待てど暮らせどそんな簡単にFlame Electronic Music InstrumentsのレアなMIDI-Talking Synthが市場に現れることはないので(汗)、ついにというか、極小サイズではありますが 'ユーロラック・モジュラーシンセ' に手を出してしまいました...。ああ、ついに買ってしまった...いや、ハマっちゃダメだ、ハマったらヤバイ、あくまで 'スピーチシンセ' が使いたく揃えたのであって、こっから先は絶対にその沼にはハマらない...ゾ!?(苦笑)。
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ちょうど運良く 'ユーロラック版' のTalking Synth入手が叶ったことから、この 'スピーチシンセ' を発音させるべくシーケンサーをベースにした最少サイズのモジュラーシステムを思案する...。'ユーロラック' は全くの門外漢なのでそれこそペダル・エフェクターとはまた違う実に奥行きの深い世界があり、これまた大手から限定モジュールにプレミアの付く個人製作モノまで幅広く用意されているんですよね。古の 'Speak and Spell' で有名となった 'Speech Synthesis Chip' ですけど、このFlameの第一号製品であるTalking SynthにもMagnevation LLCにより製造された古いアナログの 'Speakjet Chip' を2つ装備していることからプレミアが付いておりまする。当初はTalking SynthをBastl InstrumentsのThymeからMIDIで発音含め、緻密にプログラミングしてコントロールしたかったもののMIDI to CV Converterなど大掛かりになりそうなので断念...。モジュラーならではのCV/Gateによるランダマイズなシーケンスの '飛び道具' として、ThymeとのCV同期も活かしながら簡単な使い方に終始しております。また、ケースの電源スロットをもう1つ追加してエンヴェロープ・フォロワー(例えばSynthrotek ADSRなど)も入れたかったのですが、これもThymeにCVで同期してこっちのエンヴェロープでソレっぽくかけるだけに留めました(笑)。イメージとしてはやはり、現代音楽の作曲家にしてオノ・ヨーコの元旦那でもある一柳慧氏のブッ飛んだ1969年の作品 'Music for Living Space'。ここでの京大工学部が作製した初期コンピュータによる辿々しい ' スピーチ・シンセサイズ' のヴォイスとグレゴリアン・チャントの錯綜が面白い効果を上げておりまする。ちなみにここで読まれるテキストは建築家、黒川紀章氏による1970年の著作「黒川紀章の作品」から 'Capsule'、'Metabolism'、'Spaceflame'、'Metamorphose' の章を各々読み上げたもの。
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4msのケースPod40Xに収めたかったのだけどほんの少しモジュールがはみ出してしまったので、もひとつ上のPod48Xに収納...デカイなあ(汗)。こういった '4ms Pod縛り' の最小サイズで組む人はいて、例えばソビエト製シンセサイザーPolivoksをThe Harvestmanが5つのモジュールとして用意したレアものを3年かけて収集、収納した猛者もおります(笑)。わたしも必要最小限のサイズで少量のモジュールを4msのPod34X、40X、48Xのケースに入れているのですが、ケースのサイズに関係なく組み込むモジュールの電源供給は最大4つまでとなります。ここではPod48Xなので4HP分が空いてしまう為に蓋をしているのですが、できればこの4HP分に何かのモジュールを組み込みたいですね。ACアダプターの容量にもよりますがHikari Instrumentsから、これを5つまで供給可能なパワーサプライ用 'Bay' キットにより改造することも可能です。そしてボード上に取り付けるホームセンターで買ってきた金具の組み合わせによる '土台' に対し、ネットで見つけた壁掛けフックのフック部分をゴムで嵩上げしてケースの裏側に両面テープで装着、マウントさせてみました。着脱可能なので '下段' のプリアンプを調整することも出来まする。しかし、こうやってアプローチしてみるとこの 'ユーロラック版' の方が良い結果となったな、と嬉しい誤算であったりします。唯一の難点はエフェクターボード右側のスペースにマウントしているので、ラッパ吹きの空いている左手での操作がしにくいことです(苦笑)。しかし怖いのは余ってる 'CVの穴' を見る度にVCFやVCA、EGなんかを突っ込んでみたらどうなるかな?などと余計な妄想に耽ってしまうこと...あ、これが沼か(苦笑)。このTalking Synthの信号はLand Devicesのパッシヴ仕様である3チャンネル・ミキサー、Multi-Boxでミックス。単純に3つの信号をモノ出力、もしくは3つに分岐するだけのスプリッターですが、ここからヴィンテージMcintoshプリアンプを抜き出した 'ライン・バッファー' ともいうべきTerry AudioのWhite Rabbit Deluxeでブラッシュアップしていきます。
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ちなみにこの手の 'スピーチシンセ' としてはほかに、Synthesis TechnologyからE350 Morphing Terrariumの 'モーフィング' 機能と 'Speak & Spell' でお馴染みTexas Instrumentsのライセンスによる音声ROMデータを組み合わせたDSPベースの 'サーキット・ベンディング' VCO、E950。そして、惜しまれつつ去年いっぱいで突然その活動を終えたMutable Instruments。常に 'オープンソース' を是として '自作ッカー' にも優しかったこの工房の '遺産' を誰か受け継ぐべき、という声も出ておりますが、その名機Plaitsに搭載されたピッチ・サウンドのアルゴリズムから 'Powell/Speech Synthesis' があります。
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一方、3バンドのフォルマント・フィルターとしては 'DIYユーザー' 向けのKitとしても提供されているLimafloのMotomouthや、いわゆる 'サーキット・ベンディング' ものとしてブッ飛んだモジュールばかり手掛けるError & InstrumentsのSpeak & Glitch、10年ほど前に発売され今やプレミアの付くMad Rooster Lab Chatter Box CBR-2(ヤフオクで競り負けたぜ...涙)などニッチな '好き者' 向けモジュールも見つかります。やはり 'Speak and Spell' にやられちゃった世代の需要に応えているのが面白い。
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そして、ここ日本ではKorg Miku Stompでお馴染み '初音ミク' のボーカロイド世代が反応するでしょうね(笑)。これらの音声合成による 'スピーチシンセシス' のほか、古くはトークボックスからヴォコーダーにやられちゃったYMO世代にAntares Audio Technologies Auto-Tuneから始まったケロケロヴォイスなど、リアルタイムに音声を加工することへの関心は過去から一貫して引き継がれております。なんとMoogは16チャンネルのヴォコーダーまで復刻させてしまいました...(そんな需要あるのか!?)。このような '加工サウンド' 全盛のなか、この椎名林檎によるケロケロヴォイスのリアルタイム処理はRolandのVT-4かな?。
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この 'スピーチシンセ' へCV/Gateのコントロールによる '息吹き' で命を与えるべく、ランダマイズにトリガーするユークリッド・シーケンサーのHikari Instruments Eucrhythmと8ステップのAnalog Sequencer Ⅱを各々チョイス。これらのCVとオーディオを取りまとめるのは同工房の7チャンネル入力Atten/Mixerであり、各モジュールは全て4msの電源付きラックケースPod48Xに組み込んでおります。Hikari Instrumentsといえば国産の新しい工房でデスクトップ型ノイズ・シンセサイザーのMonos、Duosで話題となったことから頭角を現しました。気にはなっていた工房の製品ということもありますが、たまたま格安でお目当の機能のモジュールを各々市場で発見したことから揃えてみたのが本音...いや、初心者なので全くこっちの分野には疎いのです(汗)。Analog Sequencer Ⅱは各ステップごとにCV入力があり、その各ステップ個別に外部のCVから制御することが可能。上昇、下降各々の調整と独立したGride(ポルタメント)を内蔵しているので、ピッチ上昇のみのポルタメント、Gateを入力すればARエンヴェロープとしても使えますね。Gate出力はPWM(内部クロック時のみ有効)によりGateの長さが調整可能です。とりあえずルーレットのようにクルクルと回るLEDがカワイイ(笑)。そしてグリッチ系のリズムに威力を発揮するユークリッド・シーケンサーのEucrhythmは 'デュアル' ということで2つのシーケンスを搭載し、各々StepsとPulesの2つのツマミによりループの長さと1ループの出力数を設定してポリリズミックなリズムを生成。Pulse Width横のスライダーでGateの長さの変更、Gate Delayによりクロックの1/16のタイミングでその出力が遅延してクロックからズレたリズムを吐き出します。またこれらはCVコントロールが可能。A、Bの2チャンネル出力、AとBのORとAND(論理和)のロジック出力により合計4種類のパターンを生成し組み合わせることで様々なリズムを堪能することが出来まする。ちなみにEucrhythmは内部クロックを備えていないのでAnalog Sequencer Ⅱからクロックを貰って駆動させるかたちとなります。そして、これらの信号をまとめるAtten/Mixerはオーディオ信号とCVをミックス可能な7チャンネルのミキサー兼アッテネータ・モジュールです。1チャンネル〜4チャンネルを各々パラアウトに繋げばミックスアウトから切り離されたパッシヴ・アッテネータ、また、1チャンネル〜4チャンネルから最大5VのCV信号を吐き出します。この各チャンネルは全てMuteスイッチでOn/Offが可能です。ちなみに、この工房からは昔ながらの8ステップによるゲート・シーケンサーも用意されており、Atten/Mixerと組み合わせることで7ステップのCVシーケンサーに代わりこんなテクノ・シーケンスも楽しめます。とりあえず、この2つのシーケンサーをTalking Synthと組み合わせるだけでもかなりイビツな 'ヴォイス' で喋らせることが出来るでしょう(笑)。というか、どなたかCV/Gateも出力できるワウペダルとか作りませんかね?(謎)。
ちなみにこの工房からはほかにもPing Filter、最近発売されたPT2399チップを2つ使用によるDual Delay、そしてDual LFOといった素敵なモジュールがラインナップされております。やはりこの辺りのエンヴェロープ、モジュレーション系のモジュールは、オシレータに対するダイナミクスの動きと時間的経過を与えるという点で真っ先に揃えたい、ってもうすでにハマっとるやん(苦笑)。そんなHikari Instrumentsとして東京の世田谷から発信されているのがビルダーのpikamachiさん。振り子のオブジェに光センサーを取り付けてCV出力に改造、そのCVをGateに変換してPing FilterのTrig Inから 'Pingサウンド' に生成したものをRoland RE-201 Space Echoに突っ込むというものですが、こーいうアプローチは大好きです(笑)。
