車窓から眺める米国南部の長閑な田園風景や、色褪せたセピア色の写真を見ながら遠い過去に想いを馳せるなど、どこかノスタルジックな演出にかかせないのがユラユラとしたトレモロの音色。しかし一方で、まるでゲートでスパッと切り刻んでいくような 'マシンガン・トレモロ' からVCAにLFOをかけて 'シンセライク' に変調させるトレモロまで、実は結構、奥の深いエフェクターではないかと思っております。ちなみによく似た効果であるトレモロとヴィブラートの定義は、音量の増減がトレモロ、音程の上下がヴィブラートであると考えるのですが、これは製品によって混同されている場合があるので注意が必要です。あ、そうそうラッパでは右手で楽器を揺する、顎をアウアウさせる、リップトリルなど駆使する 'シェイク' というワザが同種の効果となりまする。
→Vox Repeat Percussion V809
→Fret-Ware Machine Gun Repeat
ここでは 'エグい' 効果のトレモロを中心にご紹介したいのですけど、その出発点としてギターの入力ジャックに直接取り付けるVox Repeat Percussionという製品がありました。その名の如く、リズミックにフレイズを切り刻むことを目的として 'マシンガン・トレモロ' の異名も付けられた本機の魅力は、英国のFret-WareからそのVoxを元にMachine Gun Repeatを発売したことにも伺えます。通常の 'フット・ボックス' 型となったこの本機のユニークさは、フット・スイッチがモメンタリー仕様となっており、踏んだ状態でのみエフェクトがかかるリアルタイム性に寄っていること。上の動画はかなり '飛び道具' 的セッティングではありますけど、その切れ味のほどが分かると思います。
→Reuss Musical Instruments RF-02 Repeater Fuzz ①
→Reuss Musical Instruments RF-02 Repeater Fuzz ②
そんなVox Repeat Percussionに惚れ込んでしまった設計者アンダース・ロイスが手がけた本機は、新興メーカーのReuss Musical Instruments(ロイス・ミュージカル・インストゥルメント)による古くさいファズとの '2 in 1' なRF-02 Repeater Fuzz。何でもVoxが製作したエフェクター内蔵のギター、Vox Starstream V269の機能をそのまま 'フット・ボックス' として抜き出したものだそうで、いかにも60'sロックの匂いを撒き散らすファズはTone Benderの回路を研究して組み込んだものとのこと。ちなみにそのVox Starstream V269というのもビザールなVoxらしい迷機で、内蔵するTreble Bass Boost、Distortion(Fuzz)、Repeat Percussionのほか、ピックアップ側にある手のひらで弦をワーミングするような器具でワウをかける 'Palm Wah' の人力具合が凄い(笑)。このようなエレキ黎明期のアイデア商品っぽいセンスがたまらなく良いですねえ。
→Walrus Audio Janus - Tremolo / Fuzz ①
→Walrus Audio Janus - Tremolo / Fuzz ②
また、このような 'Fuzz + Tremolo' ということでは、2つのジョイ・スティックでグリグリとX/Y軸に独立して操作する現代的な一台、Walrus Audio Janusもあります。トレモロとファズはそれぞれ独立したユニットとして2つのスイッチで切り替え、まるで空間合成の如くこの2つの音色をジョイ・スティックでコントロール!そのルックスは '飛び道具' のように見えますが出てくる音色はかなりの正統派だ。
→Triode Pedals
→Triode Pedals Neptune ①
→Triode Pedals Neptune ②
'歪み' といえばファズだけではなく飽和した時の滲むようなサチュレーション、特に真空管の持つ '質感' は特別なものでしょう。そんな真空管をこのコンパクト・サイズに搭載してしまったトレモロ、Triode Pedals Neptuneの 'なまり具合' は見事に応えてくれます。米国メリーランド州ボルチモアで製作するTriode Pedalsの製品は、アシッドエッチングによる独特なデザインの筐体でファズからリゾナント・フィルター、'グリッチ/スタッター' 系のディレイに至るまで、かなりユニークなラインナップを披露。しかし、このNeptuneはトレモロの揺れに合わせて真空管がユラユラと点滅するのが美しい。
→De-Armond Model 800 Trem-Trol
→De-Armond Model 601 Tremolo Control
このVox以前のトレモロとしては、基本的にスプリング・リヴァーブと併用してアンプに内蔵されるエフェクトという位置付けでした。その中でもユニークな一品として存在したのが、ヴォリューム・ペダルの製作で有名なDe-ArmondのTrem-Trol。なんとペダル内部に組み込まれた電解液で満たした筒を、発動機により一定間隔で揺らして筒の壁に触れる面積の変化から音量を上下させるという・・なんとも原始的で、手の込んだ構造のトレモロですね。その下の動画は前身機にあたるModel 601の内部構造でこんな感じに揺らしております。今じゃその製作コストがかかり過ぎて大変だろうけど、エフェクター黎明期にはいろんな発想から電気的操作として取り出すという面白い時代でした。この丸くて暖かいレトロな雰囲気こそトレモロの真骨頂・・'ツイン・ピークス' のテーマとか弾きたくなりませんか?
