2015年9月26日土曜日

インテリジェンスな人々

トランペットとエレクトロニクスの関係において、Youtubeの動画を漁ってみると奇妙で面白いものが見つかります。いわゆる現代音楽の分野で行われている実験的なもので、厳密なスコアの指定に従ってエレクトロニクスと対峙する人たちです。その多くは、プログラミング・ソフトのCycling 74 MAX/MspでプロセッシングしたサンプルをMIDIでトリガーして動かす手法が一般的ですね。



Sam Wellsなる人が自ら演奏し作曲したと思われる曲、なんでしょうね。

もう少し '噛み砕いた' ものとしては、元々こちらの分野から現れながら、その後はクラブ・ミュージックなどとリンクしながら 'ミュータントランペット' なる独自に開発した創作楽器で活動するベン・ニールがいます。





本人自らテレビ出演して、この独自のシステムを解説しているのですが、なるほどBarcus-berryのピエゾ・ピックアップ1374をトリガー元にして、MIDIでピッチからシーケンス、映像のトリガーに至るまでコントロールする大掛かりなもののようですね。

この辺りの元祖として、1970年代から独自の活動をしているジョン・ハッセルに触れないわけにはいかないでしょう。カールハインツ・シュトゥックハウゼンに師事し、ラ・モンテ・ヤングの元でドローン・ミュージックの魅力に触れ、その後はブライアン・イーノとアンビエントの世界で自らの個性を確立しました。





この2015年の動画でもまだまだ健在で、あの独特なラッパの持ち方がトレードマークではありますが、彼のおおよそトランペットとは思えない尺八のような幽玄な響きは、1990年代後半にノルウェーから現れたクラブ・ジャズの代表格、ニルス・ペッター・モルヴェルやアルヴェ・ヘンリクセンら '弱音系' ラッパ吹きに多大な影響を及ぼしています。



やっぱりラッパ吹きって・・シリアスでマジメなのかな?

2015年9月25日金曜日

コンドーさんという '媒体' (メディア)

さてさて、今日で10回目を数えるわけですが、今まできちんと触れられなかったあの人、近藤等則さんのことを取り上げましょう。とにかくコンドーさんの話は面白い。ジャズを舶来製の異人さんに例えて、エリート・コースの京都大学から一転、赤い靴履いてフリー・ジャズの世界へ連れられてしまったコンドーさんはしかし、世界の猛者たちと一戦やりあうべく日本人としてのメンタリティを鍛えることで、まさにオリジナルのスタイルを持つ孤高のラッパ吹きへ邁進します。だいたい、そのメンタリティな哲学の根底として、空海、最澄、法然、親鸞、一遍、一休といったお坊さん、雪舟や北斎といった画家たちをアナーキーに生きたジャズの巨人たちへぶつけているのだから只者ではありません。つまり、日本にもこんなムチャな生き方をした凄い連中がいたことで、決して舶来文化にひれ伏す必要なんかないよ、ということを教えてくれます。そしてコンドーさんは、いわゆるアンプリファイしたトランペットの探求者であり、たぶん世界でもここまでこだわって表現をしているひとはいないくらい、時間と労力をつぎ込んでいます。1990年代初めに都市からNature(自然)へというスローガンのもと、それまで活動していたバンドIMAを解散し、ひとり東京からアムステルダムへと移住して ‘自家発電の日々だったというコンドーさん。それは、自らのエレクトリック・トランペット探求の傍ら、人前でのコンサート活動からひとり自然の中に分け入って対峙し、耳を澄ますという ‘Blow The Earth’ への転身をもって、その後のフリー・インプロヴァイザーとしての生き方に大きな変化をもたらしたそうです。もちろん、完全に世捨て人となったワケではなく、当時、コンシューマ・レベルで普及したコンピュータを用いて音楽制作するベッドルーム・テクノの世代と共闘することで、1996年にDJ Krush ‘Ki-Oku’1999年にビル・ラズウェル、エラルド・ベルノッチと ‘Charged’ を発表し、新しい音楽表現と自らのトランペットにおいてひとつのスタイルを提示しました。