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しかしこの 'ユーロラック' ってヤツは、従来の 'シンセサイズ' にこだわらない幅広い音作りに対応しているんだな...。だって、こーいうモジュールとかあるんですよ?。これはもう、ラッパに装着した2つのピックアップ・マイクをコレに突っ込んであれこれ変調しろ、ってことでしょう。また、ポーランドの工房SonicSmithで独自の技術であるACO(Audio Controlled Oscallator)を反映して、CV/Gateでトラッキングする 'ギターシンセ' のコンバータであるConVertor E1も魅力的ですねえ。ま、この 'ギターシンセ' 化はこの後のBuchla Music Easelで挑むことになります...。そういえば去年は英国のeBayから過去、40年近くエンジニアとして従事したというビルダーが製作するFogas Pedals Envelope FollowerというCV/Gateコンバータも買ったんだった。これはコンパクトペダル型の仕様でスイッチのOn/OffやIn/Outの入出力と上部に並ぶCVの入出力は、Envelope、Gate、Triger、別途オーディオ出力と入力を装備。その下の3つのツマミはLevelと感度調整によるSensitivity、原音とCV出力のMixということで至極シンプルな作りなのですが、ハンド・ワイアードで組み込まれた中身はかなり過密に詰め込まれております。リタイア寸前最後のお仕事として出品したモノらしく、もはや入手することは叶いません(一緒に出品していたWatkinsのCopycatテープエコーをモデリングしたデジタル・ディレイも買っとけば良かったな...)。もちろん、このような外部からトリガーとしての 'ジェネレート・ミュージック' のほかに作曲家、冨田勲氏に象徴されるオーケストレーションの模倣としてのトランペットのパッチング作成にみる旧来の 'シンセサイズ' な世界があります。四度倍音を混ぜて作る鐘の音とか、ホワイトノイズとエンヴェロープから口笛、VCFとゲート、シーケンサーによる発音の 'シビランス' を強調した 'パピプペ親父' の声色とか...未来の楽器(笑)シンセサイザーの訴求力がコレでした。 とはいえ、何も無闇やたらに面白そうなモジュール買い漁ろうというワケではありません(汗)。例えば、手持ちのシンセであるBuchla Music Easelと 'ユーロラック' モジュールを同期させながらピックアップ・マイクを使ってトランペット、クイーカ、スティールパンなどの器楽演奏から 'シンセサイズ' を試みたいのですヨ。
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'アウトボード' 類として 'Gate&VCA / Digital Tape Machine' ユニットをご紹介(笑)。この 'ユーロラック' と手持ちのギターペダルを一緒に使いたいと思えば、Radial Engineering EXTC-SAやConisis E-Sir CE-1000のようなHendriksonというモジュールがBastl Instrumentsから出ていました。他社による同種品としてMalekko Heavy Industry SND/RTN、Busy Circuits ALM006 S.B.G.、XAOC Devices Sewastopol、The Harvestman Black Locust、ステレオ入出力のStrymon AA.1といった製品があり、単なるインピーダンス・マッチングからモジュラーならではのCVを利用したトリガー/ゲート、エンヴェロープ機能との複合機などが市場を賑わせております。一方、Hendriksonの姉妹機Dynamoではエンヴェロープ・フォロワーと電圧制御スイッチを組み込み、他のVCAモジュールと組み合わせることで強力なコンプレッサーやエンヴェロープ・モディファイアへと変貌します。さらにこのVCAモジュールに加え 'ADSR' では無く 'AD' のエンヴェロープを3チャンネルのゲートで操作、LFOにもなるHikari InstrumentsのTriple ADをチョイス。
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ここからサンプルを '飛び道具' 的にアプローチすべく、後述するMake Noise Morphageneの前身にあたるデジタル・テープマシンPhonogeneをチョイス。リアルタイムにフレイズをサンプリングして筐体中央のVari-Speedツマミを回せば、まるでテープレコーダーの再生速度や方向の如く生成変化を開始。サンプルの再生中にSpliceボタンを押すことでフレイズの任意の位置に切れ目をチェック、この '頭出し' をバラバラにしたところでGene-Size、Gene-Shift、Slideの各パラメータをCVでパッチングしていくと...もはや予測不能の事態です。ちなみに当初、各モジュールはこの並びの配置ではなかったのですが、はるばる海の向こうから届いたHendriksonがスペック表の '奥行き45mm' を無視して '奥行き50mm' のPod40Xに入らなかったのですヨ(悲)。原因はHendriksonの基板が縦向きの組み込み+コネクターとなっており、おいおい...5HPのモジュール幅で仕方ないとはいえ、この縦向きで設計するのはマジでヤメて頂きたい(怒)。結局、'奥行き52mm' のPod34Xでギリギリ事なきを得たのですがその分、予定していたその他のモジュールとの兼ね合いから配置が変わらざるを得ませんでした。ちなみに、Hendriksonの 'Send Return' にはVoxの古い管楽器用オクターバーOctavoice Ⅰとのパラレルミックスで歪ませます。こちらのOctavoice Ⅰは米国の工房Googly Eyes Pedalsにより、サイケなペイントの施された筐体へノックダウンしたもの。
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続いてこちらの 'Filter & Modulation' ユニットをご紹介。ここでのチョイスはデンマークの工房、Gotharman's Musical Instrumentsの強力な真空管とICのハイブリッドなフィルターモジュールでリゾナンスの効いたVCF 2が最高ですね。そして、ステレオへの探求としてSynthesis TechnologyのE560 Deflector Shieldから 'Frequency Shifter' のモードを聴いて頂きたい。この 'Shift' モードのほか本機はRing ModulatorやPhaserも備えるマルチモジュールなのですが、もうグルグルと周囲を這い回るような逆相の定位が楽しますヨ。Music Easelでもこのような効果を生成することは出来ますが、やはり単体機としても手許に置いておきたい逸品ですね。さらにPod40Xの残り3HP分を埋めるべく、ラトビア共和国からモジュラー界の老舗となりつつあるErica Synthsのモジュレーション・オシレータのPico LFO / S&Hを入れたかったのですが、三角波と短形波、サンプル&ホールドを各々ClockとCVで受けるフル・アナログ回路ゆえか欠品中...(悲)。仕方ない?ワケじゃないけど、内部/外部クロックに同期するLFOとサイン波、パルス波、ホワイトノイズ、そしてランダムなパルスとサンプル&ホールドを出力出来るPico RNDをチョイス。何より本機を用いてのデモ動画が格好よかったので入れてみました(笑)。コメ欄にもあったけど確かに池田亮司っぽい...。ギターペダルでは一貫して '日陰モノ' だけど、こっちの世界ではいくつあっても困らないのがエンヴェロープやノイズ・ジェネレータなのだ(笑)。ああ、これも完全な沼か(笑)。
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より積極的な音作りという点では 'グラニュラー・シンセシス・サンプラー' とも言うべきMake NoiseのMorphageneも面白そう。エンドレスのテープレコーダーをデジタルで再現したループをベースとするモジュールであり、Micro SDカードから直接読み書きするかたちでサンプルを現す1リール最大174秒、1リールあたり最大300個のスプライスをレコーディング/作成可能。'Sound on Sound' はもちろん、Vari-Speedのレンジは12半音上と26半音下、3オクターヴ以上に渡るトラッキングをカバーします。もちろん 'ユーロラック' ですので、エンヴェロープ・フォロワーのCV出力から各パラメータのCVコントロールにも対応します。また、'Make Noise' の名に相応しく 'グラニュラー・ディレイ' の変異系としてMimeophonも刺激的なモジュール。Holdしたアルゴリズムのモーフィングにより、そのフレイズは次々に破壊、変調されていきます。そんな最近の潮流である ' グラニュラー・シンセシス' がある一方、このようなトリガーによる 'ランダマイズ' な一期一会の音作りこそ 'ユーロラック・モジュラー' の醍醐味ということでは、8つのゲートと2つのCVトラックを全10チャンネル持つゲート・シーケンサーの集大成Varigate 8+も素晴らしい。元々はWMDや4ms同様にギターペダルを製作していたMalekkoも完全にこっちの世界の住人ですね(笑)。しかし、こっちも本気になったらサイフがヤバイことになる(汗汗)。
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その連携を目指すSynovatronのCV/GateコンバータCVGT1はReceive 2と並び必須のモジュールですね。3.5mmのミニプラグによる結線が基本の 'ユーロラック' とBuchlaやSergeのモジュラーシンセで一般的なスタック出来るバナナプラグの互換、CV変換(1V/oct - 1.2V/oct)によるトリガー、ゲートとBuchlaのPulse信号の電圧をやり取りするものです。ピックアップの感度調整から後述するCG Productsのエンヴェロープ・フォロワーPeak+Holdでトリガー、その信号をMusic Easelで連携とコントロールすることが目的です。そんなBuchlaを代表するMusic Easelは、オリジナル機が1973年から1980年代半ばまで製作された超レアもの。同時期のMoogやArp、EMSなどに比べてBuchlaの製作する 'モジュラーシンセ' は一部電子音響作家、大学などの教育機関を除いてほぼ市場で流通することのないものでした。昨今の 'ユーロラック・モジュラーシンセ' の世界で、基本的とされるMoogの構成に対して '西海岸系' と呼称されるモジュール(例えばEndorphin e.sとか)にはその同地に拠点を置いていたBuchlaの構成にインスパイアされていることを意味します。この復刻版もすでに 'ディスコン' となりましたが以下、'サウンド&レコーディングマガジン' 2015年4月号でエンジニア、渡部高士氏(W)とマニピュレーターの牛尾憲輔氏(U)による新生Buchla Music Easelのレビュー対談です。
