2018年7月2日月曜日

身軽な 'アンプリファイ' 入門

管楽器奏者って身軽を好む人が多い気がする。楽器ケース小脇に抱えてサッとあちこち移動できるフットワークの良さというか、ギタリストがギターケースやエフェクターボード、人によっては 'MYアンプ' (ヘッドアンプだったりコンボだったり)まで持ち込む強者がいるのとは真逆の人種。つまり、こういうところから管楽器の 'アンプリファイ' に対する認識もその効果の是非のほか、単にメンドくさそうっていうイメージが先行してアプローチしない人が多いんじゃないかと思うのですヨ。



じゃ、身軽な 'アンプリファイ' って何ぞやという話になるのだけど正直、管楽器においてそんな大量のエフェクターって必要ないのです。せいぜいワウとオクターバー(ピッチ・シフター)、空間系くらいで十分だし、これらをマルチ・エフェクターひとつで賄ってしまえば、ほぼマイクとエフェクツだけの便利なセッティングとなります。実際のステージではDI含めてPAの扱いとなり、ほぼヴォーカルと同じ環境でモニターすることとなります。また、移動でよく飛行機を利用する場合などでは、テロ対策により手荷物制限が厳しくなって小さいセットを組まなければならないという状況も考えねばなりません(わたしには関係ないけど・・笑)。とりあえず、ここではそんな身軽かつ '最低限' な道具を中心に提案してみたいと思います。





K&K Sound Dual Channel Pro Preamp ①
K&K Sound Dual Channel Pro Preamp ②
Sennheiser Evolution e608
Sennheiser Microphone
Piezo Barrel on eBay
Piezo Barrel Wind Instrument Pickups

わたしにとって2つのピックアップ・マイク使用による 'アンプリファイ' は譲れないのですが、この英国の 'エレアコ' な工房、K&K Soundから2つのピックアップをブレンドするミキサー機能の付いたプリアンプは素晴らしい。この手の分野は 'エレアコ' の世界では何年も前からいろいろと探求されており、そのノウハウを同じ 'アコースティック' 楽器である管楽器に応用しないのは勿体ない。ちなみに本機は2つの入力をそのままミックスする 'Dual Channel Pro Preamp' のほか、姉妹機としてTRSフォンひとつで 'ステレオ入力' できる 'Dual Channel Pro 'ST' Preamp' があり(上掲動画下のもの)、これらはよく似ているので購入の際はご注意下さいませ。蓋を開けるとその基板上にはGain、Treble、Mid、Bassの3バンドEQを2チャンネル分備えており、ケース内にベルクロで貼り付けてあるマイナス・ドライバーで調整できるのは便利。そして、2つのピックアップ・マイクの内、マイク側のXLR端子はClassic Proの600Ωから50kΩに変換する 'インピーダンス・トランスフォーマー' のZXP212Tでフォンにして入力します。


Classic Pro ZXP212T
Rycote XLR Holder Mk.Ⅱ ①
Rycote XLR Holder Mk.Ⅱ ②

さて、K&K Sound Dual Channel Pro Preampは奏者の腰に装着できることから、そのプリアンプと共にXLR端子をうまくまとめるべく 'プチDIY' してみました。XLR端子を保持できるホルダーを用いてフォン側も固定すべくホルダー側の穴をガリガリとヤスリで拡張、瞬間接着剤とホットボンドで固定してみたのが上の写真。XLR端子とフォンの間にネジで固定された金具が見えますけど、これはプリアンプに装着した際にグルッとこのホルダーが回ってしまわないようにするストッパーとして入れたもの。'豆カン' と呼ばれる額縁を引っ掛けるフックをL字に開きドリルで穴を開けてこのホルダーに装着しました。


そしてプリアンプに装着してみたのがこちらの完成形。このままプリアンプの蓋を開けて電池交換や基板上のEQなどを操作することができます。ちなみにK&K Soundのプリアンプは出力にフォンを 'ジャックイン' することで電源が入る仕様です。また、ここでワイヤレス・システムと組み合わせることでさらに煩雑なケーブル類から解放されると思います。あ、そうそう、ここでのマイクはダイナミック・マイクのことであり、電源供給の必要なコンデンサー・マイクの場合だと別途電源を用意するなど、少々煩雑となりますのであしからず。