2000年を境に音楽を巡る環境は大きく変化し、CDにとって代わるようにAppleのデジタル音楽配信 ‘iTunes Music Store’ が登場して、事実上の音楽流通における市場は ‘終焉’。コンドーさんも、ビル・ラズウェルを中心としたユニットの ‘Method of Defiance’ や、フリー・ジャズの重鎮ペーター・ブロッツマンとの ‘Die Like A Dog Quartet’ との活動を自家発電の合間に行いながら、そのような音楽シーンの変化を虎視眈々と睨んでいた節があります。それは、ベッドルーム・テクノの勢いが2000年以降、特別新たなシーンなりムーヴメントを起こしてはいないこととも関係し、世界的な ‘音楽不況と言われる2000年以降に制作した音源がかなりの量を貯めていたことからも伺えます。つまりそれは、今までにあったシーンという現場と呼応する市場原理が成り立たなくなった2000年代の10年間を象徴しており、インターネットを中心に価値観が分散化した集落のように個別の共有圏だけを囲い込み、共通体験’ として得る知識に対しては閉ざす方向へ向かっている現在の状況を的確に示しています。コンドーさんは、音楽業界がジリ貧になっている今だからこそ、今後はひとりひとりの自営業化が進むことで、どのように自分の音楽をプレゼンテーションするかが重要だと力説しています。2015年に久しぶりの新作 ‘You Don’t Know What Love Is’ で、それまでのコンドーさんのイメージから180度転向したようなジャズ・スタンダード集という体裁を取りながら、しかし、本質としては20世紀の古典ともいうべきメロディの髄をいかにテクノロジーで乗り越えていくかをテーマとしています。コンドーさん曰く "今回のアルバムでも俺は闘っているよ" とのことで、決して聴きやすいイージー・リスニング的アプローチにはなっていません。’Charged’ に続いてコラボレーションをするエラルド・ベルノッチも、バラッドというロマンティックな色気に対するイタリア人の感性を期待して招集したそうです。さらに、過去15年ほどの間に溜まっていた音源の数々は ‘Toshinori Kondo Recordings’ という会員制のデジタル配信で随時Upしています。そして、長らく活動の拠点であったアムステルダムのスタジオを引き払い、川崎市登戸で近藤音体研究所なるプライベート・スタジオを開いて自家発電に勤しむコンドーさん。すでに還暦を過ぎながらも、そこから発信する情報はまだまだアグレッシヴで尖っています。

コンドーさんといえば、やはりアンプリファイしたトランペットのサウンド・システムですね。"家一軒立つほどの投資をした" という言葉もあながちウソではなく、とにかく頻繁に機材を入れ替えては組み合わせを研究しているようです。最近の足元としては、Digitech Whammy WH-1Fulltone OCDMaxon AF-9 Auto FilterLehle Julian Parametric BoostRMC 4 Picture Wahが飾っていますWhammyはコンドーさんのトレードマークともいうべきサウンドで、歴代のシリーズをヴァージョンアップごとに使い続けながら、最近は初代のWH-1に戻ったりしています。OCDはディストーションですが面白いチョイスですね。昔からコンドーさんはクランチなトーンをトランペットで試みており、1990年代初めにはCustom Audio Amplifiers 3+SE Tube Preampというノーマルとクランチとディストーションの3チャンネル真空管プリアンプをラックに入れていました。このOCDのツマミをみると、やはり歪み量は少ないクランチな設定にしてあるのが分かります。そしてエンヴェロープ・フィルターもこだわっており、このAF-9のほかに、Emma DiscumBOBlatorMenatone The Mail Bombなどのハンドメイド系も試していた時期があります。また新たなデバイスとして、3バンドのパラメトリックEQを備えたLehleのブースターを置いているのは興味深いです。ワウペダルはRMCのPicture Wahで、ネーミングからも分かる通りあのVox The Clyde McCoyを現代的に再現したもの。以前はFulltone Clyde Wahという同種のものを試していましたが、一方でスイッチレスの光学式や紐でペダルを動かすワウを使っていた時期もあり、Morley Bad Horsie 2Musician Sound Design Silver Machineなども使用。モジュレーション系は珍しく手を出さないのかと思いきや、一時Fulltone Chorulflangeが置いてありましたね。

さて、空間系の方は一貫して高品位なラック・タイプを使うのがコンドーさんの好みのようです。すべてがCustom Audio Japan Custom Mixerにパラレルで接続され、ステレオで出力できるようになっています。以前は1UサイズのCustom Audio Electronics Dual / Stereo Line Mixerを、Lexicon PCM42TC Electronic G Forceなどのディレイやリヴァーブで用いていましたが、最近は3Uのラックで持ち運びしやすくなっています。他に、コンパクト・タイプのLine 6 DL4 Delay ModelerEventide TimefactorHardwire RV-7 Reverbなどの空間系、そしてハーモニー系のマルチであるEventide Pitchfactorをミキサーに繋いで試していた時期もありましたが、現在ではLine 6 Echo ProEventide Spaceでほぼ固まっています。と思ったら、最近の近況を写した画像や動画を見ると、Boss SY-300やKorg Delay Labなど頻繁に入れ替えて試しているようです。この他、ピックアップ・マイク用のプリアンプとカラオケ再生用のDSDレコーダーKorg MR-2000Sがラックに入っています。マイク・プリアンプもコンドーさんにとってこだわりのデバイスであり、長いこと2チャンネルの真空管プリアンプAlembic F-2Bを、マウスピース・ピックアップとベル側のコンデンサー・マイクでミックスする使い方をしていました。その後、マウスピース・ピックアップを変更すると同時にルパート・ニーヴがデザインしたPortico 5032API のChannel Stripなどを経て、現在はPhoenix Audio DRS Q4M Mk.Ⅱに落ち着いています。どうやらコンドーさんはNeveの持つプリアンプの質感が好みのようですね



DPA SC4060、SC4061、SC4062、SC4063


そして、近藤さんこだわりのマウスピース・ピックアップ。1979年のニューヨークで必要に迫られてマウスピースに穴を開けたようですが、1990年代後半まではBarcus-berry 1374を用いて、その後から2007年頃まで同社のエレクトレット・コンデンサー・ピックアップ6001に変更、そして、DPAの無指向性ミニチュア・マイクロフォンSC4060が現在のマウスピースに収まっています。代理店の説明では4種類の感度を持つマイクが揃えられており、コンドーさんが採用しているのはこちら 'SC4062(超低感度 : 154dB SPL ドラムやトランペットなど音量・音圧の大きい楽器などに最適)' ではないかと思われます。製作にあたっての 'レシピ' として、この2007年のインタビュー記事を抜粋してみましょう。