- まずお2人には、Buchlaシンセのイメージからおうかがいしたいのですが。 W - 珍しい、高い、古い(笑)。僕は楽器屋で一回しか見たことがないんだよ。当時はパッチ・シンセを集め始めたころで、興味はあったんだけど、高過ぎて買えなかった。まあ、今も買えないんだけど(笑)。 U - BuchlaとSergeに関しては、普通のシンセとは話が違いますよね。 - あこがれのブランドという感じですか?。 U - そうですね。昨今はモジュラー・シンセがはやっていますが、EurorackからSynthesizer.comなどさまざまな規格がある中で、Buchlaは一貫して最高級です。 W - ほぼオーダーメイドだし、価格を下げなくても売れるんだろうね。今、これと同じ構成のシンセを作ろうとしたらもっと安く組めるとは思うけど、本機と似た構成のCwejman S1 Mk.2も結構いい値段するよね?。 - 実際に操作してみて、いかがでしたか?。 W - Sergeより簡単だよ。 U - 確かに、Sergeみたいにプリミティブなモジュールを使って "これをオシレータにしろ" ということはないです。でも、Music Easelは普通のアナログ・シンセとは考え方が違うので、動作に慣れるのが大変でした。まず、どのモジュールがどう結線されているのかが分からない・・。 W - そうだね。VCAが普通でないつながり方をしている。 U - 音源としては2基のオシレータを備えていて、通常のオシレータComplex OSCの信号がまずVCA/VCFが合体した2chのモジュールDual Lo Pass Gate(DLPG)に入るんですよね。その後段に2つ目のDLPGがあって、その入力を1つ目のDLPG、変調用のModulation OSC、外部オーディオ入力から選べるようになっている。 W - だから、そこでComplex OSCを選んでも、1つ目のDLPGが閉じていると、そもそも音が出ない・・でも、パッチ・コードで結線しなくてもできることを増やすためにこうした構成になっているわけで、いったん仕組みを理解してしまえば、理にかなっていると思ったな。Envelope Generator(EG)のスライダーの数値が普通と逆で、上に行くほど小さくなっていたのには、さすがにびっくりしたけど。 U - でも、こっちの方が正しかった。 - その "正しい" という理由は?。 W - Music EaselのEGはループできるから、オシレータのように使えるわけです。その際、僕らが慣れ親しんだエンヴェロープの操作だと、スライダーが下にあるときは、例えばアタックならタイムが速く、上に行くほど遅くなる。これをオシレータとして考えるとスライダーが上に行くほどピッチが遅くなってしまうよね?だからひっくり返した方がいいと言うか、そもそもそういうふうに使うものだった。時代が進むにつれてシンセに独立したオシレータが搭載されるようになり、エンヴェロープを発振させる考え方が無くなったわけ。 - 初期のシンセサイザーはエンヴェロープを発振させてオシレータにしていたのですか?。 W - そう。Sergeはもっとプリミティブだけどね。最近のシンセでも、Nord Nord Lead 3などはARエンヴェロープがループできますよ。シンセによってエンヴェロープ・セクションに 'Loop' という機能が付いているのは、そうした昔の名残なんでしょうね。Music Easelはエンヴェロープで波形も変えられるし、とても面白い。 - オシレータの音自体はいかがでしたか?。 W - とても音楽的な柔らかい音がして、良いと思いましたよ。 U - レンジはHigh/Lowで切り替えなければならないのですが、音が連続して変化してくのがいいですね。あとEMSのシンセのように "鍵盤弾かせません!" というオシレータではなくて、鍵盤楽器として作られているという印象でした。 W - EMSは '音を合成する機械' という感じ。その点Music Easelは '楽器' だよね。 U - 本機ではいきなりベース・ライン的な演奏ができましたが、同じようなことをEMSでやるのはすごく大変ですから。 W - 僕が使ったことのあるEMSは、メインテナンスのせいだと思うけど、スケールがズレていたり、そもそも音楽的な音は出なかったけどね。この復刻版は新品だからチューニングが合わせやすいし、音自体もすごく安定している。 U - 確かに、'Frequency' のスライダーには '440' を中心にAのオクターヴが記されていて、チューニングがやりやすいんですよ。 W - そもそも鍵盤にトランスポーズやアルペジエイターが付いていたりと、演奏することを念頭に作られている。 - オシレータのレンジ感は?。 W - 音が安定しているからベースも作れると思うよ。だけど、レゾナンスが無かったり、フィルターにCVインが無かったり、プロダクションでシンセ・ベース的な音色が欲しいときにまず手が伸びるタイプではないかな。 - リード的な音色ではいかがですか?。 W - いいんじゃないかな。特にFM変調をかけたときはすごくいい音だったよ。かかり方が柔らかいと言うか、音の暴れ方がいい案配だった。普通、フィルターを通さずにFMをかけると硬い音になるんだけど、Music Easelは柔らかい。 U - 僕はパーカッションを作るといいかなと思いました。 W - 'ポコポコ' した音は良かったよね。EGにホールドが付いているから、確かにパーカッションには向いている。でも、意外と何にでも使えるよ。 - 本機はオーディオは内部結線されていて、パッチングできるのはCVのみとなりますが、音作りの自由度と言う観点ではいかがですか?。 U - 信号の流れを理解すれば過不足無く使えますが、例えばオシレータをクロスさせることはできないし、万能なわけではないですね。 W - でも、他社の小型セミモジュラー・シンセより全然自由度は高いよ。'パッチ・シンセ' である意味がちゃんとある。 U - 確かに、変なことができそうですね。 W - Pulser/Sequencerのモジュールも入っているし、いろいろと遊べそうだよね。パッチングの色の分け方も分かりやすい。あとバナナ・ケーブルって便利だね!パッチング中に "あれどこだっけ?" と触診するような感じで、実際にプラグを挿さなくても音が確認できるのはすごく便利。ケーブルの上からスタックもできるし。 U - 渡部さんのスタジオにはRoland System 100Mがありますが、Music EaselでできることはSystem 100Mでも実現可能ですか?。 W - できると思う。System 100Mにスプリング・リヴァーブはついてないけどね。 - 復刻版の新機能としては、MIDI入力が追加されて、ほかのシーケンサーでMusic Easelをコントロールできるようになりました。 U - 僕が個人的に面白いと思ったのは、オプションのIProgram Cardをインストールすると、Apple iPadなどからWi-Fi経由でMusic Easelのプリセットを管理できるところ。ステージなどで使うには面白いと思います。 W - それはすごくいいアイデアだね。 - テスト中、お2人からは "これは入門機だね" という発言が聞こえましたが。 W - 独特のパラメータ名やしくみを理解してしまえば、決して難しいシンセではないという意味だよ。よく "モジュラー/セミモジュラー・シンセは難しそう" という人がいるけど、ケーブルのつなぎ方さえ分かってしまえば、完全に内部結線されているシンセより、自分が出したい音を作るのは簡単だからね。 U - 1つ目のDLPGにさえ気付けば、取りあえず音は出せますしね。 W - Music Easelで難しいのはオシレータとDLPGの関係とエンヴェロープだね。でも逆に言えば、特殊なのはそこだけとも言える。エンヴェロープが逆になっているのを発見したときは感動したな。シンセの歴史を見た気がしますよ。 U - 音作りの範囲はモノシンセに比べたら広いし、その領域がすごく独特です。 W - このシンセの対抗機種はArp OdysseyやOSC Oscarなどのモノシンセだよ。シーケンサーでSEっぽい表現もできるし、8ビット的な音も出せる。もう1つMIDIコンバータを用意すれば、2オシレータをパラで鳴らしてデュオフォニックになるし。 - ちなみにモジュラー・シンセというと、ノイズやSEというイメージが強かったりしますよね。 U - 確かに、モジュラー系の人はヒステリックな音色に触れがちですよね。 W - 僕はポップスの仕事でもガンガン使っていますよ。モジュラー・シンセはグシャグシャした音を作るものだと思っている人も多いようですが、アナログ・シンセの自由度が広いだけ。まあでも、オシレータに変調をかけていくと、ヒステリックな音にはなりがちだよね。 U - 変調を重ねていく方向にしか目が行かないということもあると思います。 W - でもモジュラー・シンセで本当に面白いのはオーディオの変調ではなくて、CVやトリガーをどうコントロールするかなんだよ。その意味でMusic Easelはちゃんとしている。 - 本機をどんな人に薦めますか?。 W - お金に糸目を付けず、ちょっと複雑なモノシンセが欲しい人(笑)。 U - 小さくてデスクの上に置けるのはいいと思います。例えばラップトップだけで作っている人が追加で導入するシンセとしてはどうですか?。 W - いろいろなパートを作れていいんじゃないかな。これ一台あれば演奏できるわけだから、その意味で楽器っぽいところが僕はいいと思ったな。鍵盤付きだし、音も安定している。 U - 確かにこれ一台で事足りる・・Music Easelが1stシンセで、"俺はこれで音作りを覚えた!" という人が出てきたら最高ですね(笑)。 W - で、ほかのシンセ触って "エンヴェロープが逆だよ!" って怒るという(笑)。
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ということで(笑)、いま手に入るものを揃えてしまいました...。まるでわたしの心を見透かしたかのようなモジュールがヤフオク、中古市場に現れるのが悪い(汗)。あまり大きなシステムにはしたくないのでモジュールのケースは4msのPod34Xにして、JoranalogueのReceive 2とTransmit 2の各々6HPと8HP分のSynovatronのCVGT1...空いている10HP分にエンヴェロープでコントロールするCG ProductsのPeak+Holdを入れてみた。ちなみにこのマイクからCV/Gateへの変換モジュールでは、マイク入力を持つDoepferのA-119Vというモジュールが有名ですね。そんなニッチな同種品ではBefacoのInstrument InterfaceやCG Productsのピエゾ・ピックアップ付きPeak+Holdなどがありますけど、ホントあらゆるユーザー層を意識して何でもあるなあ。ここではReceive 2のトリガーからPeak+Holdをエンヴェロープ・フォロワーにして、CVGT1で変換後はMusic Easelとどう繋げばいいんだろ?。ちなみに、このPeak+HoldにはBuchlaに対応するバナナプラグ仕様があることを 'ユーロラック' 版を買った後に知りました(苦笑)。そんなユニークなこの工房を主宰するChristian Guenther氏は元々ジャズ・ミュージシャンということで、ラッパから各種パーカッションと電子機器によるパフォーマンスを自ら披露しておりまする。まるでブルーノ・スポエリかギル・メレのような立ち位置にいる人だ(笑)。そして、'マウスピース・ピックアップ' によるトリガーとしてはBarcus-berryから現在のPiezoBarrelに至るまで、ベン・ニールを始め管楽器でアプローチする人からのニッチな需要はありました。特にDAWでアレコレやりたい人にとっては必須のアイテムでしょう。しかし、この沼ってヤツは人の心の '隙間' を狙ってくるイケナイ感情だなあ...(苦笑)。
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Buchlaシンセサイザーとラッパといえば、現代音楽の 'ライヴ・エレクトロニクス' からあらゆるガジェット総動員してあれこれやってるSarah Belle Reidさんの動画は面白い。まあ、ポップでは無いんだけど(笑)、いわゆる外部入力からVCF、VCAと変調させるほかにコレをトリガーすればどのモジュールが動き出すとか、そのアプローチの仕方は勉強になりまする。ああダメだ、改めて戒めてきた '呪文' を唱えよう...。いや、いくらエサを撒こうがハマらない、あくまで 'ヴォイスシンセ' が使いたく揃えたのであって、こっから先は絶対にその沼にはハマらない...ゾ!?(試したいな〜)。あ、そうそう、ハープの 'ペダル廃人' であるEmily Hopkinsさんもがっつりハマっておりましたヨ(笑)。こーいう学研の '電子ブロック' 的遊びにハマる女性人口が増えているというのは面白いです。
