→Korg MS-20 Mini ①
→Korg MS-20 Mini ②
→MASF Pedals Tortam
上の動画は、近年 '復刻' されたKorgのセミ・モジュラーシンセMS-20 Miniの外部入力よりマイクから声を入れて変調させたもの。昔のアナログ・シンセながらピッチの追従もそこそこの精度を誇り、内蔵のオシレータの代わりに外部からの音声をトリガーにしてエフェクターのように用いて面白い音に加工してくれます。ステージ上でラッパを構える横にこのようなシンセを置き、あれこれツマミを操作したりパッチ・ケーブルで結線してみるというのも格好良いですね。さて、ここで述べる 'シンセサイズ' によるフィルター、これは基本的にワウペダルやエンヴェロープ・フィルターと同義語であり、コンパクト・エフェクターのものは 'ローパス・フィルター' としてギターやベースに特化したパラメータを備えています。フィルターとは言葉通りに訳せば、何かを ‘漉す’ ことで余分なものをろ過する、いわゆるコーヒーなどを淹れる場合に使われるものと同義語です。機器においては、その余分なものをろ過する ‘ローパス’ (高域を削り低域を強調する)や ‘ハイパス’ (低域を削り高域を強調する)、’バンドパス’ (中域を強調する)によるVCFを備え、さらにVCAやLFOといった豊富なパラメータで音作りしていきます。しかし、本稿での 'フィルター' は、ただ何らかの機器を通すことで音色が変化するという意に拡大して使っております。ちなみに、このようなCV/Gateに対応した音作りとして、MS-20 Miniやステップ・シーケンサーSQ-1などと結線できるMASF Pedalsの新製品Tortamもモジュラー・シンセとコンパクト・エフェクターを繋ぐフィルターとして面白そうですね。
→Roger Mayer 456 Mono
→Strymon Deco
→JHS Pedals Colour Box
→Z.Vex Effects
→Placid Audio Copperphone
こちらはちょっとユニークなもので上記 'テープ・サチュレーター' に比べ、もう少しエフェクターとしての 'いろ' が強いですね。エフェクター界の鬼才、ザッカリー・ヴェックスの主宰するZ.Vexが送り出すのはアナログ・レコードの '質感' を再現したもので、おお、この何とも言えない郷愁を誘う '質感' (レトロなどという言葉は使いたくない!)。これはアナログ盤の時代を知っている人なら確実に頷いてくれるものだと思いますが、確かにレコードの針音の奥から語りかけてくるような '質感' はありますヨ。Comp〜Lo-Fiのツマミでギュッと音像をまとめながら、Speedのツマミでテープの回転数がヨレて狂ったことによるワウ・フラッターの '質感' を再現する・・間違ってもデジタルの時代には聴かれなくなったものです。そして、もうひとつはコンパクト・エフェクターではなく、これはいわゆる '電話ヴォイス' や 'AMラジオ・トーン' を再現してくれるダイナミック・マイク。リンク先にはトランペットの音で用いた音源もありますが、まるで古いラジオから流れてくるビ・バップを聴いているような '質感' に変えてしまいます。
このような、エフェクターというよりかはあくまで '質感' のみを操作するシグナル・プロセッサーの類いは、一聴地味なものにしか感じられないと思います。わざわざPAを通してまで用いる必要があるのか、と思う向きもあるでしょう。しかし、特別 '生音' の再生に強いこだわりを持ち、エフェクターを管楽器で使うなど邪道だと思う方、もしくは、一通りエフェクターを使ってはみたけど何か飽きてしまった、という方にこそ、この倍音を操作し '質感' を生成する機器の面白さは訴えるのではないでしょうか。これらはむしろ、最終的な出音がPAに握られている現状において、マイクやプリアンプと共に用いることで自分好みの '音色' に深く関わっていける '縁の下の力持ち' 的存在。EQのような補正的機器による調整ではなく、積極的に自分の欲しい '生音を作っていける' アイテムとして、Audio-Technica VP-01 Slick FlyやRadial Engineering Voco Locoと共にぜひ足元へ置いて体感してみて下さい。
→Brownman Electryc Trio
確か、ロイ・ハーグローヴなどもこんなアプローチでやっていたような気がしましたが、ウィントン・マルサリスがどんなに口を酸っぱくして '啓蒙' しようとも、今の若者たちにとってバップとヒップ・ホップは同時に聴く音楽のようです。以前にもご紹介したこのBrownmanは、かなりエフェクターの '質感' にこだわって吹いているラッパ吹きのひとりではないでしょうか。ここでもフィルター的変調を '電話ヴォイス' からワウや '歪み' に至るまで、実に多彩に操作しながらフレイズのメリハリを付けています。巧みな音色の切り替えなどを見るとコレ、マルチ・エフェクターでやってるのかなあ?
→Brownman Electryc Trio
確か、ロイ・ハーグローヴなどもこんなアプローチでやっていたような気がしましたが、ウィントン・マルサリスがどんなに口を酸っぱくして '啓蒙' しようとも、今の若者たちにとってバップとヒップ・ホップは同時に聴く音楽のようです。以前にもご紹介したこのBrownmanは、かなりエフェクターの '質感' にこだわって吹いているラッパ吹きのひとりではないでしょうか。ここでもフィルター的変調を '電話ヴォイス' からワウや '歪み' に至るまで、実に多彩に操作しながらフレイズのメリハリを付けています。巧みな音色の切り替えなどを見るとコレ、マルチ・エフェクターでやってるのかなあ?
→Guillaume Perret
→Molten Voltage Molten MIDI
こちらはフランスで活動しているGuillaume Perret & Electric Epic。おお、なんだか 'サックス界のコンドーさん' というか、マウスピース・ピックアップにAmpegのスタック・アンプを野外に持ち込み、大量のエフェクターを駆使してかなりマッチョなスタイルを披露しております。強烈な歪みはProco Ratで作っているようで、またDigitech WhammyのMIDI機能を利用したMIDIコントローラーのMoltenによるアルペジエイターが面白いですね。時にアラビックな中近東風メロディのセンスも織り込むところなどは、米英とは違うフランスという場所ならではでしょうか。
そして、アナログ的 '質感' としてはまさに超アナログとも言うべきく鍵盤楽器、ザ・ビートルズの名曲である 'Strawberry Fields Forever' の印象的なイントロや、プログレッシヴ・ロックの分野で大活躍したメロトロン。これはサンプラーのルーツ的楽器であり、35鍵に合わせて35台分のテープ・レコーダーを駆動させフルートやストリングス、ブラスなどの音色を鳴らします。1鍵あたり7秒の持続音を持ち、0.5秒の速さで巻き戻すという超絶アナログ機構・・しかも、テープなだけにゆらゆらとしたワウ・フラッターの揺れ具合が独特の侘しい空気感を醸し出すのが特徴です。その後デジタルの時代になりDigital Melotronというサンプラーで復活しましたが、わたしもサンプリングCDを買って1鍵あたり7秒づつサンプリングしてマルチで鳴らしていましたね(お金がないのでCD-ROM版が買えなかった・・)。そんなメロトロンがついにエレハモから登場!音色はかなりの再現度で、エフェクトするというよりほぼトリガーして鳴らすいった感じ。しかしエレハモは面白いものを出すなあ。
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