"今年を振り返ってみると、いくつかよかったことの一つが、トランペットのマウスピースの中に埋めるマイクをオリジナルに作ったんだ。それが良かったな。ずっとバーカスベリーってメーカーのヤツを使ってたんだけど、それはもう何年も前から製造中止になってて、二つ持ってるからまだまだ大丈夫だと思ってたんだけど、今年の4月頃だったかな、ふと「ヤベえな」と、この二つとも壊れたらどうするんだ、と思って。なおかつ、バーカスのをずっと使ってても、なんか気に入らないんだよ。自分で多少の改良は加えてたんだけど、それでも、これ以上いくらオレががんばっても電気トランペットの音質は変えられないな、と。ピックアップのマイクを変えるしかない、と。それで、まずエンジニアのエンドウ君に電話して、「エンちゃん、最近、コンデンサーマイクで、小さくて高性能なヤツ出てない?」って訊いたら、「コンドーさん、最近いいの出てますよ。デンマークのDPAってメーカーが、直径5.5ミリのコンデンサーマイクを作ってて、すごくいいですよ」って言うんで、すぐそれをゲットして。

それをマウスピースに埋めるにしても、水を防ぐことと、息の風を防ぐ仕掛けが要るわけだ。今度は、新大久保にあるグローバルって楽器屋の金管楽器の技術者のウエダ君に連絡して、「このソケットを旋盤で作ってくれないかな」ってお願いして、旋盤で何種類も削らして。4ヶ月ぐらいかけてね。で、ソケットができても、今言ったように防水と風防として、何か幕を張ってシールドしないといけないわけだ。それをプラスチックでやるのか、セロファンでやるのか、ポリプロピレンでやるのか。自分で接着剤と6ミリのポンチ買ってきて、ここ(スタジオ)で切って、接着剤で貼り付けて、プーッと吹いてみて、「ダメだ」また貼り付けて、また「良くねーなぁ」って延々やってね(笑)。で、ポリプロピレンのあるヤツが一番良かったんだ。そうすると今度は、ポリプロピレンを接着できる接着剤って少ないんだよ。だから東急ハンズに行って、2種類買ってきたら一つは役に立たなくて、もう一つの方がなんとかくっつきが良くてね。その新しいピックアップのチューニングが良くなってきたのは、ごく最近なんだけどね。音質もだいぶ変わってきた。音質が変わると、自分も吹きやすくなるからね。"

ポリプロピレンのスクリーンに着脱式のマイクなど、Barcus-berry 6001の構造をそのまま踏襲しているようですね。コンドー・プロデュースでコレ、発売しませんか?


↑22:50から動画が始まります。

ふぅ〜、その存在も物量にかける情熱ももの凄い人だ。

2015年9月24日木曜日

ジャズ・ロックの季節

ある意味、何でもありな時代であった1960年代後半から70年代初め。未だ未分化な状態で初期衝動を叩きつけていたロックの、最もロックらしい時代だったのでは、と思います。そう、ギターやベース、キーボードだけではなく、管楽器や弦楽器も入り、ジャズや現代音楽に民族音楽、R&Bのようなものがごちゃまぜになったってイイじゃないか、と頭角を現してきた 'ジャズ・ロック' の人たち、後に 'プログレッシヴ・ロック' の範疇に入れられる一群です。それは、まるでこの時代の熱気に突き動かされて '燃焼' した季節の風景と言えます。こういうのを今の若い人たちから見たら、決まり切ったフォーマットに則って歌うロック・バンドばかりな今の世の中で、かえって面白く新鮮に感じるのではないでしょうか。そう、今ならアニメ 'けいおん !' を見ている層と映画 'スイング・ガールズ' を見ている層が一緒にバンドやっちゃう感じでしょうか。



いわゆる 'カンタベリー・ジャズ・ロック' の総本山であるソフト・マシーン1970年のライヴですが、この緊密でモーダルなインタープレイにより、ジャズともロックとも一味違うクールなスタイルで突っ走る疾走感はたまりませんね。サックスのエルトン・ディーン、リン・ドブソンのふたりは 'アンプリファイ' にし、唸るファズの効いたベースやオルガンと拮抗したアンサンブルを披露しています。



ソフト・マシーンと同じくイギリスのバンドながら、こちらは少々毛並みの異なるイースト・オブ・エデン。ブルーズ・ロックにアイリッシュ・フォークと民族音楽のエキゾチシズムな世界観を、実験的なジャズ・ロックでマリアージュしたような 'ゴッタ煮' スタイルが彼らの持ち味です。動画後半ではソニー・ロリンズの 'St. Thomas' のフレイズも飛び出しビックリしますが、彼らのアルバムでは電子音響的な編集含め、さらにカオスな世界が堪能できます。'アンプリファイ' なヴァイオリンを担当するデイヴ・アーバスを中心にしながらその後、ソフト・マシーンと同様に活動末期に至っては、メンバーがすっかり変わってしまうほど出入りの激しいバンドでもありました。



