。


2016年11月1日火曜日

デレク・フリントという男

いまでは、ほとんど冗談のような扱いとなってしまいましたが、東西冷戦の激しい情報戦真っ只中の1960年代は、スパイを主人公とする映画が目白押しでした。代表的なのがジェームズ・ボンドの ‘007’ シリーズであり、世界を股にかけながら悪の組織と闘い、世界最高の美女たちを虜にしていくその姿は世の羨望を受けます。



1966年に公開された電撃フリント Go-Go 作戦は、そんなジェームズ・ボンドに対するハリウッドからの反撃であり ’007’ の二番煎じというイメージが強いですが、いまならマイク・マイヤーズ主演の映画オースティン・パワーズの元ネタと言った方が通じるでしょうね。ジェームズ・コバーンを主人公に、何から何までボンドの上を行くスペックを有しながら、むしろその完璧さが、次作電撃フリント アタック作戦の二作のみで終わってしまったことを裏付けます。’007’よりユニークな笑いを提供しながらも、しかし、ボンドの魅力が完璧ではないところこそ世の女性たちの魅力に映ったことを、どうやらハリウッドは理解していなかったのかもしれません。それでも ’007’ 以上に時代の通俗性が高いフリントのビザール感は、何度見直してみても飽きることがないですね。実際、この映画の ‘007’ に対するライバル心はかなりのものがあり、’Go-Go 作戦では、フリントとコンタクトを取る情報員がショーン・コネリーと顔がそっくりの ‘008’ で、しかもその ‘008’ と格闘シーンまであります。また、組織が用意する秘密道具のすべてを用無しと一蹴(その中にはボンドの愛銃ワルサーPPKまである!)、そして特注の時計と共に黄金に輝く特注のライターを取り出し、コイツには82通りの使い方がある、あ、ライターとしての機能も含むなら83通りかな、などと嫌味な目線で常に上回ろうとするのです。このフリントの嫌味な目線はそこかしこに登場し、訪ねてくる相手に対し、あらゆる武芸に長けた姿を見せ付け、イルカと会話を交わし翻訳辞書を作成中だ、などとのたまわり、またチラッと時計を見ては、おっとモスクワ時間だったなどと忙しいアピールも欠かさない(なんとバレエのコレオグラファーとして冷戦中のモスクワへ頻繁に通っている)。さらに、5人からなる美女の秘書たちに囲まれて暮らすハーレムぶり。しかも次作アタック作戦では、最初の秘書たちは皆寿退社してニューフェイスになりました、今度の新顔はどうですか?って・・よほど時給が良いのか、フリーランサーで活動するこの男の本業はいったい何なのかと訝しんでしまうほど。ともかく24時間完璧なジェントルマンというべきデレク・フリントの博識ぶりは、ある意味、凄さを通り越して笑いに変わっているのだけど、それは、世の女性たちにとり ‘007’ に比べてどこか白けたものがあったのだと思うのです。ボンドが常にMI6と連絡を取りながら、共同で任務を遂行するのに対し、フリントは自家用機に乗って勝手気まま、救急隊員も真っ青の心肺停止な人間を電灯から帯電して蘇生させる、連絡のコードはわたしが慣れているものを使うと一方的な発信のみ、おまけにグルメで、探しているブイヤベースの味はもちろん、怪しげなコールドクリームの成分を調べては、それがどこの産地なのかまで突き止めてしまうのだから・・そう、独善的でほとんど他人の出る幕がないのです。博識ゆえに他者を必要としないオタク気質、女性の立場も ‘007’ に比べれば従属的扱いに終始し、案外と付き合ってみたらつまらない男だと世の女性たちから見抜かれていたのかもしれません。



さて、そんなフリントですが、作品としては一作目がなかなか、二作目は少し脚本の質が落ちているように思います。一作目の ‘Go-Go作戦は、世界の気象をコントロールできる技術を持った科学者たちの組織が世界征服を目指し、その組織をフリントが潰しに行くというもの。映画の冒頭から空手をするフリントが登場し、また、美女の秘書の中に日本人がいることなど、これは、日本を舞台にしたボンドの ‘007は二度死ぬを先取った東洋趣味でしょう。 ちなみに、コバーンのアクションを演出したのは、コバーンと懇意の仲であった下積み時代のブルース・リーです。二作目のアタック作戦 は、女性が野蛮な男性たちから権力を奪取し、世界を平和に征服するのだという野望を抱きながら、しかし、結局は共闘していた別の組織に乗っ取られて、フリントと共にその組織を壊滅させるべく共同戦線を張り、ああ、やっぱりフリントって素敵というオチに持っていきます。当時、盛り上がり始めていたウーマンリブ運動を下敷きにした感が強く、最後は宇宙にまで舞台を移すところには、この映画の2年後に、アポロが月へ有人飛行することがアナウンスされていたことと関係があるでしょうね。また、無重力の宇宙船の中で美女が宇宙服を脱ぐ演出は、翌年のジェーン・フォンダ主演のSF映画バーバレラを先取っています。





