が、どーしてもR&Bを一曲入れたかったのでザ・カーペンターズ 'Close To You' をトークボックスでスティーヴィ・ワンダーがカバーしたヤツを追記。もう、何でもエフェクツの効いた音色が好きなんですよね。
う〜ん、いまいち出鼻を挫かれた感じではありますが、さて、そんな世界はペダルで満ち溢れている・・いや、スイッチひとつでどこか違う世界へ 'ぶっ飛んでいく' ことを欲望している、というべきか?ある意味、サイケデリックの '副作用' はまだまだこの世のあちこちを徘徊しているということでしょうか。しかし、'Pedal Geek' というのは楽器関係の中でも変わり者というか、大体において尊敬より残念な対象として取り上げられている気がする(苦笑)。ギターは何本持っていてもそんな感じにはならないのに、なぜエフェクターを山のように並べたりすると '無駄使い' のような印象を与えるのだろうか?コレって管楽器奏者に例えれば、たくさんのマウスピースに手を出しちゃうことに似ているのかもしれない。演奏上ドツボにはまり調子を崩した、最近、何々が良いようだ・・などなど、手を出すきっかけは様々ですが、普段使っているものから '浮気' するようにいろんなメーカーのサイズを買い漁るも結局は 'タンスの肥やし' と化す結果に・・。さらに共通するのはどちらも手の出しやすい価格帯であり、マウスピースなら3万前後、エフェクターなら10万前後という安くはないけど手の出ない価格でもないというビミョーな上限があり、また、そこそこ集め出しても邪魔にならない 'コンパクトさ' が買い物依存症に拍車をかけていると思うのです・・。ま、どんなモノでも使ってみなけりゃ分からないってことだけは '真理' ですけど、ね。
→WMD
→WMD Geiger Counter Pro
→WMD Protostar
欧米で流行している 'ユーロラック' モジュラーシンセのブームは、これまでコンパクト・エフェクターを製作していたメーカーまで続々参入している勢いです。Malekko、Dwarfcraft Devices、4MS、WMD、Masf Pedals...etc、そしてついにStrymonまで!しかし、一方ではコンパクト・エフェクターという物理的サイズ、足元という環境の中で大手から個人によるガレージ工房、ソフト・プログラミングから参入してくるベンチャー系、そして、昨日初めて半田ごて持って回路図と睨めっこしながら製作、ヤフオクやネット上の取り引きで話題となる自作マニアに至るまで、実に幅広い層に支えられている面白い '業界' でもあります。そんな勢いは日本や西欧の市場を飛び越えて、旧共産圏の新たな 'ビルダー' による市場の開拓に波及。ここでは、そんな英米のセンスとは一味違う工房の製品をご紹介しましょう。あ、そーいえば、危険な '放射能測定器' としてエフェクター界を揺るがした 'Geiger Counter' がいよいよ 'Geiger Counter Pro' として '測定度UP'、よりデッカくなって市場に放たれます!また、モジュラー的音作りにも対応した '突然変異' 的フィルターのProtostarとか、ほんと '飛び道具' 好きにはたまらないミョーな製品ばかりを作るWMDは期待大!
→Meris Effects Polymoon
→Boomerang Ⅲ Phrase Sampler
しかし、ペダルを 'ガジェット' 的に並べてひとつの世界を構築するやり方は、小さな子供が与えられた積み木やブロックを使って創意工夫、熱中するような '興奮' と同じ気質のもの。膨大な量のペダル類をああでもない、こうでもないと言いながら足元に並べ踏み、気に入らなければ床にしゃがんで入れ替え、買い替え・・。ループ・サンプラーを中心にパフォーマンスするNovellerさんもそんな一人。新たにMeris EffectsのディレイPolymoonを本人の定番、Boomerang Ⅲ Phrase Samplerと共に新たなスタイルを見せつけます。
→Dwarfcraft Devices Grazer
→Red Panda Lab.