→Z.Vex Effects Candela Vibrophase
このような物理現象を機械的に取り出したものとしては、エフェクター界の奇才、ザッカリー・ヴェックスがなんとロウソクの炎のゆらぎからトレモロとヴィブラートの効果を取り出すZ.Vex Effects Candela Vibrophoneとして製作します。扇風機のような風車はヴィブラート効果のもの(扇風機にア〜と声を出すと変調するヤツ、昔やりませんでした?)で、これはレスリー・スピーカーを簡易的に再現するFender Vibratoneというギターアンプで製品化されましたね。ちなみに、この 'からくり時計' のようなプロトタイプはそのまま製品としても販売中・・お値段6000ドル也。
トレモロ/ヴィブラートというヤツは、ファズ同様にヴィンテージな設計思想がそのまま独特な効果として認知されており、現代のテクノロジーが手を出しにくいエフェクターのひとつでもあります。ジミ・ヘンドリクスが使用したことで一躍有名となった日本が世界に誇る名機、Shin-ei Uni-Vibeのドクドクとした '揺れ' の効果を司るのは、その '心臓部' ともいえるフォトカプラー(CDS)という電球のような素子のおかげ。しかし、硫化カドミウムによる現在の環境規制で製品に組み込んで製作することができず、各社が電子的なシミュレートにより何とか再現しようとしているのが現状です。このAnalog Outfitters The Scannerは、壊れたハモンド・オルガンからヴィブラート&リヴァーブ・タンクの部分を取り外し、新たにエフェクト・ユニットとして 'リビルド' したもの。やはり電子的シミュレートな回路構成では味わえない、この物理的に変調させる '古くさい' 感じはたまりませんね。そして、トレモロはスプリング・リヴァーブと組み合わせることでさらにそのレトロな '揺れ感' は強調されます。
→Mid-Fi Electronics Electric Yggdrasil ①
→Mid-Fi Electronics Electric Yggdrasil ②
そんなトレモロとヴィブラートの '混合' ということなら、米国ニューハンプシャー州で製作するMid-Fi ElectronicsのElectric Yggdrasil(エレクトリック・ユグドラシル)。設計は 'MMOSS' というバンドのギタリスト、Doug Tuttle氏で、いわゆる '現場の発想' から一筋縄ではいかない '飛び道具' エフェクターばかりをひとり製作しております。Mid-Fi Electronicsといえば、'変態ヴィブラート' ともいうべきPitch PirateやClari (Not)のぶっ飛んだ効果で一躍このブランドを有名にしましたが、本機は位相回路による 'フェイズ・キャンセル' の原理を応用し、Uni-Vibe風のフェイズの効いたトレモロでサイケデリックな匂いを撒き散らします。
→Supro 1310 Tremolo
いわゆる 'フット・ボックス' になる以前のトレモロはアンプ内蔵というのが一般的でしたが、その中でも代表的なのがSuproのギターアンプ内蔵のもの。このSupro 1310 Tremoloは、そんな古くさい 'トレモロ感' をわざわざトランスによるサチュレーションを駆使し、真空管のバイアス可変による伝統的なSuproトレモロを再現する 'Amplitude' と、Fenderのギターアンプ内蔵のトレモロを再現した 'Harmonic' の2つのモードを搭載しております。また、'揺れ' のスピードはエクスプレッション・ペダルにも対応。
→Locustom Fx & Fun The Parasite
さて、最近少しずつ市場に現れているフランスのエフェクターからこちらのブランド、Locustom Fx & FunのThe Parasite。トレモロに 'センド・リターン' を設けてその他エフェクターと組み合わせながら揺らし、さらにSpeedとMixどちらかをエクスプレッション・ペダルにアサインしてリアルタイム・コントロールにも対応する変わり種。効果としては、LEDの点滅に合わせてDryとWetが交互に入れ替わりながら揺れるといった感じで、これでステレオなら一種のパンニング効果に近いものですね。彫金による手間のかかった筐体といい、ちょっとフランスのペダルって他国の製品にはないオリジナルな感じがあるなあ。
→Neotenic Sound Turbine-Ⅱ ①
→Neotenic Sound Turbine-Ⅱ ②
→Neotenic Sound Turbine
