この手の製品ではMasf Pedals始め、日本は陰ながら健闘しており、現在はオーストラリア在住で製品作りをしている 'LAL' ことLastgasp Art Laboratoriesのエフェクターもぶっ飛んだものばかり。'ニッチな' ジャンルとはいえ少量生産で欠品の多いのが玉に瑕ですけど・・。
→Lastgasp Art Laboratories
→Mission Engineering Expressionator
その 'LAL' のカタログの中でもぶっ飛んだ一台なのが、2基搭載した 'Parametric Oscillo Filter' の名前通りほとんどオシレータの塊ともいえるCyber Psychic。エクスプレッション・ペダルを繋いでそのフリケンシーをリアルタイムで操作することもできます。そういえば、レッド・ホット・チリ・ペパーズのギタリスト、ジョシュ・クリングホッファーの足元にもコイツは一時期ありました。動画ではMission EngineeringのExpressionatorを用いて、Moogerfooger MF-101を始め、一台のエクスプレッション・ペダルで複数機とのCV兼用を行っているようですね。
→Dwarfcraft Devices Happiness
ここも常識外れの '飛び道具' ばかり製作する狂った工房なのですが、オーソドックスな構成を持つLow-pass、Band-pass、High-passのマルチモード・フィルターHappinessはいかがでしょうか。一般的なエンヴェロープ・フィルターなのかと思いきや、Scrambleなるスイッチを入れることで 'ランダム・アルペジエイター' 風の効果を生成。そしてエクスプレッション・ペダルでFilter CVとScramble CV、LFOを出力できるなどミニプラグで外部との同期を行えるということで、これは 'ユーロラック・モジュラーシンセ' との互換性を備えているのが面白いですね。
→Mantic Effects Flex Pro
こちらは昨日取り上げた疑似シンセ系 '歪み' の類いで、やはりブチブチとロービット・サウンドを生成します。ケースが通常のものを引っくり返して用いているのがユニークなら、6つあるツマミもそれぞれLVL(マスター・ヴォリューム)、Focus(VCOのアタック・コントロールをPumpノブとリンクして調整)、Pump(Focusノブとリンクしてエンヴェロープの範囲と時間を調整)、Mix(エフェクト音と原音のミックス)、Filter(6種のVCO切り替え)、Rate(フットスイッチ右側でLFOの周波数を調整)、$スイッチ(フィルターで選択されたVCOのディケイを2種から切り替え)、&スイッチ(フィルターで選択されたVCOの範囲を2種から切り替え)と・・ふぅ、取説がないと追い切れないですがかな〜り狂ったサウンドを生成してくれますねえ。
→Source Audio Soundblox 2 SA224 Stingray Multi-Filter
→Source Audio
指に嵌めたSA115 Hot Hand 3という 'モーション・センサー' でエフェクトのパラメータをリアルタイムで動かしたりと、なかなかに独創的な発想を盛り込むSource Audioのエフェクターなんですが、今いちその 'サイバーな' デザインは好き嫌いの分かれるところでユーザーが少ない。しかしこのStingrayなる本機、音作りとしてはローパスからハイパスのフィルター 、'ヒューマン・ワウ'にフェイザーや 'ランダム・アルペジエイター' など、かなり幅広いサウンドへと対応しており、これは '隠れた名機' と言えるかも。大体、この手の '飛び道具' はニッチな層を対象としているだけに高価というのが一般的なのですが、おお、リンク先を見るとほとんど投げ売り状態の価格ですヨ、これは!手っ取り早く 'ぶっ飛びたい' ヤツ、急げ!
→Korg MS-20 mini Monophonic Synthesizer
→Korg MS-20M Kit + SQ-1 Monophonic Synthesizer Module Kit
→Pigtronix Mothership Analog Guitar Synthesizer
→Arp Odyssey Module
アナログ・シンセ及びモジュラー・シンセの敷居を低くした存在として、Korg MS-20の存在はもっと褒め称えても良いと思いますね。それは、KorgがMS-20 miniとして '復刻' したことでさらに多くのユーザーを獲得したことにも現れております。MS-20の外部入力から音の出るものなら何でも突っ込んでみていろいろと 'シンセサイズ' してみる・・。下の動画では、Pigtronixが自社の 'ギターシンセ' であるMothershipとCV(電圧制御)で組み合わせることでさらに面白いことに。そしてKorgは往年の名機、Arp Odysseyのモジュール版を発売してしまいました。コイツにも外部入力はあるので・・さあ、いろいろと '突っ込んで' みるなら今です!
