最近のラッパ吹きは良い意味で、フツーにテクノロジーと伝統的なバップの境界を '越境' するアプローチを軽やかに取っていきます。
イスラエル出身の '豪腕' ラッパ吹き、アヴィシャイ・コーエン(同姓同名のベーシストとは別人ですヨ)も2014年のアルバム 'Dark Nights' でトランペットにエフェクターを導入しました。クォン・ヴーと同じトリオ編成でもその '色合い' はかなり違うのが面白いところです。下の動画は、これまた大量にエフェクターを用いるギタリスト、カート・ローゼンウィンケルとのライヴ。ローゼンウィンケルのMIDIでトリガーしていると思しき 'ギター・シンセサイザー' 的トーンと、コーエンのワウのかかったショート・ディレイによる柔らかいトーンのアンサンブルが良いですね。
こちらはクォン・ヴーを含むグループによるライヴですが、おお、以前にご紹介した 'エレクトリック・バスーン' のPaul Hansonさんと一緒にやっていますね。ラッパとバスーンの 'アンプリファイ' による二管編成が格好いいなあ。
もちろん、ジャズを根底に置いているラッパ吹きにとって、エレクトロニクスを扱う '手さばき' はまだまだ保守的で注意深いものなのですが、コンパクト・エフェクターという分野から見ればいろんな意味でワクワクさせてくれます。楽器本体に比べ、比較的手の出しやすい価格設定が具体的な好奇心を刺激し、また、限定された ‘ハコ’ の中で単純なものから複雑なものまで網羅した設計思想が、そのまま大手メーカーからガレージ・メーカーに至るまで参入できる市場を形成しています。ここ近年は、まさに ‘コンパクト’ という名の可搬性を突き詰めたような製品が多くリリースされていますが、やはり、この手の分野にある ‘ワクワク感’ を刺激するのはその ‘得体の知れないブツ’ の魅力にあります。つまり、実際に手に取ってみるまでは分からないけど惹き付けられてしまう ‘見た目’ ですね。それもギターではなく管楽器でアプローチしてしまうとすれば・・いったいどんなサウンドを生成するのか。ここでは、そんな刺激的で未知なるエフェクターをいくつかご紹介してみたいと思います。以前の ‘コンパクト・エフェクター ‘覚え書き’’ では満足できなかった御仁、挑んでみませんか? ここではすでに評価のある定番 '飛び道具' より、未だ管楽器では手付かずな未知なる物体への ‘招待状’ をテーマにしたいと思います。
イスラエル出身の '豪腕' ラッパ吹き、アヴィシャイ・コーエン(同姓同名のベーシストとは別人ですヨ)も2014年のアルバム 'Dark Nights' でトランペットにエフェクターを導入しました。クォン・ヴーと同じトリオ編成でもその '色合い' はかなり違うのが面白いところです。下の動画は、これまた大量にエフェクターを用いるギタリスト、カート・ローゼンウィンケルとのライヴ。ローゼンウィンケルのMIDIでトリガーしていると思しき 'ギター・シンセサイザー' 的トーンと、コーエンのワウのかかったショート・ディレイによる柔らかいトーンのアンサンブルが良いですね。
こちらはクォン・ヴーを含むグループによるライヴですが、おお、以前にご紹介した 'エレクトリック・バスーン' のPaul Hansonさんと一緒にやっていますね。ラッパとバスーンの 'アンプリファイ' による二管編成が格好いいなあ。
もちろん、ジャズを根底に置いているラッパ吹きにとって、エレクトロニクスを扱う '手さばき' はまだまだ保守的で注意深いものなのですが、コンパクト・エフェクターという分野から見ればいろんな意味でワクワクさせてくれます。楽器本体に比べ、比較的手の出しやすい価格設定が具体的な好奇心を刺激し、また、限定された ‘ハコ’ の中で単純なものから複雑なものまで網羅した設計思想が、そのまま大手メーカーからガレージ・メーカーに至るまで参入できる市場を形成しています。ここ近年は、まさに ‘コンパクト’ という名の可搬性を突き詰めたような製品が多くリリースされていますが、やはり、この手の分野にある ‘ワクワク感’ を刺激するのはその ‘得体の知れないブツ’ の魅力にあります。つまり、実際に手に取ってみるまでは分からないけど惹き付けられてしまう ‘見た目’ ですね。それもギターではなく管楽器でアプローチしてしまうとすれば・・いったいどんなサウンドを生成するのか。ここでは、そんな刺激的で未知なるエフェクターをいくつかご紹介してみたいと思います。以前の ‘コンパクト・エフェクター ‘覚え書き’’ では満足できなかった御仁、挑んでみませんか? ここではすでに評価のある定番 '飛び道具' より、未だ管楽器では手付かずな未知なる物体への ‘招待状’ をテーマにしたいと思います。