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ケイトリン・オーレリア・スミスさんの '空中庭園' とも言うべき、この屋上部屋の電子スタジオは気持ち良さそうだなあ。以前はオタク的な 'マッド・サイエンティスト' たちの占有物というイメージのあったモジュラーシンセですが、現在はこのような女性アーティストが 'ユーロラック' サイズによるサウンド・システムを構築しております。ちょっとローリー・アンダーソンみたい(笑)。まあ、モジュラーってのはどうしてもアウトプットするサウンドよりシステム構築のお話ばかり多くなってつまらなくなりがちなんだけど(苦笑)、しかし、より直感的な '音の戯れ' について自由にアプローチする環境が身近になったことは喜ばしいですね。
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個人的には中華圏のYoutuberらしいですがJeanieさんを推したいですけどね(笑)。Music Easel弾きながらフォークトロニカ風ポップで歌うJeanieさんの即興的音作りはもちろん、ポップ・ミュージックとして成立しているのが素晴らしい。モジュラーシンセ は 'CV/Gate' の電圧制御でどのようにコントロールするかにより、その剥き出しのノイズをどう '手懐けていく' かが醍醐味のひとつ。モジュールは絵の具、オーディオの変調を超えてキャンバスに絵筆を滑らせるめの 'デザイン' をどう生成していくかが重要なのです。動画のコメ欄読むとビョークっぽいという意見や素晴らしい、連絡くれー、みたいな業界人っぽいアプローチも散見されておりますが、誰かフックアップして上げれば良いのにな。どれも再生数があまり伸びてないのは残念(本人はマイペースで楽しくやってる模様...笑)。
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さて、管楽器とはほぼ '犬猿の仲' ともいうべき '歪み系' のエフェクター。過去、わたしが初めてワウペダルと共に購入したのもIbanez TS-9 Tube Screamerだったのですが、このクランチなブースターともいうべき軽めな '歪み' でさえ難儀したものでした。ここ最近の傾向としては、いわゆるシンセサイザーを製作するメーカー、もしくはシンセ的発想で製作する独特なヤツが増えてきたことです。飽和する、歪む、潰れる、音量が増大する、ノイジーになる・・この厄介な '副産物' をいかに手懐けることができるのか。ここで1つのヒントとして、実は世界初のファズボックスとして有名なGibson製作のMaestro Fuzz Tone FZ-1のデモ音源から面白い事実が浮き上がります。当初、メーカーが意図していたのはロック革命で求められたアンプのオーバーロードする歪みではなく、各種管楽器の模倣であるという奇妙な事実であり、その音源では 'Sousaphone' 〜 'Tuba' 〜 'Bass Sax' 〜 'Cello' 〜 'Alto Sax' 〜 'Trumpet' という流れが 'ロック前夜' の模索した雰囲気を伝えます。さて、このFZ-1が爆発的なセールスを記録するのはザ・ローリング・ストーンズの大ヒット曲 'Satisfaction'。キース・リチャーズの頭の中にあったのはスタックスの豪華なホーン・セクションによる 'ブラス・リフ' を再現することであり、Maestroのブランドマークが 'ラッパ3本' をシンボライズしたのは決して伊達では無いでしょうね。
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→Maestro Bass Brassmaster BB-1
ちなみにそのMaestroでは 'ブラス' の音色に特化したとされる伝説的ファズ、Bass Brassmasterというペダルも製作しておりまする。この '鼻をつまんだような音色' というか、どこかチューバっぽい響きに本機でしか奏でられない独特な個性がありますね。'Bass' と銘打っておりますがギターにも対応するほど幅広い歪み方があります。ジャムバンドTRI4THの(敬意を込めて)変態ベーシスト、関谷友貴氏も最近ついに入手したとのことでその喜び具合をご覧ください(笑)。あ、ヴィンテージの市場価格を調べると鬱になってしまいますけど(汗)、現在では遜色ない本機のクローンや発展系などが製作されているので気軽に試すことは出来ます。ま、名機の誉れが高いのでそのうち復活したGibson / Maestroからリアルなかたちで '再発' されることを待ちましょうか。
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管楽器で用いる場合、それこそ冷蔵庫のようなスタックするアンプを背にするならマウスピースやネックにピックアップ装着、マイクの仕様ではとても歪みとゲインのレベルを上げることは出来ず、せいぜいクランチーかつサチュレーションなトーンをアッパー・オクターヴ風にちょっと混ぜてみました、というのが限界ですね。完全に歪みでブッ潰せば、それこそうるさい 'ブザー' でも押し続けてるようなノイズをトリガーしている感じ...ピッチも関係なくなります(苦笑)。そんなトランペットに歪み系エフェクターを 'カマす' とどんな感じになるのかといえば、まさに直球でブチ込んでみたのが二つ目の動画に聴けるコントロール不能で、汚くヒビ割れたようなこの耳に痛い音(苦笑)。ちなみに一風変わったものとして '人力' ですが、10年以上前に管楽器の彫金やアクセサリーなど小物を手掛けているSixerJapanという工房から登場した 'Blues. Horn' なる 'エフェクト・マウスピース'。Barcus-berryピックアップのように穴を開けたところに開閉出来るスクリーンの蓋を装着、手動で '半開き' したりワウワウさせながら歪んだトーンを生成するという・・なんかカズーでも吹いてるような感じ。まあ、ユニークな発想とはいえコレはさすがに流行りませんでしたね(苦笑)。
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C.G. Conn Connstellation 7C-W Trumpet Mouthpiece w/ Electronic Pick-Up Adapter →
C.G. Conn Multi-Vider w/ Mouthpiece Pick-Up "Full-Set" ちなみにですけど、わたしがTaylor Shorty Ovalトランペットに合わせていたマウスピースを新たに変更しました。これまではヴィンテージのGiardinelliによる6VSのコルネット用をJKの247アダプター(Cor→Tp変換アダプター)に挿して使用しておりましたが、どうもそのシャンク長とTaylorシャンクのミスマッチしたバランスから高音域の詰まり、ピッチのフラットする感じがイマイチだったのです。そこでたまたま安価で手に入れたC.G. ConnのConnstellation 7C-Nで吹いてみたらバッチリ!。コレはその名の通りC.G. Connの名機Connstellationの付属として用意され60年代〜70年代にかけて製作されたマウスピースであり、リム内径は16.4mm、26のスロート径とBach 3CやGiardinelli 7C程度のサイズで抉りがあります。一見、ヘヴィタイプのようなデザインというかMonetteのUnityマウスピースっぽく見えますけど(笑)、フツーのバランスによるマウスピースですね。わたしは標準の7C-Nよりちょい深めのカップの7B-Nを愛用中でして、ほかにC.G. Connの電化したサウンド・システムであるMulti-Viderの付属品として、'Telex' ピエゾ・ピックアップを装着出来るアダプター接合の7C-W(ワイドリム?クッションリム?)などが当時ありました。
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そもそもサックスなど木管楽器には 'ファズトーン' や 'グロウル' と呼ばれる重音奏法があり、これはトランペットによる息の掠れた感じを混ぜる 'サブトーン' やワウワウ・ミュートとベンドするトーンのワウペダルによる関係含め、実はエフェクターが管楽器の電気的な模倣から始まったという説は間違った話ではありません。HoltonのST-305 Firebirdというスライド・トランペットを駆使してドイツのアクセル・ドナーが特殊奏法から加速度センサーによるピックアップなどの多様なノイズの '採取' は、そのままクラシックで培われた音色から離れて歪んだトーンから倍音を増幅する '先祖返り' への希求があるのです。しかし、Snarky Puupyのラッパ吹き、Mike 'Maz' MaherさんのフリューゲルホーンとMXR Blue Box、ワウペダルによるアプローチはもう完全にエレクトリック・ギターの音色ですね。一時期、PiezoBarrelの 'マウスピース・ピックアップ' も使ってたけどもうやってないのかな?。一方で、あのレッド・ホット・チリ・ペパーズのベーシスト、フリーが嗜むラッパのマウスピースにもその1374は装着され、一時はこんな調子で 'アンプリファイ' させておりました。
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そのベーシック・チャンネルの総本山とも言うべきモーリッツ・フォン・オズワルドの反復する 'サウンドスケイプ'。この深〜いリヴァーブ&エコーの音像から滲み出す '4つ打ち' の美学は、まさにジャマイカで育まれたダブの世界観がそのまま、暗く冷たく閉ざされたヨーロッパの地で隔世遺伝した稀有な例と言っていいでしょうね。1996年、ドイツでダブとデトロイト・テクノという真逆なスタイルから強い影響を受けたモーリッツ・フォン・オズワルドとマーク・アーネスタスは、自らBasic Channelというレーベルを設立してシリアスな 'ミニマル・ダブ' を展開するリズム&サウンドと、1970年代後半からニューヨークでダブを積極的に展開させたロイド "ブルワッキー" バーンズの作品を再発させるという、特異な形態でダブを新たな段階へと引き上げることに成功しました。彼らベーシック・チャンネルとダブの心臓部ともいうべき 'Dubplates & Mastering' の協同体制は、特にモーリッツとマークのふたりからなるRhythm & Soundの 'ルーツ志向' からワッキーズとの '共闘'、そしてMoritz Von Oswald Trioによるアフロビートの巨匠、トニー・アレンとのコラボから1990年代後半の 'イルビエント' に到るまでダブの隔世遺伝的な原点への配慮も忘れてはおりません。この硬質なダブの質感は、亜熱帯の緩〜い気候と共に育まれたジャマイカ産の 'ルーツ・ダブ' やニューウェイヴ譲りのメタリックな質感を持つ 'UKダブ' とも違う、ドイツ産テクノを経過した 'Dubplates & Masterring' 特有のものでしょうね。そんなベーシック・チャンネルの音作りに触発されたワケじゃないんだろうけど(笑)、ラッパ吹きの田村夏樹さんが盟友、藤井郷子さんと組みエレクトロニクスのカオスに挑んだ異色作 'Hada Hada' の猛烈な 'ひと吹き' には圧倒されまする。いきなり轟音のようにその場を圧倒する深いリヴァーブの効いたラッパは、そのままここ日本と遠くドイツのベーシック・チャンネルに象徴される 'ミニマルダブ' の音像がシンクロした瞬間と言ってもいいでしょうね。剥き出しのシンセサイザーが叩き付ける即物的放射と吃音的リズムの '距離感' から這い出すように、これまた縦横無尽に放射する田村さんのフリーな '電気ラッパ' (って言っていいのかな?)が素晴らしい。残念ながらYoutubeに音源はありませんけど、リンク先のBandcampで視聴可能...未聴の方は是非!。