こちらは一転、ドイツのジャズ・ロック・バンドKraanの活動初期のもの。英国のカンタベリー・ジャズ・ロックやキング・クリムゾン、フランスのゴングやマグマといった後に 'プログレッシヴ・ロック' と括られる連中が現れ始めた1970年代初め、ドイツもまた 'クラウト・ロック' (これはあの有名なドイツの酢漬けサワークラウトから来た言葉)という呼称で、多くの 'プログレ' を排出した地として名高いです。カンやファウスト、グルグル、アモン・デュールにアシュラ・テンペル、クラフトワークなどに比べればかな〜り地味なKraanですが、このグループも1970年代後半にはフュージョン的ノリに収束されていきます。





ある意味 'プログレ' の始祖的存在と言ってもいいフランク・ザッパも、まだまだ諧謔性の強かった1968年から、1973年にはジョージ・デューク、ジャン・リュック・ポンティらジャズの精鋭をグループに擁して、ジャズ・ロック・バンドとして最も完成度の高い演奏を聴かせてくれます。ザッパの右腕的存在のイアン・アンダーウッドが、Barcus-berryの貼り付け型ピエゾ・ピックアップ1375を取り付けたバス・クラリネットにギター・シンセサイザーのようなエフェクトをかましているのがイイですね。また、トロンボーンにもBarcus-berryの1374が接合されて・・この頃からこの市場でのBarcus-berryの需要が高まったのかもしれませんね。



しかし、ここでもBrassよりWoodwindsの需要が高いなあ・・。


2015年9月23日水曜日

オクターバーで '温故知新'

管楽器をアンプリファイする上で、エレクトリック・ギター用のエフェクターを流用するのは必須ですが、その中でもオクターバーほど管楽器と縁の深いエフェクターはないと思います。そもそも管楽器がアンプリファイされた1960年代後半、メーカーから最初に管楽器用エフェクターとして発売されたのがオクターバーなのです。基本、単音楽器である管楽器にとって、ひとりで二重奏のできる効果はとても便利なものでした。

Selmer (Electro Voice) Varitone
Conn (Jordan Electronics) Multivider
King (Vox) Ampliphonic
Gibson / Maestro Sound System for Woodwinds
Hammond / Innovex Condor RSM

このような 'アンプリファイ' 化とエフェクターの多用は大体、1970年代初めにはひとつの市場を形成し、それはフュージョンやR&B、プログレッシヴ・ロックの分野でアンプを用いる管楽器奏者に重宝されるところからも明らかです。どれも、現在の基準から見ると装置と呼ぶに相応しい大柄なものながら、そのサイズに比して機能は単調なものでした。そういえば、日本のAce ToneからもVaritoneをまんまパクったようなMultivoxという管楽器用エフェクターが発売され、日野皓正さんも1969年3月の東京サンケイ・ホールでのワンマン・コンサート、同年6月の内藤忠行プロデュースによる "日野皓正のジャズとエレクトロ・ヴィジョン Hi-Nolosy" というイベントによる映像とのコラボレーションや70年万博のステージで用いていましたね。それからはや40年以上経った現在、手のひらに乗るサイズの機器から、単音のみならず和音で、下はもちろん上の音域を3オクターヴ近くまで、または指定したコードに合わせてハモってくれるピッチ・シフターが当たり前の時代となりました。それでもアナログ回路によるオクターバーの、どこか不器用で肉食的なブワッとしたかかり方は唯一無二で恋しくなります。それでは以下、特別参考にはなりませんが、これまで試してきた 'アナログ' オクターバーについて記憶を辿りながらレビューしてみたいと思います。

Boss OC-2 Octave
オクターバーといえば、必ずといっていいほど挙がる定番機。ソツなく、ちゃんとオクターバーとしての仕事を果たしてくれる安心の一台。だたし、2オクターヴ下は使う用途・・ほとんどないな。ちなみに、基本はDC9VによるPSA電源ですが、初期のものにACA電源の仕様があるので注意されたし。イケベ楽器や石橋楽器、デジマート、ハードオフなどの中古で探してみれば安価で程度の良いものが見つかると思います。

Pearl Octave OC-07
Boss定番に満足できなくなり、へそ曲がり的にマニアックなヤツを探すと出てくるのがこのPearl。某有名ギタリストが使っていたことで一時高騰したこともありましたが、何よりユニークなのは、アッパー・オクターヴも出せることです。実際、何となくかすかに出ているかな〜?くらいの感じですが、コレはコレとしての個性があります。音色としては、個人的にちょっとコンプっぽい詰まった感じが気になりました。

Musitronics Mu-tron Octave Divider
ヴィンテージ・エフェクターです。実用的ながら、そもそもコレクターズ・アイテム色の強いMu-tronですが、コイツは機能的にもとても優秀なオクターバーなのだ。まず、何と言っても下品にならず、どこまでも音楽的にちょうどいい具合でかかってくれます。実は、わたしが現在使用しているKorgOctaver OCT-1は、ちょっとコイツと似たかかり具合だな、と感じましたね。また、コイツには謎のスイッチ ‘Stabilize’ というのがありますが、オンにしたからといって特別何かが起きるワケではありません。たぶん、オクターバーのかかりを安定させるコンプ的機能ではないでしょうか。そして ‘Ringer’ スイッチは、ちょっとアッパー・オクターヴっぽい感じ?ともかく今なら6万超え確実のレアな逸品です。ちなみに、オリジナル設計者のマイク・ビーゲル氏が若干の現代風リメイクによる '復刻版'を自らの会社Mu-FXから発売しました。