→Red Panda Tensor
さて、'旧共産圏' &非英米圏のペダルへ行く前に米国産のこちらもどーぞ。'グリッチ/スタッター' 系エフェクターのParticle、Rasterでその名を轟かせたRed Pandaですが、現在、そのシーンは群雄割拠の賑わいをもたらし劣勢を強いられて・・いるかと思いきや、この新作Tensorを投入!高品質にディレイ、ピッチ・シフターを軸とした '全部乗せ' ながらParticleの機能を整理、アップグレードしたその姿はオリジネイターの気概を見せ付けます。特にDwarfcraft Devicesの新作であるGrazerとは真っ向勝負と行きたいところ!そしてRed Pandaもギタリスト以外のユーザーである管楽器奏者へのアプローチを開始!すでにMXR、Electro-Harmonix、Earthquaker Devicesなどが管楽器奏者によるPR動画を作りましたけど、まだまだ管楽器奏者にとってこの手の 'ガジェット' と音作りは新鮮に映りますからねえ。新しい市場になることは間違いないと思いますヨ。
→Mattoverse Electronics
→Mattoverse Electronics Swell Delay
→Beetronics
→Mantic Effects Flex Pro
→Mantic Effects Flex
続く米国ウィスコンシン州でハンドメイドにより製作する新たな工房Mattoverse Electronics。ファズなどもありますが、このSwell Delayを始めドローン型シンセサイザー、4ステップ・シーケンサーなど '好き者' にはたまらないラインナップでこれまた期待大。エンヴェロープのアタックから立ち上がってくる 'オート・ヴォリューム' とディレイを組み合わせたこのSwell Delayは、現代の 'エレクトロニカ' 的音楽シーンをも射程に入れて、いわゆる 'グリッチ/スタッター' な効果をもカバーする新しいディレイ像を打ち出してきましたね。そして、米国カリフォリニア州ロスアンゼルスでブラジル出身の兄弟により製作する工房Beetronics。MXR Blue Boxに代表される 'ロービット' 系オクターヴ・ファズのWhoctahellとOctahiveの2種をラインナップしながら、その独創的かつ '一点もの' のハンドメイド・デザインが美しい。どこか戦前の和風っぽいセンスでデザインするのはブラジルのCaramuru Baumgarther氏、また、こちらも独創的なプリント基板で製作するのはイタリアのMassimo Cubeddu氏それぞれのコラボレーションということで、まさにワールドワイドな製品ですね。そんな 'ロービット' 系ファズの特徴である追従し切れないことからくる 'エラー' ノイズは、そのまま 'グリッチ/スタッター' の効果として、米国コロラド州デンバーで製作する工房、Mantic Effects Flex Proへと行き着きます。
→Elta Music Devices
→Elta Music Devices Console
まずはロシアの新たな才能、Elta Music Devices今年一番の注目株Console。このメーカーの存在は、Lovetoneのリング・モジュレーターRing Stingerの 'デッドコピー' であるString Ringerを知ったこと。そもそも、かなりマニアックかつ '知る人ぞ知る' 的どマイナーな製品をなぜクローン化しようとしたんだろうという興味が立ち、そのHPを覗いてみれば、これまた旧ソ連製のアナログ・シンセサイザーとして '知る人ぞ知る' 存在なPolivoksのVCF部分を抜き出したDJ用エフェクターがラインナップされているという・・。いやあ、今や各メーカーが往年の名機クローンに熱心だというのにその斜め上をいくセンスに惚れましたヨ。そして、いよいよ同社ならでのアイデアとテクノロジーを具現化させたConsoleの登場。コンパクトのマルチ・エフェクツながらSDカードで自社の機能をあれこれ入れ替えて、ジョイ・スティックでグリグリ動かすデザインにまとめ上げるなんて素敵過ぎる!その10個のSDカード・カートリッジの中身は以下の通り。
⚫︎Cathedral: Reverb and Space Effects
⚫︎Magic: Pitched Delays
⚫︎Time: Classic Mod Delays
⚫︎Vibrotrem: Modulation Effects
⚫︎Filter: Filter and Wah
⚫︎Vibe: Rotary Phase Mods
⚫︎Pitch Shifter: Octave and Pitch
⚫︎Infinity: Big Ambient Effects
⚫︎String Ringer: Audio Rate Modulation
⚫︎Synthex-1: Bass Synth
やはり '空間系' 中心のメニューですけど、今後いろいろなヴァリエーションが増える予定などあるのでしょうか?何とか日本に入ってこないかなあ?筐体に描かれたデザインも 'マレーヴィチ' 風ロシア・アヴァンギャルドな感じで格好良し!