Headway Music Audio EDB-2
Headway Music Audio EDB-2 Review

本当はコイツを使いたいんですけどねえ・・高い!'エレアコ' のピックアップ・マイクのミックスにおいて、'ピエゾ + マグ' とか 'ピエゾ + 'コンデンサー' とか、いかにしてPAの環境で 'アコースティック' の鳴りを再現できるのかの奥深い世界。このEDB-2こそまさに至れり尽くせりの決定版というか、細かな内容は動画を見て頂くとして、フォンとXLRの2チャンネル仕様でEQをch.1、ch.2で個別及び同時使用の選択、2つのピックアップの '位相差' を揃えるフェイズ・スイッチと突発的なフィードバックに威力を発揮するNotch Filter、DIとは別にフォンのLine出力も備えるなど、おお、高品質かつ '痒いところに手の届く' 精密な作りですね。個別にミキサーとマイクプリ、EQをあれこれ中途半端なヤツ買って散財するのなら、思い切ってコイツを買ってしまうというのもアリかも(しかし何度も言うが高い!)。





Sennheiser Evolution e608
Sennheiser Microphone
SD Systems LDM94C

ちなみにそのマウスピース・ピックアップとミックスするマイクはこちら、Sennheiserの珍しいグーズネック式ダイナミック・マイクEvolution e608。サックスであればSD SystemsのLDM94も良いでしょうね。通常、管楽器の '生音' が持つアンビエンスを余すところなく収音してくれるのはコンデンサー・マイクに軍配が上がりますが、エフェクターを積極的に使う場合ではダイナミック・マイクの方がガツッとしたエフェクターの 'ノリやすさ'、帯域の限定的な収音に対するハウリング・マージンの確保の点で有利なことが多いのです。





Zoom MS-50G Multi Stomp for Guitar
Zoom MS-70CDR Multi Stomp

さあ、ここからはエフェクツを物色してみたいのですが、価格と機能、サイズにおいてZoomの 'Multi Stomp' と呼ばれるMS-50Gとモジュレーション/空間系に特化したMS-70CDRはいかがでしょうか。この2機種のプリセットは現在もZoomから 'ファームウェア・アップデート' により追加、更新されているのですが、やはりMS-50Gは 'for Guitar' とあって 'アンプ・モデリング' のシミュレータが多い印象ですねえ。ここら辺は管楽器だと単に潰れてノイジーなサウンドになってしまうので注意が必要ですが、それでもフィルター系でランダム・アルペジエイターやギターシンセ風のエグい効果などもあってかなり楽しめますヨ。





また、MS-70CDRの煌びやかさはほぼこれ一台で 'アンビエンス' の設定が賄っちゃうくらい高品質。去年にV 2.0へアップデートされ、従来のモジュレーション、空間系のほか、ダイナミクス系含めてさらに51のプリセットが追加されてトータル137種ものエフェクツが使用できます(選ぶだけで大変・・)。そしてMS-50G、MS-70CDR共に最大6つまでのエフェクトを同時使用することが可能なのですが、当然各プリセットのパラメータも細かく用意されているのでこの小さなLED相手に格闘することは覚悟して下さいませ。





Mak Crazy Sound Technology Guitar Fairy
Mak Crazy Sound Technology Temporal Time Machine

一方、そんな膨大なプリセットも要らなければプログラムするのもメンドくさい、いちいちパラメータの階層を開いて・・というマルチ特有の '使いにくさ' が苦手な人は、むしろ、こちらの単純かつ高品質なモジュレーション系マルチで十分なんじゃないでしょうか。実際、ギターと違ってソロとバッキングを管楽器で使い分ける場面はほぼ無いワケでして、このクリミア自治共和国製Guitar Fairyの6つのプリセット(Chorus、Flanger、Phaser、Tremolo、Vibrato、Envelope Filter)で切り替えて、各々の設定に従いReverb、Speed、Depthを調整するという至極簡単な本機の方が煩わしくなくて良いと思いますヨ。個人的に6つのプリセットに対してReverbだけ個別に調整、ミックスできるのは便利な機能。もちろん6つのプリセットの内のひとつしか使用できないので不自由と感じるかもしれませんが、複数のモジュレーションを同時にかける場面はほぼ無いので問題ないでしょう。





ZCat Pedals Q-Mod
ZCat Pedals Poly Octaver 2

こちらも旧ロシア圏のラトビア共和国からQ-ModとPoly Octaver 2。ここの製品も日本には早くから入ってきており、モジュレーション、空間系に特化したペダルを少量生産している稀有な工房です。Q-Modはその名の如くChorus、Flanger、Phaser、Tremoloの4種切り替えとリヴァーブを個別に付加できるもので、フットスイッチと電源抜き差しでトゥルーバイパスとバッファードバイパスに切り替えられるほか、リヴァーブを常時有効にするモードを選ぶことで、バイパス時でもリヴァーブだけはかかった状態にできるというかなり凝った仕様となっております。一方のPoly Octaver 2はChorusとReverbに上下1オクターヴのオクターバーをミックスできるという変わり種。





