もし、管楽器で個別にエフェクターを用いたいという場合では、ミキサーのバスアウトからDIでステージ上に送り足元のコンパクト・エフェクターを通り、再びDIでミキサーのチャンネルへ返すという流れとなります。最近、管楽器のマイクに最適化された 'インサート付き' のマイク・プリアンプ、Audio-Technica Slick Fly VP-01やRadial Engineering Voco-LocoなどもPAからはそのようなセッティングで繋いで欲しいと指示されるのではないでしょうか?もしくはエフェクツ用と '生音' で2つのマイクを分けてセッティングするなど。つまり、PAとしては管楽器自体の '生音' は確保したいという思いが強く、これは足元のエフェクターに不具合が生じた場合、ミキサー側でエフェクツに送るバスアウトを切っていつでも '生音' に戻れることでステージ上の進行を妨げないことを優先します。また、エフェクツのバランスなどをPAがミキサーでコントロールしたいという思いも強いでしょう(突発的なハウリングなど)。
→Yamaha Stagepas 400i / 600i
こういうところで、ひと昔前の 'アンプリファイ' な管楽器奏者が好んでいたアンプを用いてのセッティングは、その他電気楽器とのアンサンブルや複数マイクを立てることによる煩雑さから現代ではイヤがられるでしょうね(苦笑)。また、客席側に聴こえるPAを通した '外音' に対して、いわゆる '返し' と呼ばれるステージ上の '中音' を司るパワード・モニターの音量も限度があることから、最近のステージでは管楽器奏者の耳に直接インイヤー・モニターを推奨するPAも多くなってきております(ヴォーカルは完全にコレですね)。
ま、特別こういう状況とまったく縁のないわたし(笑)は、心置きなくコンボ・アンプを自分の真横に置いて鳴らしているワケなのですが、こっちはこっちでむしろ自宅であるだけに家人、近隣の方への配慮を気にしなければなりません(というか基本、アパート、マンションでヘッドフォン使えない楽器の演奏はムリだと思うけど)。ここで管楽器に適したアンプとは何ぞや?と考えてみれば、とりあえずクリーンであることは重要ですね。いわゆるギター・アンプのような '歪み' というのはピックアップ・マイクを用いる場合では弊害が大きく、やはりレンジの広い再生環境である方が気持ちよく演奏できます。そしてアンプのワット数よりもスピーカーの口径の方が重要でして、自宅という環境で気は引けますけど12インチ程度のスピーカーは欲しいですねえ。
→ZT Amp Lunchbox
最近は小さいものでも結構パワフルに鳴らせるデジタル・アンプを用いた小型アンプなどが登場しておりますが、どうしても生音とのバランスを考えると12インチのスピーカーから再生させる方がバランスよく聴こえます。そんな中、デジタル駆動により 'お弁当箱' 気分で持ち運べる可搬性ながらラウドな音量で一世を風靡したZT Amp Lunchbox。また、小型とはいえ、このラッパの人(なぜかC管だけど)がPiezo Barrelのピックアップを用いて、Ampegの15W程度のアンプをPA併用してこのくらいの部屋でも十分に鳴らせます。
→Genz Benz UC4-112T
→Ashly LX-308B Stereo Mixer
2000年頃に登場した米国Genz Benzの135Wコンボ・アンプ。本機はコンボ・アンプながら '転がし' の如く足元で傾けて設置できるウェッジ・シェイプのデザインをしており、3つの楽器/マイク入力と1つのライン/マイク入力のミキサー機能を備えた 'PAライク' な仕様です。'Enclosures' の表記があるようにリアバスレフの構造で室内はもちろん、屋外でも威力を発揮すべく音はやはりデカイ・・。Active Bandpass EqualizationとしてLow、Low-Mid、High-Mid、Highのそれぞれ15dBで増減する4バンドEQ、スプリング・リヴァーブと1つの外部エフェクツ用 'センド・リターン' を装備。非常に重宝しておりますが、空冷用のファンが少々耳障りなのとライン用のフォン入力がTRSフォンのバランス入力に対応していないのだけが残念ですねえ(あ、後は21.4Kgの重量か)。このUC-4-112Tのライン入力の前にAshlyのライン・ミキサー、LX-308Bでレベル・コントロールを行い、'XLR→TRS' のバランス信号として変換しているのですが、なぜかこのアンプではマウスピース・ピックアップ側で高音域を吹き込むとプチッとクリップノイズを拾うのが悩み。同じPiezo Barrelで高域を少し落とした 'Woodinds' 用のピックアップで試してみようかと思案中です・・。
