→Strymon Bigsky
→Eventide Space
→OTO Machines BAM
→Schaller Reverb Unit
こちらはStrymon Timelineの姉妹機で多目的リヴァーブのBigsky。管楽器の 'アンプリファイ' 向上を目指すYoutuber、John Bescupさんによるデモ動画ですけど、一昔前なら20万円以上のラック型マルチ・エフェクター並みのクオリティが今や5万円前後の製品として手に入ってしまうのです。Eventide Spaceもそうですがリヴァーブの演算処理とアルゴリズム、AD/DAの設計はここ数年で格段に高品質とコストダウンが達成されましたね。特にピッチシフトされた2声が付加された幻想的な 'Shimmer Reverb' など、近年の音楽にやたら使われてさすがに食傷気味となったほどです。また、デジタルと言われるものでもその黎明期とされる1980年代初期のデジタル・リヴァーブの質感を再現したフランスOTO Machines製BAM。こんな最先端なデジタルの一方で、昔ながらのスプリングに周波を流してピックアップするスプリング・リヴァーブというのも味があります。わたしもコンボ・アンプ内蔵のものをラッパにかけておりますが、強めにかけなければダブでお馴染み 'バネくさい' ビシャビシャした感じにならず、結構上品に 'アンビエンス' の演出を担ってくれます。ヴィンテージものですが、ドイツのSchaller製スプリング・リヴァーブは比較的チープな匂いの強い 'バネリバ' の中ではかなり使える一品ですね。
わたしが愛用するStrymon Brigadier - dBucket Delayは本当に良くできており、特別アナログ・ディレイ信仰はないのですが、気持ちの良い質感でデジタルとアナログの 'イイとこ取り' をした機種という印象です。一時期、BBDチップを乗せた '本物の' アナログ・ディレイが再評価され、ヴィンテージからBBDチップを乗せた '新製品' までこの分野を賑わせました。しかし、せいぜい最長600ms程度の短いディレイ・タイムは使いにくく、また太くハイカットしたような質感は暖かいと表現されましたが、逆にいえば音がこもって抜けが悪かったりするんですよね。こちらの本機BrigadierはStrymon独自のDSPテクノロジー 'dBucket Delay' により、アナログ・ディレイならではのエイリアシング・ノイズの度合い 'Bucket Loss' を増減させながら、デジタル・ディレイの持つエッジと8秒までの長いディレイ・タイム、4分音符、付点8分音符、3連符に対応したタップテンポと両方の良いところが合わさっております(もちろん、Feedbackを回せばちゃんと発振するという芸の細かさ!)。
→Strymon Brigadier - dBucket Delay
→Strymon El Capistan - dTape Echo
まあ、それでもギタリストにとってのアナログ信仰というのは 'こだわり' が深いようで、Electro-Harmonix Deluxe Memory Man、Maxon AD-900 Analog Delay、Boss DM-2 Delayなどのアナログ・ディレイ '往年の名機' は、未だにそこそこのプレミア的価格で取り引きされております。さらにBossなどは '技 claft' というハンドメイド・シリーズで 'DM-2w' として復刻までしてしまいましたからね。一方、アナログということではテープを用いたテープ・エコーも未だ求められる質感ということで、これまたStrymon独自のテクノロジー 'dTape Echo' を用いたEl Capistanに人気が集まっております。この会社は '往年の名機' をデジタル・ディレイとして蘇らせた定番機、Line 6 DL4 Delay Modelerを開発した技術陣が独立して起こしただけに、そのノウハウの蓄積はコスト・パフォーマンス含め他社の追随を寄せ付けませんねえ。上の動画は 'ペダル・ジャンキー' でお馴染みDennis Kayzerさんの 'Brigadier VS El Capistan' の比較ですけど、それぞれの特色ともいうべきテープ・エコーの 'ワウ・フラッター' VSアナログ・ディレイの 'モジュレーション' の再現度は見事。もちろん '本物' とは違うといえばキリがないのですが、これはこれで十分過ぎるほどの質感ではないかと思います(使い勝手も良いしね)。
→Dawner Prince Electronics Boonar
→Gurus Amp Echosex 2
→Catalinbread Echorec