Korg Octaver OCT-1
現在わたしの足元で使用中。そもそもはYamaha1980年代初めに発売したエフェクターボード・システムのモジュールOctaver OC-01というヤツを、KorgOEMで製造していたことが出発点になります。自動追従コンパレータという機能を有し、当時のオクターバーとしてはBossと並び高性能で、このOCT-1は後にKorgから発売されたもの。OC-01が専用のモジュールに組み込んで電源を供給する仕様だったのに対し、このOCT-1は通常のDC9Vアダプターで供給できるのが便利です。ピックアップとの極性を合わせてオクターヴのかかり方を調整するPolarityスイッチもありますが、イマイチその効果のほどは分かりません。

Shin-ei Octave Box OB-28
幻の国産メーカー、新映電気のオクターバーです。一時期、どういうルートなのかは不明でしたが、市場にコイツのデッドストック品がかなりの数出回ったことがありました。わたしもその流れで2回ほど買い直しましたが、まあ、基本的には下品なかかりのオクターバーですね。Maestro辺りの製品をコピーしたのかと思いきや、当時の国産品に共通するエグい個性があります。この時代の製品にしては珍しく、原音+エフェクト音、エフェクト音のみをスイッチで切り替えることができ、またノイズもほとんど気にならないレベルでした。しかし、2オクターヴ上くらいの音域になると追従性がかなり落ちてくるのが悲しい(まあ、コレはアナログ・オクターバー全般に言えるんですが)。

Gibson / Maestro Sound System for Woodwinds W-2
1960年代後半、GibsonMaestroのブランドで発売した管楽器用のオクターバーです。とにかくこの重量級のカラフルなデザイン、バツッと手で操作する整然と並んだ大きいスイッチとレトロ・フューチャーな気分が味わえるだけで満足。機能的にはプリアンプとトレブル・トーン、そして各種管楽器の音色を模倣できるオクターヴ・トーンにファズ、トレモロを装備しています。ちなみにW-3になると専用のフット・スイッチで切り替える仕様が付加します。わたしは一時2台所有していましたが、コイツの素晴らしいところにプリアンプの音質があり、一時は管楽器だけでなくサンプラーやシンセなど、ステレオで何にでもコイツに通していたほど極上のトーンを備えていました。たぶん、ヴィンテージ故の内蔵されているトランスの設計が良いのでしょう。

Guyatone MOm5 Micro Octaver
今は無きグヤトーンが最後に頑張ってみた’ Mighty Microシリーズのオクターバー。独自設計のスイッチ含め、それまでの安価なイメージから脱しようと本格的にラインナップしたエフェクターでしたが、残念ながらコイツは全然ダメでした。入力の感度調整を個別にいじれるツマミがあるのにもかかわらず、まったくオクターバーとしてコントロール不能!壊れていたのかな?それともラッパでは不向きなヤツだったのかな?

MXR M103 Blue Box
正確にはオクターヴ・ファズです。そのためクリーンなオクターヴ音ではなく、ファミコンっぽいブチブチする安っぽいオクターヴ・ファズで、完全に飛び道具としての用途専用機ですね。アウトプットのレベルが低いので、わたしはガレージ・メーカーのRoot 20に依頼して、ブースターの機能とトゥルーバイパス、青色LEDのモディファイをして頂きました。

現在、市場でオクターバーと呼ばれている製品はBoss OC-3 Super Octaveを始めとして、いわゆるデジタル回路によりアナログ・モデリングしているものが主流です。アナログでの現行品はElectro-Harmonix Octave Multiplexerや、復刻したMu-FX Octave Dividerくらいだと思います。また、オクターバーとピッチ・シフターの '美味しい' ところを狙ってヒットしたElectro-Harmonix Micro POGPOG 2などは、結構足下に置いているユーザーも多いのではないでしょうか。'アナログ・モデリング' のオクターバーは和音にも対応し、上下のオクターヴも問題なく出力することができる賢いヤツです。また、ヴォーカル用のマルチ・エフェクターながら管楽器奏者にもウケたBoss VE-20などは、手軽にマイクを繋いでハモら せることを可能としました。一方、ピッチ・シフターでやるオクターバーはどこか味気のない音色で、微妙にレイテンシーのある発音の遅れからストレスも大きかったりします。このオクターバーを管楽器で鳴らした場合に共通するのは、ピッチの 'ツボ' が広いことからくる追従性のエラーによる不安定さ、音域によりまったくオクターヴ音が鳴ってくれなかったりという演奏上の難しさがありますね。