→Mak Crazy Sound Technology
→Mak Crazy Sound Technology Black Jack
そんな広大なロシアはソビエト連邦崩壊後、多くの '連邦共和国' がそれぞれの民族的アイデンティティをもって独立します。すんなりとその影響下から抜け出した国もあればいろいろと政治的にモメて未だにグダグダやっているところもあり・・。このMakという新たな工房は何とクリミア自治共和国からの参入で、数年前に '美しすぎる女性検事総長' としてロシアのクリミア半島南部編入に対する親露派の人物で話題となりましたよね(笑)。本機Black JackはそんなMakのフラッグシップ機に当たる 'ギターシンセ' と呼ぶべきもので、近年流行の 'Shimmer Reverb'と 'Freeze' 機能を軸にオクターヴを付加して加工していくものです。その他、リヴァーヴのSpace Reverb、ディレイであるTemporal Time Machineにピッチ・シフター/リヴァーブのOctronix、マルチ・エフェクツのGuitar Fairyなどがラインナップされておりますが、何とHPはもたずFacebookでアナウンスするのみ。
→ZCat Pedals
→ZCat Pedals Hold-Delay-Chorus
旧ソビエト連邦からの独立で最も早く抜け出したのが力により併合されたバルト三国。そのリトアニア、エストニアと並ぶラトビア共和国からやってきたこのZCat Pedals、日本にも西欧圏以外のペダルとしては早くから輸入されておりました。ここもMak同様 '空間系' のラインナップが充実しておりますが、コレってソフト・プログラミングなどの理工系エンジニアを多く輩出し、それらがこういった音楽ビジネスに参入しているのでしょうか?デジタルにおけるアルゴリズムやコンボリューションを反映した 'Reverb + Hold' 機能のペダルだけでここまで揃えているのは珍しく、その中からZCat Pedalsのフラッグシップ機にあたるHold-Delay-Chorus。この 'Freeze/Hold' させながらリヴァーブのアンビエンスをバックにいろいろなフレイズをシーケンスさせた多重演奏・・。何だか今のYoutuberに多くいる、ギターひとりでドローンなパフォーマンスをするスタイルの先鞭を付けた製品と言えるかも。
→Gamechanger Audio
→Gamechanger Audio Plus Pedal
こちらもラトビアからの新興メーカー、Gamechanger AudioのPlus Pedal。ピアノのダンパーペダルを模したコントローラーで踏んだ直前のサスティンをリアルタイム処理で 'Freeze'、ループによるロング・サスティンを実現した驚異のペダルです。サスティンは最大5つまでオーバーダブすることが可能でフェイドインの速度やディケイの細かな設定はもちろん、お手軽なループ・サンプリングとエフェクト音のみのWetへ瞬時に切り替えるフット・スイッチも付属するなど、ある意味、Electro-Harmonix Freezeをより音楽的に発展させたもののようです。最近では、超高圧信号をキセノン管でスパークさせた新しいやり方によるディストーション、Plasma Pedalを発表して大きな話題をさらうなど・・旧ロシア圏恐るべし。
→Dawner Prince Electronics Boonar
→Gurus Amp Echosex 2
→Catalinbread Echorec
ソビエト崩壊と東欧の民主化は、バルカン半島を統合していたユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国をも揺り動かします。国内で幾多の血が流された後、このクロアチア共和国もその '連邦' から独立しますが、そこで磁気ディスク式エコーの名機、Binson Echorecを解析、現代のテクノロジーでクローン化したのがこちらDawner Prince Electronics Boonar。上ふたつの製品が '空間系' の 'Shimmer Reverb' や 'Freeze/Hold' といった機能に着目したのに対し、本機は往年の名機を徹底的に解析、シミュレートして送り出されてきたこと。つまり、西欧圏のニーズ、マーケティングをよく研究した上でオリジナルへのリスペクトをしながら勝負してきたところが面白い。実際、製品としてもEchorecを欲しがるマニア心をくすぐるようなクオリティを保っており、単なるサウンドの模倣から一歩も二歩も踏み出しております。わたしはトランジスタ仕様のEchorec EC3を以前所有しておりましたけど、やはりEchorecを代表するのは4つのマルチヘッドが生成するリズミックなタップ・エコーですね。このタン、タタタン・・と捩れたピッチと共に跳ねる質感、たまりません。
→Salvation Mods Vivider