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また、コレかと言われちゃいそうですけど(汗)、手許にあると便利なBoardbrain Musicの多目的ラインセレクターTransmutron。本機はパラレルで個別、同時にDry/Wetのミックスが出来るほか 'Fission'、'Fusion'、Fallout' の3種モードにより、2つのLoopの機能を変更することが可能なコンパクト・エフェクターとエクスプレッションCV、'ユーロラック' モジュラーシンセのCVによる統合したスイッチング・システム。今後、ペダルと共にモジュラーシンセにおけるCV/Gateなどと同期する統合システムを見越した一台。
●Fission
このモードでは、入力された信号の周波数帯を分割し、それぞれを2つのLoopにスプリットして再びミックスして出力出来ます。Umbrella Company Fusion BlenderやVocuのMagic Blend Roomなどと同種の機能ですね。またエクスプレッション・ペダル及びモジュラーCVでのコントロールにも対応。
●Fusion
このモードでは、2つのLoopのバランスを調整してブレンドすることが出来ます。これらミックスのバランスは筐体真ん中にあるSplitpointツマミ、またはエクスプレッション・ペダル及びモジュラーCVでのコントロールにも対応。これは廃盤になりましたがDwarfcraft Devices Paraloopと同種の機能に当たります。
●Fallout
このモードでは、2つのLoopの前にワイドノッチ・フィルターを適用して、Splitpointツマミやエクスプレション・ペダル及びモジュラーCVでのコントロールにも対応。ペダル・コントロールすることでワウのような操作を付加することが出来ます。また本機には、これとは別にHicut、Locutのフィルターを搭載して音作りに適用することが出来ます。
ちなみに本機搭載のフィルターは12dB、24dB、48dB/Octのスロープ角度を選択出来、それぞれFission、Falloutモードのワイドノッチ・フィルターにも適用されます。もちろん、Ch.2のLoopでフェイズアウトが起こった際の位相反転にも対応出来るのは素晴らしい。そして2つのLoopからなる 'Send/Return' にはフォンと 'ユーロラック' モジュラーでお馴染み3.5mmミニプラグが同時対応し、さらにこの3.5mmのLoopには内部DIPスイッチにより楽器レベルとラインレベルで 'インピーダンス' を切り替えて使用することが出来ます。同種の機能を持ったものとしては国産のUmbrella Companyから多目的セレクターのFusion Blenderもありまする。通常のA/Bセレクターのほか、AとBのループをフィルターによる上下帯域分割で '同時がけ' を可能とするなど、コンパクト・エフェクターの使い方にいろいろなアイデアを提供する素敵な一品。また、本機は基盤上の内部ジャンパを差し替えて 'Hi or Loインピーダンス' を切り替えることで、ライン・レベルのエフェクターをギターなどでそのまま使うことが可能。
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今回、何度目かの管楽器による '歪みアプローチ' かは忘れましたけど(汗)、これまで何度もチャレンジしてきたA、B '二人羽織' 的な帯域分割のパラレル・ミックスにおいてこのブッ壊れたディレイ2種を見つけたことが大きかった...。オーストラリアからSeppuku Fxの名でほぼ '飛び道具' 的アート作品なペダルを数多生み出してきた謎のビルダーRhysが、しばしの沈黙の後に自身の名前によるペダルを移住先?のニュージーランドから不定期にお届け。その中でもこのLoomeなるディレイはエンヴェロープを組み込んだような奇妙な挙動を示すモノ。そのパラメータも解説が必要で以下のように説明されております。
●Slide
モジュレーションレンジをコントロール。アッテヌバータによって制御されており、中央でニュートラル、右でダウンベンド、左でアップベンドとなります。
●Gate
信号のヴォリューム変化に適用されるエンヴェロープの感度。右に回すごとに感度が上がります。
●Time
ディレイタイムを設定。右に回すとショート、左方向でロングかつノイジーに変化します。無理やりにオーバークロックさせてディレイタイムを引き伸ばす為、ディレイのトーンは非常にローファイ。ホワイトノイズ、グリッチ、予期せぬエラーなどが混ざり、感度が絶望的に低い短波ラジオ放送のような雰囲気も感じられます。
●Mix
原音とディレイリピートのブレンドを設定。基本的にはウェット多めで使うのが前提です。一般的なディレイのような使いやすさを期待してはいけません。
●中央コントロール
'Balance' を設定。ディレイリピートの再生成回数を制御しますが、Gateによってもコントロールされます。
●中央トグルスイッチ
ディモジュレーティング・ディストーションを適用。左にするとブッ壊れたような歪みを追加し、オシレーションやゲート感度も大きく変化します。
動画に出てくる一方のShringはいわゆる 'ウェイヴシェイパー' の効果をゲイン付きプリアンプ、原音とのミキシング回路を搭載してリンギングに近い偶数次倍音の歪みを生成するものです。これも使い方によっては面白いかもしれませんね。そして、サチュレーションやテープコンプの '質感' をお求めであればMIDIへのマイナーチェンジにも対応したStrymonのDeco V2も良いですね。DSPの 'アナログ・モデリング' の技術を用いて、'Saturation' の飽和感と 'Doubletracker' セクションであるLag TimeとWobbleのブレンドから 'テープ・フランジング' のモジュレーションまで生成。このStrymon各製品は楽器レベルからラインレベル、そして入力に 'インサート・ケーブル' を用いることでステレオ入出力にも対応とあらゆる環境で威力を発揮します。いわゆるモジュレーション効果の変異系と捉えられがちなこの 'ローファイ系ペダル' ですけど、むしろ 'ガッツリ' ではなく '小さじ' で原音に対して塗してやればトーンにエッジが付加されて良い塩梅となるでしょう(やり過ぎると逆に抜けの悪いトーンとなってしまうのでご注意あれ)。そして米国メリーランド州ボルチモアで製作している工房、Triode PedalsのHex Delayは基本的なディレイの機能の上に '飛び道具' ワザを乗っけたもの。それはFeedbackを上げていくと歪んでいくところに特徴があり、これとディレイ・タイムに相当するCoarseというツマミを操作することでエコーは破壊...グリッチの世界へと誘われます。
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こちらはいま勢いのある 'OBNE' ことOld Blood Noise Endeavorsから登場のモジュレーション・ディレイ/リヴァーブ、Screen Violence。米国のエレクトロポップ・バンド、CHVRCHESとのコラボから生まれたものとのことで、基本的には空間系のペダルなのですが、そこに真空管のドライブ・ユニットから着想されたGain Boostによるサチューレション、ドライヴ・サウンドをステレオ入出力でミックスします。これだけ見れば 'シューゲイザー' 的効果を狙ったものだと伺えますが、その複数のパラメータを同時にコントロールできる 'Screen' ツマミから 'Violence' ツマミを瞬時に切り替えるオーダースイッチ、その前後を入れ替えるトグルスイッチの 'First' で入れ替えることが可能。まあ、この手のペダルに内蔵される '歪み' って管楽器ではなかなか使いにくいモノってのが定石なんだけど、個別に使い分けたりステレオL-Rでミックスしたりするその多様にセッティングの自由さは試してみたい。
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トランペットの 'アンプリファイ' において魅力的な音色を作る。コレ、まさに十人十色(10人もいるかな?)の個性だと思うのだけど、わたしがかなり以前からしつこく(笑)アプローチしているのが 'リンギングトーン' なのです。'リンギング' (Ringing) とはいわゆるリング変調風の音色ということで、完全にリング・モジュレーターでブッ潰した '無調の響き' とは違いますヨ。あくまでテーマは 'リンギング' という薄っすらジリジリとした金属質の '倍音生成' を行うこと。リング・モジュレーター '唯一の演奏法' と言えばFrequencyのエクスプレッション・コントロールであり、そのギュイ〜ンと非整数倍音をシフトする '飛び道具' 的効果からギターアンプの '箱鳴り' という一風変わったシミュレートの探求へと向かわせます。このような音作りに興味を持ったのはギタリストの土屋昌巳さんによる雑誌のインタビュー記事がきっかけでした(多分、Sugizo氏のリング・モジュレーターによる音作りの出発点は土屋さんかも知れない)。
"ギターもエレキは自宅でVoxのAC-50というアンプからのアウトをGroove Tubeに通して、そこからダイレクトに録りますね。まあ、これはスピーカー・シミュレーターと言うよりは、独特の新しいエフェクターというつもりで使ってます。どんなにスピーカー・ユニットから出る音をシミュレートしても、スピーカー・ボックスが鳴っている感じ、ある種の唸りというか、非音楽的な倍音が出ているあの箱鳴りの感じは出せませんからね。そこで、僕はGroove Tubeからの出力にさらにリング・モジュレーターをうす〜くかけて、全然音楽と関係ない倍音を少しずつ加えていって、それらしさを出しているんですよ。僕が使っているリング・モジュレーターは、電子工学の会社に務めている日本の方が作ってくれたハンドメイドもの。今回使ったのはモノラル・タイプなんですけど、ステレオ・タイプもつい1週間くらい前に出来上がったので、次のアルバムではステレオのエフェクターからの出力は全部そのリング・モジュレーターを通そうかなと思っています。アバンギャルドなモジュレーション・サウンドに行くのではなくて、よりナチュラルな倍音を作るためにね。例えば、実際のルーム・エコーがどういうものか知っていると、どんなに良いデジタル・リヴァーブのルーム・エコーを聴かされても "何だかなあ" となっちゃう。でもリング・モジュレーターを通すとその "何だかなあ" がある程度補正できるんですよ。"
ギターアンプの共鳴効果による非整数倍音のシミュレート...これが成功しているのかはともかく、その発想が面白いですね。例えばElectro-HarmonixのFrequency AnalyzerでFrequencyコントロールを司るShiftとFineの2つのツマミ、これShiftでギュイ〜ンと変調させながらFineツマミを回すことで後から追っかけるような倍音が操作出来るんですよね。本機は外部エクスプレッション・ペダルが使えませんけど、この2つの変調を個別にリアルタイムで各々操作出来たらいいな、と初めて思いました(他社の同種製品にはない 'エレハモ' だけの個性です)。 しかし、ここで再度繰り返せばリング・モジュレーターを使いたいワケではありません、あくまで非整数倍音の '質感' 含めた、クリーンな出音がベースの管楽器でサチュレートする歪み方へのアプローチなのです。