トレモロといえばヴィブラートと近しい関係からも分かるように、いわゆるレスリー・スピーカーにおける 'Fast / Slow' のスピード・コントロールで操作するイメージがあります。これをスイッチ一発で自在に速度調整できたらどれほどいいか・・っていうのを実現させたのが、大阪のエフェクター工房、Effectronics Engineeringとそのブランド、Neotenic SoundによるトレモロTurbine-Ⅱ。2つのプリセット・コントロールによるSpeedをそれぞれ好きに設定、スイッチを踏む度にいい按配で 'Fast / Slow' が入れ替わります。また、歪んでこそトレモロ!という主張と共にLevelツマミを上げていけばブースター的に滲ませることが可能なこと、そしてトレモロの後ろにコーラスがけの 'Dimension' 効果な裏ワザを設計者のいっぺいさんが動画で力説しまっす。
→Chase Bliss Audio
おっと、毎度おなじみ 'Pedals And Effects' さんもいつもの '秘密基地' で2部に渡ってトレモロ特集やってたんですねえ。バッバッバッと音量の 'On / Off' だけで揺さぶられるているだけなのに、この滲み出る快感って一体何なのだろうか?シンプルにしてサイケデリック、まさにエフェクター黎明期を象徴する効果と言っていいですが、より現代の音楽シーンに合わせて多機能かつ 'サイバーな' トレモロが登場しているのも面白い。特に新たなトレモロともいうべきGravitasのChase Bliss Audioはその多様かつ細かな操作性、高品質な一品として今後の注目株となるでしょう(かなり高価なのが難ですが・・)。
→Z.Vex Effects Super Seek Trem
→Z.Vex Effects Sonar
さて、時代はグッと駆け上がり、いわゆるシンセサイザーの発想により音量をコントロールする新しいトレモロを見ていきます。こちらのザッカリー・ヴェックスによるZ.Vex Effectsから、16ステップのシーケンサーを組み込んだ '変態トレモロ' のSuper Seek Trem。16のステップによるシーケンスから好きなステップを選択し、さらにその速度やタップテンポ、Glissと名付けられたツマミでランダムに設定することで予測不能な効果を生成。またMIDIで外部機器との同期をするなど、トレモロというよりシンセで用いるアナログ・シーケンサーの発想ですね。一方のSonarは、このサイズにしてこれまた多様な揺れ方を設定できるぶっ飛んだもの。Clean/Machineのスイッチでクリアーなトレモロと極悪に歪んだトレモロ、Dutyツマミはタップテンポのスイッチと連動し、1、2、4のテンポ設定と合わせて等速、倍速、4倍速と変わり、Deltaツマミは上部のスイッチと合わせてスピードの可変を・・ふぅ、複雑過ぎるので動画で確認してみて下さいませ。しかし、Z.Vex Effectsほど、トレモロだけでこんなに面白いヤツ(その他TremoramaやTremolo Probeなどもあり)をラインナップしている会社はないですヨ。
→Lightfoot Labs Goat Keeper GK.2
→Koma Elektronik BD101 Analog Gate / Delay
→Dreadbox Taff - Scientific Tremolo
→Dreadbox Kappa - 8 Step Sequencer + LFO
突然その姿を現し、数量限定でGK.1〜GK.3までのシリーズを残して忽然と消えていってしまったLightfoot Labs Goat Keeper。たぶん、トレモロと名の付いたものとしては最も '飛び道具' 的色彩の強いものでしょう。ウムム・・これもSuper Seek Trem同様に説明するのが大変なくらいぶっ飛んだもの。トレモロの波形やテンポはもちろんシーケンス的効果も出来るのですが、これがかなりエレクトロニカ風 '壊れた' 揺れまでカバーしており・・もう、何が何やら。正直、トレモロというより 'グリッチ/スタッター' 系エフェクターのジャンルに入れてもおかしくないですねえ。またSync Inの端子を用いれば外部のドラム・マシーンとの同期もOKなのですが、一方、本機の6つからなる(後の6つはユーザー・プリセット)シーケンス・モードをLFOで出力し、CVで外部機器をコントロールすることが可能。動画はKoma Elektronik BD101のGateと同期して 'グリッチ/スタッター' 風シーケンスを生成、ちょっとした 'プチ・モジュラー' 気分が味わえますヨ。ちなみに、このBD101のGateセクションだけでもトレモロ的効果を生成することが出来ます。