●WMD Geiger Counter
まっ黄色な筐体に赤い放射能マークで ‘放射能検知器’ って・・何とも恐ろしい雰囲気が漂っています。デジタルのカウンターがさらにその不気味さを強調しますが、その中身も完全にぶっ飛んだもの。ジャンルとしては ‘歪み系’ に括られますが、これはフィルターの ‘突然変異系’ といった方がしっくりきますね。1980年代の 'ファミコン' に代表される8ビット音源にあったような 'ビット・クラッシャー' 的質感で、本機はアナログ回路によるものながら全部で252種類の波形による組み合わせの ‘効果’ を発揮します。一応、各組み合わせの ‘参考セッティング’ を示した波形図が取説に用意されてはいるのですが、完全に予測不能な状態に陥ること間違いなし。逆に言えば決して飽きることはありません。
●MASF Pedals Raptio
●S3N Super Flutter V.2
今や、日本が世界に誇る ‘ノイズ・メーカー’ としてその存在を誇示するガレージ・メーカーであるMASF Pedalsの ‘グリッチ/スタッター系’ エフェクター。姉妹機として、完全にランダマイズなノイズを生成するPossessedというヤツもありますが、このRaptioはもう少しコントロールと多様性の効く応用型で、ブチブチにフレイズを千切る、もしくはホールド状態にしてシームレスにループする効果をモメンタリー・スイッチで直感的に操作できます。これはElectro-Harmonix FreezeやSuperegoなどと同種の機能ですね。ここではRaptioと同様な機能を持つ国産のガレージ・メーカーS3NのSuper Flutter V.2(現在生産未定)との比較動画です。ちなみに、この手の 'グリッチ/スタッター' 系エフェクターの注意点としては、ブツ切りする際のドッドッドッという 'トレモロ・ノイズ' や、モメンタリー・スイッチを踏んだ際のブツッというノイズが 'エレアコ' だとかなり耳につく場合があります。
●Boss SY-300 Guitar Synthesizer
本来、エフェクターによる表現力の究極な姿として登場した ‘ギター・シンセサイザー’ ですが、未だ技術的に完全ではない設計の限界ゆえに、実は ‘飛び道具’ エフェクターの仲間入りを果たしている稀有な存在であります。最初はPigtronix Mothershipをご紹介しましたが、もう少し進歩性とせっかく近藤等則さんも使い始めたということで、このSY-300に差し替えです。世界最初のギター・シンセサイザーであるRoland GR-500から40年ちょっと経ち、レイテンシー含めここまで '煮詰めてきた' のはさすがRolandの技術ですね。この手のマルチ・エフェクターは豊富に用意された音色のエディットに手こずるのですが、USBを通して専用のエディター・ソフトによりコンピュータで編集、管理できるのはまさに今の時代ならでは。
→Boss SY-300 Guitar Synthesizer
→Boss SY-300 Guitar Synthesizer
●Sherman Filterbank 2
きました!短い動画ですが、フィルターの ‘化け物’ にして、ほとんどモジュラー・シンセといっていいぶっ飛びエフェクターの王様、藤原大輔氏もご愛用のFilter Bank 2です。価格も凄いが、もっと凄いのはそのパラメータの中身。はっきり言って、ワケも分からず膨大なツマミやスイッチを弄っているだけでは、いつまで経っても目的のサウンドに到達することはありません。最低限の知識として、VCO、VCF、VCA、LFOといったシンセサイザーの知識は頭に叩き込んでおきましょう。下記のブログの方は基本的な部分をうまく説明してくれています。
→Sherman Filterbank 2
→Sherman Filterbank 2
●Korg Nuvibe