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そんなリング・モジュレーター製品化の出発点とも言うべきMaestro。そもそもは1960年代後半、後に 'オーバーハイム・シンセサイザー' で名を馳せるトム・オーバーハイムが同じUCLA音楽大学に在籍していたラッパ吹き、ドン・エリスより 'アンプリファイ' のための機器製作を依頼されたことから始まりました。この時、少量製作した内のひとつがハリウッドの音響効果スタッフの耳を捉え、1968年の映画「猿の惑星」のSEとして随所に効果的な威力を発揮したことからGibsonのブランド、MaestroによりRM-1として製品化される運びとなります。また、オーバーハイム自身のブランドであるOberheim Electronicsとしてもオーダーのかたちで少量製作されました。オーバーハイムは本機と1971年のフェイザー第一号、PS-1の大ヒットで大きな収入を得て、自らの会社であるOberheim Electronicsの経営軌道とシンセサイザー開発資金のきっかけを掴みました。それまでは現代音楽における 'ライヴ・エレクトロニクス' の音響合成で威力を発揮した発振器としてのリング変調が、このMaestro RM-1の市場への参入をきっかけにロックやジャズ、映画音楽などのフィールドで広く認知されたのです。ちなみに初期の現代音楽における 'ライヴ・エレクトロニクス' において試みていたのが、2つの入力の和と差をマルチプライヤー(乗算器)という回路で掛け合わせて非整数倍音を生成するリング変調本来の仕様であったこと。MaestroのRM-1にはその機能が盛り込まれておりましたが、大抵の製品には掛け合わせるためのオシレータを内蔵することで簡便な音作りを提示しておりました、そのような状況の中でスウェーデンのエンジニア、Nils Olof Carlinの手がけたリング・モジュレーターはその原点の構造に則り、A、Bふたつの入出力を掛け合わせて変調することの出来る本来のリング変調を堪能することが出来ます。惜しむらくは当時、現地ミュージシャンのオーダーに従い僅か3台のみ製品化された 'ワンオフ' ものであったこと。しかし、この回路をアップデートするかたちでCarlin監修の下、Moody Soundsの手による優秀な復刻版が現在の市場に開陳します。しかし、MaestroのSound System for Woodwindsでブリブリと 'Indian Lady' を歪ませたかと思えば、サイケデリック・バラッドの 'Open Beauty' ではわざわざエンジニアがステージに登場してMaestro Echoplexを操作するのが電化黎明期らしい雰囲気で面白い(笑)。
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そして電子音響とジャズマンを '越境' した 'マッド・サイエンティスト' として唯一無二の存在、ギル・メレもご紹介しましょう。彼のキャリアは1950年代にBlue Noteで 'ウェストコースト' 風バップをやりながら画家や彫刻家としても活動し、1960年代から現代音楽の影響を受けて自作のエレクトロニクスを製作、ジャズという枠を超えて多彩な実験に勤しみました。そのマッドな '発明家' としての姿を示す画像は上から順に 'Elektor' (1960)、'White-Noise Generator' (1964)、'Tome Ⅳ' (1965)、'The Doomsday Machine' (1965)、'Direktor with Bubble Oscillator' (1966)、'Wireless Synth with Plug-In Module' (1968)といった数々の自作楽器であり、特に1967年にVerveからのリーダー作 'Tome Ⅳ' は、まるでEWIのルーツともいうべきソプラノ・サックス状の自作楽器(世界初!の電子サックス)を開陳したものです。ま、一聴した限りではフツーのサックスと大差ないのですが、彼がコツコツとひとり探求してきたエレクトロニクスの可能性が正式に評価されなかったのは皮肉ですね。そんなメレ独自のアプローチは1969年のTVドラマ・ミステリー "Night Gallery" を経て1971年のSF映画 'The Andromeda Strain' のOSTに到達、EMS VCS3や自作のドラムシンセを駆使して難解な初期シンセサイザーにおける金字塔を打ち立てます。ちなみにこの映画は、まさに今の新型コロナウィルスを暗示したような未知のウィルス感染に立ち向かう科学者たちのSF作品でして、その '万博的' レトロ・フューチャーな未来観の映像美と70年代的終末思想を煽るギル・メレの電子音楽が見事にハマりました。このギル・メレやブルーノ・スポエリ、ドン・エリスらがやったこと、また、サン・ラとエキゾチシズムからジャズとインドへの接近を経て 'Space Age' のアウトサイダーたちがもたらした意識変革について、誰か一冊の本で著しませんかね?。
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まずはバンドパス帯域でチリチリとした 'AMラジオ・ヴォイス' 効果ということで、F-PedalsのRobotHolicとBlackout Effectors Whetstoneを各々接続。F-Pedalsは米国カリフォルニア州ロスアンジェルス在住のイタリア人音楽家、フランチェスコ・ソンデーリ氏のプロデュースにより企画と設計、製造はイタリアのナポリで行われているミニサイズのラインナップです。このRobotholicにはいわゆるリング変調とは別に 'Lo-Fi' スイッチから生成される 'AMトーン' をチョイス。そして今は無き先鋭的なラインナップを誇ったBlackout EffectrsからWhetstoneとCrystal Daggerの2つが続きます。その 'マルチ・モジュレーション' であるWhetstoneは本機に各々内蔵される 'Ring & Fix' モード(3:08〜4:20)にすると、Rateツマミは 'Ring' では非常に早い細切れスピードとなり、そのままDepthツマミを下げてLFOの可変幅を切り替えるSweepスイッチ(Shallow/Wide)と組み合わせれば一風変わったオクターヴ効果に早変わり。一方の 'Fix' はモジュレーションを無効にした揺れということでまさに 'Filter Matrix' 効果であり、そのままRateツマミはマニュアルによるフィルター・スウィープとして 'ワウ半踏み' 風味からローファイな 'AMトーン' を生成します。そしてSunfish AudioのIkigai(生きがい)も国産の新たな工房として一味違うスパイスを効かせたラインナップを誇り、そのプリセットは1 - Tremolo/Ring Modulator、2 - Old Vinyl、3 - Filter Sample & Hold、4 - Fuzz、5 - Organ Simulator、6 - Crystal Delay、7 - Talking Filter、8 - Random Samplerの8種を用意。ここでのお気に入りは1の 'Tremolo/Ring Mod' と2の 'Old Vinyl' のザラ付いた質感ですね。
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引き続きこちらは、よりノイジーに寄ったモジュレーションによる 'リンギング・アプローチ' のラインナップ。Mid-Fi ElectronicsのScrape Flutterは設計者のDoug Tuttleによれば "エンヴェロープ制御、位相シフトベースのヴィブラート/サイドチェイン・ディストーションのようなもの" とのことで、たったひとつのツマミである 'Alignment' を回して不気味なアッパー・オクターヴ成分を生成します。一方、去年いっぱいでその工房を閉じてしまったWMDの破壊的なマルチ・ディストーション、Geiger Counterはユニークな逸品として大きな話題を振り撒きました。'放射能測定器' の如く全てをぶっ潰す 'ビット・クラッシャー' 的歪みの集大成と思われておりますが、252種用意されているウェーブテーブル式波形の中にはクリーンな音作りで地味に管楽器でハマるものがあります。例えば動画中の 'Clean Lo-Fi' (4:39〜5:23)などはまさに 'リンギング' の最たるものでしょう。そして製作時期によりいくつもの追加機能や 'ヴァージョン違い' など1つとして同じモノが無いオーストラリアの工房、Seppuku Fxのローファイ・モジュレーションMind Warp。わたしのはグリッチなノイズ機能の付加した2018年版となりまする。最後はギリシャの工房DreadboxのKomorebi(木漏れ日)は、基本的にコーラス&フランジャーとしてDeluxe Electric Mistressを参考にした機能がメインなのですが、Static、Rate、LFO OutのCV入出力と共に 'Ringi-SH' (3:27〜)という名で爽やかな効果から一転、極悪な匂いが漂います。本機からはLFOもCVで出力されるのでWMD Geiger CounterやTransmutronとの連携、同期を取ることが可能。最近のペダルは 'ユーロラック' モジュラーも含めた音作りに特化したモノが多いですね。
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そんな 'リンギング' 効果の出発点と言うべき 'エレハモ' の名機、Deluxe Electric Mistress内蔵の 'Filter Matrix' モードは地味ではありますが使えますヨ。基本はフランジャーなのでほとんど無視されちゃいますけど、これが 'Range' ツマミ1つの機能ながらなかなかにハマってしまう。しかし同製品の動画を漁って見てもほぼフランジャーのみの解説ばかりで、もはやオマケですらなく完全に忘れ去られている・・(悲)。数少ないものでは最初の動画後半の4:42〜5:44、そして本機のデッドコピーであるHartmanの動画の3:30〜くらいで、改めて言うけどまあ、やっぱり忘れちゃうくらい地味ですよねえ(苦笑)。あ、そうそう、この機能は同社のPoly Chorusにも搭載されており、さらに触れるツマミが増えているのでこれまた地味に嬉しい(なぜか本機のヴィンテージと復刻版では 'Feedback'、'Width'、'Tune' の各ツマミ配置が変わってますけど)。とりあえず、この効果は 'Range' をリアルタイムで操作した時に '体感' 出来るので、やはりこのツマミをエクスプレッション・ペダルでコントロールしたい衝動に駆られるかも知れません。一方、イタリアからElectric Mistressの影響を受けたと思しきElectronic SoundsのFlanger / Filter Matrixは、あのTone Benderの設計でお馴染みGary Hurstがデザインしました。最後は国産にして現代でも通用するスタイリッシュなデザインで古さを感じさせないCoronのJFM-100。いわゆるフランジャーのほか、フットスイッチによる 'Jet効果' のOn/Off、そして 'Filter Matrix' と実に多岐に渡る音作りを約束します。しかし、当時の国産モノとしてはスタイリッシュでカッコいいデザインだ。
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そして、フランジャーといえば忘れちゃいけないA/DAの名機Flangerをペダル・アーカイブでお馴染み 'MVP' (Monthly Vintage Pedal)の第五弾として発信します。Seamoonの工房でFunk MachineやStudio Phaseを手がけたDavid TarnowskiがHarmony Synthesizer、Final Phaseと並び手がけたエグいモジュレーション・ペダルの代名詞的存在。また、この手の効果の元祖である 'テープ・フランジング' といえば、作曲家の富田勲氏による1969年製作のNHKによるSF人形劇「空中都市008」のテーマ曲。まだ電子的な 'モジュレーション機器' を入手できないことから当時、2台のオープンリール・デッキを駆使して生成した効果の出発点として、飛行場で体感していた 'ジェット音' の再現をヒントにこう述べております。