→SWR California Blonde Ⅱ
米国でベース用アンプで一躍その名を知らしめたSWRの160W 'アコースティック' 用コンボ・アンプ。以前はマーカス・ミラーなどがユーザーとして名を連ね、ここ日本では神田商会が代理店となって取り扱っておりましたがすでに終了、市場からも見かけなくなりました。アンプ自体の音質は、Genz Benzよりこっちの方がいかにも箱が鳴っている感じがあって好きです。わたしはコイツにShure SM57を立てて集音し、サンプラーなどでいろいろ加工したりするのに重宝しております。このアンプのユニークな部分で、通常のアンバランス入力の他に 'Low Z Balanced' のスイッチを入れることでTRSフォンのバランス入力に対応すること。取説にもこんな解説があります。
"ローインピーダンス仕様のギターのバランス出力を入力端子に接続するときは、このスイッチを押し下げてください。TRS端子による接続が必要なバランス接続では、最高のダイナミックレンジと低ノイスの環境が得られます。"
いかにも 'アコースティック' 用という感じでマイクとAux入力、またアンサンブル中での '音抜け' を意識して 'ドンシャリ' にする機能 'Aural Enhancer' を備えるなど、ライヴにおける使い勝手を意識したデザインとなっております。EQはBass、Mid Range、Trebleの3バンドでリアにハイのツィーターをコントロールするツマミが個別に用意、外部エフェクツ用 'センド・リターン' とスプリング・リヴァーブを備えます(ちょっとノイズ多目ですが)。ちなみに各ツマミは少々ガリの出やすいところが玉に瑕で、重量はこちらもGenz Benzを超えた堂々の24Kg・・。自宅でのヴォリュームは12時が限度なのですが、バランス接続では最高のダイナミックレンジと低ノイズの環境・・とうたっている割には12時以降回すと結構ノイジーになってきますね・・(出力が大きいってそういうことなんだろうけど)。わたしはRadial EngineeringのパッシヴDI、JDIからバランス接続しているのだけど、こちらはGenz Benz UC4とは逆にアクティヴDIだとプリアンプを二重にかけた状態となり・・歪む(悲)。こういうラインであるとか、ロー・インピーダンスだからというスペックだけでは計り知れない 'マッチングの掟' は本当にケース・バイ・ケース・・散財を覚悟した 'トライ&エラー' で挑まなければならないのがツライところ。
→The Little Jake ①
とりあえず、このSWRのような 'アコースティック' 用アンプというのは結構お手軽に自宅でも使えます(アパート、マンションは除く)ので、例えばFishmanやFenderなどの中型アンプは最初の一台として手を出しやすいと思います。Loudbox Miniは60Wの6.5インチ、Acoustasonicは90Wの8インチということでラウドに鳴らせますヨ。まあ、これでも十分過ぎるほどのデカイ音なので鳴らす時間帯を決めて家人、お隣さんから怒鳴り込まれないようご注意を(汗)。もちろん、ステージでもアンプにマイクを立ててPAと併用すれば立派に 'アンプリファイ' な環境を構築することが出来まする。ちなみに最後の動画は、そのAcoustasonicを2台ステレオで使用したループ・サンプラーDigitech JamMan Delayでのパフォーマンス。こういうループ・サンプラーによるオーバーダブのアンサンブルでソロやる場合は、アンプ2台でやった方が分離よく聴こえますね。
→Roland KC-350
→Behringer K900 Fx Ultratone