Electro-Harmonix The Worm

こんなお手軽な '全部載せ' はエフェクター界の老舗である 'エレハモ' の得意とするところであり、Phaser、Tremolo、Vibrato、Wahの4種を搭載し、さらにワウはAutoとManualの2モード切り替えでAutoによる 'モジュレーション・ワウ'、Manualでは外部エクスプレッション・ペダルを繋いでワウペダルのように使うことが出来るThe Wormがお得。ここではそのワウ・コントロールをエクスプレッション 'ペダル' ならぬ 'ツマミ' で操作しておりますが、あえてツイストのようにツマ先でグリグリさせるのも面白いかも。下の動画はその '新旧比較' ですけどスペースさえ気にしなければ、やはり 'エレハモ' はこの弁当箱サイズの方がテンション上がりますねえ(この旧モデルでエクスプレッション・ペダルは使えません)。







Hotone
Hotone Tape Eko
Hotone Xtomp mini - DSP Processing Pedal
Hotone Xtomp & Xtomp mini Review

ここまで紹介したものはモジュレーションに特化したものが多いため、やはり個別にディレイやリヴァーブを用意しておきたいのは確か。そこで最近メキメキとコストダウンを図りながらその品質を上げている中国製エフェクターをチェック。特に 'Maid in Hong Kong' としていま一番元気の良いHotoneの '手のひらサイズ' なディレイ、Tape Ekoを追加で入れてみましょう。と思っていたら、早速サックスでHotoneやZoom MS-50Gによるエフェクター試奏の動画を発見。あまりあれこれ追加しちゃうとこの項本来の趣旨を離れちゃうけど(汗)、やっぱりこの小さなサイズだと色々試したくなりますよね。また、HotoneはZoomに負けず劣らずのマルチ・エフェクツ、Xtomp、Xtomp miniなどがあります。これらはスマホを介して自由にアルゴリズムを入れ替えられるDSPプロセッシング・ペダルなのですが、個人的にZoom含めてこの手の 'ファームアップ' ものはメーカーの技術と供給次第というか、初期の不安定なソフト、新たなライバル機や状況の変化でそのモデリング技術が一気に古臭くなり、パタッと製品開発を止めちゃう危険性があること。とりあえず便利かつ多機能、コスト・パフォーマンス最高なデジタルの '新製品' が出た時は慌てて飛びつかないで下さいませ(今のところZoomは安定してますけど)。







Benidub Digital Echo

個人的にはディレイも演奏の一部と考えるのであれば、マルチ・エフェクターで '省エネ' をした分、小型のライン・ミキサーのセンド・リターンにBenidub Digital Echoのようなダビーなディレイを繋いで操作するってのも面白いかも。普通のディレイだと精々タップテンポかフィードバックを操るくらいしか出来ませんが、このBenidubのダブに特化したヤツならさらに複雑でリズミックな '空間生成' が可能。もっと凝ったことをやりたければディレイの前にループ・サンプラーを繋いで・・とすでに身軽ではなくなってきてますけど(汗)、しかしラッパ吹きならせっかく空いている左手を使わないのは勿体無い!





The Montreal Assembly 856 for Zellersasn
The Montreal Assembly

そんなついつい追加したくなるループ・サンプラーですが、この 'グリッチ' に特化したカナダの製品、The Montreal Assemblyの856 for Zellersasnという謎めいたヤツは面白そうです。しかし、今やカナダは多くの工房が集まるエフェクター界の一大聖地と化しており、特にアナログとデジタルの高品質でハイブリッドな 'もの作り' はこの業界を盛り上げる存在にまで成長しました。本機はすでに2016年に登場し、最大20秒のループをランダマイズしてエンヴェロープ、テンポ、ピッチを操作しながら 'グリッチ' を生成するもので、Red Panda Particleのように破綻せず音楽的 'エラー' として吐き出せるのが特徴。またMIDI同期やユーザー・プリセットにも対応しているところは、Hologram ElectronicsのDream SequenceやInfinite Jets Resynthesizerのライバル機として比較してみたいですね。



Electrograve Search and Destroy SAD-1
Electrograve

ここでもひとつ '変わり種' を追加。名古屋でガジェット系シンセなどを製作するElectrograveから4チャンネル出力を持つパンニング・マシン、Search and Destroy SAD-1。ステレオ音源はもちろん、ギターからの入力をジョイスティックでグリグリとパンニングさせたり、Autoスイッチを入れてトレモロのテンポをSlowからFast、NormalからRandomに切り替えることで 'グリッチ風' の効果まで幅広く対応します。4つの出力はそれぞれ個別に切り替えることが可能で、50% Dutyスイッチを入れることでモノラルでも十分な空間変調を堪能することが出来ます。実はパンニング機能だけでここまで遊べるものって意外に無いんですよね。





