もう、これは典型的DAWによる 'ベッドルーム・テクノ' 世代の作り方ですね。Fractureなる方がレコード屋でネタを探すところからもう、気分がウキウキしてくる!やっぱりサンプリング・ミュージックってここから始まるんだよなあ、などと思いながら、細かなブレイクを抜き出してストレッチして、あっという間にダブ・ステップ風のトラック完成。
これは 'Against The Clock' ではなく、Electron公式の動画なんだけど格好良いのでご紹介。とにかく '難易度の高い' 機器のトップに位置するのがこのElektron Octatrack DPS-1。8トラックを備えたループ・メイン、ストレッチ可能のループ・サンプラーながら、そのサンプルの多彩な加工、複数の機能をそれぞれのパラメータで共用する為に、とにかく把握しずらい構造から非常に挫折率の高いマシーンでございます。モジュラーシンセなどの連中がリアルタイムでシーケンスに反映させやすい為に愛用しているようですけど、この動画ではそのループ・サンプラーの機能を用いてレコードのネタ、スクラッチをMIDIコントローラーでどんどんオーバーダブしてはさらにグラニュラー・シンセシスで弄るなど、使いこなせたら素晴らしいパフォーマンスを展開できるでしょうね。
このようなテクノに特化した 'グルーヴギア' 中心のミニマル・ダブのパフォーマンスも非常に多い。とにかく膨大な 'ガジェット' に囲まれているというか、それは、昨日書いた '夏の終わりにミニマル・ダブ' を見て頂いてもよく分かると思います。やはり 'ループ' という反復の中でいかに展開を作れるかがカギでしょうね。
リアルタイム・パフォーマンスではモジュラーシンセ派も参戦しているんだけど、この冴えない 'シンセオタク' な感じの人の動画は素晴らしい。というか、とにかく音作りが早く、刻々と動くシーケンスとグルーヴを掌握しているのは凄いですね。何かケーブルまみれで壁のようなモジュラーシンセを誇っている人で、実は大したことをやっていないという動画も多いので・・。一番下は 'Electronic Beats .TV' で、ここ近年増殖している 'モジュラーシンセ' ユーザーのご紹介。
フライング・ロータスら 'LAビート' のシーンから登場したトラックメイカー、MNDSGN(マインドデザイン)と南ロンドン出身のトラックメイカー、Hector Plimmer。最後のJon PhonicsはAkai Professional MPC 1000をベースに細かい 'オカズ' と共にちゃんとビートだけで楽曲が成立しているところが素晴らしい。シンプルに、しかしJディラやフライング・ロータス、アフロビートなどに通ずる脱臼したビートを決して大げさな '上モノ' に頼らず追求する姿勢は、日本のリョウ・アライさんもそうだけど、こういう人たちこそ 'ビート職人' と呼びたい。
その一方で、こういった原点回帰というべき男らしいパフォーマンスもグッド。1987年に発売され、現在では完全にロースペックな機器となってしまったE-Mu SP-1200。オールドスクール・ヒップホップのマーリー・マールにより、本機でしか生成できないブレイクビーツの質感を取り出す象徴的存在と言っても過言ではないですね。モノラルで10秒のサンプリング・タイムしかない中で、33回転のレコードを45回転で取り込み、それを各々8つのパッドに振り分けて、ピッチスライダーでテンポを変更するとアナログ盤自体の質感と12ビットというロービットなスペックが '化学反応' を起こし、ジャリッとした 'ローファイ' における新たな価値観を産み落としました。そしていま、'ワーク・ステーション' の最も新しいカタチとして狭い 'ベッドルーム' に帰ってきたAkai Professional MPC X。
こちらもついつい見てしまうヒップ・ホップのトラックメイク中心な 'Rhythm Roulette'。目隠しで3枚のレコードを掘り当て、そこからネタを取り出してトラックを制作していきます。Ski Beatzは1990年代後半にJay-Zの 'Dead Presidents' やCamp Loのアルバム 'Uptown Saturday Night' などを手がけた敏腕プロデューサー。ここでの制作のメインは今やスタンダードな機器といえるNative Instruments Machine Studio。これはAbleton Liveと並んで今や 'ベッドルーム・テクノ' 世代のスタンダードと言っていいでしょう。
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