管楽器を鳴らすにあたり、例えばDTMをやっている人たちのようにそこそこのパワード・モニターをライン・ミキサーと共にセットすれば、フツーに小さい音量から比較的パワフルに鳴らすことが可能なのですが、やはり 'アンプリファイ' って真横にドン!と鎮座させるように '大箱' 置いて音圧を感じないとダメでしょう。こう、スピーカーのコーンの奥から飛び出してくる感じ、大きな箱がジ〜と電源入れたノイズと共に '鳴っている' 感じというか。まあ、わたしの所有アンプはどちらも 'ディスコン' なので入手は難しいのですが、最近だとやはりRolandの 'KC' キーボード・アンプ、BehringerのK900Fx Ultratoneなどが手っ取り早く使えるのかな?動画のちょっとコワモテおじさん&インテリ・メガネな若者のRoland KC-350を用いた '新旧オクターヴ系エフェクター' 対決は、やっぱりスピーカーが12インチくらいあると満足できることを教えてくれまする。
→Neotenic Sound Purepad ①
→Neotenic Sound Purepad ②
そして、アンプの音作りにおいて重宝するのがこちらNeotenic Soundのダイナミック・プロセッサーであるMagical Force。もう何度も取り上げているのでご興味の方はリンク先をご覧頂きたいですが、本機はプリアンプのようでもありエンハンサーのようでもありコンプレッサーのような '迫力増強系' エフェクター。とにかく 'Punch' (音圧)と 'Edge' (輪郭)の2つのツマミを回すだけでグッと前へ押し出され、面白いくらいに音像を動かしてくれます。'Density' (密度)を回すと音の密度が高まり、コンプレスされた質感と共に散っていってしまう音の定位を真ん中へギュッと集めてくれる。コレ、わたしの '秘密兵器' でして、プリアンプの3バンドEQで控えめな補正をしている分、本機と最終的な出力の160Wコンボアンプの3バンドEQでバランスを取っております。本機の特徴は、DI後のラインにおける 'クリーンの音作り' を積極的に作り込めることにあり、おいしい帯域を引き出してくれる代わりにガラリとバランスも変えてしまうのでかけ過ぎ注意・・。単体のEQやコンプレッサーなどの組み合わせに対し、本機のツマミは出音の変化が手に取るように分かりやすいのが良いですね。ここでのツマミの設定はLevel (11時)、Punch (1時)、Edge (11時)、Density (9時)。ともかく、わたしのラッパにおける 'クリーン・トーン' はコイツがないと話になりません。ただし '魔法' とはいえ、かけ過ぎればコンプ特有の平べったい質感になってしまうので、EQを加えてさらなる音抜けや帯域補正など、各自いろいろと研究しながらコイツを体感してみて下さいませ。そして、音量の補助的なコントロールとして 'アンプ派' は非常に重宝する同社のPurepad。'Solo' と 'Bucking'、2つのプリセットした音量を切り替えるものなのですが、例えば、ワウを踏んだときのピーク時に発生するハウリング抑制、オクターバーでの単調なトーンや張り付くようなキャビネットからの出音に対するダイナミズムの演出など、正直ヴォリューム・ペダルより便利に使えると思いますヨ。
→Neotenic Sound AcoFlavor
→Neotenic Sound Board Master (discontinued)
→Neotenic Sound Pure Acoustic
ちなみに、わたしのPiezo Barrelピックアップに無くてはならない 'インピーダンス・トランスフォーマー' のNeotenic Sound Board Master。それがさらに 'Acoustic-Pickup Signal Conditioner' としてパワーアップ、AcoFlavorの名で新登場しました!実は去年の暮れには入手しており、いろいろNeotenic Soundさんとやり取りさせてもらいながら完成・・。今日まで従来のBoard Masterと取っ替え引っ換えしつつ自分の環境の中で探求していたのです。正直、最初に手にしたヴァージョンはまったくピックアップとのマッチングが上手くいかなかった・・(汗)。ようやく三度目にして納得のいくかたちに仕上がってきたのだけど、本機はBoard Masterに比べると間違いなく音に密度が増しており、ピックアップからの感度調整を司るFitとは別にLimitツマミを回すことで '暴れ感' を抑えタイトにすることができます。わたしはMaster1時、Fitを9時にしてLimitも場合によって9時くらいまで上げますが、基本は後段に繋ぐMagical Forceで補正。Piezo Barrelのピックアップ買ってはみたものの手持ちのエフェクターとミスマッチ、もしくはもうちょっとピエゾの音質をどうにかしたいとお嘆きの貴方、ぜひぜひこのAcoFlavorがその救世主となりまする。あるとないとじゃ大違いですヨ。そんな本機は、あくまで 'Signal Conditioner' という名のインピーダンス・マッチングをするものなので、さらなる '生っぽさ' の追求をしてみたい場合は同社のプリアンプ、Pure Acousticとの組み合わせを推奨とのこと。一見、取っ付きにくそうな整然と並ぶ6つのツマミに怯みますが・・どれどれ。