BBDチップを用いたアナログ・ディレイ、テープを用いたテープ・エコーをそれぞれシミュレートしたデジタル・ディレイがひとつの市場として活況しておりましたが、ここにもうひとつ、イタリアのBinsonで製作された磁気ドラム式エコー、Echorecへの再評価が世界的に始まっております。CatalinbreadのEchorec、イタリアのアンプ・メーカーGurus AmpからのEchosex 2、そしてクロアチアの新興メーカー、Dawner Prince ElectronicsのBoonarと目白押し。どれもEchorecに共通する4つのスイッチからなるマルチヘッドのタップ・ディレイがちゃんと再現されているか、が各社シミュレートの 'キモ' と言っていいでしょうね。
→Carl Martin Echotone
こちらはTC ElectronicやEmmaと同じくデンマークのブランド、Carl Martin。ハイゲインなオーバードライブのPlexitoneを始めとして多様なラインナップを誇りますが、ここ日本では少々マイナーなイメージでしょうか。すでにあったDelaylaやDelayla XLをベースによりアナログライクなチューニングを施されたのがこのEchotone。基本的な構成はDelayla XLに倣って1.2秒のディレイ・タイムを備えながら、バイパス時にディレイ音を残すTrailスイッチ、ディレイ音を外部のエフェクターで加工できる内部インサートのLoop装備と、なかなかに魅力的なスペックを誇っております。また 'Select' スイッチを踏むことで隣のアンラッチ式スイッチのタップテンポを用いることができるのですが、Tempoの青色LEDがテンポに合わせて点滅しないのはちょっと意外(笑)。最近のタップテンポを備えたデジタル・ディレイはほぼ点滅して目で確認できるものが多いだけに、この手の製品ではすでに古株の本機はまだまだシンプルな作りです。
さて、ここでは個人的にちょっと気になった他社の新作ディレイをいくつか見ていきたいと思います。最近、この分野も新しい競合ブランドが入り乱れて面白いものを作っておりますヨ。
→Sunfish Audio Autoscopy
日本の新興ブランドであるSunfish Audioの新製品、Autoscopy。なかなかデジタル・ディレイというのは小さな個人工房にはハードルが高かったのですが、本機はタップテンポやモジュレーション、フィードバックのみならず、昨今のエフェクター界でディレイの付加機能として注目を集める 'Glitch' モードまで備えるという嬉しい仕様です。中身はPT2399チップを用いたものと予想しますが、このブチブチと千切れるような 'グリッチ' がタップテンポと共に表情を変える姿は格好良いですねえ。しかもこういった '飛び道具' が制御不能にならず、ちゃんと音楽的ポイント内で良いアクセントとなる設定が施されているのもグッド!
→Caroline Guitar Company Kilobyte Lo-Fi Delay
米国はサウスカロライナ州コロンビアに本拠を置くCaroline Guitar CompanyのKilobyte Lo-Fi Delay。この手の 'Lo-Fi' とかアナログ・ディレイ、テープ・エコーをシミュレートしたデジタル・ディレイのほとんどに搭載されているのがPT2399というICチップであり、本機もそれを用いながら実に心地良い質感でなまります。こちらはStrymon Brigadier同様にスイッチひとつ踏む度に発振するフィードバック、'Havoc' スイッチが売りのようですが、結構、モジュレーションとその名の如く 'Lo--Fi' の 'なまり具合&荒れた質感' は独特です。Brigadier内蔵のモジュレーションはかなりグニャグニャしてしまうのですが、このKilobyteの '揺れ方' は品があって好みかも・・。
→Death by Audio Ghost Delay - 3 Stage Digital Echo①
→Death by Audio Ghost Delay - 3 Stage Digital Echo②
ニューヨークはブルックリンを拠点に活動する奇才、オリヴァー・アッカーマン主宰のブランド、Death by Audio。この新作ディレイは日本未発売ながら、3つのディレイ・タイムとフィードバックを個別に操作することでその名も '幽霊のような' フィードバックに特化したディレイですね。ユラユラとなかなかに幻想的というか、単純に3つのディレイを個別に繋いだだけでは味わえない効果が面白い。'発振' って一発芸的にフレイズの始まり、もしくは終わりに鳴らすことで瞬間的なアクセントとして活きる 'ギミック' だと思っていたんだけど、本機のように崩壊寸前の設定にしてループ・サンプラーなどで 'シューゲイザー的に' オーバーダブしていけば、ラッパ一本でかなり分厚いアンサンブルを描くことができるんじゃないでしょうか?