→Beigel Sound Lab Mu-Fx Octave Divider
旧共産圏の崩壊でロシアはもちろん旧ユーゴスラヴィアを始め、数多くの民族的葛藤、分裂をもたらしましたがこのチェコ共和国もその内のひとつ。ついつい '昭和世代' は 'チェコスロヴァキア' と呼んでしまいそうになりますが、今はスロヴァキア共和国とそれぞれ分離独立しております。そしてこのSalvation Modsはギターアンプの製作を得意とする工房なのですが、そんなところが1970年代オクターバーの名機、Musitronics Mu-Tron Octave Dividerをクローン化してきたというのが素晴らしい。実はこのVividerを所有、メインのエフェクターボードに入れておりまして、いわゆる '往年の名機' シミュレートとしてはかなりイイ線いっております。以前、オリジナルを所有してアナログ・オクターバーとしては一番好きな機種だっただけに、それを現代のサイズ、高品質化させる上でどれを買おうかかなり悩んでおりました。一番のライバルは '本家' Octave Dividerを設計したマイク・ビーゲルが自身のブランド、Mu-Fxから新たにリイシューしたもの。結局はSalvation Modsの方が小型化、かつDC9Vで作動するという利便性でこちらにしましたけど、本機はオクターヴの追従性の部分のみデジタルで制御することで、かなりトラッキング性は上がっているのがグッド!ただし、オリジナルにも付いているトラッキング性向上の 'Stabirize' をOnにすると逆にエラーしまくっちゃうのですが・・(謎)。願わくば原音とオクターヴ音を 'Mix' ツマミでブレンドするんじゃなく、原音は別個に確保して欲しかったかな。しかし、アナログ・オクターバーとしてはかなり優秀かつ 'ぶっとい' ですねえ。
→G-Lab
→G-Lab Woowee Wah WW-1
→G-Lab TBWP True Bypass Wah Pad
東欧のエフェクター・ブランドとしてはいち早く市場を確立、現在では西欧圏でも確固たる地位を築いているのがポーランドのG-Labでしょうね。同国の精密機器メーカーELZAB社の楽器部門としてコーラスTCH-1やディレイSD-1、リヴァーブDR-3などの空間系からMIDIスイッチャー、パワーサプライなどの総合的かつ高品質な製品開発により、ここ日本でも代理店を新たに現在でも供給されております。そして、このG-Labの名前を一躍有名にしたのが感圧式のワウペダルであり、ギター用のWW-1とベース用のBWW-1、そしてこの感圧センサーのみを単体で製品化して他社のワウペダルを自在に搭載、改造することなく足を乗せるだけでトゥルーバイパスとセンサーによるOn/Offを実現したTBWP True Bypass Wah Padのヒットは記憶に新しいですね。
→SviSound
→SviSound - handmade guitar pedals and devices
→SviSound Optical Phaser Techno-FA
→SviSound EchoZoid
→SviSound WahoZoid
→Systech Harmonic Energizer
そしてバルカン半島のちょい上、旧ユーゴスラヴィアとロシアに挟まれたブルガリアから登場してきたのがSviSound。そのラインナップのほとんどがファズ、ディストーションからオーバードライブなどほぼ '歪み系' に特化したブランドという拘りよう。これまでの無骨かつ質実剛健ながらちょい野暮ったいデザインの多い旧共産圏のペダルにあって、ここSviSoundの製品は共産圏っぽい無骨さを残しながら工芸品と言ってしまいたくなるような美しさ!もちろん見てくれだけではなくそのサウンドへの評価も高まっているのですが、多くの '歪み系' なカタログの中でオプティカル回路のOptical Phaser Techno-FAやコーラス&ディレイEchoZoid、さらにゲルマニウム・トランジスタのGE Auto Wahなど個性的製品がズラッと・・いや、これは購買意欲をそそります!ちなみに日本の代理店のラインナップは '歪み系' 中心のセレクトのようで、わたしのような管楽器奏者にとって '歪み' だけってのは鬼門・・うう。とりあえず国内のラインナップを眺めてみれば、おお、GE Auto Wahとは別にWahozoidというのがあるゾ!しかし、そこは '歪み系' を得意とするSviSoundだけにゲルマニウム・トランジスタな '歪み' とのハイブリッドで、いわば 'ファズワウ・フィルター' といった趣ですね。これってフランク・ザッパが1970年代に使用したOberheimのVoltage Controlled Filter VCF-200と共に噂の超絶レアペダル、Systech Harmonic Energizerをイメージしているのでしょうか。しかし残念ながら本機も日本未発売・・う〜ん、代理店としては純粋な '歪み' 系以外売りにくいのかな?