そして、モジュレーション系のエフェクターもご紹介したいのですが、これもフェイザーやフランジャーといった強烈に変調する機種(例えばMoogerfooger 12 Stage Phaser MF-103 やElectro-Harmonix Flanger Hoaxなど)を用いれば、ほとんど 'シンセ的な' トーンになってしまいます。しかしここでは、そんなモジュレーション系エフェクターの中でも極上のトーンを持つ日本が世界に誇る名機、Korg Nuvibeをお薦めします。コレを '飛び道具' と呼んでしまってよいのか悩みますが、上記動画を聴いてみてもお分かりの通り、まるで水中をゆらめくようなモジュレーションが聴こえてきませんか?1968年、GSブーム真っ只中の日本でHoneyという小さな会社からVibra Chorusという製品が発売されました。当時、日本は海外メーカーのOEMとして多くの製品の下請けを担っており、このVibra Chorusも製造元の新映電気が米国向けにUni-Vibeの名で輸出、その内の一台を手に取ったのがあのジミ・ヘンドリクスであったことから、現在まで伝説の名機として燦然とエフェクター史にその名を轟かせております。開発者は当時フリーの技術者で、現在はKorgの監査役でもある三枝文夫氏。Nuvibeはまさにオリジナルの設計者による完全監修でリメイクされた '21世紀のUni-Vibe' になります。
→Korg Nuvibe 1
→Korg Nuvibe 2
上記リンクで、オリジナル設計者とリメイク版設計者による '復刻' にあたっての苦闘話が述べられています。また、三枝氏による現在のエフェクターと音楽におけるクリエイトについての含蓄ある意見も素晴らしいですね。
伝説の 'ウッドストック' におけるジミ・ヘンドリクスと '紫のけむり'のパフォーマンス。足元に入手したばかりのグレーのボックスとペダル 'Uni-Vibe' が鎮座しておりますね。ファズで歪みながらドクドクと脈打つ強烈なモジュレーションこそ 'ジミの音' そのもの、そこに高度経済成長期の 'Made in Japan' が深く携わっているというだけでも胸が熱くなります。
どう使うの?どれが正しいの?いやいや、どう使っても正しいですしそこにあるのはセンスのみ、どう自分のモノにしていくのかがこの手の ‘飛び道具’ エフェクターの醍醐味なのです。オクターバーやワウ、ディレイなどと組み合わせることでいかようにも '化ける' ことができます。もしくは、この手の機器を効果的に使うポイントのひとつとして、そのまま入力してもコントロール不能で手が付けられない場合、パラレルで原音とミックスしてくれるループ・ブレンダーと組み合わせて使うと、意外にも ‘暴れ馬’ だったものを手懐けることができるようになります。あれこれ弄ってもうダメだ、と放棄する前に、ちょっと接続で一手間加えてみるのも有効ですね。
→One Control Mosquite Blender
→Dreadbox Cocktail
上の動画は、ギリシャのメーカーDreadboxのループ・ブレンダーCocktailを用いて、Z.VexのFuzz FactoryとDigitech Whammy、エレハモのリヴァーブCathedralをパラレル・ミックスで原音を '確保' した上でのミックス具合。
→Dreadbox Cocktail
上の動画は、ギリシャのメーカーDreadboxのループ・ブレンダーCocktailを用いて、Z.VexのFuzz FactoryとDigitech Whammy、エレハモのリヴァーブCathedralをパラレル・ミックスで原音を '確保' した上でのミックス具合。
こちらはEventide Pitchfactor、Electro-Harmonix FreezeとHoly Graill、MXR Carbon Copy そしてワウペダルのAMT WH-1 Japanese Girlによるサックスの '飛び道具' 的探求。特に、ドローン的効果を出すFreezeをループ状態にしながらワウやディレイで発振させるのが面白い。このような自由な発想でいろいろ繋いで試してみましょう。
→Toshinori Kondo 3D Sound Installation 1
→Toshinori Kondo 3D Sound Installation 2
おっと、我らがコンドーさんは先月末にこんな面白いイベントをやっていたんですねえ。タイトル通り、Vue Audiotechnik製のスピーカーを2基ひとつにしてステージ上と客席後方のL-R4台でぐるっと360度で挟み、さらにウーファーも設置しての8.2chによる3Dサラウンドでコンドーさんの世界を '夢宙' と称し体感させてくれるとは・・行きたかった。コンドーさん、新たにループ・サンプラーのBoss RC-30 Loop StationとSY-300 Guitar Synthsizerを試していますね。
イベントのタイトルが '夢宙' ということは、1996年にDJクラッシュと一緒に作ったアンビエント全開の1曲 '夢宙' もやったのでしょうか?これを360度のフルレンジ・スピーカーから浴びるなんて・・最高過ぎる!
ああ、ラッパを電気コンセントに突っ込んだ世界は果てしなく広い・・のかもしれない。
出でよ、イノベイター!