フリントにはいくつかの見どころがありますが、‘Go-Go作戦で乗り込んでいく悪の組織のある島での、怪しげなマインド・コントロールで組織の人間を洗脳していく演出はビザール感満載でワクワクします。クルクルと回る円盤にはサイケデリックなペイントが施され、当時最先端の流行を洗脳幻覚というかたちで一早く取り入れているのはさすが!また、ゴーゴーを踊るダンスフロアーからエスキモーの世界に古代エジプトの世界、ドライブンイン・シアターなど、あらゆる世界を飛び越していく安っぽい演出にも、ある種のサイケデリックな感覚を盛り込んでいるように思えます。そして、ニューヨークの高級クラブでラテン・ジャズを演奏する箱バンをバックに、優雅な夜の社交場の演出も60sの世界たっぷりでたまりません。



次作のアタック作戦は、何といっても冒頭の女性たちによる楽園の演出が素晴し過ぎ。たぶん、アメリカ人のリゾート地ともいうべきバハマ辺りで撮っているのでしょうが、この永遠に続くような南海の楽園で美を謳歌する世界こそ、現実逃避の商品を創造するアメリカのエンターテインメント全体を象徴しているように思います(実際、冒頭のパーマ機はテープ・レコーダー内蔵の '洗脳ヘアドライヤー' なのだ )。1967年といえばベトナム戦争は泥沼化し、世界各地で反戦運動と学生運動が狼煙を上げ、ジミ・ヘンドリクスのフィードバックノイズは世界の混沌を代弁し、アメリカの若者は髪と髭を伸ばし、社会の規範からドロップアウトして幻覚に塗れながらゴーウェストの旅に出かける季節。これは圧倒的な現実を前にし、それぞれの現実逃避がアメリカの享楽的なエンターテインメントの終焉に立ち会っているところで、改めて電撃フリント有終の美を皮肉にも際立たせている結果と言っていいでしょうね。それは、ドライブンイン・シアターでデートの慰み物として乱発されていたロジャー・コーマン制作によるAIPの低予算映画が、時代の流行と呼応するようにLSD映画やバイカーズ映画を製作し、インディペンデントとして若者たちの声に耳を傾けようとする姿と比べると実に対照的。つまりフリントの全能感は、ドロップアウトしてコミューン的共同体を志向するヒッピーイズムのとは真逆を行くものであり、約束されたシナリオにそって映画のセットを渡り歩くもの、ひいては、世界の警察たらんとするアメリカの境界を拡張した眼差しから世界を眺めることにほかなりません。オイディプスとしての家父長的アメリカを否定し、自由を獲得しようとしたキャプテン・アメリカがイージー・ライダーで粉砕された後に、銃で自衛する権利を主張するダーティーハリーの世界がやってくると述べるのは、少々先走り過ぎかもしれませんが、あながち間違ってもいないと思うのです。俺たちに明日はないのボニー&クライドも明日に向かって撃て!のブッチ・キャシディ&サンダンス・キッドも皆、破滅に向かって走り出すことを欲望し、ジミ・ヘンドリクスはアメリカ国歌をフィードバックノイズでズタズタに引き裂いたのが1960年代の結末。そう、パーティーは終わったのです。



In Like Flint / Our Man Flint -Original Motion Picture Soundtracks- (Rambling 2014)
In Like Flint / Our Man Flint -Original Motion Picture Score- (Intrada 2014)

