→Moog Minifooger MF Drive
→Elektron Analog Drive PFX-1
シンセサイザーのメーカーながら 'Moogerfooger' シリーズでこの市場に認知させたMoog。その 'Minifooger' シリーズとして発売したMF Driveは、Moog初のローゲインな '歪み' として重要でしょう。エクスプレッション・ペダルを繋ぐことでワウ的なフィルターに変わるところがMoogらしいですね。そして、後発で遅ればせながら参入してきたのがスウェーデンのElektronによるAnalog Drive。もともと自社シンセに内蔵するエフェクターのプログラムには定評があり、ひと足お先にAnalog Heatという 'シンセ用' の歪みエフェクターを発売しましたが、まさかギター用の完全アナログな単体機まで発売するとは思わなかった。8つの '歪み' のプログラムを持ち、Clean Boost、Mid Boost、Dirty Drive、Big Dist.、Focussed Dist.、Harmonic Fuzz、High Gain、Thick Gainから3バンドのEQで音作りをしてプリセット、100個まで保存することが可能でMIDIにも対応しております。
→Joemeek gb Q Guitar / Bass Processor
英国の伝統、アラン・ブラッドフォードの手により製作される数々のアウトボード機器で有名なJoemeekは、わたしも 'チャンネル・ストリップ' のThree Qを愛用しておりますが、ギター、ベース用の '歪み' としてこのgb Qを用意。ディストーションとお馴染み5バンドEQの 'Meequalize' を個別に組み合わせることで、独特なエンハンスともいうべき倍音生成が可能となります。インサート機能やDI、ヘッドフォン端子などライヴからレコーディングなどの環境にも幅広く対応しております。まだちゃんとしたデモ動画はありませんが、このローゲインな仕様は管楽器向きと言えるかも。
→Dreadbox Square Tides - Square Wave Micro Synth
→Dreadbox Kappa - 8 Step Sequencer + LFO
→Electro-Harmonix Micro Synthesizer
こちらも同じく 'モジュラーシンセ' を得意とするギリシャのメーカー、Dreadboxですが、いわゆる 'ギターシンセ' な発想からオクターヴ・ファズ+フィルターのSquare Tides。別売りの8ステップ・シーケンサー+LFOのKappaと組み合わせることで歪んだリズム・シーケンスを不気味に奏でます。その本機のルーツ的存在なのがElectro-Harmonix Micro Synthesizer。上下のオクターヴにフィルターとエンヴェロープ・モディファイア、Square Waveなる '歪み' を混ぜることで擬似シンセへと変貌!わたしも過去、オリジナル同様の '復刻版' を使っていたことがあるのですが、さすが 'エレハモ' というべきエグいサウンドは健在です。個人的に深く探究する前に金欠で手放してしまったのが悔やまれますけど、その有名な存在の割に使いこなしているユーザーの少ない本機、挑んでみてはいかがでしょうか?
→Beetronics
→Beetronics Whoctahell
→Beetronics Custom
さて、このようなオクターヴ下の出る 'オクターバー+ファズ'、今風の言い方をするなら 'ファミコン' の8ビット音源に由来する 'ロービット系ファズ' なのですが、Beetronicsなる新たなブランドから登場するWhoctahellは管楽器向きのかなり面白そうなヤツです。こちらはMXR Blue Boxあたりを 'ブラッシュアップ' して、オクターヴ・ファズのみならず単体のオクターバーとしても使える優れもの。もうひとつはOctavia系アッパー・オクターヴ・ファズのOctahive。面白いのは、エレクトリック・ギターの世界で一部のマニアに求められている 'レリック加工' というワザと使い古したような仕上げの新品があるのですが、それをエフェクターでやってしまっております。また、'Beetnics Custom' というシリーズでは1人1台の '一期一会' な完全カスタム仕上げでやってしまったこと。もちろん、そのこだわりは外観のみならず、中身の回路も社名の 'Bee' (蜂)にかけた蜂の巣状の基盤で仕上げております。米国の工房ですがその中身はイタリア人、外観はブラジル人が担当しているということで、明らかに日本の環境からは出てこないアーティスティックな仕上げですね!