Death by Audio Echo Master ①
Death by Audio Echo Master ②
Electro-Harmonix Oceans 11 Reverb

いや、もっと簡単にマイクとディレイだけでいいよ、たまに気が向いた時だけワウやオクターバーもインサートできれば、という 'ものぐさ' な管楽器奏者には、奇才オリヴァー・アッカーマンが主宰するニューヨークのガレージ工房、Death by AudioのEcho Masterはいかがでしょうか。いわゆるマイク(ファンタム電源不可)、DI、インサート付きのプリアンプでRadial EngineeringのVoco-Locoなんかと似た構成ではあるのですが、すでにディレイが搭載されているというのが '売り'。30msec〜620msecまでのディレイタイムとフィードバック、原音とディレイのミックスするツマミという基本的な構成を備えております。もちろん、ここにワウやオクターバーなどを 'インサート' することも出来るのですが、結構ハウリやすそうな感じ(ノイズ系ブランドなのでそこが狙いでもある)なのでEQを 'インサート' するのが現実的かもしれませんね。また、この内蔵ディレイを補うように 'エレハモ' の新製品リヴァーブを加えてみるのも面白いかも。最近のリヴァーブは従来のスプリング、プレート、ルームやホールといった 'アンビエンス' の環境をモデリングしたものだけではなく、'Shimmer' に代表されるエフェクティヴな音作りに対応した幅広いものへと変わりました。

⚫︎Hall
⚫︎Spring
⚫︎Plate
⚫︎Revrs - Reverse Reverb
⚫︎Echo - Reverb plus Delay
⚫︎Trem - Reverb plus Tremolo
⚫︎Mod - Modulated Reverb
⚫︎Dyna - Swell, Gate and Duck
⚫︎Auto - INF - Auto-Infinite Reverb
⚫︎Shim - Shimmer - Octave-Shifted Reverb
⚫︎Poly - Polyphonic Reverb

その名の如く11種のリヴァーブ・モードを搭載、堪能することができます。また3つのツマミにはそれぞれ '隠しパラメータ' があり、これと基板上のTailsスイッチ、外部からのモメンタリー・スイッチを繋ぐことでさらに細かな音作りに対応しているところは今の時代ならではですねえ。





Bananana Effects
Bananana Effects Abracadabra
Bananana Effects Matryoshka

このような多目的リヴァーブとして 'グリッチ' な音作りにまでカバーしているのがこちら、関西発で現在は東京に拠点を移して活動するBananana EffectsのAbracadabra。エグいベースシンセのMatryoshka共々いよいよ 'Pedals And Effects' にも堂々登場しておりますが、本機の備える8つのモードは以下の通り。

⚫︎Exotic Oct Up
残響音にフィルタリングされた倍音を加え、様々な効果音を生成
⚫︎Exotic 5th
残響音に5度上のフィルタリングされた倍音を加え、様々な効果音を生成
⚫︎Oct Up + Vib
倍音の加わった残響音のピッチを不安定に揺らし、サイデリックな音色を再現
⚫︎Shimmer + 5 th + Vib
さらに多くの倍音が加わった残響音のピッチを不安定に揺らし、よりサイケデリックな音色を再現
⚫︎Inf + Cho + Oct Up
エフェクトがオンになった瞬間の音を保持したまま、コーラス、ピッチシフトを加えることが可能
⚫︎Inf + Cho + Oct Dn
エフェクトがオンになった瞬間の音を保持したまま、コーラス、ピッチシフトを加えることが可能
⚫︎Error Delay
ディレイ、倍速リヴァース・ディレイの二つを交互に出力し、ランダムグリッチしたような残響音を作成
⚫︎SH + Noise
2種類の異なるエレクトロニカノイズを混合した、何だかセンチメンタルなムードを作る残響音

すっかり黄色いブランド・イメージも定着、小サイズにして安価で '飛び道具' な効果を試せるのは嬉しい限り。特に、従来の 'アンビエンス' という枠に収まらない 'エフェクティヴ' なリヴァーブは管楽器奏者も積極的にアプローチすべし。





Elta Music Devices Console (White)
Elta Music Devices Console (Black)