→Nalbantov Electronics
あ、ブルガリアといえばヨーグルト、じゃなくてPiezo Barrel同様の管楽器用ピックアップを製作するNalvantov Electronicsがあります。ここからピックアップのみならずBoss OC-2をベースにしたと思しき管楽器用オクターバーOC-2 eXtremeを製作。古の管楽器用オクターバーであるConn Multi-ViderやVox Ampliphonic Octavoiceに倣った奏者の腰に装着するスタイルです。
→Moody Sounds
→Carlin Compressor / Fuzz
→Moody Sounds Carlin Compressor Clone
→BJF Electronics Pine Green Compressor
では、そんな '歪み系' ということでちょっと東欧から寄り道して北欧、スウェーデンに行ってみましょうか。MXR Dyna Compの影響は世界中のコンプレッサー普及のきっかけとなるのですが、1970年代にスウェーデンのエンジニア、Nils Olof Carlinの手により生み出されたこのコンプレッサー。本機が面白いのは、コンプと銘打たれていながら 'Dist.' のツマミを備えてることでファズっぽく歪んでしまうこと。あのElectro-Harmonix Big Muffもサスティンの効いたファズのニーズがあるというところから始まったようで、エフェクター黎明期においては 'ファズ・サスティナー'、クリーンにコンプ的動作をするものを単に 'サスティナー' として使い分ける傾向があったそうです。本機は当時のスウェーデンの音楽シーンにおいて人気を博していたらしく、それを同地の工房であるMoody SoundsがCarlin本人を監修に迎えて復刻しました。しかしスウェーデンという地はこのCarlinやMoody Soundsのほか、現在、KlonのBill FinneganやWay HugeのJeorge Trippsと並び '名ビルダー化' しているBJF ElectronicsのBjorn Juhl、シンセサイザーにおいてはNordやElektronなど、世界の音楽シーンにおいてかなり影響力のある人物、製品を輩出しておりますね。Carlinはこの他にペダル・フェイザーやリング・モジュレーターを復刻しておりますが、そのリング・モジュレーターはA/B2つの入力をマルチプライヤー(乗算器)で掛け合わせて変調させるマニアックな一台、わたしも愛用しております。また、これら復刻に協力するMoody Soundsは光センサーでピッチシフトするディレイMashroom Echoとか妙な製品を送り出すなど・・ここも少々発想が斜め上だ(笑)。そんなCarlinのコンプの下はBJF Electronicsの名を知らしめた製品のひとつであるPine Green Compressor。ザ・ビートルズが当時のアビーロード・スタジオで用いていたコンプレッサー、RS-124(Altec436BのEMIモディファイ)が本機製作のきっかけだそうで、最近のナチュラルなコンプレスの潮流に倣ったトーンを持ち、これは管楽器の持つヴォリュームのカーブ、トーンの質感を均すのにも良いかも。このBJFEの音は世界に認められて、お隣フィンランドのブランド、Mad ProfessorからForest Green Compressor、そして米国のブランドBear FootからPale Green Compressorとしてライセンス生産による 'Re-Product' モデルが登場しております。まあ、コンプって動画ではヒジョーに説明しにくい製品なんですけど、ここでのDyna Comp的Carlinの圧縮感とナチュラルなBJFEのコンプ感はかなり対照的。
→Dreadbox
→Dreadbox Epsilon - Distortion Envelope Filter
→Dreadbox Square Tides - Square Wave Micro Synth
東欧、北欧と回ってきて再びバルカン半島を飛び越え地中海、今やIMF寸前か?というくらい経済危機の叫ばれているギリシャです。ここのDreadboxの製品はMoogerfoogerやKoma Elektronikを意識したと思しきCV(電圧制御)の同期を備えるエフェクターが多く、実際、現在は 'ユーロラック' モジュラーシンセの分野へ積極的に参加しているようですね。そのコンパクト・エフェクター群は、専用の8ステップ・シーケンサーKappaとの連携を中心に作られているものの、Moogerfoogerなどに比べればCVも限定的でいまいち拡張性に乏しいのが残念。そんなユーザーの声?を聞いたのか、よりヴァージョン・アップした後継機が現地では登場しているものの、そのような中でかなりユニークなエンヴェロープ・フィルターとして登場したのがEpsilon。本機もすでにヴァージョン・アップされたEpsilon 2があるようですが、この初代機もなかなかどうしてエフェクターという枠を超えた発想を刺激してくれますヨ。VCF自体は2ポール・フィルターなのでそれほど過激ではないのですが、本機にはディストーションが内蔵されてあらゆる音源を潰してくれます。その歪み方はいわゆるギター用というより 'DAW' 的というか、動画にあるようにドラムマシーンのキックがほとんどダブステップ風のウォブル感満載で潰れちゃってます。