Electro-Harmonix Pitch Fork

それでも最近のピッチ・シフターは性能も良いようで、こういう動画を見せられてしまうと簡単に揺らいでしまうのも新しもの好きなラッパ吹きの性です。これはElectro-HarmonixのPitch Forkなんですが、面白いくらいに追従してくれますねえ。この方、なんとSelmer Varitoneのマウスピース・ピックアップを所有されているようで、さらにエフェクトのかかりが良いです。ちなみにエクスプレッション・ペダルを接続できるので、"Whammyがデカ過ぎて邪魔なんだけど・・" っていう人は十分乗り換え可能な優れものですヨ。そんなDigitech Whammyも今や管楽器奏者に定番な
飛び道具的ピッチ・シフターであり、単純にアナログVSデジタルと分けて優劣をつけることはできません。そして、この辺の派生型としていわゆるギター・シンセサイザー’ と呼ばれるものもあり、古くはKorg X-911やElectro-Harmonix Micro Synthsizer、最近ではBoss SY-300Electro-Harmonix HOG 2Pigtronix Mothershipなど、より多彩なオクターバーとして試してみるのもアリでしょう。もちろん、基本はマイクの入力感度に対してシビアに反応するエフェクターなので、例えば以前ご紹介したRadial Engineering Voco Locoを用いてキチンとインピーダンスを取る、マイク入力に適したオクターヴ機能の持つヴォーカル用エフェクターを使ってみる、マイクの周波数帯域のどのあたりで '美味しく' 拾ってくれるかなど、いろいろ楽器との相性をチェックして初めて使えるものだと思います。

Conn Multivider 1
Conn Multivider 2

King Ampliphonic
King Ampliphonic Octa-Voice
King Ampliphonic Stereo Multi-Voice

ConnがJordan Electronicsと共同開発したMultividerは、リー・コニッツやトム・スコット、ラスティ・ブライアント、ドン・エリスらが使用しました。そしてKing / VoxによるAmpliphonicのOcta-Voiceとその最高級機Stereo Multi-Voice。なんだか一気にレトロな気分になってきたので '温故知新' ついでに、古の 'オクターヴ発生器' である 'アンプリファイ' 黎明期のエフェクター・システムによるデモ動画をどうぞ。





Maestro Sound System for Woodwinds

当時、このようなアイテムに飛び付いたのはR&B志向のサックス奏者が多かったのですが、最も意外だったのは、クール・ジャズにしてトリスターノ派の高弟、リー・コニッツが時代の熱気に押されてアプローチしたことでした。この人のMultividerの使い方はわたしのオクターバーに対するひとつの '理想' であり、1969年のアルバム 'Peacemeal' は是非皆さんにも聴いて頂きたいですね。そして、Gibson / Maestro Sound System for Woodwindsはこの手の製品としては豊富な音色と可搬性の良さで(専用のアタッシュケースが付きます)、当時かなりヒットしたエフェクターのひとつでもあります。1967年のW1からバリトンのファズが付加したW2、そして、専用フットスイッチの付いたW3に至るまで仕様変更されながら長く市場を席巻しました。'Woodwinds' とある通り、基本はサックスとクラリネットで使うことをメーカーは推奨していました。





これぞ 'アンプリファイ' の元祖Selmer Varitoneの完動品です。動画のものは新大久保にある大久保管楽器店さん所有の 'Not for Sale' 品で、試奏は無理でしょうが現物が店頭に飾ってあるので拝みたい方は是非足を運んでみて下さい。そして、1969年にギター奏者ビリー・バトラーのアルバム 'Guitar Soul !' へ参加したサックス奏者、セルダン・パウエルによるSelmer Varitoneにおけるヒプノティックなソロは特筆したいです。まさに 'サイケデリック・トレイン' の如く汽笛のSEと呼応するように暑苦しくネロ〜ンとした音色こそ、このエフェクターの本領発揮と言っていいでしょう。 ちなみに、'アンプリファイ' によるトランペットで最初にアプローチしたのは、全編このVaritoneによるアルバム 'It's What's Happnin'' を1967年に吹き込んだクラーク・テリーなのです。



これは1970年代後半に登場したその名もギター・シンセサイザーKorg X-911。Rolandの同種の製品が専用のピックアップでCV(Control Voltage)/Gateによるトリガーで鳴らすのに対し、こちらは普通のエフェクター感覚で使える便利なものでした。ウニョ〜ンとフィルターがスウィープする感じがシンセっぽく、また、取説には管楽器での使用も推奨してありましたね。


う〜ん、なんだかこの手のデバイスに昔から関心を持っていたのはWoodwindsの人たちばかりですね・・Brassの人たちはやっぱり保守的!?

2015年9月22日火曜日

'ドン・エリス' という名の実験室

モダン・ジャズという '大きな海' の中で、どこか辺境の海域を彷徨う知られざる '才能' の持ち主がいることが多々あります。このドン・エリスという白人のラッパ吹きもそのひとりでして一部、ビッグバンドのスコアや編曲などに興味を持っている人たちの熱狂的な支持を得ているものの、一般的にはマイルス・デイビスやジョン・コルトレーンのように広く聴かれることはありません。超絶なテクニックを持つハイノート・ヒッターにして、現代音楽にも造詣が深く、エリック・ドルフィーと共に 'リディアン・クロマティック・コンセプト' を掲げるジャズ界のダークホース、ジョージ・ラッセルの名盤 'Ezz-thetics' やその続編の 'The Outer View' に参加するなど、未だジャズ未踏の地に大きく君臨し続けています。エリスはその後、インドの古典音楽が持つ構造に関心を移し、ロックの登場で現れた 'アンプリファイ' の響きをいち早く自らの変拍子ビッグバンドに取り入れて始動させます。