しかしオレゴンの片田舎からこんなネーミング・センスと羊のイラストで疾風の如く駆け抜けた迷機、本当に謎のまま多くの 'Pedal Geek' たちを狂喜乱舞させた存在でした。続いて、ギリシャで 'モジュラーシンセ' 的発想によりエフェクターを製作するDreadboxのTaff。一見すると一般的なトレモロと共通するパラメータを持ちながら、メーカーからは 'Scientific Tremolo' と名付けられて従来のトレモロ感に捉われない音作りを推奨しております。本機自体はDepthとSpeed、4種類からなる波形選択と深さを調整するパタメータを備えつつ、外部にLFOと8ステップ・シーケンサーを持つKappaと電圧制御(CV) で繋ぐことで、MoogerfoogerやKoma Elektronikのエフェクターと共通する 'シンセライク' な音作りに変貌。
→Stone Deaf Tremotron - Digitally Controlled Analog Tremolo
2010年、LukeとKeithのHilton親子により英国マンチェスターから登場した工房、Stone Deaf。日本ではMaestro Parametric Filterというマニアックな一台をデッドコピーしたPDF-1でその存在を知りましたが、現在ではかなり多彩なラインナップを誇っているようです。このTremotronというのもかなりユニークな一台で、アナログの質感はそのままにデジタルによるユーザー・プリセットとMIDI制御でタップテンポ含め、トレモロの変調をかなり自由に操作することが可能。面白いのは 'Waves in Reverse' という逆再生しながらの揺れ方・・。単なるレトロ志向ではなく 'テクノ世代' にも訴える新しいものですね。
→Rainger Fx Minor Concussion - Sidechaner Mk.1
こちらもDavid Raingerが手掛ける英国ロンドンの工房、Rainger Fxの相当に風変わりなトレモロ、と言っていいのかな?ここの製品といえば、"目覚めよフランケンシュタイン!" とばかりにガシャンとナイフスイッチで電流流すイメージそのまま、ぶっ飛んだファズのDr. Freakenstein Fuzz DRFF-3で一躍エフェクター界にその名を広めました。このMinor Concussionも相当にぶっ飛んだコンセプトのようで、通常のトレモロのほかに外部からのトリガー信号を受けて相対的に音量を抑えながら変化を付ける機能を備えていること。コレ、いわゆるVCAコンプレッサーの ' サイドチェイン' の機能を応用したものでして、テクノの '4つ打ち' と同期させてレベル・コントロールによるダイナミズムの '演奏法' ではDJたちに普及しております。Releaseでドラムからのトリガーの感度を調整し、同期によるエンヴェロープを操作できるなど、完全にDJ用エフェクターの発想をコンパクトに持ち込んだものですね。
→Strymon Flint - Tremolo & Reverb
ここまではアナログ回路によるトレモロ/ヴィブラートをご紹介してきましたが、こちらは、そんなトレモロとスプリング・リヴァーブの組み合わせによる 'あの感じ' を現代のDSPテクノロジーで1つにまとめてしまったStrymon Flint。本機の再現性は目を見張るものがあり、リヴァーブ部は1960年代のピチャッとした 'バネくさい' ものから70年代のプレート・リヴァーブ、そして80年代の初期デジタルなホール・リヴァーブまで組み込んでおり、'アナログ・モデリング' の特徴を活かした実に多様なセッティングを引き出すことができます。ここ最近のStrymon製品に共通する仕様として、Inputはアンバランス入力のほかにY字のインサート・ケーブルTRS側を繋ぐことでステレオ入力に対応、キーボードでの使用にも対応します(もちろん楽器入力とLine入力への変換もあり)。
そして番外編。再び登場のZ.Vex EffectsによるLoop Gateは、機能としてはノイズ・ゲートでありながら、本機の 'キル・スイッチ' を用いた '力ワザ' として結果的にトレモロの効果となってしまったもの。'Send / Return' を備え、そこに歪み系などをインサートして何でもこのLoop Gateでブツ切りしてやろうという魂胆なのです。本機はNormalとChopの2つのモードを有し、Normalではインサートしたエフェクトに対して通常のゲートとして働き、その '切り加減' を入力感度のSens.と音のエンヴェロープに作用するReleaseで調整します。そして本稿の目的であるトレモロ的 'ブツ切り' 感を演出するChop。この時のReleaseはゲートの開閉速度として、トレモロのSpeedツマミと同等の働きに変わります。