→Studio Electronics Wolftone Helium / Chaos
→Malekko Wolftone Helium / chaos
こちらもシンセサイザーのメーカーとして有名なStudio Electronicsが 'Wolftone' の名で手がけた '飛び道具' 的歪みもの。設計者のTodd Wolfgramから取られた 'Wolftone' は、独特な 'シンセ・ファズ' ともいうべきHeliumとChaosの2機種を展開しましたが、特に名前通りのぶっ飛んだChaosは他では聴いたことのない感じですね。このユニークな2機種をそのままコンパクトなサイズにして '再発' したのがMalekko 'Wolftone' のもの。
→Pigtronix Disnortion
→Keeley Blue Box Stabilizer Mod.
とりあえず管楽器で使うとこんな感じ。やはりローゲインなオクターヴ系 '歪み' を用いるか、いわゆるギターシンセ風アプローチになってしまうか、という感じですね。歪ませたフィルターということならワウファズも有効ですがハウリングにはご注意を。しかし究極の '歪み' ってやっぱりアンプだよなあ、などとギタリストと同じ答えでスミマセンっ。さすがにAmpegのスタックアンプでここまで鳴らしまくるとマイクでは対応できず、やはりマウスピース・ピックアップの出番となります。ちなみにPigtronix Disnortionはすでに 'ディスコン' ではありますが、中古でもよく見かけるので手に取ってみてはいかがでしょうか?
→Radial Engineering EXTC-SA
→Pigtronix Keymaster
また、マイクからの出力をそのままエフェクターに突っ込んで上手くいかないのもこの '歪み系' の悩み。音が潰れしまうのはもちろん、一気にゲインレベルが上がってハウリングを誘発します。きちんとしたインピーダンス・マッチングとレベル合わせをするべく、マイクからの出力はそのままライン・ミキサーへ入力してバスアウトから再び出力、ここでラインレベルの中でコンパクト・エフェクターをインサートできる '逆DI' ともいうべき 'Reamp Box'、Radial Engineering EXTC-SAやPigtronix Keymasterらを用いて '歪み' をかけるとバランスを取ることができます。本機はTRSフォン及びXLRキャノン端子のバランス入出力を備えたアッテネーターで、ライン・ミキサーのバスアウトとチャンネルインの間に接続して下さい。
→Moog Moogerfooger
さて、上記のラインレベルにおいて用いるほか、そのままでは '潰れてしまう' 原音と '歪み系' のバランスを取るべくループ・ブレンダーでミックスするのもコツですね。こちらはそのループ・ブレンダー、One Control Mosquite Blenderを用いてオーバードライヴ&リヴァーブとのミックスを試してみた動画。原音を確保した上で、エクスプレッション・ペダルを繋ぎミックス具合をコントロールすることができます。そのMosquite Blenderを用いたバリトン・サックスの動画の方は、Moog Moogerfooger MF-107のブレンド具合が見事ですね。ちなみに、このループ・ブレンダーでバランスを取ることを前提とするなら、金属質にピッチを狂わせるリング・モジュレーターを '歪み' として応用してみるのも面白いと思います。
→Moody Sounds / Carlin Pedals
→Moody Sounds Carlin Ring Modulator Clone
→Electro-Harmonix Ring Thing
→''飛び道具' の王様リング変調器'
そんなリング・モジュレーター、一昔前は完全に '過去の遺物' としてヴィンテージにありえないほどのプレミアが付けられておりましたが、現在は大手からガレージ工房に至るまでいろいろな選択肢が揃えられております。ここで注目したいのが1970年代にスウェーデンでニルスオロフ・カーリンが手がけた幻のメーカー、Carlin Pedalsのリング・モジュレーターをMoody Soundsの手により本人監修で復刻したことです。今やNordからElektron、ビヨルン・ヨールのBJFEなどで電子音楽機器のメッカとなったスウェーデンですけど、このリング・モジュレーターも世界でたった3台のみ製作された超レアもの。動画は '復刻版' ながらVol.ツマミ1つのヴィンテージ同様のもので、本機がユニークなのは2器のリング変調をミックスすべくMix AとMix Bの入出力が付いていること。コレ、実はリング変調の原点でして、ふたつの入力の和と差をマルチプライヤー(乗算器)という回路で掛け合わせることで、まったく別のトーンへと作り変えてくれるのです。本機での使用ならCarrier入力から別のオシレータを混ぜて出力、もしくはステレオ音源をそのまま入出力して変調、そして一番手っ取り早いのは、Mix Aの出力をCarrierにパッチングしてMix Bと変調させるという、コンパクト・エフェクターにして 'モジュラーシンセ' 風の使い方まで出来てしまうのです。逆に、通常のリング・モジュレーターに特徴的なフリケンシー・コントロールやトレモロなどは苦手ですね。現在の '復刻版' の仕様は、新たにMix AとMix Bの調整用ツマミが付けられてさらに使い勝手が良くなりました。いやあ、地味に面白い。ちなみに過去の記事ですが、上述リンク先の ''飛び道具' の王様リング変調器' も合わせてご参照下さいませ。