わたしは個人的に気になっていたロシアの新たな才能、Elta Music DevicesのConsoleをチョイス。コンパクトのマルチ・エフェクツながらSDカードで自社の機能をあれこれ入れ替えて、左手でジョイ・スティックをグリグリ動かすデザインにまとめ上げるなんて素敵過ぎる!その10個のSDカード・カートリッジの中身は以下の通り。

⚫︎Cathedral: Reverb and Space Effects
⚫︎Magic: Pitched Delays
⚫︎Time: Classic Mod Delays
⚫︎Vibrotrem: Modulation Effects
⚫︎Filter: Filter and Wah
⚫︎Vibe: Rotary Phase Mods
⚫︎Pitch Shifter: Octave and Pitch
⚫︎Infinity: Big Ambient Effects
⚫︎String Ringer: Audio Rate Modulation
⚫︎Synthex-1: Bass Synth

'モジュレーション/空間系' 中心のメニューですけど、今後いろいろなヴァリエーションが増える予定などあるのでしょうか?こちらもGuitar Fairy同様あくまでカートリッジを入れ替えるのみの同時使用出来ないものなのですが(ただし、カートリッジ入れ替え時に直前のプリセットは記憶する)、しかしこれで全然問題なく使えちゃいますね。ちなみに、筐体に描かれたデザインが 'マレーヴィチ' 風ロシア・アヴァンギャルドな感じで格好良し!





Boss VE-20 Vocal Processor
Boss VE-5 Vocal Performer

もちろん、このマウスピース・ピックアップは使わずグーズネック式マイクだけで 'アンプリファイ' したい人はBossのVE-20 Vocal Processorが一番手っ取り早く、コンデンサー・マイクでのお手軽セッティングとしても本機はオススメです。マイク入力とDI出力を備えたマルチ・エフェクツであり、オクターヴからハーモニー、モジュレーション、ディレイにリヴァーブ、ループ・サンプラーまで満載の便利な一品。というか、管楽器の 'アンプリファイ' 人口において本機のユーザーが一番多いんじゃないでしょうか?(Youtubeの動画でもよく見かけます)。そしてもっとお手軽な廉価版として用意されたVE-5 Vocal Performer。流石にVE-20やZoomのマルチと比較するとプリセット的に見劣りしますけど、サイズ的にはほぼポケットに入っちゃいますね。工夫して楽器に装着してみるというのも面白いかも。





Neotenic Sound Magical Force ②
Radial Engineering Pro DI / D2

さて、わたしの場合はこんな感じとなりました。やはりラッパの 'アンプリファイ' における 'クリーン・トーン' としてなくてはならないNeotenic Sound Magical Forceは必須なのですが、その他はElta Music Devices ConsoleとRadial EnigneeringのパッシヴDI、Pro DIのみのシンプルなセッティング。しかし、Magical Forceが無いと物足りなくなってしまうくらいコレは本当に重要なアイテム。意外に中古で出回る率が高いのは本機の機能を理解していないか、もしくは体感する前に手放しちゃうユーザーが多いということでしょうか(残念)。管楽器の 'アンプリファイ' でアンサンブル中どうにも音が抜けてこない、貧弱な 'クリーン・トーン' に不満のある方は是非とも手に取って頂きたい逸品でございます。ちなみにK&KのプリアンプからMagical Forceの間をワイヤレス・システムに組み込み使用すれば、さらに快適な 'ケーブルレス' の環境で自由に動き回れます。









HornFX
Zorg Effects Blow !
Zorg Effects

ここで、話はガラッと変わって現在唯一の 'アンプリファイ' な管楽器サイト、HornFXがいよいよ専門の動画チャンネルを始めましたヨ!ちょっと前に登場した 'Effects for The Horn Player' やお馴染み 'Pedals And Effects' を始めとして現在、数多くのYoutuberによるエフェクター・レビュー動画が溢れておりますが、ギター人口の頭打ちと相対化しているのか、こんな 'ニッチな' 層のための 'お助け' 動画が登場したのだから面白い時代になったものです。第一回目らしくマイクからアンプ、特にエフェクツ使用のためのインピーダンスの説明などもしっかり述べているようで、これからこの手の音作りにアプローチしたい奏者にとっては嬉しいのではないでしょうか?(英語なんでほとんど理解してませんが・・)。そんなニッチ過ぎる管楽器の 'アンプリファイ' は、Youtubeのおかげで伝播したとはいえまだまだ層が薄いのは悩みですが、フランスの工房、Zorg Effectsが手がける 'インサート付き' プリアンプ、Blow !が新登場!従来のAudio-Technica VP-01 Slick Fly、Radial Engineering Voco-Loco、Eventide Mixing Linkに続いてこのシーンを盛り上げて頂きたいですね。

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