→Benidub Digital Echo
→Vestax DDG-X2 Digital Delay
→Vermona Engineering Cross Filter
こちらはダブに特化した機器を製作するスペインのBenidubから 'ヴァージョンアップ' したデジタル・ディレイ、Digital Echo。ライン・ミキサーのSend/Returnなどで用いるラインレベルの卓上エフェクターで、ラッパなら左手でミキサー共々リアルタイム操作しながら音を飛ばしたいですねえ。本機はLoop(Hold)機能も備えているので短いフレイズをループさせながらフィードバックとか、かなりリアルタイムで遊べる一台ですね。続くダビーなDJプレイは、Vestaxの '隠れた名機' ともいうべきDDG-X2とVermonaのDJミキサー型アナログ・フィルターのリアルタイムな '飛ばし技'。そしてダブとラッパということでまたしつこく貼ってしまおう・・スライ&ロビーとニルス・ペッター・モルヴェルのダビーな共演!
→Strymon DIG - Dual Digital Delay
→OTO Machines BIM
→Korg SDD-3000 Pedal
そして1980年代初期、一斉に開花した初期デジタル・ディレイの '荒い' 質感を再現したStrymonとOTO Machinesの2機種。当時は高級機としてEventideやLexicon、コンシューマ・モデルではKorg SDD-2000やRoland SDE-2000がスタジオに導入されて、それまでのテープ式やディスク式、BBDチップを用いたアナログ・ディレイから飛躍的にミックスと空間生成で複雑な処理を可能としました。そういえばKorgがこのラック版SDD-2000の上位機、SDD-3000のペダル版を以前に発売しましたが、生産終了後にジワジワとプレミア的価格が付いてしまっております・・。なぜ人は現行品の時に買わず、生産終了とアナウンスされるや群がるのだろうか?(苦笑)売れていれば廃盤にしなかったと思うんだけど、ね・・。
→Red Panda
→Red Panda Raster
→Electro-Harmonix HOG 2
UKダブの巨匠、マッド・プロフェッサーの得意技として、2Uラック型ピッチ・シフターであるMXR Pitch Transposer内のインサート端子にディレイを繋いで階段状にピッチが上がるエコーがありました。Digitech Whammyを始め、ディレイとピッチ・シフターを組み合わせるとさらに音楽的表現が広がるのですが、それを一台に収めてしまったのがこのRed PandaのRaster。'グリッチ/スタッター' 系エフェクターのParticleで一躍エフェクター界にその名を売ったRed Pandaは、最大750msのデジタル・ディレイをベースにピッチシフト・アルゴリズムをフィードバック・ループ内に備え、上下オクターヴから半音単位でシフトさせることが可能。コーラスのデチューンモードでは4度下からマイナー3度上の範囲でピッチチェンジ、もちろん '飛び道具' として無限上昇的なピッチチェンジ、リヴァース・ディレイなど幅広い機能に対応します。ここの製品が優秀なのは破綻することなく音楽的に '飛ばして' くれる品質の高さがありますね。その下の動画は 'エレハモ' のギターシンセ型ピッチ・シフターともいうべきHOG(Harmonic Octave Generator)の 'ヴァージョン2'。
→Hologram Dream Sequence
→Meris Effects Ottobit Jr.①
→Meris Effects Ottobit Jr.②
そうそう 'グリッチ/スタッター' 系エフェクターといえば、最近、Hologram Dream Sequenceを手に入れたというのにまたまたこんな新製品が登場しましたヨ。ここら辺はシーンの需要の高さ故か、続々と新規参入、機能のアップデートと共にコストダウンの競争で目白押しなのが嬉しいですね。何故にハングル表記?と思うでしょうけど、Meris Effectsは別に韓国のブランドではなく、元Strymonのスタッフが独立して立ち上げた会社のようです。価格もこの手の 'ニッチ' な需要による割高な従来機に比べて、かなり頑張っているのではないでしょうか。さて、効果としてはピッチ・シフター、ビット・クラッシャー的フィルター、ステップ・シーケンス、リング・モジュレーション、ショート・ディレイの '全部乗せ' 応用型機といったところ。MIDIにも対応しているようですが、デジタルものの日進月歩ぶりはもの凄い速さでビックリします。