⚫︎Master: 出力される最終的な音量を調節します。
⚫︎Body: 楽器本体のサイズ感を豊かに増強させます。右に回すほど楽器の存在感がしっかり押し出されるようになります。
⚫︎Lo: Bodyツマミで決めた位置に対して、低域の膨らみ感を調節します。左に回すほどスッキリとしたタイトなサウンドになります。
⚫︎Hi: 弦を弾いたときの音の硬さを調節します。右に回すほど硬い音に、左に回すほど柔らかい音になります。
⚫︎Wood: 楽器の持つ木の鳴りの成分を電気的に強調させたり抑えたりします。左に回すと共振部分が抑えられた大人しい落ち着いた雰囲気に、右に回すと木が響いているような広がりが得られます。演奏する楽曲の楽器編成などに合わせて調節して下さい。
⚫︎Density: 弦を弾いたときのタッチに対するレスポンスの立ち上がり比率を決めます。左に回すと過度に立ち上がり、右に回すほどその感度が圧縮されます。タッチとレスポンスのバランス点を越えると音の雑味や暴れはさらに抑えることが出来ますが、音の表情は均一化されていきます。
なるほど。特に 'Body' と 'Wood' というアコースティックの '鳴り' に特化した2つのツマミがキモのようです。このあたりをEQのLoとHiを補助的に配置して、あえて '鳴り' というイメージで2つのツマミに落とし込んだのは見事ですね。Magical Forceもそうなんだけど、Neotenic Soundの製品は視覚的に把握させながら耳で音を決めていくセンスが抜群だと思います。EQの何kHzをブーストして・・なんて言われてもよく分からないけど、こっちのツマミが '箱鳴り' で隣のツマミで 'エッジ' を出して、そこにローかハイが足りてないと思ったらEQしてという方が把握しやすく音が目の前にある感じ。また本機は、ダイナミックレンジ確保の為にDC18Vの専用電源でヘッドルームを広く取った設計もグッド。ツマミの構成から 'アコギ' 専用と捉えられがちですが、いわゆるアコースティック楽器全般に対応しているそうです。
→K&K Sound Dual Channel Pro Preamp ①
→K&K Sound Dual Channel Pro Preamp ②
→Classic Pro ZXP212T
→Sennheiser Evolution e608
→Sennheiser Microphone
→Piezo Barrel on eBay
→Piezo Barrel Wind Instrument Pickups
さて、このAcoFlavorとは別に簡易的な 'ピエゾ + マイク' のミックスでK&K SoundのDual Cannel Pro Preampがとても良い結果をもたらしてくれました!9V電池駆動の腰に装着するプリアンプながら、2つのヴォリュームのほか、基板上に配置されたGain、Treble、Mid、Bassを小さなドライバーを使って補正することが可能。あらゆるピックアップ・マイクのダイナミックレンジに対応しており、Piezo Barrel愛用者は是非ともSennheiserのダイナミック・マイク、e608などとのミックスに活用してみて下さいませ(e608からはClassic Pro ZXP212Tを用いてフォンへ変換)。そして、ワイヤレス・システムで鳴らしたい人にもトランスミッターと共に腰へ装着するだけの手間要らず。
あ、そうそう、本機には2つの入力をTRSフォンによる 'ステレオ1本' で行うDual Cannel Pro 'ST' Preampというのもあり、見た目は非常によく似ているのでお間違いのないように・・。一応、このK&K Soundはモリダイラ楽器が代理店となって取り扱っているようですけどあまり店頭では見かけないですねえ。