このゲートによる 'ブツ切り' をもっとランダムに、例えば 'グリッチ/スタッター' 系エフェクターのように作用したら面白いんじゃないか?じゃ、やってみようということで試してみたのが、新たな '変態エフェクター' として頭角を現しているDwarfcraft DevicesのMemento。基本的にはミュートするための 'キル・スイッチ' を応用したもので、このカットするテンポを 'キル・パターン' としてKillスイッチにタップテンポで記憶させるだけ。後はRe-Killスイッチを踏めばその踏んだテンポの状態で 'ブツ切り' が再現されます。また、この再現中にKillスイッチを踏めばキル・パターンの速度を2倍、もしくは4倍にできます。
→Pigtronix Philosopher King ①
→Pigtronix Philosopher King ②
そんなゲートをさらにエンヴェロープ・ジェネレーターと組み合わせ、いわゆる 'オート・ヴォリューム' の効果を生成するエンヴェロープ・モディファイアの発展型Pigtronix Philosopher King。設計は1970年代後半に本機のルーツ的機種、Electro-Harmonix Attack Decayを手がけたハワード・デイビスで、その中身はコンプレッサーのアタックとサスティン、VCAとゲートにより動作する 'シンセサイズ' のADSR機能と同一のもの。'オート・ヴォリューム' からテープの逆回転風 'テープ・リヴァース'、LFO的パーカッシヴなトレモロの特殊効果まで、ある意味 '好き者' にはたまらない効果を備えております。ただし、あまりに特殊&繊細な使い勝手から一定の率でキレイな中古もよく出回るのですが・・。
→Pigtronix Tremvelope
あ、もちろんPigtronixではトレモロ自体もちゃんとラインナップされておりまする。しかし、そこは一筋縄ではいかないPigtronixらしく、エンヴェロープ・フォロワーを内蔵してタッチセンスにより入力の感度調整でスピードを自在にコントロールできるという変わり種。効果自体はクラシックな古き良きトレモロの味を持ちながら、エンヴェロープによる繊細かつヴィブラート風コントロールからステレオ・パンまで幅広く対応。
→H&A.Selmer Inc. Varitone ①
→H&A.Selmer Inc. Varitone ②
→Vox / King Ampliphonic Stereo Multi Voice
→Hammond / Innovex Condor GSM ①
→Hammond / Innovex Condor GSM ②
→Hammond / Innovex Condor RSM
→Hammond / Innovex Condor SSM
管楽器においては、世界初の管楽器用エフェクターであるSelmer Varitoneにもオクターバーと共にアンプに内蔵されていたのがトレモロでした。また、後続で登場したGibson / MaestroのSound System for WoodwindsやVox / kingのAmpliphonic Stereo Multi Voiceなどにもトレモロは搭載されます。この素朴な効果のためだけにこんな大仰なサウンド・システムを稼働させなければならない可搬性の悪さ・・しかし、こんなぶっとい感じのトーンは現代のデジタルでは再現できないでしょう。また、HammondがOvationと協業して1969年に発売した世界最初のギター・シンセサイザー、Innovex Condor GSMもファズやオクターバーに加えて、トレモロ、ヴィブラートを備えております。わたしは本機の管楽器版、Condor RSMを所有しているのですが、Vibrato / Tremoloとは別に 'Attack' という一風変わった効果を装備。これはトレモロの揺れを一発の 'アタック' としてスタッカートで飛び出すものでして、ギターならピッキング、管楽器ならブレス一発で 'ボン!' と力強く飛び出してくる感じはその名の如く心臓に悪い。いわゆる 'Machine Gun Tremolo' の異名で機関銃を連射するイメージからすれば、この 'Attack' は強力な大砲をぶっ放すと言ったら良いでしょうか。まあ、どこで使って良いのか分からない謎の効果なんですけど(苦笑)。
モジュレーション系エフェクターの元祖として、懐かしくも遠い過去の記憶と共にユラユラと空間を震わせるトレモロの音色・・揺れるって案外と人間の感情に近いところがあるのかもしれませんね。
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