"これは同じ演奏の入ったテープ・レコーダー2台を同時に回して、2つがピッタリ合ったところで 'シュワーッ' って変な感じになる効果を使ったんです。原始的な方法なんだけど、リールをハンカチで押さえるんです。そしたら抵抗がかかって回転が遅くなるでしょ。'シュワーッ' ってのが一回あって、今度は反対のやつをハンカチで押さえると、また 'シュワーッ' ってのが一回なる。それを僕自身が交互にやったんです。キレイに効果が出てるでしょ。その時、ジェット音的な音が欲しくてね。そのころ国際空港は羽田にあったんだけど、ジェット機が飛び立つ時に 'シュワーン' っていう、ジェット機そのものとは別の音が聞こえてきたんです。それはたぶん、直接ジェット機から聞こえる音と、もうひとつ滑走路に反射してくる音の、ふたつが関係して出る音だと思った。飛行機が離陸すれば、滑走路との距離が広がっていくから音が変化する。あれを、同じ音を録音した2台のテープ・レコーダーで人工的にやれば、同じ効果が出せると思った。家でやってみたら、うまく 'シュワーン' って音になってね。NHKのミキサーも最初は信じなくてね。そんなバカなって言うの。だけどやってみたら凄い効果だなって驚いてた。これはNHKの電子音楽スタジオからは出てこなかったみたい。やったーって思ったね(笑)。"
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個人的にお気に入りなのがドイツで 'ユーロラック' モジュラーシンセを得意とする工房、Koma ElektronikのBD101 Analog Gate / Delay。BBDを用いた100msという超最短のディレイタイムによるアナログ・ディレイとゲートを組み合わせて、赤外線センサーや外部とのCV(電圧制御)による 'モジュラー的' 音作りまで対応します。いわゆる 'ビット・クラッシャー' からAD(Attack、Decay)によるエンヴェロープ・モディファイア、まるで土管の中にアタマを突っ込んでしまったような 'コォ〜ッ' とする金属的変調感の 'Intergalactic Sounds' (1:30〜)は一般的フランジャーでは味わえない本機ならではの個性でしょうね。ちなみにこの効果と近い感じを生成するといえば、古くは 'ダース・ベイダーの声' として認知されたMarshall ElectronicsのTime Modulatorや、現在 '足下' に置いて愛用するBastl Instruments Thymeの 'Robot' モードなどがありまする。
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このあたりのフランジャーやピッチ・シフターをベースとしたリンギング、いわゆるAMモジュレーションの音作りとしてはEventideの初期ピッチ・シフターも色々と面白い効果を生成しておりました。代表的なものとしてはブライアン・イーノとのコラボで一躍有名となった孤高のラッパ吹き、ジョン・ハッセル。若き日にケルンでカールハインツ・シュトゥックハウゼンの薫陶を受けながら、トランペットに独自の 'ヴォイス' とも言うべきサブトーン的倍音を含んだ独特な音色の生成にH910 Harmonizerは欠かせない存在でした。最近の技術の進歩によりEventideからH9 MaxやH90といった最新機種がラインナップされておりますが、個人的にはH910と同時期に登場した 'Baby H910' と呼ばれるHM80が欲しいですね。現代音楽をベースとした女性電子音響作家のローリー・シュピーゲルもこのHM80のヘヴィ・ユーザーだったそうですが、その若かりし頃のパフォーマンスで弾いているのは1977年の初期デジタル・シンセサイザーとのこと。さて、そのジョン・ハッセルによるユニークなトランペットの音色と奏法について晩年、抽象的な表現を用いながらこう述べております。
- あなたの音楽における別の「垂直的な」側面は、トランペット演奏にも存在するように思われます。とりわけ、あなたの複数の楽器が同時に演奏されているかのようなトランペット・サウンドを作るために、あなたはハーモナイザーやピッチ・シフターを長年活用してきました。
"ハーモナイザーに関していえば、最初に導入したのはおそらくEventide H910だったのではないだろうか?。モデル番号は忘れてしまったが、だんだん大型になっていき、最終的には最も大型なモデルを持っていたが、なにしろプログラムがとても難しかった。現在使用している新しいモデルのH9は、オールデジタルでMIDIコントロールなどを小さな筐体に収めた後継版だ。H9の機能性には本当に興奮しているし、そのサウンドの一部は最新作にも入っている。その可能性には実に興奮させられるね。私は常に平行進行やシーケンスといったものに魅了されてきた。つまり、ラヴェルやブラジル音楽の多くで見かける5度の和声の動きだ。私が敬愛してやまないラヴェルの音楽には独特の美しさがある。それは、まず1本の鉛筆で壁に曲線を描いた後、さらに2本の鉛筆を手に取り、2本か3本の鉛筆を持って同じことをするのに似ている。数年かかったとしても、やがてうまくいけば、平行する進行を追いながら実際のコードチェンジを行えるテクニックが身につくことになる。そんなわけで、私は平行進行という豊かさを愛してきたのさ。また、インド古典音楽の歌い手であるPandit Pran Nathとの演奏では発声法やカーブなど方法を学び、素晴らしい機会となった。私は常に落ち葉の例え話に立ち返る。そこが出発点であり、次にそれをあえて消し去り、再び呼び出すというわけだ。"
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そして、'世界一美しいペダル' と羨望の眼差しで高騰するEMS Synthi Hi-Fli。初期の '擬似ギターシンセ' ということで、当時の '万博世代' から現在の 'Apple信者' まで喜びそうな近未来的デザインは古びることを知りません。その技術革新の黎明期とエフェクツによる '中毒性' は、スタジオのエンジニアからプログレに代表される音作りに至るまで広く普及します。現在、このEMSは過去製品の 'リビルド' をDigitana Electronicsを中心に会社は存続しており、個人的にはコレをAppleが買収して、電源Onと共に光る '🍏' マークを付けた 'Apple / EMS Synthi Hi-Fli' の名で復刻して頂きたい(笑)。また、ジョン・ハッセルをフックアップした立役者にしてEMSシンセサイザーを世界で誰よりも知り尽くしている男、ブライアン・イーノのお言葉は拝聴しなければなりません。'アンビエント' を提唱し、常に音響設計とその作用、インターフェイスについてポップ・ミュージックの分野で研究してきた者の着眼点は音楽を聴く上での良い刺激をもたらしてくれます。しかし日本製品のインターフェイスをこき下ろしてEMSの簡便なアプローチを賞賛しながら、一方では超難度なFM音源を持つ日本の名機、Yamaha DX-7のオペレートにも精通しているのがイーノらしい(笑)。ちなみにEMS Synthiも外部入力を持っており、内蔵オシレータの代わりにリズムボックスやギターなどあらゆる楽器を突っ込んで 'エフェクター' として音色加工出来る楽しさがありまする。あ、そういえばBehringerからなんとVCS 3の完コピレベルのバッタも、いやクローン製作のアナウンスがされましたね。
- 今でもEMSを使っていますか?。 E - 使っている。これにしかできないことがあるんでね。よくやるのは曲の中でダダダダダといったパルスを発生させたいとき、マイクを使って楽器の音をこのリング・モジュレーターに入れるんだ。それから・・(ジョイスティックを操作しながら)こうやって話すこともできるんだよ。 - プロデュースやセッションをする際にはいつもEMSを持ち込んでいるのでしょうか?。 E - (「YES」とシンセで答えている)。 - 最後までそれだと困るのですが・・。 E - (まだやっている)・・(笑)。でも本当に重宝な機械だよ。フィルターもリング・モジュレーターも素晴らしく、他の楽器を入れるのに役立つ。 - 大抵エフェクターとして使うのですか?。 E - これはノイズを発生させるための機械、あるいは新しい音楽のための楽器なんだ。これをキーボードのように弾こうと思わない方がいい。でも、これまではできなかったものすごくエキサイティングで新しいことがたくさんできる。 - どこが他のシンセサイザーと違うのでしょう?。 E - ほかのシンセサイザーでは失われてしまった設計原理が生きているからだ。原理は3つある。第1の原理は、これがノンリニアであるということ。現代のシンセサイザーは、すべて既に内蔵されたロジックがあって、大抵はオシレータ→フィルター→エンヴェロープといった順序になっている。だが、EMSだとオシレータからフィルターへ行って、フィルターがLFOをコントロールし、LFOがエンヴェロープをコントロールし、エンヴェロープがオシレータをコントロールするといったことができるんだ。とても複雑なループを作ることができるので、複雑な音を出すことができるんだよ。現実の世界というのもまさにそうやって音が生み出されている。決まった順序によってのみ物事が起こるわけではなく、とても複雑なフィードバックや相互作用があるんだ。 第2の原理はやっていることが目に見えるということ。シンセサイザーのデザインを台無しにしてしまったのは日本人だ。素晴らしいシンセサイザーは作ったが、インターフェイスの面ではまるで悪夢だよ。ボタンを押しながら15回もスクロールしてやっと求めるパラメータに行きつくなんてね。それに比べるとEMSは使いやすい。パフォーマンスをしている最中にもいろんなことができるから、即座に違った感じの音楽が出来上がるんだ。ボディ・ランゲージが音楽に影響を及ぼすんだよ。ボディ・ランゲージがあまりないと、窮屈で細かくて正確で退屈な音楽しか生まれないし、豊かだとクレイジーな音楽が生まれるんだ。 第3の原理は、これにはスピーカーを含めてすべてが組み込まれているので他のものを接続する必要がないということ。私がいかに早くこれをセットアップしたか見ただろう?もしもこれが現代のシンセサイザーだったら、まずケーブルを探して、オーディオセットの裏側に回って配線しないといけない。あれこれグチャグチャやってるうちに、恐らく私は出て行ってしまうだろうね。私はもう歳だから気が短いんだよ。
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そして、せっかくTransmutronに出力が2つ備えられているのだから各々にこれまた違う効果のペダルからLand Devicesの4チャンネル・ミキサーに接続、さらに 'リンギング' の演出を味付けしてみたいと思います。ここではわたしの大好物である地味な効果のエンヴェロープ・モディファイアを備えたライン・セレクターを持ち出し、Mainの出力からはMantic EffectsのPendulumとSmall Gray PedalsのEuropa Reverb、出力2からToad WorksのEnveloopにPerfect Square ElectronicsのランダマイズなトレモロHyperslicerをチョイス。2014年頃の製品とされるSmall Grey PedalsのEuropa Reverbはフィードバックに特化したリヴァーブであり、そんなロング・サスティンの演出に一役買う 'Swell' ツマミ含め攻撃的なアンビエンスを付加するもの。そのエンヴェロープを司るのは、米国コロラド州デンバーから変態的な '飛び道具' ばかり製品化するManitic Effectsの多目的セレクター、Pendulum。その多目的ぶりを示す4つの機能を備えたスイッチのLEDモードは以下の通り。