→Radial Engineering Voco-Loco
→Pigtronix Keymaster
そして、最もお手軽に管楽器の 'アンプリファイ' で威力を発揮してくれるRadial Engineeringの 'インサート付き' マイク・プリアンプ、Voco-Loco。Low、Highの2バンドEQを備えた高品質なプリアンプ部はもちろんですけど、'インサート' に対して効くToneは管楽器で使うにあたってかなり重宝するのではないでしょうか。使うエフェクターによっては結構 '抜け' が悪くなることってありますので・・。また、ファンタム電源使用のコンデンサー・マイクは使わずダイナミック・マイクで十分。もしくはPiezoBarrelのマウスピース・ピックアップだけでやります、って人なら、こちらPigtronixのKeymasterが重宝しますヨ。XLR(ファンタム電源不可)とフォンの同時入出力はできませんが、2つの 'インサート' をそれぞれ 'A or B'、'A + B' と切り替え、ミックスして使えるのが便利。
→Eventide Mixing Link
→Zorg Effects Blow !
→Zorg Effects
こちらはRadial Engineering Voco-Locoの対抗機として登場したEventide Mixing Link。そして去年、フランスのZorg Effectsという工房からアナウンスされていた 'インサート付き' マイク・プリアンプBlow !が堂々完成!このサイズで 'センド・リターン' のほかファンタム電源対応のXLR入力、Padを備えるという至れり尽くせりな仕様!おお、こういった製品が続々市場に参入してくるのを見ても、コンパクト・エフェクターがギタリストやベーシスト以外の分野に普及するんじゃないかとワクワクしますねえ。その他、ユニークなエンヴェロープ・フィルターなども製作しているこのZorg Effects、まだ日本には入ってきていないブランドなのでどこかがやらないかなあ?
→Fender '65 Twin Reverb
→Roland Jazz Chorus JC-120
→Hughes & Kettner Tube Meister 20 Head ①
→Hughes & Kettner Tube Meister 20 Head ②
もちろん、ギターアンプだからと '使っちゃダメ' ってことはないワケで、ランディ・ブレッカーも日本が誇るRolandの名機、Jazz Chorus JC-120を2台ステレオで使っておりました。JCもクリーン・トーンに定評のあるアンプとしてもはや定番ですけど、本機の '裏ワザ' として後ろに備える 'Return' からプリアンプを通らずパワーアンプのスピーカーだけを利用することで、例えばアンプ・シミュレーターを用いてのラインによる音作りにも活用できます。そして、イアン・カー率いるジャズ・ロック・グループ、ニュークリアスのステージではドイツのアンプ、PAメーカーDynacordのアンプがチラッと映っておりますね。ここでもベルからの '生音' は会場内のPA、ワウペダル踏む 'アンプリファイ' の場合はDynacordのアンプにマイク立てて集音というかたちで分けておりますが、昔はこれが一般的な管楽器の 'アンプリファイ' による再生方法でした。そしてSnarky Puppyのラッパ吹き、Mike 'Maz' MaherさんもスタジオではFenderのギターアンプ(Twin Reverbかな?)にダイナミック・マイクを立ててワウやオクターヴ・ファズによるワイルドなトーンを実践!しかし、一転してディレイの柔らかいトーンの場合は繊細なリボン・マイクでそのままライン録音とそれぞれの使い分けによる違いがよく分かるのではないでしょうか。バリトン・サックスのJonah Parzen-JohnsonさんはHughes & Kettnerの20W真空管ヘッドアンプをキャビネットと組み合わせて使用。
→Acoustic Control Corporation
→Vox Ampliphonic Nova Amplifier
→Vox Ampliphonic Powered Music Stands: Satellite, Galaxie, Orbiter
→Vox Ampliphonic Orbiter
→Vox Ampliphonic Galaxie