このように書くともの凄い難解な音楽をやっていると誤解されそうですが、どうですか?極めて真っ当なビッグバンド・サウンドで会場全体が盛り上がっている様子が手に取るように分かると思います。しかし、その音楽的構造を聴き取ろうとするとかなり複雑な変拍子で展開しているという・・。エリスが吹いているのはHoltonにオーダーしたクォータートーン・トランペット。3つのピストンに加えて、半音以下の1/4音を出すピストンがもう1つ付いています。ベルの横に穴を開けてピエゾ・ピックアップを接合し、当時の新製品であるGibson / MaestroのSound System for Woodwindsとテープ・エコーEchoplex、Fenderのスプリング・リヴァーブFR-1000を、FenderのギターアンプTwin Reverb(シルヴァーフェイス)3台とDeluxe Reverb(シルヴァーフェイス)2台の計5台にリンクして繋ぎ鳴らしています。ここまでの電気楽器を管楽器でステージに上げたのは、たぶんエリスが初めてではないかと思います。



そしてどうでしょう?こんなザ・ビートルズ 'Hey Jude' のカバーを聴いたことありますか?MaestroのRing Modulator RM-1Aを繋ぎ、完全に原曲を '換骨奪胎' して宇宙の果てまでぶっ飛んでいくようです。ちなみにエリスは、このエフェクターを設計したトム・オーバーハイムとUCLAの音楽大学で学んだ同窓生で、エリス自身の 'アンプリファイ' 化による機材のオーダーがその発端となっています。このRing Modulatorは当時ハリウッドの音響効果スタッフの目に止まり、映画「猿の惑星」のスペシャル・エフェクトとして用いられて評判を呼びました。その後、Gibsonが展開するエフェクター・ブランドMaestroで製品化されヒット、続けて製作した世界最初のフェイザーPhase Shifter PS-1Aがそれを上回るほどの大ヒットを記録し、その元手から自らの会社Oberheim Electronicsを立ち上げます。Oberheimは1970年代を代表するシンセサイザー・メーカーとして、MoogやArpと並び大きくその名を馳せました。





ブルガリアの鬼才、ミルチョ・レヴィエフのクレズマー的なアレンジが冴える本アルバム、ドラムスのラルフ・ハンフリーはその後フランク・ザッパのバンドに参加するなど、この人の評価はジャズという狭い枠の中に収まるものではありません。

ある意味、これからジャズでも聴いてみようかと思っている人たちにこそ 'ジャズの教科書' 的存在なデイビスでもコルトレーンでもないこのドン・エリス、お薦めいたします。

2015年9月21日月曜日

プリアンプのお仕事

本来は別のことを書くつもりだったのですが、ついつい嬉しくって今日起こったことを書いてみます。実はここしばらく、マウスピース・ピックアップのBarcus-berry 1374の調子が今ひとつだったのです。使用するバッファー・プリアンプは、1990年代にラインナップされていた純正の 'Universal Interface 3500A' というものでした。VolumeとBass、Trebleの2バンドEQ、そして基板上にドライバーで調整する12dBのゲインが備えられています。9V電池のみの駆動のため、ケースに穴を開けてバッテリー・スナップからパワーサプライに電源供給できるよう 'プチ改造' しました。当初は特別問題ないと思っていたのですが、次第にピックアップのエフェクターに対するかかりがイマイチに・・。プリアンプの不具合か、もしくはピエゾ・ピックアップ自体に問題があるのだろうか。いよいよ1374をスペアと交換しなきゃダメなのか、と不安になっていたところに、ネットを通じてハードオフにBarcus-berry1970年代のプリアンプの中古を見つけました。値段は5000円弱ながらほとんどデッドストック品というくらい、元箱、取説付きのきれいな状態。実は当初、単に今のプリアンプが壊れたら乗せ換えようか、くらいの気持ちで買っておいたもので、よもや、こんなにも早く換装するとは思いませんでした。しかし他社のプリアンプに比べ、やはりプリアンプとピックアップは純正品同士の相性が一番マッチしているように思いますね。ともかく、早速エフェクターボードから3500Aを取り外し、新たに入手したヤツにプラグをIn!アンプのヴォリュームをグイッと回します(イイや、どうせ今日は連休だし)。




                                 "オ オ ッ"



なんとあっさり、甦りました。いや、こんなにも違うものなのか!?これ、ベル側のダイナミック・マイク使わなくても全然問題ないかも。しかし、併用してみるとさらにかかりが倍増!筐体が以前の3500Aに比べて少々高く、このままだと付属のエフェクターボードを収納するバッグに入らなそうですが、そんなこと今の自分にはまったく関係ありません。

というわけで、ほとんど独り言のような '小さい喜び' を噛み締めているのですが、ここでちょっとBarcus-berryの代表的なプリアンプについて調べてみました。製品ごと、というよりも時代ごとに小まめにモデルチェンジしていたようで、たまにeBayなぞを覗いてみると、いくつかのモデルを見つけることができます。

1330-1(1330) Standard Pre-Amp
Treble、Bassの2バンドEQにSensitivity、Volumeを備えています。よくこのモデルの '売り文句' として、あのレッド・ツェッペリンのギタリスト、ジミー・ペイジが 'エレアコ' で使用していたとかで、彼のプレイ時の写真と共にeBayに上げられています。

