ファンク以降、ヒップ・ホップにおけるブレイクビーツ以降、ドラムンベースからダブステップにおける細分化したビートとベースの過剰性以降などなど、ここ近年のドラムスとベースを中心としたグルーヴの中毒性というのは無視できないものだと思います。そこで、ここでは ‘ブレイクビーツ’ 的価値観に貫かれたものを個人的趣向でご紹介します。現在では、コンピュータやサンプラーでトラックを作ってみたいという場合、まずはドスッと重心の低いザラついたドラムスがないと話になりません。既成のレコードやドラムマシン、机や金物でも叩いて鳴らしたものをサンプリングするなどして、簡単な2小節のフレイズを組み立てていくところから始まるこのビートの過剰性。ここではファンクの拡大解釈として、グルーヴの形成に実は大きく貢献する '質感' に特徴のあるものを中心にセレクトしました。アレのどこがファンクなの?コレはさすがに違うだろ、といろいろな意見はあるかもしれませんが、わたしの中ではすべて一本の幹として繋がっております。
1990年代後半にJay-Zの 'Dead Presidents' やCamp Loのアルバム 'Uptown Saturday Night' などを手がけたヒップ・ホップ・プロデューサー、Ski Beatzが Youtube名物の 'Rhythm Roulette' に参加して 'サンプル' から強烈なビーツを生み出します。'打ち込み' で使うのは今やスタンダードな機器といえるNative InstrumentsのMachine Studio。
⚫︎Funky Drummer (edit) / James Brown
まずはやはりお出で頂きましょう、'Master of Funk' ことジェイムズ・ブラウン。1969年の地味なシングル 'Funky Drummer' から1分弱に満たないドラムブレイクの部分を延々ループして、さあヒップ・ホップのガキども、コイツでいかしたトラックを作ってみやがれ!と御大は挑発します。代表的なのはパブリック・エネミーの 'Fight The Power' ですね。
⚫︎The Twang Thang / Billy Butler
⚫︎Blow for The Crossing / Billy Butler
1990年代に盛り上がった '発掘ブーム' ともいうべきレア・グルーヴ/アシッド・ジャズのムーヴメントは、いわゆるB級ジャズ・ファンクやラテン、ブラジリアン・ミュージックに映画のサントラからグルーヴィな 'ブレイク' を抜き出すことに皆、熱中しました。1994年登場のAkai Proffeionalによる卓上サンプラーMPC 3000は、それこそ四畳半の一室がそのまま小さな 'スタジオ' として世界の市場と直結するきっかけを作ります。エキゾティカの大家として名を馳せた作曲家レス・バクスターが手がけた映画 'Hells Bells' のOSTから 'Hot Wind'、グランドマスター・フラッシュも '2枚使い' したジ・インクレディブル・ボンゴ・バンドの 'Apache' などがブレイク好きには有名ですが、個人的に好きだったのは、ジャズの名門レーベルPrestigeに2枚残したB級ジャズ・ギタリストのビリー・バトラー。時代的に8ビートのブーガルーを乱発していた頃だけに、ここでの 'キラーチューン' ともいうべきスモーキーなドラムスは最高ですね。
1990年代後半にJay-Zの 'Dead Presidents' やCamp Loのアルバム 'Uptown Saturday Night' などを手がけたヒップ・ホップ・プロデューサー、Ski Beatzが Youtube名物の 'Rhythm Roulette' に参加して 'サンプル' から強烈なビーツを生み出します。'打ち込み' で使うのは今やスタンダードな機器といえるNative InstrumentsのMachine Studio。
⚫︎Funky Drummer (edit) / James Brown
まずはやはりお出で頂きましょう、'Master of Funk' ことジェイムズ・ブラウン。1969年の地味なシングル 'Funky Drummer' から1分弱に満たないドラムブレイクの部分を延々ループして、さあヒップ・ホップのガキども、コイツでいかしたトラックを作ってみやがれ!と御大は挑発します。代表的なのはパブリック・エネミーの 'Fight The Power' ですね。