また、Kappaとの連携は出来ない代わりにエンヴェロープ・ジェネレーターを出力して外部機器との同期をサポート。そしてGateスイッチという名の '人力' トリガーがあるのですが、これは踏むことでエンヴェロープのリリースをカットオフするのと同様の効果が得られることから、DJ的にフィルターで動きを与えていくのをスイッチひとつで出来ちゃうのが面白い。何か中途半端な機能と安くない価格で売れてないっぽいですが(汗)、多分、廃盤後に '隠れ名機' としてニッチな再評価を受けるんじゃないかと睨んでおります。そして、もちろんシンセの得意なDreadboxだけに 'ギターシンセ' のSquare Tidesもご用意。Electro-Harmonix Micro Synthesizerをさらにエグくしたような本機は、この手の効果を求めている方ならまさにオススメの狙い目なんじゃないでしょうか。
→Jam Pedals
→Jam Pedals - handmade analog pedals
そしてギリシャといえば個性的なハンド・ペインティングのデザインで目を引くJam Pedalsですね。すべての設計、製作をヤニス・アナスタサキス氏が担当し、ここ日本ではクロサワ楽器が代理店となって供給しております。歪み系からコーラス、アナログ・ディレイやワウペダルなど総合的に手掛けておりますが、ここでは多目的なトレモロ・ペダルであるThe Big Chillをご紹介。2つのスピード切り替えとSquare、Sine、Triangleからなる3種の波形、そしてスライサー的切り刻むようなChop Effectを搭載し、さらにエクスプレッション・ペダルを繋いでリアルタイム・コントロールまで出来ちゃう至れり尽くせりな仕様です。
→Benidub
→Benidub Digital Echo
→Benidub Spring Amp
このまま地中海を西に向かって突き進んで行けば暖かなラテン気質の国、情熱のスペインへ辿り着きます。その地でダブに特化した機器を専門に製作しているのがこのBenidub。ギタリスト以外の分野でエフェクターというものを創造の道具として積極的に活用しているのがダブに携わる人たち、いわゆる 'ダブ・マスター' の仕事ぶりです。貧しくも限定的な環境の中で結果的に 'ローファイ' となった音作りの中から、スプリング・リヴァーブ、ディスク式エコー、テープ式エコー、フェイズ・シフター、フィルターといった機器を '想定外' のやり方でミキサーと共に発見するプロセスを提示しました。Benidubはそんなダブの方法論を古の名機を研究しながら現代の環境でより便利、かつ多様に扱いやすい機器として製作。ともかく、すぐにミキサーの 'インサート' や 'センド・リターン' へ挿入すればあらゆる音源に対して強烈な効果を生成することを約束します。
→Copilot Fx Polypus
→Copilot Fx - Products
→Sonomatic
→Sonomatic Cheddar
→Dedalo Effect Pedals
→Dedalo Effect Pedals Pixel
→Pedals MG - MG Music ①
→Pedals MG - MG Music ②
→Pedals MG Stax Rocks Wah Wah
そのスペインから大西洋を渡り見えてきたのが南米大陸。そんな中南米からはドミニカ共和国のCopilot Fx、アルゼンチンのSonomaticとDedalo Effect Pedals、ブラジルのPedals MGなどのガレージ工房が控えており、ムムム・・まさにエフェクターは世界を巡る勢いだ。Copilot Fxは早くからLep / ナインボルトを代理店に日本でも紹介されておりましたが、ここ最近はすっかりご無沙汰・・と思いきや、相変わらず '飛び道具' ばかり作りまくるミョーなブランドです。発振系ファズ、リング・モジュレーター、エンヴェロープ・フィルター、Exotic Effects Robo Talkに影響されたランダム・アルペジエイターなどの複合系ペダルを小まめなマイナーチェンジで '新作' に仕立ててリリースするのがここの流儀ですが、決してモジュラーシンセには行かず、エクスプレション・コントロールのCVで複数連動させて 'ガジェット' 的にこだわる製品作りはもはや執念のように感じますヨ。このPolypus SupuremeはZ.Vex Effects 'Super Seek' シリーズを簡易的にまとめたペダルのようで、やはり中南米の陽射しはクラクラと熱帯のサイケデリアを呼び寄せるのかもしれません。一転してアルゼンチンのSonomaticとDedaloは真っ当なシンプル&定番に沿う製品作りを心がけている模様。'アナログ・ライク' なデジタル・ディレイのCheddarなど、派手さはないけど飽きの来ない高品質なヤツってのは一音聴いて分かります。そしてDedalo Effect Pedalsも同様の飽きの来ないラインナップ・・と思いきや、何とPixelという 'ギターシンセ' を作っているのですね。なになに・・アナログはドライスルーの設計で、短形波、ノコギリ波、三角波、オンダM、デジタル5種類の波形で1オクターヴ上、4度下(7音半)、1オクターヴ下を生成し、エイリアシング・コントローラーによる倍音を含んだシンセ・トーンの音作りが出来るとのこと。