→WMD Geiger Counter
→WMD Geiger Counter Civilian Issue
さてさて、そんなローゲイン系 '歪み' からリング・モジュレーター的ハードなヤツ、擬似ギターシンセ風のぶっ飛んだ効果まで網羅したいというならもう、危険極まりないこれしかないでしょう、WMD Geiger Counter。マルチ・エフェクターの如く252種の波形を用意して、ツマミやスイッチの組み合わせからあらゆる '歪み' を生成するもの。いや、さすがに音作りは難しいという方には、波形を16種にして扱いやすくしたGeiger Counter Civilian Issueをご用意。そして開発者のWilliam Mathewsonにより 'Coming Soon' と期待させてくれるプロトタイプ機、Geiger Counter Proがアナウンスされているようです・・凄い。
→Rainger FX Dr. Freakenstein Fuzz DrFF-3
音はもちろん、見た目の凄さという点ではこのRainger FXも負けていません。この英国のメーカーも奇妙な '飛び道具' ばかり製作しているのですが、フランケンシュタインならぬフリーケンシュタインということで、まさに電気ショックで目覚めよ!とばかりのカフ・スイッチが期待を裏切りませんね。音色的にはファズ+リング・モジュレーターといったブチブチする感じ。また、付属の小さな感圧センサー 'Igor' を踏むことでモジュレーションとフリケンシーをコントロールすることもできるという、かなりシンセ的発想に寄った一台。
→Koma Elektronik BD-101 Analog Gate / Delay
こちらもリング・モジュレーターの変異系?いや、基本はアナログ・ディレイとゲートの複合機ながら、短いディレイタイムでもってフランジャーからリング・モジュレーター、ロービット系 '歪み' の効いたディレイまでパッチングして音作りのできる変わり種。Koma Elektronikは、ドイツでMoogerfooger同様に 'モジュラーセンセ' 的な発想をコンパクト・エフェクターに盛り込んだ新興メーカーで、10ステップの 'ランダム・アルペジエイター' を備えるフィルターFT-201と本機をメインとしております。足元のセンサーでロービット的ザラザラとするディレイタイムを変調できるのがユニーク。
→Strymon Deco
また、ここまではローゲインなオクターヴ・ファズ、'ファミコン' 的なロービット・ファズ、オクターバー+ファズ、エンヴェロープ・フィルターを組み合わせた初期ギターシンセ、リング・モジュレーターとの複合機などを管楽器用の '歪み' としてセレクトしてみましたが、いわゆる '歪み' の原点として過大入力による飽和した歪み方、最近ではサチュレーションとかテープ・エミュレーターといった '滲む' 感じを好む層が増えております。これはStrymonがDSPテクノロジーとして 'アナログ・モデリング' したDecoを始め、今や、単なる '歪み系' エフェクターとは違う二次、三次倍音を付加して音色を太くする効果として見直されているのです。'アンプリファイ' なラッパの先駆者であるドン・エリスが、テープ・エコーの名機Maestro Echoplexでフィードバックさせて音色がサチュレーションする様子。上下の帯域が狭くなる代わりにざらついた '滲み' でミッドが持ち上がり、いわゆる 'テープ・コンプ' 的にもっちりした張り付いてくる質感となりますね。
世界最初のファズボックスが開発された当時、サックスの奏法に 'ファズトーン' というのがあるように、その音色の模倣としてあったのがチューバやホルン、サックスなどの管楽器でした。ワウペダルはトランペットのミュートに源を発しており、エフェクターの発想が管楽器から強くインスパイアを受けていたというのは興味深いところです。しかし、それは1960年代後半にロックという新たな革命を担う '音色' として、アンプを 'オーバードライブ' させると同時に飽和する '歪み' という志向へと一転します。そこでは、今度は逆に管楽器がピックアップとアンプを用いて、エレクトリック・ギターの模倣ともいうべき 'アンプリファイ' の可能性へと挑むことになるのだから面白いもの。是非ともホーンをビリビリとシビレさせて下さいませ!
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