●Blue Mode
フットスイッチ(モメンタリーまたはラッチ式)切り替えはShiftを押したまま、フットスイッチを押す。Attackツマミは駆動時に設定されたMixにどのくらい時間をかけてかかるかの調整。Decayツマミは駆動していない時にどのくらいの時間をかけて戻るかの調整。単にヴォリュームを大きくしたい時はInput 2に接続。
●Green Mode
ゲートスレッショルド、ダイナミックアクチュエーター的なモード。このモードでは入力1の信号が任意のポイントでクロスフェードがかかるように調整。エフェクツを演奏している時にだけかけたい、または音を出さない際のミュートとしても便利。Shiftを押したままMixツマミを回すとミニマムの量を調整可能。
●Yellow Mode
トレモロ/パンニング的な使い方。
●Red Mode
Yellow Modeに近く、タップしたテンポのパターンにトレモロが変化する。
本機は入出力に何を接続するかによって機能が変わり、いわゆる2台のアンプのクロスフェードとスイッチャー的な機能、そして各モード変更ごとの設定の自動保存、3.5mm TRS経由による全てのMIDIコントロールを受けることが可能。さて、こんな地味なエンヴェロープをループ・セレクターに盛り込んだペダルの先駆として出力2に繋いでいるのが今は無きToadworksが世に送り出した珍品、Enveloope。いわゆる1ループのセレクターにエンヴェロープの機能で各種ペダルををインサートするという謎アイテムで、動画では同社のトレモロPipelineをループにインサートしての地味なエンヴェロープ操作を開陳(笑)。SensitivityとReleaseの2パラメータを軸に2つのトグルスイッチが通常のトゥルーバイパス・モードのほか、'Dyn' モードにすると隣の 'Direction' スイッチの 'Normal' と 'Rev' の2モードに対応します。それぞれ 'Dynamic Forward' と 'Dynamic Backward' からなり、'Forward' では入力信号を複数に分割してエンヴェロープ操作。一方の 'Backward' はそれが逆となり(だから 'Rev')、主に基本の信号はループからのものとのことですが・・よくこの機能だけをペダル化しようと思いましたね(苦笑)。さて、そんなEnveloopに組み合わせるトレモロとしては、Perfect Square Electronicsなる工房のHyperslicerをチョイスしました。最近、BossからSL-2 Slicerというデジタルの同種製品が登場しましたが、本機はデジタル制御の4つのモードスイッチとタップテンポ、モメンタリースイッチによるトリガーで踏むと同時に '揺れ' が1回、2回、4回と設定可能。結局、これ以降のデジタルによる本格的な 'グリッチ・ペダル' の隆盛でこの手の製品は市場から消えていってしまいましたが、Exotic RobotalkやLightfoot Labs Goatkeeperなどから連綿と続く '時代の徒花' を刻銘する珍品のひとつでもあります。
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そんな2つのモノ出力を4チャンネルでまとめて 'Pan' 機能、楽器/ラインレベル切り替えを備えたコンパクトペダルの優れもの、Land Divices Land Mixer。このサイズでL/Rのパンを振れるのはステレオのペダルを使いたい人には重宝されるでしょう。そして、もうひとつはグリッチ系ペダルを得意とするノルウェーの工房、Pladask Elektriskから登場した4チャンネル × 4チャンネルのマトリクス接続でパラレル・ミックスするMatrise。通常のミックスからパラレル・ミックスのほか、出力を再度入力することで生じる 'フィードバック技' など攻撃的な使い方までカバーします。これはDeath by AudioのTotal Sonic AnnihilationやFairfield Circuitry Hors D'oeuvre ?などの 'フィードバック・ルーパー' ペダルでお馴染みの機能でもありますね。このHors D'oeuvre ?はSarah Belle Reidさんによる動画がありますが、さらにFairfield Circuitryからの新作であるRoger That !なる 'Radio Noise' の効果を生成するペダルまでレビュー。このカナダの工房はリング・モジュレーターのRandy's Revenge以降、段々と狂ったペダルのラインナップが増えてきましたね(笑)。
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こちらはオマケ。このMatriseのマトリクス接続によるパラレル・ミックスとして、グニャグニャとしたモジュレーションのペダルで遊んでみました。そう、例えばMid-Fi ElectronicsのDeluxe Pitch PirateやClari(not)のような制御不能の変態モジュレーション系ペダル群のことです。その主役はピッチ・モジュレーションの変異系と呼ぶべきRecovery Effects Viktroluxをチョイス。米国ワシントン州はシアトルに工房を構えるGraig Markel主宰のRecovery Effectsはかなりユニークなラインナップを誇っているのですが、このViktroluxはディレイタイムに対してCVで 'Trigger' 入力がかかり、外部ドラムマシンのテンポと同期してリズミックな生成へと変調します。その構成する各種パラメータもかなりヘンテコなもので、いわゆるディレイとしてのTime、エフェクト音と原音のBlend、全体の音量であるVolumeを本機の特徴であるテープのグニャグニャしたFlutter、その波形を三角波からスクエア波まで可変するShape、そしてFlutterをさらに '酔わせまくる' ツマミのWow、通常のディレイと '変態' 効果の切り替えを担うStability、ワンショットとマルチプルでディレイを切り替えるRepetitionと一筋縄ではいきません。取説にはわざわざ '究極の不安定化' と共に 'Sea Sick Modulation' (船酔いモジュレーション)の記載を見つけることでなるほど、と身を乗り出しております。一体、誰がこんな効果を求めてるのだろうか?という間違っちゃったセンスを救い出したくなる(苦笑)。ちなみにViktroluxはすでに 'ディスコン' となり、現在この機能は 'グリッチ' 系ペダルのCutting Room Floor V.2に '移植' することで健在なり。しかし、実は結構これは '難物なペダル' なんです...(悩)。いわゆるブッ壊れた 'テープ・エミュレータ' のイメージで作っちゃったのだろうけど、しかしOnにするだけでイイ感じの 'ローファイ' な質感が得られます、みたいなノリは全く無い。確かにアナログ風なエコーなんだけどそれ自体は取るに足らないモノでして、むしろ本機の売りはそれこそ 'Sea Sick' (船酔い)とまで表現するダルダルに伸び縮みする 'ワウフラな' モジュレーション。一方、本機の困ったちゃんな売りのひとつがBlendとは別に備えられたVolumeコントロールでして、一見ミックスとは別にレベル調整で役立つかと思いきやあっという間に歪んでしまうこと...。この手の '飛び道具' に必ずと言って良いほど 'Fuzz' とかのツマミで備えられる汚い歪みって結局、ギタリストにもノイジストにもそれほど重宝されなかったりするんですよね(汗)。だから歪ませる寸前でコントロールすることが大事...何でもブッ潰しちゃうとあっという間に飽きます(苦笑)。
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そしてViktroluxのディレイタイム、後述するBoardbrain Music TransmutronのVCFに直接作用するCVを生成するユニークなLife is Unfair Audioの奇妙なトレモロ・ユニットをチョイス。単純にトレモロとしての使い方からサンプル&ホールドを始めとした16種の波形の選択とタップテンポ、また3種のパラメータをアサインするエクスプレッション・ペダル繋いでリアルタイムに多様な '揺れ' を生成します。さらに本領を発揮するのは、この8つからなる3.5mmのミニプラグ端子に電圧制御を与えて従来のトレモロを脱した新たな音作りへとコネクトすること。まさに 'Synaptic Cleft' (樹木状に広がる神経細胞)の名の如くDepth、Multiplier、Waveform、Wave Distort、Synthesizer In、Sync Inのほか、ここではエンヴェロープを出力するSynthesizer OutとLFOで同期させるClock Outを用いて各々コントロールして行きます。また、自由にペダル接続のルーティンを行き来するものとしては、A、Bループを前後で入れ替えられる風変わりなループ・セレクターのOK Custom Design Change Boxといった変わり種もあります。残念ながらChange Boxの動画はYoutubeに無いので、同種の機能を有するCooper Fxの多目的セレクターSignal Path Selectorを代わりに上げておきます。ちなみにどちらも 'ディスコン' です(悲)。わたしがこの手の '便利小物' を常に愛するのは 'Stomp Box' という不自由なスペースゆえの機能と接続のセオリー、あっという間に消費されて 'タンスの肥やし' のように仕舞われてしまうペダルのやるせなさから少しでも発想を '自由' にさせて上げたいからです。従来のVCO→VCF→VCAといったモジュラーシンセのセオリーを自由にルーティンさせたところに 'ユーロラック' 隆盛のカギがあるのですが、それを変則的なループ・システムでアレコレ入れ替えるペダルの世界も従来の足下から解放されつつあります。グッチャグッチャな '配線まみれ' のモジュラーシンセを体験した後では、この侘しいくらいのモジュレーションの同期や変調レベルで喜べるわたしは 'ペダル廃人' の住人なのかも知れない(苦笑)。
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'スピーチシンセ' 導入記念(笑)ということで最後はヴォコーダーで締めましょうか。あのレアなギターシンセEH-8000と同じシリーズで登場したエレハモのレアな 'ダース・ベイダー風' ルックスのヤツです。さて、こちらは 'シンセ・コレクター' のランス・ヒル主宰で運営されているVintage Synthesizer Museumとスイスの 'Smem' ことSwiss Museum & Center、英国でトニーとジョーの2人を中心にヴィンテージのシンセからアウトボード類に至るまで修理、販売を手がけるSoundgasのレアなコレクション。一方はJHS Pedals主宰にして 'ペダル・コレクター' としても発信するジョシュ・スコットからの双方 'ガジェット' 対決、いざ披露。しかし、感動したのはさすが 'ペダル廃人' のジョシュさん、JenningsのCycloneって何コレ!?(動画17:21〜)。この 'ツイストシリーズ' のことは知っていてワウペダルのGrowler など探しておりますけど、こんな 'Siren' 内蔵のブッ飛んだトレモロペダルは知らなかった...元祖 'ヒップホップ・ペダル' (笑)。ま、ソレはともかく、人知れず隠れていたペダルに思いを馳せる...まさにこれぞ、春の日差しが届かなかった '陽の目を見ないペダル' に光を与えること。そんなニッチな効果は時に 'モジュラーシンセ' の力も借りながら念を閉じ込めたビルダーたちの溜飲を下げて、人知れず報われなかったペダルの思いに応えるのです...。あ〜、電化した管楽器ミュージアムやりたいなあ。
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