おお、結構本格的じゃないですか!そして '音楽大陸' の最南端、ブラジルからはMG Musicのペダル部門と言うべきPedals MG。以前に新潟の楽器店あぽろんが少量取り扱っていたようで、Uni-Vibeを模したMono Vibeやまさに '飛び道具' 的ディレイと呼ぶにぴったりなSpace Cityなどがありますが、ここではワウペダル往年の名機、Vox & Crybabyが持つ 'ワウ・ヴォイス' に貢献するFasel & Haloインダクター切り替え、ファズも内蔵したMG Stax Rocksをご紹介。ファズは個別にOn / Off可能でRegular、Mid / Bass Cut、Bass Cutの3モード切り替え、ワウのキャラクターを変える 'Voice' コントロールはHi Treble、Led Boots、Papa Was A Roling Stone、Shaft、Bootsy、Filterの '分かる人には分かる' (笑)6種切り替えモードを搭載、60'sロックのヴィンテージ・トーンにこだわった効果が得られます。ちなみにケース裏にはイカした農夫?のオッサンの絵が描いてある!そんなブラジルはサンバやボサノヴァのイメージが強いのだけど、いやいや・・1960年代後半のロック革命と 'トロピカリア' の熱気は、こんなブラジリアン・サイケの世界を描き出してしまいました。
→Red Witch Pedals
→Red Witch Synthotron
さあ、グルッと回り太平洋に突き抜けて到達すると見えてくるのが山と海の自然の宝庫、ニュージーランド。はて?こんな南半球の地にエフェクターと関係するブランドがあったっけ?と思い出せば、1970年代に登場し、90年代から再生産されたオーバードライブの名機、Crowther Audio Hotcakeが有名ですね。そして新興メーカーとして数年前に島村楽器が代理店となって扱っていたRed Witch。そのラインナップは '歪み系' からモジュレーション、ギターシンセまで揃えるなど、ちょっとPigtronixっぽいセンスを持った会社のようです。残念ながら日本でそれほど売れなかったのか市場では見かけなくなりましたけど、このRed Witchの手掛けたSynthotronはカラフルなデザインと相まって興味を惹かれます。いわゆる2つのサブ・ハーモニック・シンセで生成するオクターヴとLFO、そしてXotic Effects Robo Talkで有名なランダム・アルペジエイターによるピコパコとした '擬似ギターシンセ' 風の効果は、どちらかと言うとロービット系のオモチャっぽく可愛い感じのサウンドですね。こういう無理して 'シンセっぽく' 振舞っているヤツは大好物!
→Seppuku Fx
そして南半球最大の大陸、オーストラリア。わたしも愛用のPiezo Barrelピックアップもこの地の製品なんですが、そんな所から登場したガレージ臭たっぷりの一品、Seppuku Fx。う〜ん、まさに 'Garbage!'。ホント、そのルックスから音に至るまで 'ゴミ' としか言いようのないジャンクぶりですが、日本からオーストラリアに移住したノイズ・メーカーのLastgasp Art Laboratoriesなど含めて、こういう退廃的かつ 'マッドマックス' なものを引き寄せる土壌が息づいているのでしょうか!?このSeppuku Fxを扱う日本の代理店も思い付いたように少量仕入れたりするのだけど、あっという間に完売・・根強いマニアはいるようです(笑)。同じくジャンク仲間というべき素敵にペダルを紹介するYoutuber、'UglyCasanova' さんも狂ったように集めますねえ・・。
→Ezhi & Aka
→Effekt-1 - Fuzz / Vibrato / Wah ①
→Effekt-1 - Fuzz / Vibrato / Wah ②
→Vermona Engineering Phaser 80
→Vermona Engineering Retroverb Lancet ①
→Vermona Engineering Retroverb Lancet ②
これまでの固く冷たく閉ざされた '鉄のカーテン' の時代に比べれば、今やインターネットがもたらす市場の論理に従って新たな音楽ビジネスの刺激が始まったばかり。ふたりのビルダーによるロシアのガレージ工房、Ezhi & Akaは、そんなエレクトロニカ以降の 'ガジェット' 的欲求のシーンを横目で見ながら少量製作でニッチなペダルばかりを世に送り出しております。そう、こういうものを欲しがる人は世界のどこかにいるのです。そしてVermonaといえば、今やシンセサイザーからテクノ系機器の製作メーカーとしてヨーロッパで確固たる地位を築いておりますが、元々はドイツ民主共和国こと '東ドイツ' で音響機器を製作していた国営企業。その旧共産圏時代に製作したこのいかにも古めかしいフェイザーは、その地味なルックス&少ないパラメータでエグさよりシンプルなヴィブラート風のかかり具合ながら、歪ませてFeedback強めにすると一応軽めな 'ジェット感' も醸し出す気持ち良さ!しかし旧共産圏時代の機器はソビエト製エフェクターもそうですが、入出力端子が通常のフォンではなくMIDIケーブルで使われる5Pin端子の仕様というのが不思議だ。現在、Vermonaが得意とするエフェクターは 'スプリング・リヴァーブ+VCF' とLFOの組み合わせで、このRetroverb Lancetはシンセからギターなどあらゆる音源に対して変調し、もちろんスイッチ1つでスプリングを叩くのと同じ 'バシャ〜ン' という雷鳴音も鳴らせる多用途な一台。