⚫︎The Twang Thang / Billy Butler
⚫︎Blow for The Crossing / Billy Butler
1990年代に盛り上がった '発掘ブーム' ともいうべきレア・グルーヴ/アシッド・ジャズのムーヴメントは、いわゆるB級ジャズ・ファンクやラテン、ブラジリアン・ミュージックに映画のサントラからグルーヴィな 'ブレイク' を抜き出すことに皆、熱中しました。1994年登場のAkai Proffeionalによる卓上サンプラーMPC 3000は、それこそ四畳半の一室がそのまま小さな 'スタジオ' として世界の市場と直結するきっかけを作ります。エキゾティカの大家として名を馳せた作曲家レス・バクスターが手がけた映画 'Hells Bells' のOSTから 'Hot Wind'、グランドマスター・フラッシュも '2枚使い' したジ・インクレディブル・ボンゴ・バンドの 'Apache' などがブレイク好きには有名ですが、個人的に好きだったのは、ジャズの名門レーベルPrestigeに2枚残したB級ジャズ・ギタリストのビリー・バトラー。時代的に8ビートのブーガルーを乱発していた頃だけに、ここでの 'キラーチューン' ともいうべきスモーキーなドラムスは最高ですね。
⚫︎Blackboard Jungle Dub / Lee Perry & The Upsetters
ジャマイカで生まれたレゲエとその副産物であるダブ。特に、ここ20年近く音楽の主導権を握ってきたビート・シーンの中でこのダブの提示する '換骨奪胎' したリズム構造の解体プロセスは、あらゆる血脈として流れております。ここでは 'ダブの巨匠' である2人の共同作業として、リー・ペリーとキング・タビーが創造する ‘質感’ を堪能して頂きたいですね。このざらざらしたドラムスとベースのコンビネーションによる ‘ぶっとさ’、いろいろと参考になります。
⚫︎Tomorrow / Akeeb ‘Blackman’ Kareem & his Super Black Borgs
ファンクの影響力は大西洋を渡り、遠くアフリカの地でも広く ‘感染’ することとなります。以前はフェラ・クティのアフロビートくらいしか耳にすることはありませんでしたが、近年の ‘レア・グルーヴ’ 発掘により、相当マニアックなアフロ・バンドの音を耳にすることができます。この ‘ブラックマン’ ことアキーブ・カリームが繰り出す ‘だまし絵’ のようなアフロ・ポリリズムは、単なるファンクを超えたビートの可能性という点でこれからの音楽を予兆させるものと言っていいでしょう。
⚫︎Ashley's Roachclip / The Soul Searchers
⚫︎Ashley's Roachclip / The Soul Searchers
'ワシントン・ゴーゴー' の開祖としてその名が知られるチャック・ブラウンですが、1970年代のファンク全盛期にはこんなアフロ志向なジャズ・ファンクをやっておりました。しかし、1980年代後半に世界へ飛び出したSoul Ⅱ Soulの 'グラウンドビート' の元ネタとして、このB級レア・グルーヴは大きな注目を集めます。イントロのアフロっぽいホーンの導入部から一転、 'ブラックスプロイテーション' 映画風ファンクのスタイルを展開しながら、決して熱くならないベースとドラムスの '体温低い' 感じ、コレが結構今っぽいんですよね。
⚫︎Riot in Lagos / Ryuichi Sakamoto
生身のファンクは1970年代後半のニューウェイヴとデジタル・シーケンサーRoland MC-8の登場により、'マシーン' による新たな身体性を獲得します。1982年のアフリカ・バンバータによるRoland TR-808を用いた 'Planet Rock' と並び、現在の 'ベッドルーム・テクノ' 世代への 'Anthem' として君臨する坂本龍一さんの 'Riot in Lagos'。UKダブの巨匠、デニス・ボーヴェルのダブ・ミックスを中心にXTCのアンディ・パートリッジやグンジョーガクレヨンの組原正さんのギターの 'サンプル' などが、Sequential Prophet 5による緻密なプログラミングとリアルタイム・ミックスの見事な出会いとして 'ベッドルーム・テクノ' 興隆を予兆します。