→Earthquaker Devices Space Spiral
→Earthquaker Devices
しかし、今年に入ってから管楽器奏者による 'アンプリファイ' な動画が増えました。やはり積極的なのはサックス奏者なんですけど、こちらは米国のEarthquaker Devicesのエフェクターを用いたもの。以前にはMXR、Moogerfooger、Electro-Harmonixなどがそれまでのギター市場にこだわらず管楽器奏者を起用した動画を作りましたが、これから新たなニーズとしてエフェクター会社が管楽器奏者と組んで続々 'アンプリファイ' してくれるんじゃないか、とワクワクしております。この動画はThe Kandinsky Effectというトリオからなる、エフェクターを駆使した音響的バンドのアプローチが格好良い!そして、その下の動画は今回の 'エコー編' の主役であるモジュレーション・ディレイのSpace Spiralですが、まだ日本未発売のようですね。
→Earthquaker Devices Avalanche Run
こちらもEarthquaker Devicesの新製品ながら日本未発売のAvalanche Run。タップテンポを備えたディレイ+リヴァーブの複合機で、何でも2016年に米国で売れまくったペダルのひとつらしいです。やはり 'エレクトロニカ以降' の質感を持った空間系エフェクターというか、その多彩なラインナップ含めてPigtronixと並び 'ポスト・エレハモ' に位置するブランドだと思いますね。
→Jim Dunlop / MXR M169 Carbon Copy
→Jim Dunlop / MXR M269SE Carbon Copy Bright
→Jim Dunlop / MXR Carbon Copy Deluxe
→TC Electronic Flashback X4 Delay & Looper
そして、これまた何度もご紹介したSnarky Puppyのラッパ吹き、Mike 'Maz' MaherさんのMXRエフェクターによるデモ動画。ここでは本物のBBDチップを用いたアナログ・ディレイの定番機Carbon Copyが素晴らしい。これはホントに売れまして、このM169の限定版としてPGSがオーダーした抜けの良い 'Bright' 版もラインナップしたほどです(追記: この記事を上げた直後に本家のJim Dunlopから本機の拡大版、Carbon Copy Deluxeがアナウンスされました。ノーマルと 'Bright' のトーン切り替え、1.2秒まで伸びたディレイ・タイム、タップテンポとプログラム機能の追加と、何だかTC ElectronicのFlashback Delayと同じ展開を見せております)。さて、冒頭でも紹介したPeter Knightさんなる方のライヴ・エレクトロニクス・アート。冒頭では '本物' のテープを用いたと思しきディレイ効果で、Revoxのオープンリール・デッキからテープを引っ張り出してロング・ディレイ、ループ、テープ・スピードの変調などを聴かせてくれますが、こちらは、さらにエディ・ハリスばりのサックスのリードを取り付けたフリューゲルホーン、ラッパの '内部奏法' ともいうべきプリペアードなノイズを採取して、PC内のグラニュラー・シンセシスでオーバーダブ、変調させているようです。
→Boomerang Ⅲ Phrase Sampler
→Boomerang Musical Products
エコーといったら発振させるフィードバックということで '番外編' というか、やはりループ・サンプラーとピッチ・シフター、フィードバックの壁を駆使したパフォーマンスにおけるセクシーなNovellerさんの動画が大好き。Boomerangの4トラックを備えたループ・サンプラーはその使いやすいユーザー・インターフェイス含め、この手の機器では非常に高い評価を得ております。
え〜、ちょうどこの記事でブログ100回目となりました。
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