→Rodec / Sherman Restyler
→Rodec / Sherman Restyler Review
→Lehle Little Lehle Ⅱ - 1 Loop Switcher
→Dr. Lake KP-Adapter
さて、メインとなる自身のエフェクターボードにDJ用エフェクター、Rodec / ShermanのRestylerを新たに導入しました。いわゆるフィルター・エフェクトでして、その中身はぶっ飛んだアナログ・フィルターで時代の寵児となったShermanが、ハードの部分はDJ用機器で確固たる地位を築いたRodecがそれぞれ担当という素晴らしいコラボレーション。ちなみにRodecとShermanはどちらもベルギーのメーカーですね。Restylerの定価はとんでもなく手の出ないものですが(汗)、運良く安価な中古を発見!そんな本機をドイツの質実剛健なループ・セレクター、Lehle Little Lehle Ⅱに入れてみたものの、これは失敗。一応本機は、シンセからギターまで幅広い入力に対応とのことですがいまいちレベルが合わず歪んでしまうという結果に・・。じゃ、RCAのライン入出力で試すべく新潟の楽器店あぽろんプロデュースの特殊なループ・セレクター、Dr. Lake KP-Adapterに繋いで再度チャレンジ。やはり、ラインレベルの機器はラインで使ってこそ本来の効果を発揮することを確認しました。まあ、これで何をやりたいのかといえば、ループ・サンプラーで生成したフレイズをグニョグニョとリアルタイム・ダブすること!ユニークなのは 'Transient' の機能でフレイズ自体のアタック、リリースを弄ってさらに変調出来ます。面白いと同時に正直、ここまでくるとラッパである必要があるのか?という気はしますけど・・(苦笑)。
→Ludwig Phase Ⅱ Synthesizer
→geofex - Homepage of GEO
→Dead End Fx
→Pigtronix Envelope Phaser EP-2
あ、そうそう、もうひとつ。1970年代初期の 'ギターシンセ' ともいうべきHammond / InnovexのCondor GSMやEMS Synthi Hi-Fliと並ぶミステリアスな一台、Ludwig Phase Ⅱ Synthesizerの 'クローン' を手に入れたゾ!ドラム・メーカーがなぜこんなのを当時発売したのかも謎なら、現在まで '復刻' の再評価もされず謎のまま捨て置かれているという稀有な存在。ここ日本では、作曲家の故・富田勲氏が 'ラデシン’ の名で 'Moogシンセ' 導入前の仕事にかなり重宝していたことが知られております(最近、楽器フェスの富田ミュージアムで展示されておりましたね)。この 'クローン' の元となっているのは、エフェクターの自作をするR.G. Keenという方が自身のサイト 'geofex' で公開された回路図にあり、これをベースに個人、ガレージ工房などが本機の 'クローン化' に挑みました。Dead End FxというところではそのR.G. Keenに感謝を述べながらプリント基板のみ売っておりますね。動画のものは数年前に販売していたKep Fx(現在は閉店)のものですが、わたしが手に入れたどっかの米国人製作による 'クローン' とそのレイアウトはほとんど同じ。実際、個人製作とは思えないほど製品として良く出来ているのですが、本機がフィルターとフェイザーの 'ハイブリッド' な効果からも想像できる通り、ラッパで使ってみるとこのPigtronix Envelope Phaser EP-2とほとんど同じような効果となるんです・・。もしかしてEP-2は 'ラデシン' の 'クローン' だったのかな?ちなみに、オリジナル機はeBayで状態により30万〜40万ほどで取り引きされている超高額ペダルのひとつですね。
→Electro-Harmonix 95000 Performance Loop Laboratory
さらにもう一丁。わたくし 'エレハモ' の復刻版16 Second Digital Delayを愛用しているのですが、そんな同社の 'ループ・サンプラー' もいよいよここまで到達・・'元祖' の威厳とはこういうことを言うのでしょうか。ほとんどリアルタイム操作のMTRというか、それでもあえてペダルという形態に拘っているというのが 'エレハモ' らしい。コレ、間違いなく 'ひとりダブ野郎' になれますよね?というか、そういうYoutuberがドッと増えますよね?(笑)最長375分、最大100個のループをmicroSDカードと共に扱うことが可能で、ステレオ・トラック1つ、モノの6トラックと1つのミックスダウントラック搭載。もちろんクォンタイズのOn/Off、タップテンポによるBPM入力、2オクターヴの範囲でのピッチ調整、オーバーダブ、パンチイン、アウト録音・・ふぅ、とりあえず 'ループ・サンプラー' の決定版であることは間違いなさそうです。
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