→Hammond / Innovex Condor RSM (Reed Sound Modulator)
あ、'温故知新' で世界最初の 'ギター・シンセサイザー' として1969年に製品化されたHammondのInnovex Condor GSMも追加でどーぞ。他にステレオ音源の入出力対応SSM、サックスやトランペットに対応した管楽器用RSMがそれぞれ用意され、エディ・ハリス、ランディ・ブレッカーは愛用、マイルス・デイビスは 'Fuck!' のひと言で付属のShure製ピエゾ・ピックアップのみ愛用しましたね。
→WMD Protostar ①
→WMD Protostar ②
そのようなモジュラーシンセの発想を今度はコンパクト・エフェクターに導入した一例として、破壊的なディストーションのGeiger Counterで一躍エフェクター界にその名を刻んだWMDの新たなぶっ飛びフィルター、Protostar。こちらも上でご紹介したSource Audioのヤツ同様に幅広い効果を持ち、4モードのフィルターをLFOとエンヴェロープでコントロールすることでワウからフェイザー風の効果を生成し、またコンプレッサーも内蔵します。下の動画では、WMDが 'Coming Soon' とするGeiger Counter Proとモジュラーシンセ的にパッチングをして・・ムム、とても説明するには複雑なのでリンク先をご参照下さいませ。
→Oberheim Electronics Voltage Controlled Filter VCF-200
→Xotic Effects Robo Talk-RI
→Z.Vex Effects
→Subdecay Proteus
→Masf Pedals Possessed
さて 'ぶっ飛んだフィルター' 再評価?のブームのきっかけとなったのが、こちらXotic GuitarsのRobo Talkでございます。いわゆるエンヴェロープ・フィルターに 'チャカポコ' と不規則なシーケンスを鳴らす 'ランダム・アルペジエイター' を搭載することで、それまでのワウという概念から 'シンセ的発想' でギターを捉えることを可能にしました。といっても新しい機能ではなく、1970年代にトム・オーバーハイムが設計したMaestro Filter/Sample Hold FSH-1をデッドコピーしたもので、オーバーハイム自身も自社からVoltage Controlled Filter VCF-200として発売しました。本機をきっかけにZ.VexのSeek WahやOoh Wah、さらに16ステップのシーケンスを内蔵した 'Super Seekers' シリーズ、Subdecay Proteusなどが後に続きます。下の動画は、そのFSH-1の 'ランダム・アルペジエイター' の 'チャカポコ具合' をさらに予測不能なMasf Pedals Possessedの 'グリッチ効果' でブツ切れにするという・・。ちなみにオリジナルの本機を用いた名演としては、フランク・ザッパの 'Ship Ahoy' でしょう!
→Copilot FX Gyroscope
→Copilot FX Broadcast BC-2
こちらは中南米のドミニカ共和国で製作をするAdam RomeoさんのCopilot FX。エンヴェロープ・フィルターからモジュレーションからディストーションからと 'てんこ盛り' ながら、ピコパコと 'ランダム・アルペジエイター' でシーケンスするGyroscope。ここもヘンテコな '飛び道具' ばかりラインアップする奇妙な工房ですね。またSpeed/Ratioのパラメータは外部に 'エクスプレッション・ボックス' ともいうべき同社のBroadcast BC-2を繋ぐことでさらにエグい変調へと操作することが可能です。
→Maestro Universal Synthesizer System USS-1
さて、そんなFilter/Sample Hold FSH-1を含め、Maestroの代表的エフェクターを '詰め込んで' みたマルチ・エフェクター的構成のUniversal Synthesizer System USS-1。ファズ(Waveform)、フェイザー(Phase)、エンヴェロープ・モディファイア(Envelope)、Sub-Harmonic(オクターバー)と 'てんこ盛り'。当然、'ランダム・アルペジエイター' のFilter/Sample Holdがシンセっぽさを醸し出しておりますが、どうも名称だけシンセっぽく改称してそれっぽく見せているだけのようなチープさ・・の香りはありますが存在感は凄い。ちなみにこちらもトム・オーバーハイム製作の一品となります。
→Koma Elektronik
そんな 'ランダム・アルペジエイター' の機能を10ステップのシーケンサーにして、さらに 'モジュラーシンセ' 的パッチングでより凝った音作りを可能としたのがこのKoma ElektronikのFT201。姉妹機のゲート/ロービット・ディレイBD101と組み合わせることでかなりエグいですねえ。フットスイッチ横のセンサーにパッチングすることで、ツマミの可変では表現できないテルミン的な操作がイマジネーションを刺激してくれます。
→EMS Synthi Hi-Fli