1960年代後半、管楽器用のエフェクターによる 'サウンド・システム' を発売したSelmer Varitoneを始め、Gibson / MaestroやConn、Vox / Kingなどはオプションとして専用のアンプ、PAシステムなども用意したものの、大音量なロック・バンドのアンサンブルにおいてほとんど太刀打することが出来ず、当時、クリーンな音作りでギターからヴォーカルまで対応できたAcoustic Control Corporationのスタックアンプを用いる管楽器奏者が数多くおりました。上の画像は1967年発売のConn Multi-Viderの付属として用意されたTreble、Bassの2バンドEQ、トレモロ、スプリング・リヴァーブを備えるコンボアンプ、"500" Amplifier。そして世界初の 'ギター・シンセサイザー' を開発したHammondがInnovex Condorの付属として用意したPAシステム。1968年のフランク・ザッパ率いるザ・マザーズ・オブ・インヴェンションのライヴからは、イアン・アンダーウッド、バンク・ガードナーらホーン陣の後ろにそびえ立つAcoustic 260 + 261の壁を築いており、これは、そのまま1970年に 'アンプリファイ' したマイルス・デイビスのステージにも登場します。ここでは260 + 261に加えて361のキャビネットもリンク、相当な大音量でエレクトリック・ギターにも負けない音圧だったことでしょう。また、ピーター・ハミル率いるヴァンダー・グラーフ・ジェネレイターのデイヴィッド・ジャクソンは、Vox / King Ampliphonic Octavoiceを装着したサックスをHiwattのアンプで再生。
→Kustom Amplification
→Kustom Bass 150
→Trace Elliot 7215SMC GP7
また、歪みなくダイナミックレンジの広い帯域の再生としてベースアンプを 'エレアコ' に代用する場合もあり、特に低域から中域にかけてのクリアーな再生などでサックス奏者には好まれるでしょうね。上の 'メリーさんの羊' オジサン(笑)の動画では、モコモコしたビニール地のソファ風アンプで有名なKustomのスタックアンプを鳴らしており、リンク先の 'Kustomファン' によるサイトによれば150W12インチ2発によるBass 150というモデルのようです。その下の 'アンビエント' 風ドローンなサックスは、Trace Elliotの150WベースアンプGP7によるもの。しかし、Trace ElliotもSWRも肝心のベーシストからの評価はどちらもビミョーというか、評価の分かれるアンプのようです・・。まあ、今ならわざわざ選ばない時代遅れの匂いが強いというか。
→Yamaha PE-200A + TS-110
→Yamaha PE-200A + TS-100
→Yamaha PE-200A
→Yamaha TS-200
そして、'アンプリファイ' といえば1960年代後半から70年代全般にかけての連中、特に 'エレクトリック・マイルス' なのですが、当時、多くの管楽器奏者に好まれたAcoustic Control Corporationのスタックアンプはもちろん、1973年のマイルス・デイビス来日を機にエンドース契約をして使い始めたYamahaのPAシステムへの関心が集まります。デイビスも使用したヘッドアンプ部のYamaha PE-200Aはスプリング・リヴァーブ、トレモロのほかにオートワウ!も内蔵されており、そのオートワウも 'Wah Wah Pedal' という端子にエクスプレッション・ペダルを繋ぐことでペダル・コントロールできるというかなり変わった仕様。案外、デイビスはワウペダルだけじゃなくこのオートワウも 'On' にしていたのでは?そしてパワーアンプ内蔵のTS-110キャビネット部分を縦に赤、黒、緑と'アフロカラー' で染め上げ、上から 'MILES、DAVIS、YAMAHA' とレタリングをすれば、もう気分は70年代の 'エレクトリック・マイルス' 一色です!メチャクチャ欲しいけれど上下合わせて60Kg強、12インチ2発ということでこんな '冷蔵庫' のようなスタックアンプ、置き場所もなければ自宅で鳴らすレベルのものでもなく・・厳しー。
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