⚫︎Riot in Lagos / Ryuichi Sakamoto
生身のファンクは1970年代後半のニューウェイヴとデジタル・シーケンサーRoland MC-8の登場により、'マシーン' による新たな身体性を獲得します。1982年のアフリカ・バンバータによるRoland TR-808を用いた 'Planet Rock' と並び、現在の 'ベッドルーム・テクノ' 世代への 'Anthem' として君臨する坂本龍一さんの 'Riot in Lagos'。UKダブの巨匠、デニス・ボーヴェルのダブ・ミックスを中心にXTCのアンディ・パートリッジやグンジョーガクレヨンの組原正さんのギターの 'サンプル' などが、Sequential Prophet 5による緻密なプログラミングとリアルタイム・ミックスの見事な出会いとして 'ベッドルーム・テクノ' 興隆を予兆します。
⚫︎Ni Ten Ichi Ryu / Photek
1990年代後半に盛り上がったドラムンベースは、緻密にバラされたブレイクビーツをBPM170近くまでストレッチしたものと、スロウに地を這う無調のベースラインからなる '二層的' な構造でひとつのグルーヴを生み出したことが新しかった。その中でもストイックにブレイクビーツの緻密な展開にこだわった音作りをしていたのがフォーテックことルパート・パークスです。シングル 'Ni Ten Ichi Ryu' は、宮本武蔵の '二天一流' をテーマに黒澤明の映画などからのインスパイアを通じて、'Protools' 前夜における 'サンプル' とMIDIレコーディングの極北ともいうべきグルーヴの妙を堪能して頂きたい!
⚫︎Beat Bracelet / Riow Arai
⚫︎Device People / Riow Arai
そんな '和の緻密性' を体現した存在として、ここ日本から 'ビート・マエストロ' の異名を持つリョウ・アライさんの音作りはやはり驚異的でしたね。単純なループ・メインでしかなかったトリップ・ホップの時代から比べて、相当に緻密な 'サンプル・チョップ' による編集作業を、コンピュータからSCSI転送された 'サンプル' をAkai Proffesional S3000XL→E-Mu SP-1200→Ensoniq ASR-10Rというハードウェア・サンプラーを経て磨き上げていく職人技は凄いのひと言(各サンプラーのメモリー容量考えたら気が遠くなります・・)。ビートだけでここまで聴かせてしまうのは滅多にないですね。
⚫︎Los Angels / Flying Lotus
そして、ヒップ・ホップの異質ビート・メイカーでありながら夭折したJ.Dillaの衣鉢を受け継ぎ、独自のスタイルとして進化させたフライング・ロータスことスティーヴン・エリソン。このつんのめる感じというか、ダブステップなども通過しながらある種マイルス・デイビスの 'On The Corner' 的でもあり、生身のようで機械でしか表現できないグルーヴの大半を担うのは 'サンプル' とPropellerhead Reasonです。J.Dilla直系ともいうべき不規則な '脱臼感覚' が独特のノリを展開します。
⚫︎Pen Expers / Autechre
⚫︎Hetkonen / Vladislav Delay
エレクトロニカ以降、オウテカなどによりCycling 74 MAX/Mspを用いてコンピュータ上で痙攣したようなビートを作り出す世代が登場した2000年以降のビート・シーン。その中でオウテカ2001年の傑作 'Confield' が牽引するエレクトロニカの流れは押さえておかなければなりません。そして、ベイシック・チャンネルの 'ミニマル・ダブ' に触発されたのがフィンランドの鬼才、ヴラディスラヴ・ディレイ。この 'Hetkonen' のようなグルーヴもわたしにとってはブレイクビーツの変異系と感じ取れるんですよね。
それぞれが個別のスタイルとするこれら一連の '並び' は、しかし、わたしの 'ドラム・ブレイクス好き' な志向をくすぐる共通した '匂い' を感じてしまいます。やっぱりどれもゾクゾクするほど格好いいな。
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