→EMS Synthi Hi-Fli on eBay
→Digitana Electronics Synthi Hi-Fli
さてさて、こちらは '温故知新' ということで、ジェネシスのスティーヴ・ハケットやピンク・フロイドのデイヴィッド・ギルモアらが用いたことで半ば伝説化している幻のギター・シンセサイザー、EMS Synthi Hi-Fli。設計はEMSシンセサイザーはもちろん、1970年代後半にはエレクトロ・ハーモニクスのエフェクターにも携わったDavid Cockerellが担当し、そのぶっ飛んだサウンドはもちろん、この 'スペースエイジ' 風のデザインは目を見張ります!今ならApple Macintoshがデザインしたエフェクターだ、と言われても信じてしまうかも。いわゆるフェイズの効いた 'ヒューマン・ワウ' の効果も出るという意味では、同時期のLudwig Phase Ⅱ Synthesizerをかなり意識して設計したのかもしれません。しかし、オリジナルはもちろん、数年前に 'リビルド' というかたちで蘇ったDigitana Electronicsのヤツも一体どれくらい出回ったのか、コイツだけは市場で滅多に見かけない・・と思っていたら、何とeBayで状態良好のヤツが約90万!を筆頭にいくつか出品されております・・ムムム。
→Ludwig Phase Ⅱ Synthesizer
→Kep FX Phase Ⅱ.2
'温故知新' パート3。以前にもご紹介しましたが、再びLudwig Phase Ⅱ SynthesizerとそのデッドコピーであるKep FXのPhase Ⅱ.2。このフェイズの効いた 'ヒューマン・ワウ' というのも機種ごとの微妙な違いがあって探求したくなりますね。日本ではMoogシンセ導入前の故・富田勲氏が 'ラデシン' のあだ名でよく用いていたという本機、これまで過去のエフェクターはかなりの数が '復刻' 及びデッドコピーが進みましたが、この '大物' はまだまだ歴史の陰に隠れている '知られざる名機' の一台です。ドラム・メーカーであるLudwigが重い腰を上げて '復刻' しませんかねえ。
→Sherman Filterbank 2
単体の '化け物' フィルターとして長いことその座を守ってきたのが、ベルギー産のHerman Gillisさんの手がけるSherman Filterbank 2。さすがにテクノ界隈で使われまくっただけあって '賞味期限切れ' かな、とも思うのですが、本機の 'モジュラーシンセ' 並みの機能を持つ音作りは、まだまだ挑発的な唯一無二の出音として健在です。また、Filterbank 2のラック版の動画ではノコギリ波をVCFに送り、エンヴェロープ・フォロワーに対してLFOでコントロールすることで 'ヒューマン・ワウ' の如く '喋らせる' ことも可能。何せ耳を塞ぐヤツを会社のトレードマークとしているだけに、どうぞ耳を痛めてアンプを飛ばさないようにご注意あれ。
→Performance Guitar TTL FZ-851 "Jumbo Foot" F.Zappa Filter Modulation
コンパクト・エフェクター(というにはあまりにデカイですが)としては最も凄そうなのがこちら、フランク・ザッパが生前に愛用していたカスタムメイドのフィルターをザッパのギターを手がけていたPerformance Guitarが蘇らせてしまったもの。オーダーしたのは息子のドゥイージル・ザッパで動画のデモも彼本人によるものです。価格帯に応じて3種類用意されておりますが、いずれにしろコンパクト・エフェクターの '判断基準' を超えた高価格ということで、熱狂的な 'ザッパファン' 以外、一体誰が買うのやら・・。
そしてこちらは、'ペダル・ジャンキー' でお馴染みDennis Kayzerさんの 'フィルター・ペダル' ベスト10&恒例である2016年(去年)のベスト・ペダルTop 20!もう毎年やっているワケなんですが、2016年(去年)の選考は空間系やモジュレーション系のセレクトが多いですね。しかしこのKayzerさん、その年に現れるコンパクト・エフェクターは全て購入しているんじゃないか?ってくらい、あらゆる '新製品' を網羅しております。勝手な想像だけど、倉庫のような部屋にラックが置かれて大量のペダル類が箱入りで山積みされているんじゃないか、と。一度、拝見して圧倒されたいものです・・。
1960年代後半から始まった管楽器の電化ともいうべき 'アンプリファイ'。その中でもターニングポイントともいうべき 'アンプリファイ' したトランペットの重要作として、ドン・エリス1970年の 'Don Ellis At Fillmore' とマイルス・デイビス1972年の 'On The Corner'、ザ・ブレッカー・ブラザーズ1978年の 'Heavy Metal Be-Bop' と並び、ジョン・ハッセル1977年の 'Vernal Equinox' もその先駆作として挙げねばならないでしょう。この人工的な '電脳の楽園' ともいうべき架空のエキゾチシズムを醸し出すジョン・ハッセルの世界・・たまりませんね。
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