さて、もちろんフリントの素晴らしさは映画だけではなく音楽にもあります。’007’ の映画音楽がジョン・バリーなら、こちらはジェリー・ゴールドスミスだ。ハリウッド映画も、ジョン・ウィリアムズを最後に豪華なオーケストレーションのスコアを耳にしなくなってしまったのは残念ですが、1960年代はまだ映画がエンターテインメントの花形だったことをこのフリントは証明します。シャーリー・バッシーが歌うゴールドフィンガーに代表されるゴージャスな ‘007’ のスコアに対し、フリントはより通俗的な時代感覚と共にスパイ映画のムードを高める効果を発揮しました。現在入手できるフリント のサウンドトラックは2種類あり、ひとつは1998年にVareseからリリースされた ‘Go-Go 作戦アタック作戦をカップリングしたもので、こちらは実際に映画の中で使われた音源を集め、2014年にはさらに、DSDリマスタリングされたものがRambling Recordsからリリースされました。全28曲収録。もうひとつは、こちらも2014年にIntradaからようやくCD化されたもので、これは、映画公開当時に発売された ‘Original Motion Picture Score’ 2枚のアルバムが原盤であり、実際の映画で使われたものとは違うアレンジが施されたアルバムのみのもの。全22曲収録。タイトル、ジャケット共によく似た2枚のCDですので購入の際はご注意あれ。





Our Man Flute / Herbie Mann  (Atlantic 1966)
Come Spy with Us - V.A.  (Ace 2014)
Come Spy with Me / Hugo Montenegro and his Orchestra  (RCA 1966)

ここからは電撃フリント Go-Go作戦のカバーについてご紹介。まずはジャズ・フルートの何でも屋さんともいうべきハービー・マンの ’Our Man Flint’ ならぬ ‘Our Man Flute’。とにかく流行りものには目がないというか、思いっきりオヤジギャク的タイトルが笑えますが、ジャケットもフルートをライフルになぞらえて狙撃さながらにフルートで撃つという・・凄いセンス。もうひとつは作曲家のウーゴ・モンテネグロによるスパイ映画のカバー集 ‘Come Spy with Me’。モンド・ミュージックの再評価でこのひとのモーグ・シンセサイザーをフィーチュアした ‘Moog Power’ というアルバムが取り上げられたことから、巷でその名前を聞くことが多くなりました。本作は伝統的な管弦楽によるオーケストレーションで、’Our Man Flint’ を始め、’007’ はもちろん 60’sなスパイ映画のテーマ曲ばかりを抽出しており楽しめます。さて、上の動画は名門Philipsからペルー産のバンド、Los Blue Splendorによるいかにもな60’sカバー ‘Ritmo A Go-Go’ からのもの。チープなコンボ・オルガンがたまりません。そして、UKの再発レーベルAceからのコンピレーション ‘Come Spy with Us’ は、その名の通りこれまたスパイ映画のカバー集。こちらはビリー・ストレインジによる ‘Our Man Flint’ が良いです。この中からどれか一枚となれば、1960年代のスパイ映画のテーマ曲を取り上げたウーゴ・モンテネグロの ‘Come Spy with Me’ が楽しめます。収録されている60年代スパイ映画のテーマ曲は秘密諜報員アイ・スパイのテーマ’FBIのテーマサンダーボール作戦サイレンサー(沈黙部隊)’それ行けスマートカム・スパイ・ウィズ・ミー’007のテーマ・ゴールドフィンガー寒い国から帰ったスパイ電撃フリントGo-Go作戦ジェームズ・ボンドのテーマの全11曲。え?ハービー・マンとウーゴ・モンテネグロ版の動画がここにない?それは買うかYoutubeの方でご視聴下さいということです・・。



こちらはオマケ。ジャズ・オルガンの巨匠、ジミー・スミスが1966年に手がけたスパイ映画 'Where The Spies Are' のテーマ曲(上で紹介したAceのコンピ 'Come Spy with Us' にも収録されております)。日本では 'スパイがいっぱい' という邦題が付けられており、オリヴァー・ネルソンをアレンジャーにいかにも60'sなセンスでスパイ映画のムードを盛り上げます。大抵、この時代のスパイ映画は '007' シリーズとラロ・シフリンの手がけた 'スパイ大作戦' の音楽を下敷きにしてアレンジされているものが多いですね。



ちなみに、どうでもよいようでどうでもよくないことかもしれませんが、Strymonのエフェクターにトレモロ&リヴァーブのその名もずばり 'Flint' というのがあります。本機は1960年代の古臭い 'トレモロ・アンプ' の質感をシミュレートしたものなんですが、確かにスパイ映画のサントラに象徴されるゆらゆらとトレモロの効いたギターってこんな音ですよね。そう考えるとう〜ん、見事なネーミング・センスかも(あえて 'Bond' としなかったところもセンス良し!)。

ジェームズ・コバーンよ、永遠なれ!