1332-1 Studio Pre-Amp
コレはなかなかお目にかからないモデルですね。Treble、Bassの2バンドEQにSensitivity、Volumeと、Lo-Z Gainというツマミ。そして通常のフォンによるOutputのほか、600ΩのXLR Outputを備えており、その名のごとくスタジオでの使用に特化したプリアンプ。

1333 Super Boost
その名のごとくクリーン・ブーストしてくれるプリアンプ。ツマミ類の一切ないタイプと、筐体横にGain(Volume)ツマミを備えた2モデルが存在しています。

1335 Pre-Amp Equalizer
コレも結構レアなモデルだと思います。SensitivityとVolumeのツマミのほか、125Hzから250Hz、500Hzから1000Hz、2000Hzから400GHzをそれぞれ組みにした6バンドのグラフィックEQが備えられています。

1432 Studio Pre-Amp
1430のスタジオ仕様であり、ResponseのEQを廃してLo-ZのXLRバランス出力が加えられております。

1433-1 Super Boost
Gain(Volume)ツマミのみのプリアンプで、1333 Super Boostのモデルチェンジ版です。

1435 Active Direct Box
その名の通り9Vアダプターで駆動するアクティヴのDI。

Barcus-berry 1430 Standard Pre-Amp

わたしが購入したのは '1430 Standard Pre-Amp' というモデルで、なんと上記に挙げた各モデルに比べていろいろと素晴らしい機能が備えられています。Gain(Volume)ツマミとResponseという、LoからHiにかけて可変させるEQのツマミが1つ、そしてLo-Cutのスイッチがあります。しかし、最高に嬉しいのがミニプラグながら9V電源を供給することができる点!!上記に挙げた各モデルはすべて9V電池のみの駆動なだけに、ますます良い買い物をしたなあ、という思いがひとしおですね。これらは皆、1970年代から1980年代初め頃に生産されていたもので、これ以降になるとプリアンプも9V電池ではなく、いわゆるボタン電池の入った小型のものがピックアップの付属品として同梱されるようになります。

Barcus-berry Pre-Amp
Barcus-berry Pre-Amp on eBay

たかがプリアンプ、されどプリアンプ・・グイッとゲインを持ち上げてくれる '縁の下の力持ち' 的存在として、これこそマウスピース・ピックアップを活かす必需品であります。


追記:ハハ・・喜び勇んだのもつかの間、何かBarcus-berry 1430が妙な電源誘導ノイズを発してます。ケースに触ると 'ブ〜ン' という電源系統特有のノイズが・・これ、ちゃんとアースが取られていないのかも。近藤等則さんの言葉を借りれば "あがきはいつまでも続くね"。電源回りから混入するアースが悪さをしているのでは?といろいろチェックをしてみたのですが、とりあえず、基盤のある筐体下部へ被せるようにして2つのネジで締める蓋と筐体下部の間に薄いゴムシートでみっちりと隙間を埋めます。これでケースに触っただけで発していたノイズはなくなりました。しかしこのプリアンプBarcus-berry 1430、元々のゲインが高いのか薄っす〜くではありますがノイジーに '唸って' いる感じがありますね。ヴォリュームのツマミをオフにしても完全にオフにはならないし・・これはもう、ピックアップのかかりが良くなったことの 'オマケ' と思うことにします。



Joemeek Three Q ①
Joemeek Three Q ②

さて、プリアンプといえばやはりファンタム電源の供給や、もしくは真空管を搭載した 'ハイブリッド' なものを持っているといろいろ使い勝手が良いと思います。わたしはJoemeek Three Qというハーフラック・サイズのプリアンプ、コンプレッサー、EQ搭載の 'チャンネル・ストリップ' を愛用しています。もちろんこの分野はこだわってしまうと平気でヴィンテージ含め100万近い高級機がざらにあり、当然マイク自体も高価なものを合わせて初めて効果を発揮するものです。特にNeveという名前は非常に崇められており、現行の各社プリアンプが目指す設計思想に 'Neveの質感' というのが合言葉のように存在しています。



Studio Projects VTB 1 ①
Studio Projects VTB 1 ②

比較的安価な製品の中で、なぜか 'Neveのような・・' という '口コミ' が広まり人気が出ているのがハーフラック・サイズの本機、Stuido Projects VTB 1です。すでに10年以上経った製品ながら、真空管のトーンをツマミでブレンドできるという 'ハイブリッド' な設計が本機の価値を高めています。正直、安価なクラスの真空管搭載というのは、単にアウトプットで通しているだけの無駄なノイズを付加する意味のないものが多いのですが、一方で安価な分、手軽に自分でいろいろな真空管を交換してカスタマイズできる面白さがあります。また、本機にはインサート端子が付いているので、ここにエフェクターをインサートケーブルで繋ぎ、ライン・レベルのエフェクター(ギター用コンパクト・エフェクターの場合だと歪むかもしれません)であればかけることができます。もちろん、ラインアウトも付いているのでここからコンパクト・エフェクターに繋ぐことも可能です。

サウンドハウスやamazon含め、結構入荷が流動的なのも本機の人気を裏付けているようですね。