ある意味、何でもありな時代であった1960年代後半から70年代初め。未だ未分化な状態で初期衝動を叩きつけていたロックの、最もロックらしい時代だったのでは、と思います。そう、ギターやベース、キーボードだけではなく、管楽器や弦楽器も入り、ジャズや現代音楽に民族音楽、R&Bのようなものがごちゃまぜになったってイイじゃないか、と頭角を現してきた 'ジャズ・ロック' の人たち、後に 'プログレッシヴ・ロック' の範疇に入れられる一群です。それは、まるでこの時代の熱気に突き動かされて '燃焼' した季節の風景と言えます。こういうのを今の若い人たちから見たら、決まり切ったフォーマットに則って歌うロック・バンドばかりな今の世の中で、かえって面白く新鮮に感じるのではないでしょうか。そう、今ならアニメ 'けいおん !' を見ている層と映画 'スイング・ガールズ' を見ている層が一緒にバンドやっちゃう感じでしょうか。
いわゆる 'カンタベリー・ジャズ・ロック' の総本山であるソフト・マシーン1970年のライヴですが、この緊密でモーダルなインタープレイにより、ジャズともロックとも一味違うクールなスタイルで突っ走る疾走感はたまりませんね。サックスのエルトン・ディーン、リン・ドブソンのふたりは 'アンプリファイ' にし、唸るファズの効いたベースやオルガンと拮抗したアンサンブルを披露しています。
ソフト・マシーンと同じくイギリスのバンドながら、こちらは少々毛並みの異なるイースト・オブ・エデン。ブルーズ・ロックにアイリッシュ・フォークと民族音楽のエキゾチシズムな世界観を、実験的なジャズ・ロックでマリアージュしたような 'ゴッタ煮' スタイルが彼らの持ち味です。動画後半ではソニー・ロリンズの 'St. Thomas' のフレイズも飛び出しビックリしますが、彼らのアルバムでは電子音響的な編集含め、さらにカオスな世界が堪能できます。'アンプリファイ' なヴァイオリンを担当するデイヴ・アーバスを中心にしながらその後、ソフト・マシーンと同様に活動末期に至っては、メンバーがすっかり変わってしまうほど出入りの激しいバンドでもありました。
こちらは一転、ドイツのジャズ・ロック・バンドKraanの活動初期のもの。英国のカンタベリー・ジャズ・ロックやキング・クリムゾン、フランスのゴングやマグマといった後に 'プログレッシヴ・ロック' と括られる連中が現れ始めた1970年代初め、ドイツもまた 'クラウト・ロック' (これはあの有名なドイツの酢漬けサワークラウトから来た言葉)という呼称で、多くの 'プログレ' を排出した地として名高いです。カンやファウスト、グルグル、アモン・デュールにアシュラ・テンペル、クラフトワークなどに比べればかな〜り地味なKraanですが、このグループも1970年代後半にはフュージョン的ノリに収束されていきます。
ある意味 'プログレ' の始祖的存在と言ってもいいフランク・ザッパも、まだまだ諧謔性の強かった1968年から、1973年にはジョージ・デューク、ジャン・リュック・ポンティらジャズの精鋭をグループに擁して、ジャズ・ロック・バンドとして最も完成度の高い演奏を聴かせてくれます。ザッパの右腕的存在のイアン・アンダーウッドが、Barcus-berryの貼り付け型ピエゾ・ピックアップ1375を取り付けたバス・クラリネットにギター・シンセサイザーのようなエフェクトをかましているのがイイですね。また、トロンボーンにもBarcus-berryの1374が接合されて・・この頃からこの市場でのBarcus-berryの需要が高まったのかもしれませんね。
しかし、ここでもBrassよりWoodwindsの需要が高いなあ・・。
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